JPH02258250A - 超疎水性複合材料とその製造方法、および光学機能材料 - Google Patents

超疎水性複合材料とその製造方法、および光学機能材料

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JPH02258250A
JPH02258250A JP19980489A JP19980489A JPH02258250A JP H02258250 A JPH02258250 A JP H02258250A JP 19980489 A JP19980489 A JP 19980489A JP 19980489 A JP19980489 A JP 19980489A JP H02258250 A JPH02258250 A JP H02258250A
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健史 大脇
Yasunori Taga
康訓 多賀
Kengo Ishiyama
石山 謙吾
Yasuhito Goto
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、基板表面に超疎水性を示す無機質材料からな
る表面層を有する超疎水性複合材料、その製造方法およ
びその用途に関するものである。
〔従来技術およびその問題点〕
従来より、ポリフルオロアルキル基含有シラン化合物等
の有機シリコーン(特開昭58−122978号公報)
、またはフッソ系化合物(特開昭60−13065号公
報)等の疎水性を示す有機物質を被覆して疎水性材料を
製造する方法、または疎水性を示す有機物質を被覆した
疎水性材料が各種開発され、実用に供されている。
しかしながら、これら従来技術の疎水性を示す有機物質
を基材表面にコーティングして得られた疎水性材料は、
疎水性の初期性能は非常に優れているが、耐環境性や耐
摩耗性等の耐久性が劣るため、経時的に疎水性能の低下
が著しいという問題点を有している。
従ってこれらの疎水性材料は、室内等の好環境条件下で
は実用に供することができるが、屋外におけるごと(使
用環境の厳しい場所では実用的ではなかった。
一方、昨今の情報化時代に対応して電気信号により光学
的性質を制御する多種多様な光学機能表示素子が開発さ
れ実用に供されている。また従来の蛍光表示管等の真空
管を利用するものから軽くて小型でかつ電力消費の少な
いフラットパネルデイスプレィ(FPD)への移行が進
められている。
このFPDの代表的なものとして液晶表示素子(LCD
)、エレクトロルミネッセンス表示素子(ELD)、エ
レクトロクロミック表示素子(ECD)等がある。とこ
ろが、これらFPDもその普及につれて従来の屋内での
使用から屋外での利用要求が強まりつつある。具体的に
は、車の窓ガラス、ミラー、ムーンルーフ、スカイルー
フ、さらには住宅用窓ガラス、サンルーフ等への適用で
ある。
ところで、上記光学機能素子の屋外での使用時に基板と
なるガラスまたは透明樹脂表面に水滴が付着し、視界を
妨げたり表示を見にくくすることがあった。とくに透過
型ECDまたはLCDを調光膜として利用したり反射型
ECDまたはLCDを防眩ミラーとして用いる場合、基
板表面への水滴の付着が問題化しつつある。
従来、前記光学機能素子の基板表面への水滴付着に対す
る問題点を解決する方法として、基板表面のぬれ性を改
善する方法が試みられており、疎水性を有する有機膜を
基板表面へコーティングする方法や、酸化チタンあるい
は酸化セリウム等を基板表面へコーティングする方法(
特開昭63−104028号公報)等が提案されている
しかしながら屋外での使用環境は厳しく、前者の有機膜
コーティングでは長期の使用に耐えず、また後者の酸化
チタンまたは酸化セリウム等のコーティングでは疎水性
能が水の接触角にして約80°と低く視認性が劣るとい
う問題があった。
そこで、本発明者らは、上述の如き従来技術の問題点を
解決すべく鋭意研究し、各種の系統的実験を重ねた結果
、本発明を成すに至ったものである。
〔発明の目的〕
本発明の目的は、疎水性に優れるとともに耐久性に優れ
た超疎水性複合材料、その製造方法、およびその用途を
提供するにある。
本発明者らは、上述の従来技術の問題に関し、以下のこ
とに着眼した。すなわち、先ず、耐環境性や耐摩耗性の
優れた材料に着目した。従来より疎水性材料として知ら
れている有機シリコーンやフッソ系樹脂などの高分子材
