JPH0223481Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は自動車のシートベルト装置が係り、
乗員非拘束時に乗員乗降の邪魔にならず、かつシ
ートへ着座してのシートベルトの装着の際には誤
着やウエビングの捩れが起こらないようにした自
動車のシートベルト装置に関する。

従来のシートベルト装置としては、例え第１図
〜第２図に示すようなものがある。

図中、符号１はシートで、シート１はフロア２
にスライド自在に取り付けられたシートクツショ
ン３と、シートクツシヨン３に傾倒自在に取り付
けられたシートバツク４とからなつている。この
シート１にはシートクツシヨン３とシートバツク
４とを回転自在に接続し、シートバツク４を傾倒
させるリクライニングデバイス（図示せず）およ
びこのリクライニングデバイスを覆うカバー５が
取り付けられている。

フロア２にはシート１のドア側にリトラクター
６が設けられ、シート１の室内側に装着用バツク
ル７が設けられている。また、シートバツク４の
ドア側の側面上部にはベルト８を介してシートベ
ルトガイド９が取り付けられている。更に、ルー
フサイドレール１０には結合用バツクル１１が取
り付けられている。

リトラクター６から引き出されたウエビング１
２はシートベルトガイド９に挿通させられてい
る。シートベルトガイド９に挿通されたウエビン
グ１２には結合用バツクル１１に挿着自在なタン
グ片１３ａを有する結合用タング１３と装着用バ
ツクル７に挿着自在なタング片１４ａを有する装
着用タング１４とが順次挿通状態に設けられてい
る。そして、ウエビング１２の端末はリトラクタ
ー６に一体的に設けられている固定金具１５に固
定されている。

結合用タング１３がルーフサイドレール１０に
取り付けられた結合用バツクル１１に装着されて
いる場合にはシートベルトガイド９に挿通してい
る側のウエビング１２はドア寄り位置に設定さ
れ、装着用タング１４を設けた側のウエビング１
２はシート寄り位置に設定されている。

このようなシートベルト装置を使用する場合に
は、第１図に示すようにウエビング１２に設けら
れた結合用タング１３がルーフサイドレール１０
に取り付けられている結合用バツクル１１に挿着
されている状態で装着用タング１４をフロア２に
設けられている装着用バツクル７に挿着させる。

また、シートベルト装置を使用しない場合には
装着用バツクル７から装着用タング１４を取り外
すと共に結合用バツクル１１から結合用タング１
３を取り外す。このとき、ウエビング１２に設け
られている結合用タング１３と装着用タング１４
とは床に垂れ落ち、或いはリトラクター６に巻き
取られたりせず常に乗員が掴み易い位置にあるよ
うにシートベルトガイド９によつて保持されてい
る。

このような従来のシートベルト装置では、乗員
非拘束時に結合用タング１３が結合用バツクル１
１から取り外されると共に装着用タング１４が装
着用バツクル７から取り外されたときには第２図
に示すようにシートベルトガイド９によつて結合
用タング１３が保持されると共に装着用タング１
４も保持されて床に垂れ落ちることは防止され
る。

しかし、このとき、シートベルトガイド９に挿
通している側のウエビング１２はドア寄り位置に
設定され、装着用タング１４を設けた側のウエビ
ング１２はシート寄り位置に設定されていること
からシートベルトガイド９に挿通している側のウ
エビング１２はシートベルトガイド９で折り返さ
れて装着用タング１４を設けた側のウエビング１
２はシートバツク４の側面に対して車両上方から
みて反時計方向に180度、即ち一回転して捩れ、
装着用タング１４のタング片１４ａはシート寄り
に位置したままとなる。また、結合用タング１３
及び装着用タング１４はそれらのタング片１３
ａ，１４ａがウエビング１２に挟まれていずれも
フロア２に向けられてシートベルトガイド９に保
持される。従つて、結合用タング１３をルーフサ
イドレール１０に設けた結合用バツクル１１に再
び挿着しようとする際に、装着用タング４を間違
つて引き出すおそれがあり、極めて操作性が悪い
という問題点があつた。また、結合用タング１３
のタング片１３ａが装着用タング片１４ａと共に
ウエビング１２に挟まれて見えないことから、結
合用フロ１３の引き出し方向を誤つて第２図に矢
印Ａで示すような方向に引き出したときには捩れ
ているウエビング１２を更に捩つてしまうおそれ
があり、このようにウエビングが捩られた状態で
装着用タング１４を装着用バツクル７に挿着した
ときには捩れが直らず正常な使い方が難しくなる
という問題点があつた。

