JPH0228716Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

（産業上の利用分野） 本考案は生鮮食品の鮮度保持材に関する。 （従来の技術） 果実、野菜、鮮魚、肉類等の生鮮食品は、鮮度
を生命とし、その貯蔵、輸送等の流通過程で、腐
敗、変色、萎縮等の老化を防止し、長期にわたつ
て鮮度を保持することが必要とされている。 生鮮食品の鮮度低下は、青果類においては、箱
詰め、袋詰め等の密閉状態で青果物から発生する
エチレンガス等による過熱、呼吸作用による水熱
気の結露等が原因で起り、肉魚類においては、例
えばトレー包装で肉魚類からの脱汁が原因で起
る。また、水分の過度の蒸散も生鮮食品の鮮度低
下の原因となる。 近時、これらの鮮度低下の原因に着目し、生鮮
食品の鮮度保持シートの使用が試みられている。
この種の鮮度保持シートは、少なくとも片面が紙
または不織布からなる基材の間に、粉粒状の水分
吸収剤やガス吸着剤を挾着一体化したものであ
る。このような鮮度保持シートは生鮮食品の箱詰
め、袋詰め、トレー包装の際に生鮮食品の間に入
れるだけで生鮮食品から発生するエチレンガスや
水分を吸収し、該食品の鮮度が保持され、極めて
便利である。 （考案が解決しようとする課題） ところが、かかる鮮度保持シートにあつては、
粉粒状の水分吸収剤またはガス吸着剤は一般にバ
インダーを使用することが機能を低下させるため
好ましくなく、このため紙、不織布等の基材に機
械的に固定保持されているが、どうしても使用中
に鮮度保持シート端縁の断面から、水分吸収剤ま
たはガス吸着剤の粉粒体が脱落し、これが生鮮食
品に付着するという欠点があつた。特に水分吸収
剤が水分を吸収した場合、粒径が数倍に膨張し、
基材を浮き上がらせる結果、一層粉粒体が脱落す
ることになる。また、使用中に基材が破れ、破損
部分から粉粒体が脱落する場合もあり、特に吸水
時には基材の強度が低下するし、生鮮食品がタケ
ノコのような重量物の場合使用中に押しつぶされ
て破損が生じやすいのである。 このような鮮度保持シートからの粉粒体の脱落
による生鮮食品の汚染は、清潔を重視する食品に
おいてはその価値を著しく低減させるものであ
る。 （課題を解決する手段） 本考案はかかる従来の鮮度保持シートを有する
欠点を除去せんとしてなされたもので、鮮度保持
シート袋状の表面材によつて完全に包被すること
により、生鮮食品を汚染せず、しかも破れにくい
鮮度保持材を提供するものである。 以下、図面を参照しながら本考案につき詳述す
る。 図面において、１は鮮度保持シートであつて、
この鮮度保持シート１は紙または不織布からなる
二層の基材１１，１１′と、該二層の基材１１，
１１′間に挾着一体化された粉粒状の水分吸収剤
あるいは水分吸収剤とガス吸着剤との混合物とか
らなる調整剤１２とで構成されている。 二層の基材１１，１１′は、セルロース繊維か
らなる紙またはポリエステル、アクリロニトリ
ル、ポリプロピレン等の合成繊維からなる不織布
を使用したものが好ましい。 二層の基材１１，１１′間に挾着される調整剤
１２を構成する粉粒状の水分吸収剤としては、ア
クリル酸（塩）ブロツク共重合体、架橋ポリアク
リル酸（塩）、変性ポリビニルアルコール等から
なる吸水性樹脂またはシリカゲル、活性アルミ
ナ、酸化カルシウム等の吸水剤が使用され、粉粒
状のガス吸着剤としては、活性炭、ハロゲン化カ
ーボン、酸性白土、珪藻土、ゼオライト等が使用
される。 一般に水分吸収剤として吸水性樹脂を用い、こ
れにガス吸着剤として活性炭を混合したものが好
適に使用されるが、これらの水分吸収剤やガス吸
着剤は通常その機能が著しく低下しない範囲で合