料は、一般にセラミックス材料に比べ硬度において柔ら
かく、また紫外線に弱いため、耐環境性や耐摩耗性に劣
る。そこで、硬度がセラミックス材料に比べて高分子材
料はど柔らかくなく、しかも耐摩耗性、耐紫外線、耐湿
性などの耐久性に優れた無機酸化物に着目し、これら無
機化合物について検討した結果、特定の無機酸化物に化
学吸着という現象を付加することによって接触角にして
90度以上の疎水性酸化物を見つけるに至った。
そして、90度以上の接触角の疎水性を有し、その疎水
性が耐久性のある、つまり例え酸化物表面層が削れたと
しても、化学吸着の特性上疎水性が自己修復される表面
を有する超疎水性材料、そしてこの疎水性を早期に発現
させて超疎水性材料を得る方法、およびその用途に関す
る発明を成すに至った。
〔第1発明の説明〕 !1発里立構成 本第1発明の超疎水性複合材料は、基板と、該基板上に
形成したアルミニウム、スカンジウム、クロム、マンガ
ン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ガリウム、イツトリ
ウム、インジウム、スズ、及びセリウムを除くランタン
系列元素の一種の金属酸化物または二種以上の複合酸化
物からなる超疎水性無機質表面層とからなり、該超疎水
性無機質表面層が90度以上の接触角を有してなること
を特徴とする。
!上預皿旦作里 この超疎水性複合材料が上述のごとき効果を発揮するメ
カニズムについては、未だ必ずしも十分に明らかではな
いが、次のように考えられる。
本来、無機酸化物はその表面エネルギーが500 er
g/ca?以上であり、親水性を示す。そのうち、アル
ミニウム、スカンジウム、クロム、マンガン、鉄、コバ
ルト、ニッケル、銅、ガリウム、イツトリウム、インジ
ウム、スズ、及びセリウムを除くランタン系列元素の一
種の金属酸化物または二種以上の複合酸化物は、その表
面に水酸基を化学吸着することによって表面エネルギー
が極めて低下し、接触角にして90度以上の疎水性を付
与することができる。さらに、Wentzelの法則に
よって接触角が90度であると疎水性能が格段に向上す
ることが知られ、上記酸化物はこれを満足する物質とな
っている。
また、上記酸化物は本来高分子に比べ耐環境性、耐摩耗
性等の耐久性に優れる。例えば、大変厳しい環境におい
て酸化物表面が削られた場合でも、自然に化学吸着層が
形成され疎水性が再生される。
笈13皿旦効困 本発明の超疎水性複合材料は、基板表面に90度以上の
接触角を持つ超疎水性無機質材料からなる表面層を有す
るので、疎水性に優れるとともに耐久性に優れた材料で
ある。
また、本発明の超疎水性材料は、アルミニウム、スカン
ジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、
銅、ガリウム、イツトリウム、インジウム、スズ、及び
セリウムを除くランタン系列元素の一種の金属酸化物ま
たは二種以上の複合酸化物をガラス、樹脂等の基板にコ
ーティングするという簡単な方法によって作製すること
ができる。
また、本発明の超疎水性複合材料は、表面が摩耗しても
その後吸着層が形成されて再び疎水性を発揮するので、
疎水性や耐久性などの持続性に優れている。
〔第1発明のその他の発明の説明〕 以下に、前記第1発明のその他の発明について説明する
本発明の超疎水性複合材料において、基板は、ガラス、
陶磁器などの無機材料、および樹脂などの有機材料であ
る。
また、超疎水性無機質表面層は、前記基板上に形成した
アルミニウム、スカンジウム、クロム、マンガン、鉄、
コバルト、ニッケル、銅、ガリウム、イツトリウム、イ
ンジウム、スズ、及びセリウムを除くランタン系列元素
の一種の金属酸化物または二種以上の複合酸化物からな
る。
この超疎水性無機質表面層は、厚さが200〜5000
0人であることが好ましい。これは、該層厚が200人
未満の場合、該表面層が不連続となり疎水性を発現する
ことができない虞れがあるからである。また、該層厚が
50000人を超えた場合、層内部の応力等によって層
が剥離し易くなるので好ましくない。
また、超疎水性無機質表面層が上記元素の二種類以上の
複合酸化物の場合、その混合比率はどのようであっても
同様に前記本発明の効果を奏することができる。
なお、前記超疎水性無機質表面層のうち、酸化イツトリ
ウムは前記元素の酸化物の中でも特に疎水性能に優れて
おり、95度以上の接触角を有するので好ましい。また