この考案は、このような従来の問題点に着目し
てなされたもので、殊にセンターピラーレス車で
そのドア開口部を有効に活かすため、シートベル
トがドア開口部を横切らないようにシートバツク
側面に位置した状態で保持されるシートベルト装
置において、乗員非拘束時に乗員乗降の邪魔にな
らず、かつシートへ着座してのシートベルトの装
着の際には誤着やウエビングの捩れが起こらない
ようにした自動車のシートベルト装置を提供する
ものである。この考案は上記の目的を達成するた
めに、 フロアに設置のリトラクターから引き出した
ウエビングをシートバツクのドア側側面に固定
のシートベルトガイドを通して、シートベルト
ガイドよりも先方のウエビング先方部に、車体
側部上方に設置の結合用バツクルに挿着自在の
結合用タングとフロアに設置の装着用バツクル
に装着自在の挿着用タングとの２つのタングを
設ける構成、 結合用タングを結合用バツクルから取り外し
てウエビングがリトラクターに巻取られ、シー
トベルトガイドと結合用タングとが当接した
際、装着用タングのタング片が下方を向き、結
合用タングのタング片が上方を向くように装着
用タングを結合用タングよりもウエビング先方
部の端末側に位置させる構成、 装着用タングを装着用バツクルに装着すると
きは装着用タングが室内側を向き、装着用タン
グを装着用バツクルから取り外したときは装着
用タングが室内側を向くようにウエビング先方
部であつて結合用タングからウエビングの端末
までの間の部分が捩られている構成、 を特徴としている。

以下、この考案を図面に基づいて説明する。

第３図〜第９図はこの考案の第１実施例を示す
図である。図において従来例と同一ないし均等な
部位又は部材には同一符号を付して重複した説明
を省略する。

この実施例ではシートベルトガイド９に挿通し
ている側のウエビング１２がシートバツク４寄り
位置に設定され、装着用タング１４を設けた側の
ウエビング１２がドア寄り位置に設定されてい
る。

また、この実施例に用いられているタング片１
４ａを有する装着用タング１４は二つ穴タングで
あり、装着用タング１４にウエビング１２が挿通
されたとき、ウエビング１２に対して装着用タン
グ１４が自重によつて落下（移動）しないように
保持能力を有する。

更に、リトラクター６に一体的に設けられてい
る固定金具１５はそれに固定されるウエビング１
２の表面がシートバツク４の側面と平行となるよ
うな角度に設定されている。そして、装着用タン
グ１４を設けた側のウエビング１２は装着用タン
グ１４と固定金具１５との間でシートバツク４の
側面に対して車体上方からみて反時計方向に180
度、即ち反転するように捩られている。このと
き、ウエビング１２に挿通された状態で設けられ
ている装着用タング１４のタング片１４ａは第３
図に示すようにドア寄りに位置している。

次に作用を説明する。

この実施例のシートベルト装置を使用する場合
には、第７図に示すようにウエビング１２を挿通
させている結合用タング１３をルーフサイドレー
ル１０に取り付けられている結合用バツクル１１
に挿着する。このとき、装着用タング１４を設け
た側のウエビング１２は装着用タング１４と固定
金具１５との間でシートバツク４の側面に対して
車体上方からみて反時計方向に180度の角度で捩
られている。

そこで、図示しないがシート１に着座している
乗員が装着用タング１４を手で持つて第８図に示
すように装着用タング１４を設けた側のウエビン
グ１２の捩れを戻すようにシートバツク４の前方
を通して室内側に引つ張る。このとき、シートベ
ルトガイド９に挿通している側のウエビング１２
はリトラクター６から引き出される。そして、装
着用タング１４を第９図に示すようにフロア２で
室内側に設けられている装着用バツクル７に挿着
させることによつて使用に供される。このとき、
装着用タング１４を設けた側のウエビング１２は
捩れが戻されるので、ウエビング１２が捩れるこ
とはない。

次にシートベルト装置を使用しない場合には、
第３図及び第６ａ図に示すような装着用バツクル
７から装着用タング１４が取り外された状態から
更に第６ｂ図に示すように結合用バツクル１１か
ら結合用タング１３を取り外すと、シートベルト
ガイド９に挿通している側のウエビング１２がシ
ートバツク４寄り位置に設定され、装着用タング
１４を設けた側のウエビング１２がドア寄り位置
に設定されているので、シートベルトガイド９に
挿通している側のウエビング１２は折り返えされ
ることなくそのままリトラクター６に引き戻され
てタング片１３ａを上方に向けたまま結合用タン
グ１３がシートベルトガイド９に向つて移動す
る。そして、移動する結合用タング１３は第６ｃ
図に示すようにシートベルトガイド９で保持され
ることによつて停止する。結合用タング１３が結
合用バツクル１１に挿着された状態では装着用タ
ング１４がシートベルトガイド９よりも高い位置
に設けられているので、結合用タング１３がシー
トベルトガイド９に保持されたときには装着用タ
ング１４を設けた側のウエビング１２は第６ｃ図
に示すようにたるむ。しかし、その後はリトラク
ター６がウエビング１２を引つ張ることによつて
ウエビング１２自体が装着用タング１４および結
合用タング１３を滑り、第５図及び第６ｄ図に示
すようにウエビング１２のたるみはなくなる。こ
のようにウエビング１２のたるみがなくなつたと
きにはシートベルトガイド９と装着用タング１４
との間に挟まれている結合用タング１３はウエビ
ング１２によつて引つ張られた装着用タング１４
の結合用タング１３に対する圧接により、第４
図、第５図及び第６ｄ図に示すようにシートベル
トガイド９と装着用タング１４間に結合用タング
１３がそのタング片１３ａを上方に向けて挟着保
持される。このとき、装着用タング１４のタング
片１４ａは第４図、第５図及び第６ｄ図に示すよ
うにフロア２に向けられてドア寄りに位置してい
る。従つて、結合用タング１３をルーフサイドレ
ール１０に設けられている結合用バツクル１１に
再び挿着しようとする際に、装着用タング１４を
間違つて引き出すおそれはなくなると共に結合用
タング１３の引き出し方向を誤ることもなくなつ
てウエビング１２が更に捩れることもない。

