JPH0227968Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は溶融金属またはプラスチツクを金型内
へ射出して成形を行なう射出成形装置において、
可動金型を固定金型に対し進退させて型締、型開
を行なう型締装置に関するものである。

〔従来の技術〕

ダイカストマシンやプラスチツク射出成形機な
どの射出成形装置は、型締方向によつて竪型締式
と横型締式とに分類される。このうち例えば竪型
締式のダイカストマシンは床面上に固定されたベ
ースプラテンと、その４隅に固定されて立設され
たタイロツドと、このタイロツドの上端部に支持
されたトツププラテンと、タイロツドまたはトツ
ププラテンのガイド孔で案内されて型締シリンダ
で昇降するムービングプラテンとを備えており、
ベースプラテンとムービングプラテンとには固定
金型と可動金型とが対向して装着される。そし
て、型締シリンダでムービングプラテンを下降さ
せ両金型を圧接させて型締したのち、金型キヤビ
テイ内へ溶湯を射出して固化させることにより鋳
込が行なわれる。固化、冷却後は、型締シリンダ
の圧油を抜き、別に設けたプルバツクシリンダに
よつてムービングプラテンを上昇させて型開し、
製品を取出したのち金型キヤビテイ内へ離型剤を
スプレーすることによつて１回の鋳込サイクルが
完了する。

また、横型締式は、ベースプラテンに相当する
エンドプラテンと、トツププラテンに相当するシ
リンダプラテンとを備えており、ムービングプラ
テンはこれらエンドプラテンとシリンダプラテン
との間を型締シリンダの作動で横方向に移動して
型締、型開を行なう他は、竪型締式と基本的な構
造および動作が同じである。

このような射出成形装置、例えばダイカストマ
シンによる鋳込作業においては、型開状態での金
型の交換、清掃や離型剤のスプレー時等に、誤つ
て型締シリンダを作動させたり、送油系統の故障
で型締シリンダに送油されたりして重量の大きい
ムービングプラテンが不時にしかも過度に下降し
たり横移動したりするときわめて危険であり、ま
たプルパツクシリンダ等を破損させたりするおそ
れがあつた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

そこで従来、型締シリンダの過度の下降を防止
するための安全装置が種々提案されているが、い
ずれも作動が不確実であつたり、あるいは作動時
に大きな騒音や振動が発生したりして必ずしも満
足すべきものでなかつた。

〔問題点を解決するための手段〕

このような問題点を解決するために本考案では
射出成型装置の型締装置内に、型締シリンダ側移
動部材の型締方向への過度の移動動作に連動して
軸線方向に移動する弁棒と、この弁棒の移動によ
つて順に移動する内管と外管とで２重管状に形成
された弁体と、内管の移動によつて小さく開き外
管の移動によつて大きく開く油路とからなる安全
バルブ装置を設けて、油路を型締シリンダの油室
と油タンクとに連通させた。

〔作 用〕

このように構成することにより、型締シリンダ
のラムが型締方向へ不時、かつ過度に移動する
と、この移動動作に連動して弁棒が移動し、先ず
弁体の内管を移動させて油路が小さく開口し、引
続き弁体の外管を移動させて油路が大きく開口す
るので、型締シリンダの油室内の油は、弁棒の移
動初期において少し油タンクへ戻り、移動途中か
らは多く油タンクへ戻り、ラムの移動が停止す
る。

〔実施例〕

本実施例は本考案をロータリダイカストマシン
に実施した例を示し、第１図はこれを実施したロ
ータリダイカストマシンの型締、射出ステーシヨ
ンの一部破断正面図、第２図は安全バルブ装置の
縦断面図である。図において、実施例に示すロー
タリダイカストマシンは、装置を円周方向に３等
分する位置にそれぞれ配設された型締、射出ステ
ーシヨン１と、図示しない型開、製品取出ステー
シヨンおよび金型準備ステーシヨンとの３つの作
業ステーシヨンを備えている。このうちの型締、
射出ステーシヨン１は、床面下のピツト２周囲の
床面基礎３上と、ピツト２内のベース４上とに固
定されたベースプラテン５を備えており、このベ
ースプラテン５は、平面視円形状のテーブル支持
部５ａと、平面視２等辺３角形状の射出部５ｂと
で一体形成されている。また、ベースプラテン５
の射出部５ｂの下面には図示しない射出装置が上
端の射出スリーブ部をベースプラテン５の空間部
５ｃ内へ係入させて傾転自在に支持されている。
テーブル支持部５ａの中心と、射出部５ｂの３角
形底辺側両端部とに設けられたタイバー孔には、
直立する３個のタイバー６，７が嵌合されてお
り、その下方の突出ねじ部には、タイバーナツト
８が螺合されてタイバー６，７を強固に固定して
いる。各タイバー６，７の上部同高位置に設けら
れたねじ部には、割りナツト９が螺合されて割締
め固定されており、平面視を２等辺３角形状に形
成されたシリンダプラテン１０は、この割りナツ
ト９で下降を規制されてタイバー孔１０ａにタイ
バー６，７の上端部を嵌合させたのち、突出ねじ
部に螺合されたナツト１１で強固に固定されてい
る。

