JPH0226686B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は、例えば自動車のエンジン排気系に
介設して用いるエンジンの排気系用ガスケツト構
造に関する。

（従来技術） 従来、例えば実開昭54−107725号公報に記載の
如く、エンジンの排気系構成部品のフランジ間
に、排気ガス漏出防止のために石綿および銅など
からなるガスケツトを挟持して締結したガスケツ
ト構造は既に知られている。

このガスケツトは第４図に示す如く、上流側排
気管４１のフランジ４２と、下流側排気管４３の
フランジ４４との間にガスケツト４５を介設し、
ボルトおよびナツトからなる締付部材４６で、上
述の両フランジ４２，４４接合面にガスケツト４
５を一定量弾性変形させて締結している。

しかし、エンジンから吐出される高温（600℃
前後）の排気ガスが、上述の排気管４１，４３内
を通過するため、フランジ４２，４４の合せ面が
熱膨張により第４図に示す如く熱変形して、これ
ら両フランジ４２，４４の合せ面相互間に〓間４
７が生じ、この部分から排気ガスが排気管４１，
４３外へ漏出する問題点があり、加えて、エンジ
ンの駆動、停止の繰返しにより上述のフランジ４
２，４４は熱膨張、収縮を繰返すので、前述の締
付部材４６の弛みや脱落が生ずる問題点を有して
いた。

（発明の目的） この発明は、フランジ合せ面シール性の向上を
図り、排気ガスの漏出を防止することができ、加
えてフランジ締結用のボルト、ナツト等の弛みや
脱落を阻止することができ、しかも、締結時に熱
膨張部材に締付け応力を作用させて、締結時の面
圧を確保することができ、さらに別途スペーサを
設けることなくボルトの締めすぎを規制すること
ができるエンジンの排気系用ガスケツト構造の提
供を目的とする。

（発明の構成） この発明は、エンジンの排気系構成部品のフラ
ンジ間に挟持してボルト締結されるフランジ構造
であつて、上記フランジの合せ面にほぼ平行な少
なくとも２枚の金属薄板で被覆された耐熱繊維と
加熱により熱膨張して塑性変形をおこす熱膨張物
質からなる熱膨張部材が、前記フランジ間にボル
ト締結され、ボルト貫通孔と対応する少なくとも
一方の金属薄板にはその孔縁に沿つて直角に折曲
げた円筒部を形成し、上記円筒部の先端部と他方
の金属薄板との間には締結前において締結方向に
間〓を形成し、上記円筒部を締結時のストツパと
なしたエンジンの排気系用ガスケツト構造である
ことを特徴とする。

（発明の効果） この発明によれば、フランジ間に熱膨張部材を
介設しているので、排気系を通過する高温の排気
ガスによつてフランジ合せ面が熱変形しても、こ
の変形に追従して上述の熱膨張部材が２枚の金属
薄板内で膨張し塑性変形するため、両フランジの
合せ面相互間には何等〓間が形成されない。した
がつて、フランジ合せ面のシール性の向上を図る
ことができ、排気ガスの漏出を防止することがで
きる効果がある。

加えて、上述の熱膨張部材は一旦塑性変形する
と、収縮して元に戻ることがほとんどないので、
フランジ締結用のボルト、ナツト等の弛みや脱落
を阻止することができ、さらに熱膨張部材を２枚
の金属薄板で被覆しているので耐久性もよい効果
がある。

しかも、上述の円筒部の先端部と他方の金属薄
板との間には締結前において締結方向に間〓を形
成したので、この間〓が減少乃至零となるまでボ
ルト締結することにより、締結時に上述の熱膨張
部材に締付け応力を作用させることができ、この
結果、締結時の面圧を確保することができる効果
がある。

さらに、上述の円筒部を締結時のストツパとな
したので、フランジ間にガスケツトを締結して上
述の間〓を零となした時、この円筒部の先端がフ
ランジ面に当接してそれ以上の締めすぎを阻止す
ることができるので、スペーサ等の別部材を何等
必要とすることなく、ガスケツトのつぶれ防止を
図ることができる効果がある。

（実施例） この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述
する。

図面はエンジンの排気系用ガスケツト構造に示
し、第１図において、１はエンジンの排気ポート
に連通させた排気マニホールド、２は排気ガス中
に含まれる有害物質を除去するための触媒コンバ
ータ、３はマフラ接続パイプで、上述の排気マニ
ホールド１、触媒コンバータ２、マフラ接続パイ
プ３の管端部にはフランジ４……を一体的に設
け、これら各フランジ４，４間にガスケツト５を
挟持し、ボルトおよびナツトからなる締付部材６
で、該ガスケツト５を両フランジ４，４間に締結
している。

このガスケツト５は、第２図および第３図に示
す如く、上述のフランジ４の合せ面にほぼ平行な
２枚の金属薄板７，８で熱膨張部材９を被覆して
形成している。

ここで、熱膨張部材９は、耐熱繊維としてのセ
ラミツク短繊維と、ひる石、マイカ等の熱膨張物
質とを混合した部材で、加熱により膨張して塑性
変形し、冷却しても体積変化のほとんどない部材
である。

このような熱膨張部材９を２枚の金属薄板７，
８で被覆して形成したガスケツト５の中央には、
排気ガス流通孔１０を、また上下両端部にはボル
ト貫通孔１１，１１をそれぞれ形成している。