、酸化イツトリウム層からなる表面層とすることにより
、該物質層は硬度が固くしかも紫外線に対して劣化しな
いので耐環境性や耐摩耗性などの耐久性に優れた複合材
料とすることができ、さらに該表面層が厳しい環境下で
摩耗しても空気中の水によって化学吸着層が自然再生さ
れて疎水性を回復するので前記効果の持続性に優れた複
合材料とすることができる。これは、酸化イツトリウム
の生成熱は酸化物の中でも特に大きく、酸化物として大
変安定しており、またイツトリウムの電気陰性度は金属
の中で比較的小さく、従ってイツトリウムと酸素はイオ
ン結合により結合している割合が高く、イツトリウム(
Y)イオンは酸素(0)イオンによってスクリーンされ
、さらに酸素(0)イオンが表面に存在するため水酸基
が非常に化学吸着し易い。その結果、酸化イツトリウム
表面は化学吸着によって表面エネルギーが大変低下して
いる。
さらに、前記酸化物が、酸化イツトリウムと、イツトリ
ウムよりイオン半径が小さい金属または該金属の酸化物
を混合した複合酸化物である場合は、疎水性能および該
性能の持続性が前記酸化イツトリウムと同程度の性能を
有する上に、水酸基の化学吸着が早期に進行するので好
ましい。この金属としては、アルミニウム、スカンジウ
ム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケ
ル、銅、亜鉛およびガリウムの一種または二種以上の複
合物である。このとき、酸化物中における酸化イツトリ
ウムの配合比率が、98at%〜50at%であること
が好ましい。これは、該比率が50at%未満である場
合は酸化イツトリウム単独である場合程の疎水性能が得
られず、また該比率が988t%を越えた場合は疎水性
能の早期進行がみられない。このような複合酸化物とし
た場合、酸化イツトリウムにイツトリウムイオンよりイ
オン半径が小さい金属の酸化物を混入させることにより
、水酸基が化学吸着しやすい状態の表面となり、疎水性
が早期に発現することができる。
本発明の超疎水性複合材料は、基板の表面に超疎水性無
機質を被覆することにより得られる。
この本発明の超疎水性複合材料の製造方法について、そ
の具体的−例を簡単に説明すると以下のようである。
先ず、基板としてガラスなどの無機材料や樹脂などの有
機材料を容易する。次に、該基板の上に、スパッタリン
グ法、真空蒸着法、イオンブレーティング法などの物理
的蒸着法により、アルミニウム、スカンジウム、クロム
、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ガリウム、
イツトリウム、インジウム、スズ、及びセリウムを除く
ランタン系列元素の一種の金属酸化物または二種以上の
複合酸化物からなる超疎水性無機質表面層を形成する。
このうち、超疎水性無機質表面層をスパッタリング法に
より形成する場合は、最初に前記基板を洗浄した後、該
基板を真空処理装置内に配設し、10−@Torr程度
まで真空排気する。次いで、アルゴンガスなどの希ガス
を3〜5 X 10−”Torr程度まで導入し、基板
表面にRFイオンエツチングを行う。このエツチング条
件としては、30〜100Wで5分程度行えば十分であ
る。なお、基板が有機材料の場合は、耐熱性が低いため
、2分以下であることが好ましい。イオンエツチング後
、アルゴンガスまたはアルゴンガスと酸素ガスとの混合
ガスを3〜5 X 10−”Torr程度まで導入し、
本発明の金属酸化物ターゲットをRFスパッタによって
所望の膜厚の酸化物を被覆する。
また、真空蒸着法やイオンブレーティング法では、本発
明の前記超疎水性無機質表面層の原料となる金属ペレッ
トを用い、基板に前記金属酸化物を被覆する。
なお、これら物理的蒸着法のほか、化学蒸着法やゾル−
ゲル法によっても前記酸化物の被覆が可能である。
以上の方法により、基板に前記酸化物を被覆して得られ
た処理材料は、被覆層が空中放置により3〜lO日で超
疎水性を発現し、本発明にかかる超疎水性複合材料が得
られる。
なお、前記超疎水性無機質表面層として酸化イツトリウ
ムと、イツトリウムよりイオン半径が小さいアルミニウ
ム、スカンジウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コ
バルト、ニッケル、銅、亜鉛およびガリウムまたは該金
属の酸化物を混合した複合酸化物を前記方法により形成