ベースプラテン５のテーブル支持部５ａ上面に
は、逆漏斗状に形成されたテーブル回転用の中空
軸１２が、タイバー６を内包しこれと同心状に直
立して固定されており、回転テーブル１３はこの
中空軸１２に上下のボールベアリング１４を介し
て回転自在に支持されている。円形状に形成され
た回転テーブル１３の外周部を円周方向に３等分
する位置には、型開閉ユニツト保持部１３ａがそ
れぞれ設けられており、各保持部１３ａには、作
業開始時に型開、製品取出ステーシヨンで供給さ
れた型開閉ユニツト１５がそれぞれ装着保持され
ている。この型開閉ユニツト１５は、保持部１３
ａに図示しない位置決めシリンダで位置決めされ
てベースプラテン５の当接面５ｄから浮上した状
態で保持された取付台１５ａと、この取付台１５
ａに下端を固定された型開閉シリンダ１６により
ガイドロツド１７に沿つて昇降するトツプフレー
ム１５ｂとを備えており、これら取付台１５ａと
トツプフレーム１５ｂとには、固定金型１８と可
動金型１９とが対向して装着されている。そして
型開閉シリンダ１６でトツプフレーム１５ｂが昇
降することにより型締と型開とが行なわれるよう
に構成されている。この型締は、後述する型締装
置による型締以前の仮型締であり必要最低限の型
締力で型締するものであつて、前段の金型準備ス
テーシヨンで型締されたのち、この型締、射出ス
テーシヨンへは回転テーブル１３とともに周回し
てきて停止する。２０は回転テーブル１３ととも
に回転する金型冷却装置用の給水室である。

次に、全体を符号２１で示す型締装置について
説明する。型締装置２１は、前記シリンダプラテ
ン１０に形成されたラム孔１０ｂに嵌合されてポ
ート２２へ図示しない油タンクから導入される圧
油で昇降する型締シリンダとしてのメーンラム２
３を備えており、その下面には、長方形板状に形
成されたムービングプラテン２４がボルト締めに
よつて固定されている。２５はメーンラム２３の
嵌合部に介装されたパツキンとこれを上下から挾
むブツシユとを止める環状のグランドであつて、
シリンダプラテン１０の下面にボルト締めされて
いる。また、ムービングプラテン２４の下面に
は、型開閉ユニツト１５のトツプフレーム１５ｂ
に対応する枠組状のスペーサ２６が中央部にボル
ト締めされている。全体を符号２７で示すもの
は、シリンダプラテン１０の上面に固定された左
右一対のプルバツクシリンダであつて、シリンダ
２８にブツシユとパツキンを介して上下動自在に
嵌合された段付きのシリンダロツド２９を上下に
貫通して備えており、シリンダロツド２９の下端
は、ムービングプラテン２４の左右両端部に固定
されている。そしてシリンダ２８内に圧油を導入
してシリンダロツド２９を上昇させることによ
り、メーンラム２３で下降したムービングプラテ
ン２４を型締解放位置まで若干上昇させるように
構成されている。

