JPH0225831Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、Ｕ字溝の敷設装置に関するもので
ある。

［従来技術］ 排水溝などの敷設作業で使用される構築部材で
あるＵ字溝は、通常１トン近くの重量を有する
が、このＵ字溝には作業者が搬送するために掴む
保持部、また搬送機械で搬送するために保持する
保持部が特にＵ字溝自体に設けられていないた
め、従来では該Ｕ字溝の長手方向略中央位置に吊
上げ搬送用のロープを巻回し、このロープに前記
搬送機械のフツクを係止させて前記Ｕ字溝を搬送
するものとしていた。

そして、一般にＵ字溝は現場においては逆Ｕ字
状に寝かせた状態で高く積み上げられて置かれて
おり、この積み置き場から搬送機械で所定の敷設
箇所まで搬送するものとしていた。

しかしながら、１トン近く重量のあるＵ字溝の
搬送に際しては、前述のようにその長手方向略中
央位置にロープを巻回し、そのロープに搬送機械
のフツクを係止させて吊上げ、搬送するのである
が、逆Ｕ字状に吊上げなければならないため、自
らの荷重によりＵ字溝の側壁が内側におれ曲がつ
たり、場合によつては前記ロープが緩んでＵ字溝
から抜けて、吊上げたＵ字溝が落下してしまうと
いう恐れがあつた。

さらに、Ｕ字溝の敷設に際しては、現場に逆Ｕ
字状に寝かせておいてあるＵ字溝をＵ字状（表
側）に起こして敷設しなければならないが、１ト
ン近くあるＵ字溝を逆Ｕ字状からＵ字状へ（裏側
から表側へ）起す作業は極めて面倒で危険なもの
であつた。

また、たとえそのＵ字溝をＵ字状に起したとし
ても、特別に保持部を設けておらず、かつ重量の
あるＵ字溝を微調整しながら所定の敷設箇所に正
確に敷設することは極めて困難な作業であつた。

［考案の目的］ この考案は前記従来の問題点に鑑みて創案され
たものであり、現場等に逆Ｕ字状に寝かせておか
れたＵ字溝を破損することなく、かつ安全に、迅
速に敷設箇所まで搬送でき、さらにＵ字溝を簡単
に表側（Ｕ字状）に起せると共にＵ字溝を吊上げ
た状態で微調整しながら所定の敷設箇所に敷設で
き、もつて確実で迅速な敷設作業ができるＵ字溝
の敷設装置を提供することを目的とするものであ
る。

［考案の構成］ この考案によるＵ字溝の敷設装置は、 底壁と、該底壁の両側より各々垂直に立ち上が
る両側壁とよりなり、あらかじめ逆Ｕ字状に設置
されたＵ字溝と、 前記Ｕ字溝の両側壁長手方向略中間位置で、か
つ両側壁の上下方向中間よりやや先端側であつ
て、各々相対向する位置の両側壁内部に、穴の内
部が両側壁表面と略直角となつて水平方向に延出
し、かつその一端開口が前記両側壁表面に露出す
ると共に、他端は側壁内部で閉塞された一対の吊
上げ反転穴と、 該一対の吊上げ反転穴に差し込まれる一対の反
転棒と、 第１支持杆と第２支持杆とワイヤーロープ及び
被覆杆とからなり、第１支持杆には前記反転棒が
略直角に連結されており、第２支持杆は天秤棒に
略直角に取り付けられており、ワイヤーロープは
一端が前記第１支持杆に連結され、他端が前記第
２支持杆に連結されており、被覆杆は中空管形状
を有しており、前記第１支持杆と第２支持杆とを
接続するワイヤーロープを被覆し、前記第１支持
杆及び第２支持杆の外周面に摺動自在に接続され
てなる、一対の吊上げ部材と、 前記一対の第２支持杆間の距離を変更可能にし
て第２支持杆を垂下する天秤棒と、 各端部がそれぞれ前記第２支持杆上端に連結さ
れ、中間部をクレーン等のフツクに係止される吊
上げロープと、 を備えてなることを特徴とするものである。

［考案の実施例］ 以下本考案を図面に示す実施例に基づいて説明
する。

図面において符号１はＵ字溝を示し、該Ｕ字溝
１は底壁と、この底壁の両側より各々垂直に立ち
上がる両側壁２，２とにより構成されている。そ
してこのＵ字溝１は逆Ｕ字状にあらかじめ寝かさ
れて設置されている。

また、Ｕ字溝１の両側壁２，２の長手方向略中
間位置で、かつ両側壁２，２の上下方向中間より
やや先端側であつて、その両側壁２，２の各々相
対向する位置の側壁２の内部には、一対の吊上げ
反転穴３，３が形成されている。

該吊上げ反転穴３は、略円筒パイプ状の穴形成
部と、この穴形成部を側壁２内部に固定せしめる
アンカー部とを備えた吊上げ反転穴用補強具で形
成しても構わない。

しかして、この吊上げ反転穴３…は前述したよ
うにＵ字溝１の両側壁２，２の長手方向略中間で
あつて、かつ両側壁２，２の上下方向中間よりや
や先端側に各々穿設されることになる。