する場合は、前記方法により基板表面に酸化イツトリウ
ム層を形成したときには波層の接触角が90度に達する
のに10日程度要するのに対し、超疎水性能を3〜8日
と早期に発現させることができるので好ましい。従って
、該方法の場合、超疎水性複合材料を迅速かつ簡単に製
造することができるという特有の効果を奏することがで
きる。かかる効果が得られるのは、イツトリウムよりイ
オン半径の小さい元素の酸化物を混合することによって
酸素のスクリーニング効果を高め、水酸基の化学吸着過
程を促進するからと考えられる。
なお、本発明の複合材料は、水をはじくための部材に特
に有用であるが、窓ガラス、半導体パッシベーションの
最表層、テーブルマットなど、各種の用途、材料に利用
できる。
〔第2発明の説明〕 本第2発明は、前記第1発明の超疎水性複合材料を製造
する方法であり、その中でも特に超疎水性を早期に発現
させる方法に関するものである。
産皿旦旦煎 前記発明の目的に加えて、以下のような目的を有する。
本第2発明の他の目的は、超疎水性を早期に発現させる
超疎水性複合材料の製造方法を提供するにある。
久亘旦構底 本第2発明の超疎水性複合材料の製造方法は、ガラスま
たは樹脂材料などの材料を主体とする基板の表面にアル
ミニウム、スカンジウム、クロム、マンガン、鉄、コバ
ルト、ニッケル、銅、ガリウム、イツトリウム、インジ
ウム、スズ、及びセリウムを除くランタン系列元素の一
種の金属酸化物または二種以上の複合酸化物からなる無
機質層を形成する無機質材料被覆工程と、該表面に水酸
基を化学吸着させる超疎水性早期発現工程とからなるこ
とを特徴とする。
旦亘旦庄里旦圭1効里 本発明の超疎水性複合材料の製造方法により、基板に形
成した超疎水性無機質材料の超疎水性能を数分〜1日と
早期に発現させることができる。
従って、超疎水性複合材料を迅速かつ簡単に製造するこ
とができる。
本第2発明の製造方法によりかかる効果が得られるメカ
ニズムについては、未だ必ずしも十分に明らかではない
が、次のように考えられる。
すなわち、先ず、無機質材料被覆工程において基板の表
面に被覆されたアルミニウム、スカンジウム、クロム、
マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ガリウム、イ
ツトリウム、インジウム、スズ、及びセリウムを除くラ
ンタン系列元素の一種の金属酸化物または二種以上の複
合酸化物からなる無機質層は、被覆直後に500 er
g/cT1以上の表面エネルギーを有する。次いで、超
疎水性早期発現工程において、積極的に水分を該表面層
に補給し、熱摩擦等のエネルギーによってこの表面層に
強制的に水酸基を化学吸着させて、表面層の表面エネル
ギーを20〜30 erg/alに低下させることによ
り、数分〜1日で安定な化学吸着層を形成することがで
きる。
〔第2発明のその他の発明の説明〕 以下に、前記第2発明のその他の発明について説明する
本発明の超疎水性複合材料の製造方法は、先ずガラスま
たは樹脂材料などの材料を主体とする基板の表面にアル
ミニウム、スカンジウム、クロム、マンガン、鉄、コバ
ルト、ニッケル、銅、ガリウム、イツトリウム、インジ
ウム、スズ、及びセリウムを除くランタン系列元素の一
種の金属酸化物または二種以上の複合酸化物からなる無
機質層を形成する(超疎水性無機質材料被覆工程)。
前記基板への超疎水性無機質層の形成方法としては、ス
パッタリング法、真空蒸着法、イオンブレーティング法
などの物理的蒸着法、化学蒸着法、ゾル−ゲル法などが
ある。該表面層の具体的な形成方法については、第1発
明の詳細な説明の項で説明した具体的−例が挙げられる
次に、前記無機質材料被覆工程により基板の表面形成さ
れた無機質層に水酸基を化学吸着させる(超疎水性早期
発現工程)。これにより、該無機質層の表面エネルギー
を低下させて該表面エネルギーを20〜30 erg/
dとすることができる。
この表面層に水酸基を化学吸着させるとともに該表面層
の表面エネルギーを低下させる方法としては、具体的に
は■低温熱処理方法、■水乾拭き処理法、■加湿処理法
などが挙げられる。
低温熱処理方法は、前記基板に表面層を形成した材料を
50℃〜90℃の温度で適度な湿度雰囲気下において1
時間程度熱処理することにより行う。
水乾拭き処理法は、先ず前記基板に表面層を形成した材
料の表面を水をしみこませた柔らかい布などで軽く拭き
、その後転いた布で前記表面層の表面に付着した水滴を
