JPH0227120B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は、超高圧水と研摩材を使用するウオー
タジエツト切断に際して発生する高周波の騒音の
うち、特に切断後のジエツト流による騒音の伝播
を阻止する、ウオータジエツト切断の防音方法に
関するものである。

〈従来の技術〉 超高圧水を研摩材と共にノズルの微少な噴出孔
から噴出させてコンクリートや鋼材を切断するウ
オータジエツトによる切断方法が存在する。

このウオータジエツトによる切断では、噴出孔
からの超高圧水の噴出速度が音速域に達するた
め、高周波の騒音が発生する。

高周波音は切断前のジエツト流によるもののほ
かに切断後に裏面に噴出したジエツト流によつて
も発生する。

即ち第３図に示すように、被切断物Ａを貫通し
たジエツト流Ｊも、完全に切断能力を消耗しきつ
ておらず、超高圧、超高速の噴流として被切断物
Ａの裏面側にも噴出する。

したがつて切断後のジエツト流Ｊも高周波の騒
音の発生源となつている。

そして裏面から噴出し、切断能力を有するジエ
ツトＪの長さＬが長ければそれだけ大きな騒音と
なる。

こうした超高圧水による騒音の伝播を防止する
ため、切断面の周囲にカバーを設置し、騒音の伝
播の防止を行つており、切断後の噴射流による騒
音の伝播を防止するためには、被切断物の裏面に
もカバーを設置している。

〈本発明が解決しようとする問題点〉 上記のような公知の方法には次のような問題点
が存在する。

〈イ〉 被切断物を切断した後のジエツト流は完
全に切断能力を失つていない。

したがつて切断面から近い位置にカバーを位
置させると、カバーまで切断されてしまう。

こうしたカバーの切断を防止しつつ防音する
ためには、カバーの奥行きを、ジエツト流の切
断能力が減衰する距離Ｌ以上に設計しなければ
ならない。

ところがそれだけの距離をとると切断面との
あいだに広い空間ができるから、騒音の封じ込
めを完全に行うことが困難である。

〈ロ〉 ジエツト流の切断能力が減衰する距離Ｌ
を持つたカバーはその外形寸法が大きくなり、
カバーが大型化となる。

したがつて頻繁に位置を変えて切断部分を追
いかけてカバーしてゆくには取り扱いが不便で
ある。

〈本発明の目的〉 本発明は上記のような問題を改善するためにな
されたもので、カバーを損傷することなく、かつ
効果的な騒音伝播の防止を行うことのできる、ウ
オータジエツト切断の防音方法を提供することを
目的とする。

〈本発明の構成〉 次に本発明の一実施例について説明する。

〈イ〉 防音カバー 防音カバー１は、周囲の壁面と、底板１６と
よりなり、一面のみを開放してなる直方形など
の箱体である。

そして開口部１１の周囲には外側に向けて、
フランジ１２を鍔状に突設する。

このフランジ１２は、防音カバー１を被切断
物Ａに取り付けるときに使用する。

開口部１１から底板１６までの深さは、被切
断物Ａを貫通したジエツト流が、切断能力を完
全に失う距離によりも短い距離に構成する。

その底板１６には、研摩材や水などを排出す
るための排出孔１７を開口する。

使用時にはこのカバー１を被切断物の裏面の
切断線を覆うように取り付けるが、フランジ１
２と被切断物Ａとの間にはパツキンＰを介在さ
せることも考えられる。

〈ロ〉 減衰材 防音カバー１の内部には、ジエツト流の圧力
を減衰させるための減衰材を取り付ける。

本発明の減衰材Ｂは、二枚の櫛型の長方形の
鋼板で構成する。

すなわち、各鋼板は長手方向の一辺を、一定
の間隔で櫛状に切り欠く。

すると各鋼板には交互に、切り込み部Ｂ１と
短冊部Ｂ２とが形成され、すべての短冊部Ｂ２
は、帯部Ｂ４で連結していることになる。

〈ハ〉 防護カバーへの組み込み この櫛型の減衰材Ｂを、上記の防音カバー１
の底板１６に交換可能に設置する。

すなわち、まず一枚の鋼板の帯部Ｂ４を外向
きに、すなわち防音カバー１の開口部１１側に
向ける。

そして短冊部Ｂ２の先端を防音カバー１の底
板１６に固定する。

次に相対向する側の鋼板を、その切り込み部
Ｂ１と短冊部Ｂ２とが相互に噛み合う状態で挿
入しその先端を防音カバー１の底板１６に取り
付ける。

こうして二枚の櫛型の鋼板は、交互に切り込
み部Ｂ１と短冊部Ｂ２とを噛み合わせて断面Ｘ
字状に組みつけられる。

このとき一方の短冊部Ｂ２を、他方の切り込
み部Ｂ１に完全に組み込むのではなく、ある程
度の間隙を持たせてその間隔を窓部Ｂ３とす
る。

〈作動〉 防音カバー１の開口部１１から、防音カバー１
内に直線状に噴射したジエツト流は、櫛型の減衰
材Ｂの二枚の交差部の各短冊部Ｂ２に直接衝突す
る。

各短冊部Ｂ２は互いに斜めに交差しているの
で、ジエツト流は短冊部Ｂ２にそつて斜めに窓部
Ｂ３から底板１６に飛び込む。

そのジエツト流に新たなジエツト流が衝突して
相互にエネルギーを消耗する。

こうしてジエツト流は防音カバー１内で乱反射
を繰り返し、ジエツト流の切断能力は瞬時に減衰
し、その音もまた低減する。

なお櫛型の鋼板を複数枚使用して適宜の間隔を
持たせてかさねて設置することにより、ジエツト
流の乱反射や飛散をさらに繰り返させ、ジエツト
流の減衰をより効果的に行うことができる。

〈本発明の効果〉 本発明は上記のような構造であるから、次のよ
うな効果を達成することができる。

〈イ〉 防音カバー内に、ジエツト流を乱反射さ
せる減衰材を配置してある。

したがつて切断終了後にもまだ切断能力を有
し、高速による高周波音を発生するジエツト流
の速度を急激に低下させ、高周波による騒音を
低減させることができる。

〈ロ〉 減衰材は防音カバーの内部に交換可能に
取り付けてある。

したがつて磨耗や損傷が生じても新しい減衰
材と逐次交換することができ、防音カバーによ
る防護機能を長く維持させることができる。

〈ハ〉 切断能力を有するジエツト流は、裏面に
近い位置でその速度が急激に減衰し、防音カバ
ーの底面には到達しない。

そのために防音カバーは十分な耐久性を具備
することになる。

〈ニ〉 減衰材が被切断物の裏面と防音カバーの
底面との間にあるので、防音カバーの深さを浅
くすることができ、防音装置自体を小型化する
ことができる。

したがつて足場の悪い切断現場においても、
簡単に防音カバーの移動を行うことができ、迅
速な作業が可能である。

〈ホ〉 防音カバーは切断の際の研摩材等の飛散
を防止する効果も有する。

【図面の簡単な説明】

第１図：本発明の防音方法に使用する防音カバ
ーの実施例の説明図、第２図：使用状態の説明
図、第３図：従来の方法の説明図。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 一面のみを開口した防音カバーの開口部を、
   被切断物の裏側に密着させて取り付け、 この防音カバー内に、 少なくとも二枚の櫛型の板を交差させてかつ交
   換可能に収納し、 減衰材が被切断物の裏面側に貫通したウオータ
   ジエツトを減衰して消音をすると共に、 防音カバーで遮音することを特徴とする、 ウオータジエツト切断の防音方法。