JPH022893Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は自動２輪車などの動力源として使用
される小型エンジンの伝導用Ｖベルト冷却装置に
関する。

例えば自動２輪車の伝導装置の１つに、第１図
に示すように、エンジン１に連設したスイングケ
ース２の後端に後輪３を軸支し、エンジン１とも
ども車体に懸架し、スイングケース２内にＶベル
ト無段変速機構を用いたものがある。Ｖベルト変
速機構は周知のように、ドライブＶプーリ４とド
リブンＶプーリ５とのＶプーリ６に対する有効径
を遠心力などによつて変化させて変速を行うもの
で、歯車変速機構と組合わせることもある。Ｖベ
ルトによる伝導は、摩耗やスリツプしやすいの
で、ダストなどが入らないように、ベルト室、こ
の場合スイングケース２内は密閉状態に保持され
る。

しかし、Ｖベルト伝導装置は摩擦熱が発生して
温度が上昇し、過熱されると機能、耐久性が急速
に低下する。その予防としてＶプーリ側面などに
逆風フアンを設けて冷却を図つてはいるが、密閉
状態のベルト室内では雰囲気温度が上昇してい
て、送風フアンで撹拌するだけでは効果が薄い。
ベルト室内に発生した熱をより多く室外に放出す
ることがこの場合大切である。

この考案は、上記の点を解決することを目的と
し、ベルト室内の密閉状態を保持したまま室内の
熱を外部へ放出し、雰囲気温度を低く抑えること
によつて冷却をより効果的にする小型エンジンの
伝導用Ｖベルト冷却装置を提供するものである。

第２図はこの考案の実施例を示す自動２輪車の
スイングユニツト式伝導装置の一部切欠いた平面
図、第３図は同側面図である。

エンジン１にスイングケース２が連設されて後
方へ延び、後端に後軸３を軸支する。スイングケ
ース２内に突出したクランク軸７に、Ｖベルト無
段変速機構のドライブＶプーリ４が軸装され、後
部のドリブン軸８に軸装されたドリブンＶプーリ
５との間にＶプーリ６が懸架される。ドリブン軸
８は、ギアケース９内の減速歯車機構を経て、リ
ヤアクスル１０上の後輪３に回転を伝える。ギア
ケース９は湿式になり、スイングケース２内のベ
ルト室１１は密閉状態で乾式に構成されている。
ドライブＶプーリ４およびドリブンＶプーリ５の
側面にはフアンブレード１２が付設され、ベルト
室１１内の空気を流動させて両Ｖプーリ４，５お
よびＶベルト６を冷却する。またエンジン１は強
制空冷式で、クランク軸７に固定した送風フアン
１３によつて冷却空気をシリンダ周りに送る。１
４はフアンケーシングである。

次に、スイングケース２のベルト室１１には長
手方向に冷却通路としての冷却パイプ１５が貫通
して設けられる。冷却パイプ１５の前端は導管１
６によつて上記フアンケーシング１４の吐出口部
に開口し、後端１５ａは大気に開放される。ベル
ト室１１内の冷却パイプ１５には適宜フイン１７
が付設されている。また冷却パイプ１５の断面は
都合のよい形状が選択され、配管形状も室内スペ
ースに応じ自由に設定できる。

エンジン稼働中送風フアン１３による送風の一
部が導管１６から冷却パイプ１５を抜けて後端１
５ａから大気へ排出される。冷却パイプ１５の排
出端部はベルト室１１の後方上部で開口させてお
り、具体的には、冷却パイプ１５の排出側後端１
５ａはスイングケース２の後部から後方に斜め上
方に向つて延設され、その排出端部は外気中に開
口している。冷却パイプ１５の排出端部（後端１
５ａ）をベルト室１１の後方上部に開口させるこ
とにより、後輪３が跳ね上げた泥水や小石が冷却
パイプ後端に当るのを未然にかつ有効的に防止で
き、冷却パイプ１５の詰りや小石による変形を防
止できる。冷却パイプ１５内を通る空気はベルト
室１１内の空気と熱交換が行われる。一般的にＶ
ベルト６によるドライブＶプーリ４からドリブン
Ｖプーリ５への動力伝導によつて摩擦熱その他の
発熱があり、フアンブレード１２による冷却が行
われるが、長時間運転が続くと次第に室内空気温
が上昇しようとする。しかし冷却パイプ１５内を
絶えず流通する空気が熱交換して熱を外部へ運び
出して室内雰囲気温度を低く保持する。従つてＶ
ベルトなどが常時有効に冷却されて、機能、耐久
性低下など熱による障害が防がれる。

この考案の一実施例の説明においては、ベルト
室内に送風フアンからの冷却風が冷却パイプ内に
強制送風されるようにしたものについて説明した
が、ベルト室の前方に冷却パイプの先端を開放さ
せ、自動２輪車の走行により走行風を冷却パイプ
内に導き、ベルト室を冷却するようにしてもよ
い。その際、冷却効率を上げるため、冷却パイプ
の先端を走行方向に向つて拡開するように開口さ
せてもよい。

また、ベルト室に冷却パイプを貫通させる代り
に、Ｖベルト伝導装置を収容したベルト室をミツ
シヨンケースから分割可能に構成し、その分割部
に形成される隙間を冷却通路として形成し、この
冷却通路内に走行風を案内して、内部を積極的に
冷却してもよい。このように冷却通路はベルト室
内を通る冷却パイプにより、あるいはベルト室の
分割部に形成される隙間により構成される。

以上に説明したように、この考案に係る小型エ
ンジンの伝導用Ｖベルト冷却装置は、密閉乾式の
ベルト室内に冷却通路を貫通して形成し、冷却用
空気を冷却通路を通つて強制的に送風させ、大気
に放出させることによつて、ベルト室内を常時冷
却するようにしたもので、室内雰囲気温度を低く
保つことができる。これによりＶベルトは苛酷な
使用状態においても高温にならないように有効に
冷却され、機能および耐久性を長く維持する。冷
却通路をベルト室内に通すだけの簡単な構造によ
つてベルト室内の密閉状態を崩すことなく、従つ
てダストなどの侵入がなく、熱害の防止と共にこ
の面でもＶベルト伝導装置の信頼性を向上させ
る。

また、冷却通路の排出端部をベルト室の後方上
部で開口させたので、後輪の跳ね上げよる泥水や
小石が排出端部に当たるのを有効的に防止でき、
泥水による排出口の詰りや小石等による変形を未
然にかつ確実に防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図はＶベルト伝導装置の一例を示す自動２
輪車の側面図、第２図はこの考案の実施例を示す
自動２輪車のスイングユニツト式伝導装置の一部
切欠いた平面図、第３図は同側面図である。 １……エンジン、２……スイングケース、３…
…後輪、４……ドライブＶプーリ、５……ドリブ
ンＶプーリ、６……Ｖベルト、１１……ベルト
室、１３……送風フアン、１４……フアンケーシ
ング、１５……冷却パイプ、１７……フイン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 後輪に動力を伝達するＶベルト伝導装置を収め
   た密閉状態のベルト室に冷却通路を貫通して備
   え、冷却用空気を上記冷却通路を通じて外気に排
   出させる排出端部を前記ベルト室の後方上部で開
   口させたことを特徴とする小型エンジンの伝導用
   Ｖベルト冷却装置。