取り除くと同時に表面を擦ることにより行う。
加湿処理法は、前記基板に表面層を形成した材料を常温
で90%以上の加湿雰囲気に3時間程度以上放置するこ
とにより行う。
〔第3発明の説明〕 本第3発明は、前記第1発明の超疎水性複合材料をフラ
ットパネルデイスプレィ等の光学機能素子に応用した用
途発明に関するものである。
余■Ω且煎 本第3発明の目的は、上述の本発明の目的のほかに、以
下のような目的を有する。
すなわち、本第3発明の他の目的は、高い疎水性と視認
性とを確保して、耐環境性に優れた光学機能材料を提供
するにある。
穴肌Ω遭成 本第3発明の光学機能材料は、ガラスまた樹脂などの材
料を主体とする基板と、一方または両方が透明電極で構
成される一対の電極と、該電極間に充填した電気信号に
より光学的性質が変化する電気光学物質層とからなる光
学機能素子であって、前記基板の表面に酸化イツトリウ
ムからなる超疎水性無機質表面層を設けたことを特徴と
するものである。
X皿Ω作皿胆主g勿果 本第3発明の光学機能材料は、高い疎水性と視認性とを
有しており、耐環境性に優れたものである。
この光学機能材料が上述のごとき効果を発揮するメカニ
ズムについては、未だ必ずしも十分に明らかではないが
、次のように考えられる。
疎水性能は、物質固有の表面張力と関係が深く表面張力
の大きな材料は接触角が小さくぬれ易く、逆に表面張力
の小さな材料は接触角が大きく疎水性に優れる。本第3
発明における酸化イツトリウムは後者の材料である。こ
の酸化イツトリウム(Y2 Ol )の酸化物生成熱は
酸化物の中で特に大きく、YイオンはOイオンにスクリ
ーンされ、さらにOイオンが表面に存在するためガス吸
着しやすい状態であり、その結果、表面張力が非常に小
さくなる。接触角であられすと、従来の酸化物が80°
以下であるのに対し、Ylo、では950以上の接触角
をもつ。また、Wenzelの法則から接触角が90°
以上であると疎水性能が格段に向上することが知られ、
Y2O3はそれを満足する。また、Y、O,は耐候性、
耐摩性がよく、保護膜としても有効に働く。
なお、本発明において、基板を透明電極ガラスなどの電
極と兼用した構成とすることができる。
〔第3発明のその他の発明の説明〕 以下に、前記第3発明のその他の発明について説明する
本発明の光学機能材料は、表示素子および光学機能素子
の表面を疎水化し、視認性を永続的に確保するためにガ
ラスまたは透明樹脂等からなる基板表面に下記3条件を
満たす機能膜を形成することを着想してなされたもので
ある。第1は可視域(3809〜780aum)で透明
であること、第2は水に対して疎水性であること(接触
角θ≧900)、第3は屋外での使用を考え耐摩性に優
れていることである。本発明では、上記条件を満たす機
能膜として酸化イツトリウム膜を用いたものである。
本発明において、光学機能材料としては、液晶表示素子
、エレクトロクロミック表示素子、エレクトロルミネッ
センス素子のいずれかであることが好ましい。
本発明にかかる光学機能材料の構造例を第1図により説
明する。基板11,15は通常透明なガラスまたは樹脂
であり、その形状は平面板または曲面板であってもよく
、電気信号によりその光学特性の変化する電気光学物質
層13を保持すると共に第1図の場合は透過型、また第
2図の場合は反射型の光学機能素子の表示面としての役
割を有する。透明導電膜(電極)12.14を形成する
材料としてはI To (Indium Tin0xi
de)、ATO(Antimony Tin 0xid
e)等を使用することができる。なお、第2図に示す反
射型光学機能素子においては、透明導電膜24をITO
,ATO等で形成し、反射膜を兼ねる電極膜22を通常
光学反射率の高いAj’、Ag、I 1% Sn% C
u等の金属または合金膜で形成することができる。また
基板25は反射型光学機能素子の表示面としての役割を
有することは前述の通りである。
電気光学物質層13は透明導電膜(電極)12.14か
ら印加される電気信号により自ら発光するもの(自発光
型)および入射または反射する光の特定の波長の光を吸
収し、着・消色するもの(光制御型)で構成される。自
発光型電気光学素子であるELDにおいては発光物質層
13として通常ZnS系の蛍光体が用いられる。電極1
2.14間には交流または直流の電界が印加され蛍光体
への電子の注入により発光する。一方、光制御型電気光
学素子にはECD、LCD等がある。これらのうちEC