成ゴム系ラテツクス、アクリル樹脂系エマルジヨ
ン等のバインダーにより、二層の基材１１，１
１′に固着保持されている。 鮮度保持シート１は、一般的には広幅で長尺の
シートとして得られ、これを適宜寸法に切断す
る。したがつて鮮度保持シート１の端縁の断面か
らは粉粒状の水分吸収剤あるいはガス吸着剤が露
出している。 本考案においては、上記の鮮度保持シート１が
少なくとも一方の表面材２が紙または不織布から
なる袋となされた二層の表面材２，２′によつて
完全に包被される。この袋状となされた二層の表
面材２，２′はその両面ともセルロース繊維から
なる紙またはポリエステル、アクリロニトリル、
ポリプロピレン等の合成繊維からなる不織布を使
用したものが好ましいが、一方の表面剤２のみを
上記の紙または不織布として、他方の表面材２′
はポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂フ
イルムまたはこれらの発泡フイルムあるいはかか
るフイルムに微細な多数の透孔を設けたものを使
用してもよい。 鮮度保持シート１を表面材２，２′で包被する
方法としては、第１図および第２図に示すよう
に、鮮度保持シート１よりやや広い袋状の表面材
２，２′の間に鮮度保持シート１を挾み、その四
方の周辺部の表面材２，２′を接着する方法、ま
た第３図および第４図に示すように下方の表面材
２′の両側辺部を鮮度保持シート１の上面へ折り
曲げ、その上に上方の表面材２をかぶせ、両表面
材２，２′の側辺部どうしを接着するとともに、
他の二方の端部どうしをも接着する方法、第５図
および第６図に示すように、一枚の表面材２を使
用し、この表面材２を鮮度保持シート１の下方か
ら上方へとかぶせ、その両側部を鮮度保持シート
１の上面で重ね合せ、他の二方の端部どうしを接
着する方法等が採用される。 接着の方法は、熱融着または接着剤による接着
等いずれの方法でもよいが、表面材として合成繊
維からなる不織布を使用すれば熱融着で簡単に包
被することができ、しかも使用中に水分による強
度の低下がほとんどなく好適である。また表面材
２，２′と鮮度保持シート１とは接着されていな
くてもよく、また部分的に接着されていてもよ
い。さらに、表面材２を二重の袋状にして鮮度保
持シート１を二重に包被したり、複数枚の鮮度保
持シート１を一つの袋状の表面材２で包被した
り、さらにまた、鮮度保持シート１といつしよに
線状パルプ、発泡シート等の緩衝材を入れて包被
することもできる。 かくして本考案の鮮度保持材３が得られる。こ
の鮮度保持材３は従来の鮮度保持シートと同様
に、生鮮食品の箱詰め、袋詰め、トレー包装等の
際に、生鮮食品とともに箱、袋、トレー等の中に
入れて使用される。 （実施例） 鮮度保持シート１として、一方の基材１１が10
〜30ｇ／m²のテユツシユペーパー製であり、他方
の基材１１′が10〜30ｇ／m²のテツシユペーパー
と50〜100ｇ／m²のパルプからなり、一方の基材
１１のテツシユペーパーと他方の基材１１′のパ
ルプとの間に水分吸収剤として30ｇ／m²のデンプ
ンアクリル酸グラフト共重合体とガス吸着剤とし
て30ｇ／m²の活性炭との混合物が挾着一体化され
たものを作製した。 一方、該鮮度保持シートを包被する表面材２，
２′としてレーヨン繊維とポリエチレン系低融点
繊維からなる20ｇ／m²の不織布を用いた。 そして鮮度保持シート１を所定の大きさに裁断
し、該鮮度保持シートより融着部分が20mm分大き
く裁断された上記表面材２，２′を鮮度保持シー
ト１の上下から各１枚ずつあてがい周辺部を20mm
幅で融着して鮮度保持シート１を完全に包被し
た。 このようにして作製された鮮度保持材の中央部
を縦方向および横方向にそれぞれ2.5cm幅に切り
