JPH0226690B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、ガス焚ガスタービンにおける直接式
ガス膨張冷却器に関するものである。

従来、ガスを燃料とするガスタービンにおい
て、緊急停止などの場合には、(イ)高圧、高温の燃
料ガスを大気へ放散する方法、(ロ)フレアスタツフ
等で燃焼させる方法、(ハ)減圧装置、減温装置を備
えて系内に戻す方法等がある。

しかし、これらの方法には次の欠点がある。

(イ) 大気へ放散する方法 毒性ガスの場合には、大気汚染の観点から放
散可能区域が限られたり、放散にあたつて防爆
および騒音に対する配慮が必要であり、これら
に対して対策をするのには多額の費用を要して
おり、また、エネルギーの大きな損失でもあ
る。

(ロ) フレアスタツク等で燃焼させる方法。

放散に伴つて排出されるガスを燃焼させるた
めには、何時非常停止が発生するかも知れない
ので、トーチバーナ等で受け入れ準備を整えて
いなければならず、このための燃料代の損失が
大きい。また、緊急停止に伴つてフレアスタツ
クの準備を緊急に整えるについては、信頼性の
高い装置が得られないのが現状である。また、
騒音に対して配慮しなければならないのは上記
と同様である。

(ハ) 減圧装置、減温装置を備え系内に戻す方法 減温装置としてクーラ（間接水冷式）を用い
ることが多く、大量放散にあたつては、クーラ
の容量が大きくなるし、大量の水を循環させ待
機させなければならない。この方式のクーラで
は耐圧容器としての取扱いが必要であり、また
クーラチユーブ管部の腐食および汚れによる性
能低下も懸念され、メインテナンスが大変であ
る。このクーラ方式の際はドレン回収用として
密閉式シールポツトが必要である。

本発明は、上記従来方式の不具合を解消するこ
とを目的とするもので、高温、高圧のガスを小量
の水によつて冷却がなされ、同時に十分な減圧が
でき、かつ、簡素な構成によつて系内に戻すこと
ができれば、安全性が増すとともに燃料エネルギ
の損失を抑制でき、さらには設備コスト、ランニ
ングコスト面で非常にメリツトがある。

本発明は、 (ア) 減圧多孔板オリフイスによる減圧機能と、直
接水スプレーによる減温機能をコンパクトにま
とめる。

(イ) 緊急大量ガス回収に対して水の蒸発潜熱を有
効に活性できるので、冷却水が少量で済む。

(ウ) 減圧多孔板オリフイスによる減圧機能部分を
ほぼ常圧の減温水スプレー部で包むので減音
（騒音対策として）対策上有利である。

(エ) 減圧、減音された後のガスを外衣で包むの
で、外衣を圧力容器としなくともすむ（圧力容
器胴不要）。

(オ) ガス冷却用の噴霧水は、非常停止時の減温に
最小限必要な容量を持つヘツドタンクを介して
供給されるので、冷却水ポンプが万一停止して
も、停止の検知とともにガスタービンを停止さ
せれば安全に停止させることができ、信頼性が
極めて高い。

ことなどを新規な点とするもので、現在まで、
減圧機能と減温スプレーとをこの様に組合せたも
のはかつてなかつたものである。

本発明の冷却器は、液体噴霧による蒸発熱を利
用できる高温、高圧のガス体であつて、その減
圧、減音、減温が必要な製品、化学プロセス分
野、および高炉ガス焚ガスタービン燃料回収装置
に応用可能である。

以下、本発明の実施例につき添付図面を参照し
て詳述する。

添付図面において、ガス供給口１より高温、高
圧のガス（100％飽和ではない）が供給され、減
圧多孔板オリフイス２に導入され、多孔板オリフ
イス２での臨界膨張により減圧される。減圧され
た燃料ガスは系内上部３で反転し、冷却ノズル４
の部分で冷却水（霧状噴霧）の帯状部をつき抜け
ることにより、直接水に接触し、微小水滴蒸発の
際の気化熱により冷却される。

燃料ガスは上部３から冷却ノズル４の方に冷却
されながら流れ、オーバフロー水に当つてさらに
デミスタ６の方向に向つてデイフユーザー１０の
下部５で反転する。

蒸発しきれなかつた水は、オーバフロー管７よ
り排水される。水面にあたつて反転したガスは、
デミスタ６により更にミストを除去された後、出
口８から別の系統内へ回収される。

上記冷却水は上部のヘツドタンク９を通して供
給される。このヘツドタンク９は緊急時のガス放
散に対して最小限の容量を有している。

本発明を要約すれば、ガスを燃料とするガスタ
ービンにおいて、緊急停止などの場合に、圧縮さ
れた高温、高圧ガス燃料を簡素な構成の一体構造
体の中で膨張、減圧させると共に直接スプレー水
によつて潜熱、顕熱を利用した冷却部（直接式冷
却器）を経て供給母管へ循環界収させるもので、
従来ではこのような場合、一つの方法として放散
管より大気へ放出していたが、これには汚染、危
険性、騒音、エネルギ損失などの欠点があつた
が、これ等を軽減するためには多額の設備費用を
要し、他の方法として弁またはオリフイスを用い
る減圧装置とシエルアンドチユービ式冷却器（間
接式冷却器）があるが、これには耐圧容器を必要
とすること、管群の腐食や汚れによる性能低下な
らびに多量の冷却水を必要とするなどの製造コス
ト、ランニングコスト面での欠点があつたが、こ
れ等の欠点を解消または改善した直接式ガス膨張
冷却器である。

【図面の簡単な説明】

添付図面は本発明に係る冷却器の構成を示す断
面図である。 １……ガス供給口、２……減圧多孔板オリフイ
ス、３……器内上部、４……冷却ノズル、５……
下部（デイフユーザーの）、６……デミスタ、７
……オーバフロー管、８……出口、９……ヘツド
タンク、１０……デイフユーザー。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 冷却器内ガス流路に単数もしくは複数の多孔
   板オリフイスを設け、さらにそのガス下流側に冷
   却水を霧状に噴出する冷却ノズルを配設し、上記
   多孔板オリフイスで臨界膨張によりガスを減圧す
   るとともに、さらに該ガスが上記噴霧冷却水を通
   つて冷却されることを特徴とするガスタービンの
   ガス膨張冷却器。