JPH0225563Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案はダイカストマシン用自動注湯装置に関
するものである。

従来の技術 従来からアルミニウム製品を成形する場合、ア
ルミニウム溶湯を保温状態で収納する槽から杓子
のようなもので溶湯を汲み上げてこれを成形部に
移動させて供給するようにしていた。

考案が解決しようとする問題点 このような従来の場合、大きな製品を作るため
に大きな杓子で多量の溶湯を汲み上げて成形部に
移動させてきても溶湯の温度は低下しにくいが、
小さな製品を作るために少量の溶湯を汲み上げて
成形部に移動させた場合、その移動中において溶
湯の温度が使用に供さない程度に迄低下するとい
う問題があり、そのため小さな製品を作る場合で
も溶湯を多目に汲み上げ成形部に供給していた。
従つて小さな製品を作る場合、製品に必要な量以
外の溶湯が無駄になり、生産効率が悪かつた。

そこで、成形部の上方に溶湯を収納する槽を設
け、この槽の底部から溶湯を必要量だけ供給する
ようにした装置も考えられているが、前記槽の保
温効果は低く、溶湯の温度が低下して作業に支承
を来たすという問題がある。

本考案はこのような問題点を解決するもので、
製品の大小にかかわらずその製品に応じた量の溶
湯を成形部に自動的に供給し得、使用する溶湯の
無駄をなくし、かつ溶湯を溜めておく槽の保温効
果を高め、作業を能率良く行なえるようにするこ
とを目的とするものである。

問題点を解決するための手段 この問題点を解決するために本考案は、上端が
開口し溶湯を溜める鍋を鋳物により形成し、この
鍋の外側を耐熱断熱材で覆いかつ鍋の上端を裏面
にヒーターが設けられた断熱性蓋体により覆つて
溶湯収納槽を構成し、この溶湯収納槽の底部に溶
湯取り出し用孔部を形成して、この孔部に昇降自
在なロツドの下端を当接させて孔部を開閉自在に
構成し、前記孔部と成形部のスリーブの注湯口と
の間にノズルを介在させたものである。

作 用 この構成により、製品の大小にかかわらずその
製品に応じた量の溶湯を溶槽取り出し用孔部の開
き時間の設定により成形部に自動的に供給するこ
とができ、使用する溶湯の無駄がなくなる。ま
た、前記鍋は鋳物製であるため、鋳物の熱容量に
よる対流効果が得られ、鍋の上端と下端における
溶湯の温度差が少なく、全体に亘つて均一な溶融
状態で溶湯を保温することができる。その結果、
溶湯温度が低下して作業に支承を来たすという問
題もなく、作業を能率良く行なうことができる。

実施例 以下、本考案の一実施例について、図面に基づ
いて説明する。

第１図および第２図において、１は成形部に設
けられている固定ダイプレートで、この固定ダイ
プレート１にはその内側に設けられる型内にアル
ミニウム溶湯を一端より送り込む円筒状スリーブ
２がほぼ水平に貫通して設けられている。３は成
形部に近接しかつ成形部の上側に位置するように
枠体４上に載せられるアルミニウム溶湯収納槽
で、この収納槽３の下端両側には移動用の車輪５
が設けられて前記枠体４の上に設けたレール６上
を収納槽３が移動できるようになつている。前記
収納槽３は外箱７と、この外箱７の内面側より設
けられた断熱ボード８および耐熱ボード９と、こ
の耐熱ボード９で囲まれる空間内に挿入される上
端開口の鍋１０と、この鍋１０と耐熱ボード４の
内面との間に詰められた断熱効果のある耐熱ウー
ル１１と、前記鍋１０の注き口１２以外の部分に
おいて鍋１０の上端を閉じる断熱性蓋体１３とか
ら構成されている。前記鍋１０はマンガン合金鋳
鉄を材料とする鋳鉄製で、平面形状がほぼ長方形
に形成され、その一端側に溶湯の注き口１２が突
出して形成されている。なお、この注き口１２は
鍋１０の内部に対して堰板１５によつて深さ方向
のほぼ上半分が仕切られ、ほぼ下半分は鍋１０の
内部に連通している。また、前記断熱性蓋体１３
は鍋１０の上端を横切る部分の裏面に凹部１６が
形成されており、この凹部１６内に鍋１０の長手
方向適当間隔おきに複数本のヒーター１７が水平
に並設されている。このヒーター１７は６本設け
られていて、２本づつ直列接続されている。ま
た、これらヒーター１７の上方は保護枠１８によ
つて覆われている。前記収納槽３の他端側のコー
ナー部下端において、鍋１０およびその下側の外
装部には鍋１０の内部に収納される溶湯１９を取
り出す取り出し口２０および２１が形成され、鍋
１０の取り出し口２０には中心に孔部２２を有す
るシート２３が嵌め込まれている。２４は前記取
り出し口２０，２１より取り出された溶湯１９を
前記スリーブ２の長さ方向中間部に設けた注湯口
２５よりスリーブ２内に導くためのセラミツク製
のノズルで、前記固定ダイプレート１側に支持さ
れている。２６は前記蓋体１３の孔２７を貫通し
て前記鍋１０の内部に垂下するセラミツク製のロ
ツドで、このロツド２６の下端は前記シート２３
の孔部２２上端に対向して孔部２２を開閉自在に
構成している。また、このロツド２６は蓋体１３
の上方でジヨイント２８を介してシヤフト２９に
連結されている。シヤフト２９は蓋体１３の上側
に取り付けられた支持枠３０に固定されたモータ
３１のギヤ３２と噛み合うギヤ３３が固定されて
いる。さらにシヤフト２９の上端にはピストンロ
ツド３４が相対的に回転自在に連結されており、
このピストンロツド３４はシヤフト２９の上端と
支持枠３０との間に介在されたコイルスプリング
３５により下方に付勢されており、支持枠３０上
に設けたエアーシリンダー３６のピストン３７に
上端が連結されている。エアーシリンダー３６は
エアーコンプレツサー３８にパイプ３９を介して
連通されるとともに、パイプ４０を介して切替弁
４１に接続されている。この切替弁４１はパイプ
３９とも接続されている。