さらに、この吊上げ反転穴３の内部は両側壁
２，２の表面と略直角方向に、かつ水平方向に延
出するように穿設される。

また、その吊上げ反転穴３の一端開口は前記両
側壁２，２の表面に露出されると共に、その他端
は両側壁２，２内部で閉塞されて形成される。

図面において符号ＢはＵ字溝の敷設装置を示
す。

敷設装置Ｂは一対の反転棒６，６と反転棒６に
略直角に連結される一対の吊上げ部材４，４と、
吊上げ部材４，４を垂下する天秤棒５と、端部が
それぞれ吊上げ部材４上端に連結される吊上げロ
ープ７とからなる。

反転棒６，６はＵ字溝１の吊上げ反転穴３，３
に差し込まれる。

吊上げ部材４，４は第１支持杆８，８と第２支
持杆９，９とワイヤーロープ１０，１０及び被覆
杆１１，１１とから構成されている。

第１支持杆８，８、第２支持杆９，９はそれぞ
れ同一径の中空管状に形成されており、第１支持
杆８，８には反転棒６，６が略直角に連結されて
いる。また、第２支持杆９，９は天秤棒５の両側
位置に間隔調整自在に取り付けられており、天秤
棒５に対し略直角に垂下している。

ワイヤーロープ１０，１０は前記第１支持杆
８，８と第２支持杆９，９とを接続するものであ
り、一端は第１支持杆に連結され、他端は第２支
持杆に連結されている。

被覆杆１１，１１は中空管形状を有しており、
前記第１支持杆８，８と第２支持杆９，９とを接
続するワイヤーロープ１０，１０を被覆し、前記
第１支持杆８，８及び第２支持杆９，９の外周面
に摺動自在に取り付けられている。

従つて、吊上げ部材４，４は吊上げ時に直線状
の棒となり、また天秤棒５に間隔調整自在に取り
付けられることとなる。

吊上げロープ７は各吊上げ部材４を構成する第
２支持杆９の上端に取り付けられており、中間部
はクレーン等のフツクに係止される。このためＵ
字溝１を吊上げる際に全体のバランスを取ること
がきわめて容易であり、また天秤棒５に曲げモー
メント等の外力が生じないので、天秤棒５を小径
かつ軽量のものとすることが出来る。

ところで、Ｕ字溝１は現場等においてはすべて
逆Ｕ字状に、すなわち裏側にして数段に重ねて載
置されている。

これは、現場等においてなるべくスペースを取
らず、かつＵ字溝１を破損させずに複数のＵ字溝
１…を収納、貯蔵しておくためである。

しかし、そのことは逆にＵ字溝１の敷設作業に
おいて、該Ｕ字溝１をＵ字状に、すなわち表側に
表返す作業をしなければならないことを意味す
る。

そこで、予めＵ字溝１内に吊上げ反転穴３…を
前述の如く決められた位置に形成しておいて、そ
れをＵ字溝１の表返し作業、敷設作業に利用する
ものとする。

すなわち、Ｕ字溝１の両側壁２，２の長手方向
略中間位置で、かつ両側壁２，２の上下方向中間
位置よりやや先端側に各々形成された吊上げ反転
穴３，３に一対の反転棒６，６を差し込み、吊上
げロープ７にフツク等を係止し、敷設装置Ｂを搬
送機械で吊上げることにより、特に保持部のない
Ｕ字溝１であつても容易に搬送することが可能と
なつている。

この際、長尺のＵ字溝１には長手方向の略中間
位置で、かつ両側壁２，２の上下方向中間位置よ
りやや先端側に吊上げ反転穴３，３が設けられて
いるため、その吊上げ反転穴３，３を支点として
その長手方向側に180度ないし360度回転可能とな
つており、しかも吊上げた状態でＵ字溝１の一端
を軽く押すことにより逆Ｕ字状に寝かせた状態で
は吊上げ反転穴３，３を支点として、上部の方が
重くなつているため、この上部の重量が回転力に
作用して容易にＵ字溝１を回転（反転）させるこ
とができ、簡単にＵ字溝１を表側にする事ができ
るよようになつている。

なお、Ｕ字溝１を反転させるためには、支持部
材４の反転棒６の取付け位置から天秤棒５までの
長さが前記Ｕ字溝１の長さの略２分の１以上なけ
れば、反転の際にＵ字溝１の端部が天秤棒５に当
たつてしまい、反転できないものとなる。

該Ｕ字溝１を表側、すなわちＵ字状にした後
は、その状態で吊上げておき、搬送機械によつて
所定の敷設箇所まで搬送する。

ところで、所定の搬送箇所まで搬送した後は、
Ｕ字溝１とＵ字溝１との継ぎ目を正確に合わせな
ければならないなどＵ字溝１…の敷設箇所におい
てその敷設作業に微調整を要する。