Dにおいてはエレクトロクロミック層13として通常W
 Os、Mo5s、I rot等が用いられ、電極12
.14に印加される電界により素子中に含まれる水の電
気分解により生じたH“またはOH−と上記エレクトロ
クロミック物質層13との間で酸化または還元反応が生
じ、エレクトロクロミック層13の吸光特性が変化する
ことにより着色・消色等の光制御を行うものである。
また、LCDでは配向制御された有機化合物からなる液
晶が電気光学物質層13として電極12.14間に充填
封止されており電極12.14間への電界の印加により
入射または反射する光の透過率を変化させ光制御を行う
ものである。
本発明にかかる光学機能材料は基板11.15上に酸化
イツトリウム(Y20s )層10.16を被覆して成
るものである。なお、第2図においては、基板25上に
酸化イツトリウム層26を被覆してなる。
成膜手法は重要で通常スパッタリング、イオンブレーテ
ィング、真空蒸着等のP V D (Physical
Vapour Deposition)の適用も可能で
ある。可視域で透明なことが必要であり膜厚は200〜
50000人が適当である。該膜厚が200人より薄く
なると膜が不連続的になり、また5oooo人を越える
と膜の内部応力が増大し、膜が剥離しやすい状態となる
本発明を構成する重要な項目に基板11S15.25表
面の疎水化の問題がある。光学機能素子として表示情報
の視認性を確保するためには疎水化する必要があり、通
常使用されているガラスまたは透明樹脂の水に対する接
触角は20°から400の範囲内にあり、もし親水化し
20°以下のぬれ性になると水は一面に広がり光は透過
しやすいが像に歪みを生じ視認性は望ましくない。一方
、疎水化処理すると水は水滴として風、振動または重力
によって流れてしまい、視認性は確保される。
特に、本発明であるYtOs膜をコーティングすると接
触角95°〜100°が得られ、疎水効果は著しい。
なお、Y2O3膜は耐摩性等の機械的性質が優れている
ことが確認された。
〔実施例〕 以下に、本発明の詳細な説明する。
筆土去施剋 基板としてガラスなどの無機質材料および樹脂等の有機
質材料を用い、該基板表面に無機質表面層を被覆して超
疎水性複合材料を製造し、該材料の性能評価試験を実施
した。
先ず、基板として、第1表に示した厚さ2〜5mmのソ
ーダ石灰ガラス、アルミナ(Ahoy)磁器、ポリ塩化
ビニル(PVC)、およびポリカーボネート(PC)を
用意し、該基板を十分に乾燥させた。なお、基板として
有機質材料を用いた場合には、該基板を脱脂後乾燥させ
た。
次に、用意した樹脂基板の表面に、第1表に示したター
ゲットを用いて、基板のRFイオンエッチング条件を5
0W、5分とし、成膜条件をスパッタ電力200〜50
0W、成膜時間5〜20分、スパッタガスをアルゴン3
 X 10−”Torrとし、第1表に示す物質からな
る表面層を形成し、10〜11日放置して本実施例の複
合材料を得た(試料番号1〜9)。
得られた超疎水性複合材料の性能評価試験を、疎水性評
価試験、耐摩耗性試験により行った。先ず、疎水性評価
試験は、得られた材料表面における水の接触角を測定し
て該表面の水に対するぬれ性を評価することにより行っ
た。その結果を、第1表に示す。
また、耐摩耗性試験は、得られた複合材料を、研摩剤を
しみこませた布で100 g/cnrの荷重で1000
回拭き擦り、3日間放置後に疎水性評価試験を実施する
ことにより行った。その結果を、第1表に示す。
なお、比較のために、本発明にかかる表面層とは異なる
種類の金属酸化物からなる表面層(試料番号CLC2)
および有機シリコーンからなる表面層(C3)を上記と
同様の基板に被覆して比較用複合材料を作製しく試料番
号C1−C3)、同様の性能評価試験を実施した。その
結果を、第1表に併せて示す。
第1表より明らかのごとく、本実施例の場合は、初期疎
水性が接触角にして90度以上有しており、疎水性に優
れていることが分る。特に酸化イツトリウム層の場合は
、接触角にして95度以上と大変優れた疎水性を示して
いる。、これに対して比較例の場合は、本発明と異なる
金属酸化物を用いた場合は接触角が80度以下と、疎水
性に劣ることが分る。
また、耐摩耗性試験の結果、本実施例の場合は初期と同
様の疎水性を発揮している。これに対して有機シリコー
ンを被覆した場合は、接触角が60度〜90度と低下し
、しかもむらを生じていた。