４２は前記スリーブ２内に供給された溶湯１９
をスリーブ２の他端より一端側に押し出すピスト
ンで、このピストン４２はシリンダー装置４３に
より駆動されるようになつている。

さらに４４は前記収納槽３を前記車輪５とレー
ル６との間の遊び分の範囲でレール６の長さ方向
に対して直交する方向に移動させる調節装置で、
前記枠体４の上誕に着脱自在に設けたハンドル４
５付きナツト４６を収納槽３に固定した雄ねじ軸
４７に螺合させ、ハンドル４５の回転によりナツ
ト４６を回転させて収納槽３を移動させ、前記取
り出し口２０，２１とノズル２４の上端とを合致
させるように構成されている。４８は前記鍋１０
の上端の左右両側に突設した吊金具で、この吊金
具４８にクレーンのフツクなどが連結されて鍋１
０だけを吊り上げることができるようになつてい
る。

上記構成において動作を説明すると、前記エア
ーシリンダー３６の動作によりロツド２６を上昇
させて前記シート２３の孔部２２を開くことによ
り前記取り出し口２０，２１より鍋１０内の溶湯
１９がノズル２４を介してスリーブ２内に流入す
る。このとき作られる製品に応じた量の溶湯１９
がスリーブ２内に流入するようにロツド２６の持
ち上げ時間即ち孔部２２の開放時間を設定してお
く。スリーブ２内に定量の溶湯１９が供給された
後、前記ピストン４２によりスリーブ２内の溶湯
１９を型内に押し出し製品が成形される。そのと
きスリーブ２内の空気も押し出しされるため、型
内より空気抜きが行なわれるように構成してあ
る。ところで前記ロツド２６は上昇時、詳しくは
孔部２２から離れるときに前記モータ３１の回転
によりシヤフト２９を介して回転され、孔部２２
との付着を無くし、ロツド２６の上昇動作を容易
に行なえるようになつている。前記鍋１０内の溶
湯１９が減つてくると前記注き口１２の上端から
補充するのである。ところで前記溶湯１９には上
方より前記ヒーター１７の熱が与えられるが、前
記鍋１０の外側は前記耐熱ウール１１、耐熱ボー
ド９、断熱ボード８で覆われ、また前記注き口１
２を除いて上端が断熱性蓋体１３で覆われている
ので保温効果に優れており、ヒーター１７を溶湯
１９内に浸漬しなくても充分保温効果が得られ
る。しかも鍋１０は前述のように鋳物製であるの
で、鋳物の熱容量による対流効果が作用して鍋１
０の上端と下端における溶湯１９の温度差を少な
くし得、全体に亘つて均一な溶融状態で溶湯１９
を保温することができる。

ところで、前記外箱７から鍋１０を取り出し、
この鍋１０に収納される溶湯１９とは異種のアル
ミ合金材が収納される別の鍋を外箱７内に挿入す
るときは前記吊金具４８にクレーンのフツクなど
を引つ掛けて鍋の吊り上げ、吊り下ろしを行なえ
ば良い。この鍋の交換のときに前記耐熱ウール１
１を詰め直すようにしても良い。

考案の効果 以上のように本考案によれば、製品の大小にか
かわらずその製品に応じた量の溶湯を成形部に自
動的に供給することができ、使用する溶湯の無駄
がなくなる。また、前記鍋は鋳物製であるため、
鋳物の熱容量による対流効果が得られ、鍋の上端
と下端における溶湯の温度差が少なく、全体に亘
つて均一な溶融状態で溶湯を保温することができ
る。その結果、溶湯温度が低下して作業に支承を
来たすという問題もなく、作業を能率良く行なう
ことができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図
は全体縦断面図、第２図は蓋体を取り除いた状態
の収納槽の平面図である。 １……固定ダイプレート、２……円筒状スリー
ブ、３……収納槽、７……外箱、８……耐熱ボー
ド、９……断熱ボード、１０……鍋、１１……耐
熱ウール、１２……注き口、１３……断熱性蓋
体、１７……ヒーター、１９……溶湯、２０，２
１……取り出し口、２２……孔部、２３……シー
ト、２４……ノズル、２６……ロツド、４２……
ピストン、４３……シリンダー装置。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上端が開口し溶湯を溜める鍋を鋳物により形成
   し、この鍋の外側を耐熱断熱材で覆いかつ鍋の上
   端を裏面にヒーターが設けられた断熱性蓋体によ
   り覆つて溶湯収納槽を構成し、この溶湯収納槽の
   底部に溶湯取り出し用孔部を形成して、この孔部
   に昇降自在なロツドの下端を当接させて孔部を開
   閉自在に構成し、前記孔部と成形部のスリーブの
   注湯口との間にノズルを介在させたダイカストマ
   シン用自動注湯装置。