とり、それぞれ乾燥状態、吸水状態において引張
強度を測定し、第１表の結果を得た。なお比較の
ため、表面材を除いた鮮度保持シートのみについ
ても同様に引張強度を測定した。

【表】 次に、上記の材料を用いて一辺が14cmの正方形
の本考案鮮度保持材（鮮度保持シートは一辺が10
cmの正方形）を作製し、比較のため上記鮮度保持
シートのみを一辺10cmの正方形に裁断したものを
用意し、いずれも水平に載置し、ほぼ中心部に水
を注ぎ、吸水して膨潤した水分吸収剤が基材１，
１′からはみ出し脱落するまでの水の量を測定し、
第２表の結果を得た。

【表】 なお、このとき鮮度保持シートの二層の基材１
１，１１′間の間隔は吸水前に0.5mmであつたの
が、水分吸収剤の膨潤により約５mmにまで広がつ
ていた。 上述の如く、本考案鮮度保持材は乾燥時でも吸
水時でも強度はほとんど変らず、また水分吸収剤
がほぼ限界まで吸水しても表面材から脱落せず衛
生的である。 （効果） 以上詳述した如く、本考案鮮度保持材は二層の
基材の間に粉粒体の水分吸収剤あるいは水分吸収
剤とガス吸着剤との混合物とからなる調整材が挾
着一体化されてなる鮮度保持シートが、袋状とな
された二層の表面材によつて完全に包被されてい
るので、鮮度保持シートの端から脱落する粉粒体
の水分吸収剤やガス吸着剤は表面材によつて抑制
され、特に水分吸収剤が多量の水分を吸収して体
積が著しく膨張した場合であつても外部へ漏れ
ず、鮮度保持材の使用中に生鮮食品に混ざつて汚
染するようなことがない。 また、鮮度保持シートを包被する表面材の少な
くとも一方が鮮度保持シートの基材と同様に紙ま
たは不織布から構成されているので、鮮度保持シ
ートの有する水分調節能やガス吸着能が阻害され
ることがない。 さらに、鮮度保持シートが表面材により包被さ
れていることにより、鮮度保持シートの強度が表
面材によつて補強され、特に鮮度保持シートの基
材として、吸水性および緩衝性のよい紙が使用さ
れている場合に、これを包被する表面材として合
成繊維からなる不織布を使用すると、吸水による
鮮度保持シートの強度低下や重量のある生鮮食品
からの圧迫による破損、水分吸収剤が吸水のため
著しく膨張して基材を持ち上げることによる型崩
れ等が表面材によつて補なわれ、使用中の破損が
防止され、生鮮食品の鮮度保持材として優れたも
のが得られる。 さらにまた、調整剤が水分吸収剤とガス吸着剤
との混合物の場合であつても鮮度保持材が水に触
れた際に水分吸収剤が吸水するまでの間、表面材
が吸水して漏れ、ガス吸着剤が直接水浸しになら
ず、ガス吸着能が著しく妨げられることがない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案鮮度保持材の一実施例を示す斜
視図、第２図は第１図−線における断面図、
第３図は本考案鮮度保持材の他の実施例を示す斜
視図、第４図は第３図−線における断面図、
第５図は本考案鮮度保持材のさらに他の実施例を
示す斜視図、第６図は第５図−線における断
面図である。 １……鮮度保持シート、１１，１１′……基材、
１２……調整剤、２，２′……表面材、３……鮮
度保持材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 紙または不織布からなる二層の基材１１，１
   １′の間に粉粒状の水分吸収剤あるいは水分吸収
   剤とガス吸着剤との混合物とからなる調整剤１２
   が挾着一体化されてなる鮮度保持シート１が、少
   なくとも一方の表面材２が紙またか不織布からな
   る袋状となされた二層の表面材２，２′によつて
   完全に包被されていることを特徴とする鮮度保持
   材。