従来では、複数の作業者が１トン近く重量のあ
るＵ字溝１を手作業で微調整移動させて敷設して
いたが、Ｕ字溝１がかなりの重量のため、なかな
か継ぎ目合わせなどの正確な微調整ができないも
のであつた。

しかして本考案では搬送機械などで反転棒６を
介してＵ字溝１を吊上げてあるので簡単に前記の
微調整をすることができるものとなる。

すなわち予め敷設してあるＵ字溝１の継ぎ目に
一致するように次のＵ字溝１を吊上げつつ位置決
めし、徐々にそのＵ字溝１を降下させていく。

そして正確に継ぎ目などが合うように敷設すべ
きＵ字溝１を吊上げ反転治具Ｂで吊上げてあるの
を、引き上げたり降下させながら最終的にＵ字溝
１を敷設箇所に設置するのである。

その後吊上げ反転穴３，３から一対の反転棒
６，６を引き抜けばそれでＵ字溝１の敷設作業が
完了するものとなる。

なお、Ｕ字溝１の側壁２に設けた吊上げ反転穴
３，３は貫通穴ではないため、敷設後、この箇所
から漏水する恐れはないものとなつている。

しかし、念のためこの吊上げ反転穴３をセメン
トペースト等で塞いでも構わない。

この際、吊上げ反転穴３，３を補強具で形成し
た場合には、その補強具はＵ字溝１内に埋設され
たままとなるが、その補強具はＵ字溝１などのコ
ンクリート製品の外部に露出していないため、そ
の箇所のコンクリート強度や耐久性が低下するこ
とはない。

［考案の効果］ かくして、本考案は以上の構成からなる。

そして、本考案によるＵ字溝の敷設装置であれ
ば、現場等に逆Ｕ字状に寝かせておかれたＵ字溝
などのンクリート製品を破損させることはなく、
かつ安全に、迅速にＵ字溝自らの重量を利用して
Ｕ字状（表側）に反転させることができる。さら
に表側にした状態で敷設箇所まで安全、迅速に搬
送でき、かつ正確迅速に微調整しながら所定の敷
設箇所に正確に継ぎ目などを合わせて敷設でき、
もつて確実で迅速な敷設作業ができるなどの効果
を奏するものとなる。

また吊上げロープの端部は、それぞれ吊上げ部
材を構成する第２支持管の上端に連結されてお
り、吊上げロープの中間部はクレーン等のフツク
に係止される構造であるので、Ｕ字溝を吊上げる
際にきわめて容易に全体のバランスをとることが
でき、従来のものに比べ安全性、作業性が一段と
良好になる。

同様の理由により天秤棒に曲げモーメント等の
外力が生じないので天秤棒を小径かつ軽量なもの
とすることができ、装置自体の軽量化、コストの
低減を達成できる。

【図面の簡単な説明】

図面第１図、第２図は本考案による使用状態を
示す正面図、側面図である。 １……Ｕ字溝、２……側壁、３……吊上げ反転
穴、４……吊上げ部材、５……天秤棒、６……反
転棒、７……吊上げロープ、８……第１支持杆、
９……第２支持杆、１０……ワイヤーロープ、１
１……被覆杆、Ｂ……Ｕ字溝の敷設装置。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 底壁と、該底壁の両側より各々垂直に立ち上が
   る両側壁とよりなり、あらかじめ逆Ｕ字状に設置
   されたＵ字溝と、 前記Ｕ字溝の両側壁長手方向略中間位置で、か
   つ両側壁の上下方向中間よりやや先端側であつ
   て、各々相対向する位置の両側壁内部に、穴の内
   部が両側壁表面と略直角となつて水平方向に延出
   し、かつその一端開口が前記両側壁表面に露出す
   ると共に、他端は側壁内部で閉塞された一対の吊
   上げ反転穴と、 該一対の吊上げ反転穴に差し込まれる一対の反
   転棒と、 第１支持杆と第２支持杆とワイヤーロープ及び
   被覆杆とからなり、第１支持杆には前記反転棒が
   略直角に連結されており、第２支持杆は天秤棒に
   略直角に取り付けられており、ワイヤーロープは
   一端が前記第１支持杆に連結され、他端が前記第
   ２支持杆に連結されており、被覆杆は中空管形状
   を有しており、前記第１支持杆と第２支持杆とを
   接続するワイヤーロープを被覆し、前記第１支持
   杆及び第２支持杆の外周面に摺動自在に接続され
   てなる、一対の吊上げ部材と、 前記一対の第２支持杆間の距離を変更可能にし
   て第２支持杆を垂下する天秤棒と、 各端部がそれぞれ前記第２支持杆上端に連結さ
   れ、中間部をクレーン等のフツクに係止される吊
   上げロープと、 を備えてなることを特徴とするＵ字溝の敷設装
   置。