JPH0226882Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はダブルラツセル機を使用して編成され
縫製作業を必要としないで作られる、例えば、パ
ンテイ、水着着用時のサポーターなどの如きパン
テイ型下着に関するものである。

（従来の技術） この種のパンテイ型下着に関し、従来よりダブ
ルラツセル機を使用し、ウエール方向がパンテイ
の着用方向と直角方向になるように前身頃と、後
身頃を夫々前筬と後筬の何れか一方にポリウレタ
ン弾性糸の如き伸縮度の強い糸を用いて同時に編
成し、股下部および両脇部で編み閉じてこれをウ
エール方向に連続して編成し、両脇部中心線に沿
つて裁断し、裏返しにして作成することが広く実
施されており、その製品も多く市場に出廻つてい
る。

ところで、従来、作られているこの種製品は始
め編成技術より前身頃と後身頃の丈が同じであつ
たが、その後において着用する身体の線を考慮し
て伸縮差により後身頃の丈を前身頃の丈より長く
した形状のものが開発され、実公昭53−4807号な
どによつて提案されている。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、上記の各製品は何れも前身頃、
後身頃共に中央部と両側部の編組織は同様となつ
ており、従つて、着用に際し、弾性糸が伸張して
中央部付近の生地が薄くなる傾向を免れず、特に
編み上がり後の伸縮度の差により後身頃の丈を大
きくしたパンテイ型下着にあつては前身頃側の糸
が大きく振られているために股部付近が伸張と共
により薄くなり、透けて見える不安感を拭い切れ
ないという問題を含んでいる。

本考案は、かかる問題に着目し、その改良を図
ると共に、更に前身頃と後身頃における中央部と
両側部の長さに注目し、これが穿き易さに与える
影響を検討してより一層、下着としての機能性、
着用具合を改善することを目的とするものであ
る。

（問題点を解決するための手段） 即ち、上記目的に適合し、その問題点を解決す
る本考案の特徴は、前記ダブルラツセル機を用い
てウエール方向がパンテイの着用方向と直角方向
になるように前身頃と後身頃を前筬と後筬の何れ
か一方に伸縮度の強い弾性糸を用いて同時に編成
し、股下部および両脇部で編み閉じてこれをウエ
ール方向に連続して形成し、両脇部中心線に沿つ
て裁断形成したパンテイ型下着において、第４図
の編成態様に示す如く前身頃と後身頃を夫々中央
部Ａ，A′と両側部Ｂ，Ｃ、B′，C′に区分し、
夫々の中央部Ａ，A′の長さをL₂，l₂また夫々の両
側部Ｂ，Ｃ及びＢ，Ｃの長さをL₁，L₃及びl₁，l₃
とするとき、L₂＜l₂，L₁，L₃＞l₁，l₃となる如く
形成したこと、そして、前記前身頃、後身頃の両
者における弾性糸の振り幅を夫々中央部に比較し
両側部を大きくしたこと、又、両者共、中央部に
は更に中筬により別糸を編み込み編成したことの
各構成にある。

又、更に前身頃の両側部と後身頃の両側部とに
おいて、前者における弾性糸の振り幅を後者にお
けるそれより大きくし、前絞りをより高めること
は本考案の前記構成もより効果的ならしめる好ま
しい構成である。

（作用） 本考案は上記の如き構成により前身頃、後身頃
共に両側部が中央部よりくり上がり、脚の付け根
あたりのくり上がりがなくなると共に、前身頃と
後身頃の中央部の長さ、両側部の長さを異ならし
めているため前身頃では両側が大きくくり上が
り、一方、後身頃では大きく成型されよりパンテ
イ型となつて体型によくフイツトし、着用の便利
と共に臀部のずり落ちの不安を解消する。

また、中央部には更に別糸が付加されているこ
とから、股部、臀部の透けて見える不安感も解消
される。

（実施例） 以下、更に添付図面を参照し、本考案の実施例
を説明する。

第１図は本考案に係るパンテイ型下着の編成生
地を示す平面図、第２図は裁断後の製品態様を示
す斜視図、第３図は裏返し完成品とした斜視図で
あり、本考案下着の上記編成生地は２重針列を有
するダブルラツセル機を用い、ウエール方向がパ
ンテイの着用方向を直角方向になるようにして、
前身頃１と後身頃２は個々に独立して編み閉じら
れることなく、そして股下部４及び両脇部３，３
の部分で互いに編み閉じて１枚に編成し、これを
ウエール方向に連続して形成している。