!又叉施何 基板としてホウケイ酸ガラスおよびソーダ石灰ガラスを
用い、該基板表面に酸化イツトリウムとイツトリウムイ
オンよりイオン半径が小さい金属の酸化物との複合酸化
物の無機質表面層を被覆して超疎水性複合材料を製造し
、該材料の性能評価試験を実施した。以下、第1実施例
との相違点を中心に説明する。
先ず、基板として、第2表に示した厚さ1〜3mmのホ
ウケイ酸ガラスおよびソーダ石灰ガラスを用意し、該基
板を十分に乾燥させた。
次に、用意した樹脂基板の表面に、第2表に示した出発
原料を用いて、第1実施例と同様の成膜条件により第2
表に示す物質からなる表面層を形成し、適当な期間空気
中に放置して本実施例の複合材料を得た(試料番号1l
−17)。
このとき、該複合材料の表面層が90度の接触角を示す
までに要した日数と、10日放置後の接触角(最終接触
角)について測定した。なお、疎水性の評価方法は、第
1実施例と同様にして行った。その結果を、第2表に示
す。
第2表より明らかのごとく、複合酸化物中の酸化イツト
リウムの配合割合が5%〜50%の場合には、酸化イツ
トリウム単独の表面層の場合に比べて、疎水性が早期に
発現することが分る。なお、本実施例の複合材料は、何
れも第1実施例と同様策主衷施刺 基板としてソーダ石灰ガラスを用い、該基板表面にスパ
ッタリング法により第3表に示す表面層を被覆し、第3
表に示す疎水性早期発現方法を実施して本実施例の複合
材料を得た(試料番号21〜31)。
このとき、該複合材料の表面層が90度の接触角を示す
までに要した日数と、10日放置後の接触角(最終接触
角)について測定した。なお、疎水性の評価方法は、第
1実施例と同様にして行った。その結果を、第3表に示
す。
第2表より明らかのごとく、本発明の第2発明にかかる
超疎水性複合材料の製造方法により、基板に表面層を被
覆して3時間以内に90°以上の疎水性を得ることがで
き、疎水性早期発現工程により処理工程の大幅な時間短
縮が図れることが分る。
!土実施■ 光学機能素子としてELD、ECDおよびLCDを用い
、それら基板の表面をY2O,膜で被覆し表面層を形成
して本第3発明にかかる第3実施例の光学機能材料を製
造し、該光学機能材料の性能評価試験を反射型の光学機
能素子として動作させることにより行った。このELD
、ECD、およびLCDの概略構成図を、それぞれ第3
図ないし第5図に示す。
第3図はELD素子の断面を示すもので透明ガラス基板
31上に透明導電膜32としてITOを2000人の厚
さに真空蒸着し、続いて絶縁膜33として5isNiを
3000人、電界発光層34として5%Mnを含むZn
Sを3000人、さらに絶縁膜35としてS is N
4を3000人および電極兼反射膜36としてAlを2
000人いずれもスパッタリング法により形成した。そ
して最後にYtOs膜37を1000人の厚さにスパッ
タリング法により形成した(試料番号41)。
第4図はECD素子の断面を示すものである。
電極膜42としてAIを真空蒸着により2000人形成
したガラス基板41と、ITO45を2000人、EC
層としてWOa膜64を4000人いずれも真空蒸着し
たガラス基板46とを対向させ、その間に電解質43 
(LM/V  L 1c104を加えたプロピレンカー
ボネート液)を充填して成る。ECDセルとして封止後
、Y2O,膜47を1000人の厚さに形成した(試料
番号42)。
第5図はLCD素子の断面を示すもので電極兼反射膜と
してA152を2000人真空蒸着し、その上にSiO
からなる配向膜53を真空蒸着により形成したガラス基
板51と、ITO膜56およびSiOからなる配向膜5
5を形成したガラス基板57とを対向させ、その間に液
晶54を充填し封止することによりLCDセルとした。
ガラス基板57上にY2O1膜58を2000人の厚さ
に形成した(試料番号43)。
比較のために、前述のY、O,膜に代えて第4表に示す
ようにT i O2膜、Ce O2膜、T i O2膜
をそれぞれ形成した以外は、前記試料番号41〜43と
同様にしてELDlECD、LCDをそれぞれ製造した
(試料番号C41−C43)。
得られた本実施例材料および比較用材料ついて、疎水性
の性能評価試験を実施した。該試験は、素子表面におけ
る水の接触角を測定してその表面の水に対するぬれ性を
評価した。その評価結果を第4表に示す。
第4表 第4表より明らかなように、比較例では接触角が80°