そして、該ボルト貫通孔１１，１１と対応する
一方の金属薄板７には、その孔縁に沿つて直角に
折曲げた円筒部７ａを形成し、他方の金属薄板８
にはボルト貫通孔１１と対応し、上述の円筒部７
ａより若干大きい透孔８ａを穿設している。

上述の円筒部７ａの先端部と他他方の金属薄板
８との間には、締結前において締結方向に間〓を
形成し、この円筒部７ａを締付時のストツパとな
している。

また排気ガス流通孔１０と対応する他方の金属
薄板８には、その孔縁に沿つて直角に折曲げた円
筒部８ｂと、この円筒部８ｂからさらに周方向外
方へ向けて直角に折曲げたリング状の外鍔部８ｃ
を形成している。

さらに上述の排気ガス流通孔１０と対応する一
方の金属薄板７には、上述の外鍔部８ｃの外端縁
と対向する位置から断面逆Ｌ字状に折曲げたリン
グ状の内鍔部７ｂを形成し、この内鍔部７ｂを上
述の外鍔部８ｃにおける熱膨張部材９配設側の面
に内接させると共に、２枚の金属薄板７，８間に
は、ガスケツト５締結前において締結方向（第３
図の左右方向）の外側面とフランジ当接面との間
に段差１３を形成している。

このように構成したガスケツト５を、第１図の
フランジ４，４間に介設して、ボルトおよびナツ
トからなる締付部材６で締付けると、金属薄板８
の円筒部８ｂには締付け応力は作用せず２枚の金
属薄板７，８を介して熱膨張部材９に締付け応力
が作用するので、該熱膨張部材９がやや偏平にな
り、締結時の面圧を確保することができて、上述
の間〓および段差１３がなくなると共に、内鍔部
７ｂと外鍔部８ｃとの間に締結前の段差１３に相
当する若干の〓間が形成される。

また、上述の間〓を零にした時、円筒部７ａの
先端がフランジ面に当接して、それ以上の締めす
ぎを阻止することができるので、別途スペーサを
必要とすることなく、ガスケツト５のつぶれ防止
を図ることができる。

そして、エンジンの駆動に際して、同エンジン
からの排気ガスが排気マニホールド１、触媒コン
バータ２およびマフラ接続パイプ３をこの順に通
過すると、フランジ４および金属薄板７，８を介
して排気ガスの熱が熱膨張部材９に伝熱される。

このため、熱膨張部材９は熱膨張して、まず上
述の〓間を完全に閉塞し、さらに排気系を通過す
る高温の排気ガスによつてフランジ４の合せ面が
熱変形しても、この変形に追従して上述の熱膨張
部材９が膨張するため、一対のフランジ４，４の
合せ面相互間は熱膨張（塑性変形）した熱膨張部
材９とそれを覆う２枚の金属薄板７，８とで完全
に閉塞されるので、フランジ４，４の合せ面相互
間に従来の如き〓間が形成されることはなく、こ
の結果、フランジ合せ面のシール性の向上を図る
ことができて、、排気ガスの漏出を防止すること
ができる効果がある。

加えて、上述の熱膨張部材９は一旦熱膨張して
塑性変形すると、収縮して元に戻ることがほとん
どないので、フランジ締結用のボルト、ナツトな
どの締結部材６の弛みや脱落を防止することがで
きる。

さらに、熱膨張部材９を金属薄板７，８で被覆
しているので、該熱膨張部材９はその熱膨張初期
をのぞいて排気ガスにさらされることはなく、し
たがつて耐久性もよい。

しかも、上述の円筒部７ａの先端部と他方の金
属薄板８との間には締結前において締結方向に間
〓を形成したので、この間〓が減少乃至零となる
までボルト締結することにより、締結時に上述の
熱膨張部材９に締付け応力を作用させることがで
き、この結果、締結時の面圧を確保することがで
きる効果がある。

さらに、上述の円筒部７ａを締結時のストツパ
となしたので、フランジ４，４間にガスケツト５
を締結して上述の間〓を零となした時、この円筒
部７ａの先端がフランジ面に当接してそれ以上の
締めすぎを阻止することができるので、スペーサ
等の別部材を何等必要とすることなく、ガスケツ
ト５のつぶれ防止を図ることができる効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

図面はこの発明の一実施例を示し、第１図はエ
ンジンの排気系用ガスケツト構造の外観図、第２
図はガスケツトの正面図、第３図は第２図の−
線に沿う要部拡大断面図、第４図は従来のガス
ケツト構造を示す側面図である。 ４……フランジ、５……ガスケツト、７，８…
…金属薄板、７ａ……円筒部、９……熱膨張部
材、１１……ボルト貫通孔。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ エンジンの排気系構成部品のフランジ間に挟
   持してボルト締結されるガスケツト構造であつ
   て、 上記フランジの合せ面にほぼ平行な少なくとも
   ２枚の金属薄板で被覆された耐熱繊維と加熱によ
   り熱膨張して塑性変形をおこす熱膨張物質からな
   る熱膨張部材が、前記フランジ間にボルト締結さ
   れ、 ボルト貫通孔と対応する少なくとも一方の金属
   薄板にはその孔縁に沿つて直角に折曲げた円筒部
   を形成し、 上記円筒部の先端部と他方の金属薄板との間に
   は締結前において締結方向に間〓を形成し、 上記円筒部を締結時のストツパとなしたエンジ
   ンの排気系用ガスケツト構造。