そして、その編成生地をその両脇部３，３の中
心線Ｘ−Ｘ、Ｙ−Ｙに沿つて裁断することによつ
て、第２図に示す１個の下着生地に分離され、こ
れを裏返すことによつて、第３図の製品として完
成される。

なお、図中、５はベルト部、６は脚継ぎ部であ
り、前者は通常、伸縮度の強い、例えばスパンデ
ツクスの如き弾性糸をナイロン、ポリエステル糸
などの通常糸と併用し、又、後者は弾性糸を用い
て何れも上記の編成と同時に編成される。

本考案パンテイ型下着は上記の如き構成におい
て、特に前身頃１と後身頃２の編成組織を含む相
互の構成に重要な特徴を有し、先ず第１に前身頃
１、後身頃２が夫々中央部Ａ，A′と両側部Ｂ，
Ｃ、B′，C′に区分形成されており、前身頃１の中
央部Ａと後身頃２の中央部A′の長さ及び前身頃
両側部Ｂ，Ｃと後身頃両側部B′，C′の長さに相異
を有している。

即ち、前身頃１の中央部Ａの長さをL₂、両側
部Ｂ，Ｃの長さをL₁，L₃とし、一方、後身頃２
の中央部Ａの長さをl₂、両側部B′，C′の長さをl₁，
l₃とするとき、L₂＜l₂，L₁＞l₁，L₃＞l₃となつてい
る。

そして、この区画形成と共にその編成組織も異
なり、前身頃１、後身頃２の夫々の機能に対応し
た組織が採り入れられている。

第４図はその詳細図であり、前身頃１、後身頃
２共に、前筬、中筬、後筬が用いられ、前筬には
伸縮度の強いポリウルタン糸の如き弾性糸が、又
後筬及び中筬には綿糸が夫々かけられて編成が行
われ、このうち、中筬の綿糸については前身頃、
後身頃の各中央部Ａ，Ａのみ夫々鎖編と開き目シ
ングルデンビー組織をもつて編み込まれている
が、両側部Ｂ，Ｃ、B′，C′を含むその他の部にお
いては浮き糸状態となつている。

以下、前身頃１、後身頃２の各部の組織につい
て更に詳述する。

先ず、両者身頃の中央部Ａ，A′においては、
前述の如く前筬に弾性糸、中筬及び後筬に夫々綿
糸が使用されて編成され、前身頃１においては弾
性糸で閉じ目プレンコード組織、中筬綿糸で鎖
編、後筬綿糸で開き目シングルデンビー組織の編
成が行われる一方、後身頃２においては弾性糸で
閉じ目シングルデンビー組織、中筬綿糸で開き目
シングルデンビー組織、後筬綿糸で開き目プレン
コード組織によつて編成されている。

そして、この場合、特に重要なことは前身頃１
における弾性糸の１コース毎に移動する針列数、
即ち振り幅が後身頃２におけるそれよりも大きい
ことである。

そのため、前身頃と後身頃の各中央部Ａ，
A′においては中筬によく綿糸の編み込みによつ
て生地の厚地が増すことは勿論であるが、更に区
画の大きさと共に後身頃は大きくなつて体型によ
くフイツトし、同時に臀部のずり落ちを支え、不
安が解消される。

次に、前身頃１と後身頃２の各両側部であるが
前身頃側において後身頃側より長く形成されてい
ることは前述の通りであるが、前筬は弾性糸によ
り閉じ目をもつて４個の針列を移動して編成さ
れ、一方、後筬は綿糸により鎖編組織をもつて編
成されている。

これに対し、後身頃側においては前筬で閉じ目
プレンコード組織、後筬で鎖編組織となつてい
る。

即ち、前身頃１において、前筬における弾性糸
は後身頃２におけるよりは移動する針列数、即ち
振り幅が大きくなつており、従つて長さL₁，L₃
が後身頃の両側部の長さl₁，l₃より長いことと相
俟つて前身頃１の両側部が大きくくり上がること
になり、着用上、頗る好適である。