と低いのに対して、本実施例では接触角が95°であり
高い疎水性を有することがわかる。
上記実施例では反射型表示素子としての応用を中心に記
載したが、透過型ECDまたはLCDを調光ガラスとし
て使用する場合、ガラス基板上の視認性を確保したい部
分にのみYxOs膜を形成することが可能である。その
具体的な応用例として、自動車用窓ガラスに適用した例
を第6図に示す。この応用例は、自動車用窓ガラス(フ
ロントガラス)60の一部分にECDまたはLCDから
なるサンバイザ一部62を設け、該サンバイザー部62
を含む全面に膜厚が5000人のY、O。
膜61を被覆し、視認性の確保を図ったものである。
また、他の応用例として、自動車用ドアミラー70に適
用した例を第7図に示す。この応用例は、ECDまたは
LCD71を反射率調整用電気光学素子として使用し、
ガラス最表面にY2O,膜71を2000人の厚さで被
覆したものである。これより雨天時において優れた視認
性を確保することができ、安全性の面においても改善す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の透過型光学機能材料断面図、第2図は
本発明の反射型光学機能材料断面図、第3図ないし第5
図は本発明の第3実施例の光学機能材料を示し、第3図
はそのELD素子の断面図、第4図はそのECD素子の
断面図、第5図はそのLCD素子の断面図、第6図は自
動車用フロントガラスへ応用した例を示す概略構成図、
第7図は自動車用ドアミラーへ応用した例を示す概略構
成図である。 A・・・入射光(太陽光)、B・・・透過光、C・・・
反射光、D・・・眼、 11.15.21.25・・・基板、 12.14.24・・・透明電極膜、 22・・・反射膜兼電極膜、 13.23・・・発光物質層または調光物質層、1O1
16,26・・・YtO*層、 31.41.46.51,57・・・ガラス基板、32
・・・ITO透明導電膜、 3.35・・・絶縁膜5isN*、 4−−−EL@  ZnS−5%M n 。 6.42.52・・・AI電極、 7.47.58・・・Y、0.膜、 3・・・電解質、I M/ I  L iCI O4を
加えたプロピレンカーボネート液、 4・・・EC層、WOs膜、 5.56・・・ITO透明電極膜、 3.55・・・SiO配向膜、 4・・・液晶、 O・・・自動車用フロントガラス、 1・・・Y、0.膜被覆領域、 2・・・ECD又はLCDによる調光可能領域、0・・
・自動車用ドアミラー ト・・ECDまたはLCDによる調光可能領域かつY、
O,膜被覆領域

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. (1)基板と、該基板上に形成したアルミニウム、スカ
    ンジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル
    、銅、ガリウム、イットリウム、インジウム、スズ、及
    びセリウムを除くランタン系列元素の一種の金属酸化物
    または二種以上の複合酸化物からなる超疎水性無機質表
    面層とからなり、該超疎水性無機質表面層が90度以上
    の接触角を有してなることを特徴とする超疎水性複合材
    料。
  2. (2)ガラスまたは樹脂材料などの材料を主体とする基
    板の表面にアルミニウム、スカンジウム、クロム、マン
    ガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ガリウム、イット
    リウム、インジウム、スズ、及びセリウムを除くランタ
    ン系列元素の一種の金属酸化物または二種以上の複合酸
    化物酸化イットリウムからなる無機質層を形成する無機
    質材料被覆工程と、該表面に水酸基を化学吸着させる超
    疎水性早期発現工程とからなることを特徴とする超疎水
    性複合材料の製造方法。
  3. (3)ガラスまたは樹脂などの材料を主体とする基板と
    、一方または両方が透明電極で構成される一対の電極と
    、該電極間に充填した電気信号により光学的性質が変化
    する電気光学物質層とからなる光学機能素子であって、
    前記基板の表面に酸化イットリウムからなる超疎水性無
    機質表面層を設けたことを特徴とする光学機能材料。
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