さらに、一方のプルバツクシリンダ２７には、
第２図に詳細を示す安全バルブ装置３０が付設さ
れている。この安全バルブ装置３０は、シリンダ
２８に固定されたバルブボデイ３１とその上下に
ボルト接合されたフランジ３２、シリンダブロツ
ク３３、フランジ３４で本体を一体的に形成され
ており、段部を有する弁棒としてのロツド３５
は、フランジ３２とシリンダブロツク２３の下端
部とにパツキン３６等を介して上下動自在に支持
されていてシリンダブロツク３３内に装填された
圧縮コイルばね３７によつて上方へ付勢されてい
る。ロツド３５の下端面には、外周部の平面部３
５ａと、中心部の小径突起部３５ｂとが設けられ
ている。また、バルブボデイ３１の内孔に嵌着さ
れたスリーブ３８の内孔には、外管３９がロツド
３５と同一軸心上にその下面と対向した状態で上
下動自在に嵌合されており、この外管３９の内孔
には、外管３９とともに２重管構造をなす内管４
０が上下動自在に嵌合されている。４１は内管４
０とフランジ３４との間に介装されて内管４０を
静荷重状態で支承する圧縮コイルばねであつて、
ロツド３５を下降させることにより、下降初期に
はロツド３５の小径突起部３５ｂの先端で押下げ
られる内管４０で圧縮され、下降途中からはロツ
ド３５の平面部３５ａで押下げられる外管３９に
よつて圧縮されるように構成されている。ねお平
時には、外管３９、内管４０ともにロツド３５に
当接しない状態でその上昇限位置をスリーブ３８
の段部で規制されている。４２ａ，４２ｂ，４３
はそれぞれ環状溝であつて、連通路４４，４５に
よつて互に連通されており、また外側の環状溝４
２ａは、前記メーンラム２３上方の油室４６に連
通されている。さらに外管３９、内管４０の上昇
によつて閉塞された油路４７は、フランジ４８に
接続された油路を介して図示しない油タンクに接
続されている。一方、前記プルバツクシリンダ２
７の１個のシリンダロツド２９には、その過度の
下降によりロツド３５を押し下げるストライカ４
９が固定されており、メーンラム２３の不時にお
ける過度の下降によりストライカ４９がロツド３
５を押し下げると、初めは小突起部３５ｂの作用
で内管４０が環状溝４３と油路４７間を開き、後
には平面部３５ａの作用で外管３９が環状溝４２
ｂと油路４７間を開いて、メーンラム２３上方の
油を、小量排油と大量排油とにより安全バルブ装
置３０を介して油タンクへ２段階に戻し、メーン
ラム２３によるムービングプラテン２４の下降を
停止させるように構成されている。

以上のように構成された型締装置２１の動作を
説明する。前段の金型準備ステーシヨンにおいて
離型剤のスプレ等を行なつたのちトツプフレーム
１５ｂの下降で仮型締された両金型１８，１９を
保持する型開閉ユニツト１５は、回転テーブル１
３の回転により型締装置２１の真下まで周回して
きて停止する。このとき型開閉ユニツト１５は位
置決めシリンダで押し上げられてその取付台１３
ａがベースプラテン５の当接面５ｄから浮上して
いる。この状態で型締シリンダのポート２２へ油
タンクから圧油を導入して油室４６へ送り込む
と、メーンラム２３が下降し、スペーサ２６が型
開閉ユニツト１５のトツプフレーム１５ｂの上面
に当接し、型開閉シリンダ１６および位置決めシ
リンダの油圧に抗してトツプフレーム１５ｂを押
下げるので、先ず型開閉ユニツト１５の取付台１
５ａがベースプラテン５の当接面５ｄに着座した
のち、両金型１８，１９には大きな型締力が作用
し、この型締力は強固なベースプラテン５によつ
て耐えられる。このとき図示しない射出装置の射
出シリンダが傾転していてその射出スリーブ内に
溶湯が注入されているので、射出シリンダを起立
させて両金型１８，１９のキヤビテイ内へ溶湯を
射出する。溶湯が固化して冷却を始めると、メー
ンラム２３上の油室４６から圧油を抜くととも
に、プルバツクシリンダ２７のピストンロツド２
９を上昇させると、ムービングプラテン２４が上
昇して型締力が解かれる。この結果、金型１８，
１９には当初設定した型開閉シリンダ１６による
冷却のみに必要な最低値の型締力が保持され、ま
た、型開閉ユニツト１５は位置決めシリンダで押
上げられてベースプラテン５から浮上する。そし
て、溶湯の冷却途中で型開閉シリンダ１６による
小さい型締力が作用している状態で回転テーブル
１３を120゜回動させて停止させることにより、型
締、射出ステーシヨン１における次の金型への型
締、射出が開始される。