しかも、更に注目すべきことはこの両側部Ｂ，
Ｃ、B′，C′における前筬の弾性糸の振り幅が何れ
も中央部Ａ，A′における振り幅より大きいこと
であり、前記のくり上がりを助長し、脚の付け根
あたりのめくり上がりの阻止に有効に形成されて
いる。

なお、ベルト部５及び脚継ぎ６における各組織
は前身頃、後身頃共に特に大きな変化はなく、ポ
リウレタン弾性糸を使用し同様な編成が適用され
るが、股下部４における編み閉じ部においては、
編み閉じの必要から一部変化させられている。し
かし、これらは従来のパンテイにおいても略同様
である。

又、上記説明においては弾性糸としてポリウレ
タン糸を例示し、他の糸として綿糸を例示してい
るが、これらの糸は別段、上記のものに限らず、
前者は伸縮度に強い糸であればコイル状捲縮加工
糸なども使用可能であり、後者は麻その他の天然
繊維や合成繊維糸も使用可能である。

更に、第４図に示す組織では内側綿パイルとな
るが、前筬と後筬の組織と素材を入れ替え外側綿
パイルとすることも本考案の含むところであり、
このようにすれば表面の風合をよくすることがで
きる。

叙上のような組織をもつて編成され、作成され
た本考案パンテイ型下着においては、前後両身頃
以外において浮き糸となつている中筬による糸は
適宜、鋏によつて切り取り仕上げられる。

かくして、作成されたパンテイ型下着はシヨー
ツ、あるいは水着等に併用してサポーターに使用
される外、パンテイ型形状の種々の下着に用い好
適である。

（考案の効果） 本考案は以上の如く一連に編成し裁断形成する
パンテイ型下着において特に後身頃中央部の長さ
を後身頃中央部の長さより短くし、後身頃中央部
の長さを長くすると共に伸縮度の強い弾性糸を使
つて前後両身頃共、中央部より両側部の振り幅を
大きくしたものであるから、脇丈がより短く構成
が可能であり、特に前身頃の両側部を大きくし、
くり上げたことにより、脚の付け根あたりのめく
り上がりがなくなり、着用がきわめて容易となる
と共に、後身頃側中央部を大きくし、弾性糸の使
用と共に後身頃を大きく形成したことにより、従
来より懸念されていた臀部のずり落ちの不安は全
くなくなり、より体型にフイツトしたパンテイ型
下着を得ることができる。

又、本考案は経編ラツシエル機で編成するた
め、通常の場合では大きく成型した身頃中央部付
近は生地が薄くなるが、別糸を加えていることに
より該部分は厚くなり、股部、臀部の透けて見え
る不安感もなくなり、下着としての機能性を充実
し、従来のパンテイ型下着の商品価値を一段と向
上するすぐれた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るパンテイ型下着の編成生
地を示す平面図、第２図は同生地より分割した製
品を拡大した斜視図、第３図は裏返し完成した本
考案パンテイ型下着の１例に係る斜視図、第４図
は同下着各部の編組織の１例を示す組織説明図で
ある。 １……前身頃、２……後身頃、３……脇部、４
……股下部、Ａ，A′……身頃中央部、Ｂ，Ｃ…
…前身頃両側部、B′，C′……後身頃両側部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ ダブルラツセル機を用いて、ウエール方向が
   パンテイの着用方向と直角方向になるように前
   身頃と後身頃とを前筬と後筬の何れか一方に伸
   縮度の強い弾性糸を用いて同時に編成し、股下
   部及び両脇部で編み閉じてこれをウエール方向
   に連続して形成し、両脇部中心線に沿つて裁断
   形成してなるパンテイ型下着において、前記前
   身頃と後身頃を夫々中央部と両側部に区分し、
   夫々の中央部の長さをL₂，l₂、夫々の両側部の
   長さをL₁，L₃及びl₁，l₃とするとき、L₂＜l₂，
   L₁，L₃＞l₁，l₃となる如く形成すると共に、前
   記両身頃における弾性糸の振り幅を中央部に比
   し両側部を大きく、かつ、中央部には更に中筬
   により別糸を編み込んで編成してなることを特
   徴とするパンテイ型下着。 ２ 前身頃の両側部における弾性糸の振り幅が後
   身頃におけるそれより大である実用新案登録請
   求の範囲第１項記載のパンテイ型下着。