JPH0224569Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は歯車類、爪車類、その他孔部を有する
被加工物を加工等に際して固定する内径チヤツク
に関する。

［従来の技術］ 従来の内径チヤツクは、被加工物の孔内に挿入
する部分を可撓とし、その可撓部分を拡開するこ
とによつて被加工物を固定するいわゆるコレツト
形式であつたため、加工機等に着脱する都度構成
部材が解体してしまい取扱いにくい上に、締め代
が小さいため、被加工物をロボツト類により供給
する際の芯出し位置決め等における許容範囲が非
常に狭くロボツトの停止精度を著しく高くするこ
とが要求された。さらに、可撓部が露出となるた
め、切粉、切屑等の異物が内部に入り易く加工精
度に悪影響が生じていた。

そこで、前記問題を解決するためのチヤツク装
置が実公昭48−43941号公報や特開昭55−31556号
公報に提案されている。

［考案が解決しようとする問題点］ しかしながら、前記各公報に開示されたチヤツ
ク装置では、チヤツク本体の先端部よりクランプ
ピンの長孔を貫通して着脱自在に挿入されるサポ
ートピンによりクランプピンの抜け止めを行う構
成を有していないので、クランプピンの回り止め
のための特別の構成および手段が必要になるとと
もに、クランプピンの交換する場合はチヤツク本
体全体を分解する必要があり、交換作業の多くの
時間を要するという問題があつた。

本考案の目的は、チヤツク本体の先端部よりク
ランプピンの長孔を貫通して着脱自在に挿入した
サポートピンによりチヤツク本体の案内孔に挿入
されたクランプピンの回転を防止することによつ
て、作動杆の傾斜面と前記クランプピンの傾斜面
との当接位置を規制してクランプ作用を正確に行
わせ、かつ前記クランプピンをその内、外端面の
摩耗により交換する場合は、前記キヤツプを取外
した後、前記サポートピンを前記チヤツク本体の
先端部より前記ばねを歪ませつゝ引き抜くことに
より、前記チヤツク本体をチヤツク取付用管軸に
装着した状態で、前記クランプピンを前記チヤツ
ク本体の案内孔より簡単に外方に取外すことがで
き、その交換作業性が向上するとともに、前記ク
ランプピンのばね挿入孔の底部と前記サポートピ
ンとの間にばねを介装することにより、前記クラ
ンプピン内端の傾斜面が前記作動杆先端の傾斜面
に常時弾性的に押圧され、前記作動杆と前記クラ
ンプとの間に遊びを無くし、前記作動杆と前記ク
ランプによる被加工物のクランプ作動が迅速にか
つ円滑に行われる内径チヤツクを提供することに
ある。

［問題点を解決するための手段］ 前記目的を達成するために、本考案の内径チヤ
ツクは、外周部に被加工物を受持するフランジを
設けかつ中心孔と該中心孔に直交する複数の案内
孔とを有するチヤツク本体と、前記中心孔に挿入
されかつ前記案内孔との対向する先端部に傾斜面
を形成した作動杆と、外端面より形成されたばね
挿入孔と該ばね挿入孔と直交する長孔とを有し、
内端面を傾斜面としたクランプピンと、前記チヤ
ツク本体の先端部より前記長孔を貫通して着脱自
在に挿入されるサポートピンと、前記ばね挿入孔
の底部と前記サポートピンとの間に介装され、前
記クランプピンを前記作動杆に押圧するばねと、
前記チヤツク本体の先端部に装着されるキヤツプ
とからなる。

［作用］ 本考案の内径チヤツクは、上述のように構成し
てなるので、前記サポートピンは前記クランプピ
ンの回転を防止することにより、前記作動杆の傾
斜面と前記クランプピンの傾斜面との当接位置を
規制してクランプ作用を正確に行わせ、かつ前記
クランプピンをその内、外端面の摩耗により交換
する場合は、前記キヤツプを取外した後、前記サ
ポートピンを前記チヤツク本体の先端部より前記
ばねを歪ませつゝ引き抜くことにより、前記チヤ
ツク本体をチヤツク取付用管軸に装着した状態
で、前記クランプピンを前記チヤツク本体の案内
孔より簡単に外方に取外すことができ、その交換
作業性が向上するとともに、前記ばね挿入孔の底
部と前記サポートピンとの間に前記ばねを介装す
ることにより、前記クランプピン内端の傾斜面が
前記作動杆先端の傾斜面に常時弾性的に押圧され
るから、前記作動杆と前記クランプとの間に遊び
がなく、前記作動杆と前記クランプによる被加工
物のクランプ作動が迅速にかつ円滑に行われる。