以上のような型締、射出動作において、型締シ
リンダは型開閉ユニツト１５が真下位置にあると
きに所定のタイミングで型締方向へメーンラム２
３を下降させるように設定されているが、回転テ
ーブル１３の回転途中等に送油回路の故障や制御
装置の誤動作等でメーンラム２３が不時にしかも
所定量よりも過度に下降するおそれがある。この
場合、メーンラム２３が過度に下降すると、プル
バツクシリンダ２７のストライカ４９が安全バル
ブ装置３０のロツド３５を圧縮コイルばね３７の
弾発力に抗して押下げる。この場合、ロツド３５
の下降初期において先ずロツド３５下端の小突起
部３５ｂが内管４０の上端に接触してこれを押下
げることにより、環状溝４３が小開度で開口して
環状溝４２ａと油路４７とがわずかに連通するの
で、環状溝４２ａに接続された型締シリンダの油
室４６と油路４７に接続された油タンクとが連通
し、油室４６内の油が油タンクへ少量だけ戻る。
引続きロツド３５が下降すると、下降の途中から
はロツド３５下端の平面部３５ａが外管３９の端
面に接触してこれを押下げることにより、環状溝
４２ｂが大きく開口して環状溝４２ａと油路４７
とが大きく連通するので、油室４６内の油が油タ
ンクへ大量に戻る。このようにして油室４６内の
油が油タンクへ戻ることによりメーンラム２３の
下降が停止する。この場合、外管３９と内管４０
との作用で２段階に排油することにより、一度に
大量の油を抜くときのように騒音や振動が発生せ
ず排油が円滑に行なわれる。

なお、本実施例は本考案をロータリダイカスト
マシンに実施した例を示したが、金型が周回しな
い通常の竪型締式や横型締のダイカストマシン
や、プラスチツク射出成形機にも同様に実施する
ことができる。また、本実施例ではロツド３５を
移動させる型締シリンダ側の移動部材としてプル
バツクシリンダ２７のストライカ４９を例示した
が、これに限定するものではなく、メーンラム２
３の移動動作に連動して移動する部材であればい
かなる部材でもよい。

〔考案の効果〕

以上の説明により明らかなように、本考案によ
れば射出成型装置の型締装置において、型締シリ
ンダ側移動部材の型締方向への過度の移動動作に
連動して軸線方向へ移動する弁棒と、この弁棒の
移動によつて順に移動する内管と外管とで２重管
状に形成された弁体と、内管の移動によつて小さ
く開き外管の移動によつて大きく開く油路とから
なる安全バルブ装置を設けて油路を型締シリンダ
の油室と油タンクとに連通させたことにより、型
締シリンダのラムが型締方向へ不時かつ過度に移
動すると、この移動動作に連動して弁棒が移動し
て油路を初めは小さく途中からは大きく開いて型
締シリンダの油室内の油を２段階に油タンクへ戻
すので、ラムの移動が停止し事故を未然に防止す
ることができて安全性が向上するとともに、一度
に排油する場合のように大きな騒音や振動が発生
しなくて排油が円滑に行なわれ、部品の損傷等を
防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本考案に係る射出成型装
置の型締装置の実施例を示し、第１図はこれを実
施したロータリダイカストマシンの型締、射出ス
テーシヨンの一部破断正面図、第２図は安全バル
ブ装置の縦断面図である。 １５……型開閉ユニツト、１８……固定金型、
１９……可動金型、２１……型締装置、２３……
メーンラム、２４……ムービングプラテン、２７
……プルバツクシリンダ、２９……シリンダロツ
ド、３０……安全バルブ装置、３１……バルブボ
デイ、３５……ロツド、３５ａ……平面部、３５
ｂ……小突起部、３９……外管、４０……内管、
４１……圧縮コイルばね、４２ａ，４２ｂ，４３
……環状溝、４４，４５……連通路、４６……油
室、４７……油路、４９……ストライカ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 型締シリンダへの送油により可動盤を移動させ
   て型締を行なう射出成形装置の型締装置におい
   て、筐体に軸支され前記型締シリンダ側移動部材
   の型締方向への過度の移動動作に連動して軸線方
   向に移動する弁棒と、この弁棒と同心の内管と外
   管とで２重管状に形成されてばね部材により弁棒
   側に付勢され、前記筐体側に摺動自在に軸支され
   た弁体であつて弁棒の移動により内管、外管の順
   に移動する弁体と、前記内管の移動により開口し
   て油タンクと前記型締シリンダの油室とをわずか
   に連通させる油路と、前記外管の移動により開口
   して油タンクと前記型締シリンダの油室とを大き
   く連通させる油路とからなる安全バルブ装置を設
   けたことを特徴とする射出成形装置の型締装置。