JPH0225928Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、アンカーボルトの先端部に形成さ
れたねじ部を保護する筒状のキヤツに関する。

（従来の技術） 従来、プレハブ住宅の家屋ユニツト等の構造物
は、基礎の上面から突出したアンカーボルトに固
定される。すなわち、構造物を基礎に位置決めし
て載せるとともに、アンカーボルトの先端部に形
成したねじ部を上記構造物に形成した取付孔に挿
入して据え付け、上記ねじ部にナツトを螺合して
締め付けることにより構造物を固定している。し
かし、上記取付孔はアンカーボルトより若干大き
く形成されていて、両者の間に小さな余裕しかな
いため、上記据え付けの際に、取付孔の縁部がア
ンカーボルトのねじ部に当たつてねじ部のねじ山
を潰す欠点があつた。

本出願人は、上記欠点を解消するために、実公
昭55−47962号公報に示すようなアンカーボルト
保護用のキヤツプを開発している。この公報に示
すキヤツプは、内径がアンカーボルトのねじ部の
最大外径より若干小さい筒状になつており、その
中途部から下端部にかけて切り込み部が形成され
ている。そして、構造物を基礎に据え付けるとき
に、キヤツプをアンカーボルトのねじ部に被せて
ねじ部のねじ山を保護することにより、その損傷
を防止している。また、据え付け後は、上記ねじ
部からキヤツプを取り外してナツトを螺合させ
る。

（考案が解決しようとする問題点） しかし、基礎上面から突出するアンカーボルト
のねじ部の長さが場所によりそれぞれ異なるた
め、各ねじ部に合つた長さのキヤツプを多種類用
意しなければならなかつた。また、構造物の取付
孔の内縁がアンカーボルトに片当たりして、キヤ
ツプがこれらの間に挟まれた場合には、構造物の
重量が大きく、構造物を簡単に移動することがで
きないため、キヤツプの取り外しが難しく、さら
に改良の余地があつた。

（問題点を解決するための手段） この考案は上記問題点を解消するためになされ
たもので、その要旨は、アンカーボルトの先端部
に形成されたねじ部を保護する筒状のキヤツプに
おいて、周壁の上端から内方に環状のフランジが
張り出し、フランジに複数の切り欠き部が形成さ
れ、該切り欠き部から周壁の長手方向に延びるＶ
溝が形成されるとともに、フランジおよび周壁の
長手方向の全長に延びる切り込み部と、周方向に
延びて上記切り込み部と交わる溝とが、それぞれ
形成されていることを特徴とするアンカーボルト
保護用のキヤツプにある。

（作用） 基礎等の上面に突出したアンカーボルトのねじ
部の長さよりもキヤツプが長い場合には、周方向
に形成された溝に沿つて下部をちぎり取り、その
長さを調整する。このキヤツプをアンカーボルト
のねじ部に被せてねじ部のねじ山を保護する。こ
の状態か物を基礎等に据え付け、キヤツプの下端
部が構造物の取付孔とアンカーボルトの間に挟ま
つて抜き取ることができない場合には、Ｖ溝に沿
つてキヤツプを縦に分割しながら周方向の溝に沿
つてキヤツプをちぎり取り、ねじ部から外す。

（実施例） 以下、この考案の一実施例を第１図から第７図
までの図面に基づいて説明する。

第１，２図中符号１はキヤツプであり、後述す
るアンカーボルト１０の先端部に形成されたねじ
部１２を保護するためのものである。このキヤツ
プ１は、極薄の鋼板により円筒状になつており、
周壁５と、この周壁５の上端から内方に張り出し
た環状のフランジ２とを有している。周壁５の下
端部には、開口部３が形成されている。フランジ
２には、切り欠き部２ａが５個形成されている。

キヤツプ１の周壁５には、その全長に亘つて長
手方向に切り込み部４が形成されている。この切
り込み部４は、さらに上記フランジ２の内周縁ま
で延びている。また、ヤツプ１の周壁５の外面に
は、周壁５の全長に亘つて長手方向に延びるＶ溝
６が計５本形成されている。これらＶ溝６は、さ
らにフランジ２の切り欠き部２ａまで延びてい
る。

キヤツプ１の周壁５の内径は、上記アンカーボ
ルト１０のねじ部１２の最大外径より若干小径に
なつている。周壁５の内面には、周方向に延びて
上記切り込み部４に達８間の間隔は、後述する座
金１５の厚さと同じかこれより狭くなつている。
また、上記切り込み部４の側縁において上記Ｖ溝
８と交わる部分には、三角形の切り欠き部９がそ
れぞれ形成されている。

上述の構成のキヤツプ１は、第３図〜第７図に
示すように、プレハブ住宅の家屋ユニツト等の構
造物２０を基礎３０に据え付ける際に用いられ
る。なお、構造物２０は、一部のみ図示されてお
り、例えば、家屋ユニツトの四隅に配置された筒
状の柱の下端開口を閉塞する端板のみ図示する。