［実施例］ 以下、図面を参照しつつ本考案の内径チヤツク
の一実施例を説明する。

チヤツク本体１は、加工機のチヤツク取付用管
軸２にピン３により回り止めし、さらに、袋ナツ
ト４によつて固定する。チヤツク本体１は被加工
物５のボス部５Ａの端面が当接するるフランジ６
を有し、外径D₁を被加工物５の孔径D₂よりも0.8
mm程度小寸としてある。また軸線方向の中間位置
には同一円周上において、軸線方向をこのチヤツ
ク本体の軸線と交差する半径方向とした４つの案
内孔７を90゜の等角度分割配置で放射状に配列し
てある。各案内孔７には外端面８ａをチヤツク本
体１の外周面と同じ曲率の湾曲面とし、内端面８
ｂを斜削面としたクランプピン８をそれぞれ挿入
してある。

クランプピン８はチヤツク本体１の上端面１ａ
側から挿入したサポートピン９が貫通する長孔１
０と、外端面８ａ側から穿設したばね挿入孔１１
とを有し、長孔１０とばね挿入孔１１とは互いに
直交する。サポートピン９には長孔１０及びばね
挿入孔１１に臨む部分においてばね挿入孔の底部
１１ａに向く側にばね受用切欠１２を形成してあ
る。そして切欠１２とクランプピン８のばね挿入
孔の底部１１ａとの間には弾発手段としての圧縮
コイルスプリング１３を介在させてあり、ばね挿
入孔１１の口部にはクランプピン８の外端面８ａ
と同一面を形成するゴムまたはプラスチツク製の
シール部材１４を嵌着してある。ばねとしての圧
縮コイルスプリング１３はクランプピン８に対し
てチヤツク本体１の軸心方向への弾発的引込み習
性を与えるように常時付勢するが、サポートピン
９が長孔１０内を貫通しているので、クランプピ
ン８の内方への引込み極限は長孔１０における外
端面８ａ寄り内面がサポートピン９に当接した位
置となる。

一方、管軸２の中心孔１５とチヤツク本体１の
中心孔１６には作動杆１７を挿入してある。作動
杆１７は先端部にクランプピン８の傾斜面をなす
内端面８ｂが当接する傾斜面１７ａを有し、基端
部には図示しない梃子部材を連結してあつて、こ
の梃子の作動で軸線方向に動かされる。

また、チヤツク本体１の上端面１ａ上にはチヤ
ツク本体１の外径D₁と基部外径が同寸のテーパ
状キヤツプ１８を固着してある。キヤツプ１８は
下面中央部にチヤツク本体１の中心孔１６に密に
嵌入する突部１９を形成してあり、さらに４本の
サポートピン９の頭部９Ａが嵌入する穴２０を４
箇所に設ける一方、頂部中心位置には基部外径
D₁すなわちチヤツク本体１の外径D₁を識別する
ためのカラーマーク２１を施してある。キヤツプ
１８とチヤツク本体１との固定は、第２図から明
らかのように案内孔７間位置すなわちサポートピ
ン９の配置位置間における90゜等角度分割配列と
した埋込ボルト２２による固定としてある。

なお、クランプピン８の数を３等角度分割配置
の３本とすることもある。また、作動杆１７のス
トロークは被加工物５を確実に固定することがで
きる位置よりもさらに所要寸法だけ上昇した位置
を上限とし、下限は各クランプピン８の外端面８
ａがチヤツク本体１の外周面と完全に同一面をな
す下降位置、即ち第１図に示す位置よりも僅かに
下方としておくことが望ましい。

前記の構成からなる本考案の内径チヤツクは、
マニプレータ等、所定のロボツトにより外周部分
を挟持された歯車、爪車等の被加工物５をキヤツ
プ１８の直上方に臨ませ、静かにキヤツプ１８に
嵌め合せるようにして放すと、被加工物５は孔径
D₂がキヤツプ１８の基部及びチヤツク本体１の
外径D₁よりも大きいので、楽に嵌り、ボス部５
Ａの下端面がフランジ６に当接し安定する。

被加工物５が正しく供給されたことを機械的手
段、電気的手段などの検出手段により検出し、そ
の検出信号により作動杆１７を上昇させると、す
べてのクランプピン８が均等にチヤツク本体１の
外周面に突出し、被加工物５の孔部内面に圧接す
る。クランプピン８はくさび状の作動杆１７によ
つて圧出されるので、固定力は極めて大きく、か
つ求心的に被加工物５を固定する。