まず、上記基礎３０の上面３１に突出したアン
カーボルト１０のねじ部１２よりキヤツプ１が長
い場合には、手でその下部をＶ溝８に沿つてちぎ
り取り、上記ねじ部１２の突出長さと同程度かこ
れより若干短くなるように調整する。この時、三
角形の切り欠き部９により簡単に手で切り込むこ
とができる。

次に、第３図に示すように、キヤツプ１をアン
カーボルト１０のねじ部１２に被せる。この際、
フランジ２がアンカーボルト１０の端面１１に係
止されることにより、キヤツプ１の支持がなされ
る。そして、構造物２０をクレーン等で持ち上
げ、構造物２０に形成された取付孔２１をアンカ
ーボルト１０のねじ部１２に挿入する。この時、
第４図に示すように、構造物２０の取付孔２１の
内縁がアンカーボルト１０のねじ部１２に当たる
ことがあるが、このねじ部１２はキヤツプ１で被
われているため、ねじ部１２のねじ山が潰れるこ
とはない。

基礎３０の上面３１に構造物２０を据え付けた
後、キヤツプ１を上記アンカーボルト１０のねじ
部１２から抜き取る。第５図に示すように、構造
物２０の取付孔２１の内縁がアンカーボルト１０
のねじ部１２に片当たりし、これらの間にキヤツ
プ１の下端部が挟まつて抜き取ることができない
場合には、第６図に示すように、構造物２０の上
面２２に一番近いＶ溝８に沿つてキヤツプ１を手
でちぎり取つてアンカーボルト１０のねじ部１２
から外す。この時、長手方向のＶ溝６に沿つてキ
ヤツプ１を縦に分割しながら周方向のＶ溝８に沿
つてちぎり取れば、さらに簡単にキヤツプ１をア
ンカーボルト１０のねじ部１２から外すことがで
きる。

そして、第７図に示すように、アンカーボルト
１０のねじ部１２に座金１５を挿入し、さらにナ
ツト１６を螺合して締め付けることにより、構造
物２０を基礎３０に固定する。構造物２０の取付
孔２１とアンカーボルト１０のねじ部１２の隙間
は、残されたキヤツプ１の下端部１Ａにより埋め
られているため、構造物２０と基礎３０との間に
働く水平方向の剪断力に対して強度が向上する。

この考案は上記実施例に制約されず種々の態様
が可能である。例えば、キヤツプ１は鋼製に限ら
ず、樹脂製等にしてもよい。また、キヤツプ１の
上端部をテーパ状にして構造物２０の取付孔２１
のガイドとしてもよい。さらに、キヤツプ１の周
方向のＶ溝８は周壁５の内面に限らず、外面ある
いは両面に形成してもよい。

（考案の効果） 以上説明したように、この考案では、キヤツプ
の周方向に形成した溝に沿つて手で簡単にキヤツ
プの下部をちぎり取るようにしたことにより、基
礎等の上面に突出したアンカーボルトのねじ部の
長さに合うように、キヤツプの長さを自由に調整
することができる。また、構造物を基礎等に据え
付けた場合に、キヤツプの下端部が構造物の取付
孔とアンカーボルトとの間に挟まつても、Ｖ溝に
沿つてキヤツプを縦に分割しながら周方向の溝に
沿つてキヤツプをちぎり取つてねじ部から簡単に
外すことができる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示すものであり、
第１図はアンカーボルト保護用のキヤツプの斜視
図、第２図は第１図中−線に沿う断面図、第
３図はアンカーボルトの先端部にキヤツプを被せ
た状態を示す断面図、第４図、第５図はキヤツプ
を被せたアンカーボルトに構造物を据え付ける状
態を順を追つて示す断面図、第６図は構造物の上
面より突出したキヤツプを溝に沿つてちぎり取る
状態を示す斜視図、第７図はアンカーボルトの先
端部に螺合したナツトを締め付けて構造物を固定
した状態を示す断面図である。 １……キヤツプ、２……フランジ、２ａ……切
り欠き部、４……切り込み部、５……周壁、６…
…Ｖ溝、８……溝、１０……アンカーボルト、１
２……ねじ部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. アンカーボルトの先端部に形成されたねじ部を
   保護する筒状のキヤツプにおいて、周壁の上端か
   ら内方に環状のフランジが張り出し、フランジに
   複数の切り欠き部が形成され、該切り欠き部から
   周壁の長手方向に延びるＶ溝が形成されるととも
   に、フランジおよび周壁の長手方向の全長に延び
   る切り込み部と、周方向に延びて上記り込み部と
   交わる溝とが、それぞれ形成されていることを特
   徴とするアンカーボルト保護用のキヤツプ。