この状態で加工、例えば歯車のばり取り等を施
した被加工物５を取りはずす場合は、加工終了の
信号で作動杆１７を下降する。作動杆１７が下降
すると傾斜面１７ａが下降するので、傾斜面をな
す内端面８ｂが前記傾斜面１７ａにそれぞれ当接
しているすべてのクランプピン８は、一斉に圧縮
コイルスプリング１３の弾発的押圧力を受けてチ
ヤツク本体１の軸心方向に移動し、外端面８ａが
チヤツク本体１の外周面と同一面をなすか、ある
いは僅かに引込む。

この状態で再びロボツトにより被加工物５を取
上ることになるが、被加工物５が両面の加工を必
要とするときには一旦キヤツプ１８の上方に被加
工物５を上昇させたのち180゜反転させてから、再
度、さきに説明したようにしてキヤツプ１８上に
下降しチヤツク本体１に嵌め合せ、作動杆１７の
上昇で固定すればよい。

一方、テーパ状キヤツプ１８を被せてあるチヤ
ツク本体１は、案内孔７部分にクランプピン８が
臨むだけであるから、内部に切粉、切屑その他の
塵類が内部に入らず、従つて作動杆１７の傾斜面
１７ａとクランプピン８との間に塵芥が入ること
による被加工物の偏心固定は皆無となる。

特に、被加工物５の寸法が変ることによりチヤ
ツク交換を行なう場合、チヤツク本体１を加工機
側から取りはずしても構成部分がばらばらになら
ないので、取扱いが極めて容易となり、格納、整
理にも都合がよい。

［考案の効果］ 以上のように本考案の内径チヤツクは、外周部
に被加工物を受持するフランジを設けかつ中心孔
と該中心孔に直交する複数の案内孔とを有するチ
ヤツク本体と、前記中心孔に挿入されかつ前記案
内孔との対向する先端部に傾斜面を形成した作動
杆と、外端面より形成されたばね挿入孔と該ばね
挿入孔と直交する長孔とを有し、内端面を傾斜面
としたクランプピンと、前記チヤツク本体の先端
部より前記長孔を貫通して着脱自在に挿入される
サポートピンと、前記ばね挿入孔の底部と前記サ
ポートピンとの間に介装され、前記クランプピン
を前記作動杆に押圧するばねと、前記チヤツク本
体の先端部に装着されるキヤツプとからなるの
で、前記サポートピンは前記クランプピンの回転
を防止することにより、前記作動杆の傾斜面と前
記クランプピンの傾斜面との当接位置を規制して
クランプ作用を正確に行わせ、かつ前記クランプ
ピンをその内、外端面の摩耗により交換する場合
は、前記キヤツプを取外した後、前記サポートピ
ンをチヤツク本体の先端部より前記ばねを歪ませ
つゝ引き抜くことにより、前記チヤツク本体をチ
ヤツク取付用管軸に装着した状態で、前記クラン
プピンを前記チヤツク本体の案内孔より簡単に外
方に取外すことができ、その交換作業性が向上す
るとともに、前記ばね挿入孔の底部と前記サポー
トピンとの間に前記ばねを介装することにより、
前記クランプピン内端の傾斜面が前記作動杆先端
の傾斜面に常時弾性的に押圧されるから、前記作
動杆と前記クランプとの間に遊びがなく、前記作
動杆と前記クランプによる被加工物のクランプ作
動が迅速にかつ円滑に行われる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の内径チヤツクの実施例を被固
定物非固定状態で示した縦断面図、第２図は第１
図−線視断面図、第３図は被固定物固定状態
で示した縦断面図である。 １……チヤツク本体、４……袋ナツト、５……
被加工物、６……フランジ、７……案内孔、８…
…クランプピン、９……サポートピン、１０……
長孔、１１……ばね挿入孔、１１ａ……ばね挿入
孔の底部、１２……切欠、１３……圧縮コイルス
プリング、１４……シール部材、１７……作動
杆、１７ａ……傾斜面、１８……キヤツプ、２２
……埋込ボルト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 外周部に被加工物を受持するフランジを設けか
   つ中心孔と該中心孔に直交する複数の案内孔とを
   有するチヤツク本体と、前記中心孔に挿入されか
   つ前記案内孔との対向する先端部に傾斜面を形成
   した作動杆と、外端面より形成されたばね挿入孔
   と該ばね挿入孔と直交する長孔とを有し、内端面
   を傾斜面としたクランプピンと、前記チヤツク本
   体の先端部より前記長孔を貫通して着脱自在に挿
   入されるサポートピンと、前記ばね挿入孔の底部
   と前記サポートピンとの間に介装され、前記クラ
   ンプピンを前記作動杆に押圧するばねと、前記チ
   ヤツク本体の先端部に装着されるキヤツプとから
   なる内径チヤツク。