この実施例ではリトラクター６に一体的に設け
られている固定金具１５はそれに固定されるウエ
ビング１２の表面がシートバツク４の側面と平行
となるように形成されているので、装着用タング
１４を設けた側のウエビング１２は装着用タング
１４と固定金具１５との間でシートバツク４の側
面に対して車体上方からみて反時計方向に180度
の角度で捩るようにしているが、固定金具１５が
それに固定されるウエビング１２の表面がシート
バツク４の側面に対して90度となるような角度に
形成されているときにはウエビング１２を装着用
タング１４と固定金具１５との間でシートバツク
４の側面に対して車体上方からみて反時計方向に
90度捩るようにすれば良いことは勿論である。

更に、固定金具１５がリトラクター６に一体的
に設けられているが、別体としても良いことは勿
論である。

第１０図〜第１３図にはこの考案の第２実施例
を示す。

この実施例は装着用タング２４の構成が第１実
施例の装着用タング１４と相違する。第１実施例
の装着用タング１４は二つ穴でウエビング１２が
挿通されたときにウエビング１２上を装着用タン
グ１４の自重では容易に落下（移動）させないよ
うにするタングストツパー機能をそれ自体有する
ものであるが、第２実施例の装着用タング２４は
第１３図に示すようにウエヒング１２が挿通自在
な一つ穴を有する一つ穴タング２４ａと、一つ穴
タング２４ａをウエビング１２の所定位置で保持
させるウエビング１２に固定されるリング状のタ
ングストツパー２４ｂとからなり、タングストツ
パー２４ｂはウエビング１２にネジ２４ｃで固定
されている。従つて、ウエビング１２に挿通され
る装着用タング２４の一つ穴タング２４ａはタン
グストツパー２４ｂの上方に位置するようにウエ
ビング１２に挿通され、一つ穴タング２４ａの落
下はタングストツパー２４ｂによつて阻止されて
いる。

シートベルト装置が使用されない状態である結
合用タング１３が結合用バツクル１１から取り外
されると共に装着用タング２４が装着用バツクル
７から取り外された場合には第１２図に示すよう
にウエビング１２がリトラクター６によつて引つ
張られることによつて、第１実施例と同様に結合
用タング１３はそのタング片１３ａを上方に向け
られたままシートベルトガイド９と装着用タング
２４との間に挟持保持される。

この実施例の作用は第１実施例と同様であるの
で説明を省略する。

以上説明してきたように、この考案によれば、
その構成を、 フロアに設置のリトラクターから引き出した
ウエビングをシートバツクのドア側側面に固定
のシートベルトガイドを通して、シートベルト
ガイドよりも先方のウエビング先方部に、車体
側部上方に設置の結合用バツクルに挿着自在の
結合用タングとフロアに設置の装着用バツクル
に挿着自在の挿着用タングとの２つのタングを
設ける構成、 結合用タングを結合用バツクルから取り外し
てウエビングがリトラクターに巻取られ、シー
トベルトガイドと結合用タングとが当接した
際、装着用タングのタング片が下方を向き、結
合用タングのタング片が上方を向くように装着
用タングを結合用タングよりもウエビング先方
部の端末側に位置させる構成、 装着用タングを装着用バツクルに装着すると
きは装着用タングが室内側を向き、装着用タン
グを装着用バツクルから取り外したときは装着
用タングが室内側を向くようにウエビング先方
部であつて結合用タングからウエビングの端末
までの間の部分が捩られている構成、 としたため、乗員非拘束時にウエビングがリトラ
クター内に巻取られ、シートバツク側方に位置し
た状態で保持され、殊にセンターピラーレス車で
はドア開口部が有効に活かされるので乗員乗降の
邪魔にならず、またウエビングがリトラクター内
に巻取られた際に結合用タングが上を向き、装着
用タングが下を向くのでシートへ着座してのシー
トベルトの装着の際に上向きの結合用タングをそ
のまま掴んで上に向かつて自然に引き出す動作に
移ることができ、役割のちがう２つのタングを区
別することができ、誤着が起こらず、さらに、装
着用タングが室外側に向いていても捩れが与えら
れているのでウエビングをリトラクターから引き
出してフロアに設置の装着用バツクルに装着する
際に装着用タングが室内側に向くので操作性が良
好であるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のシートベルト装置を示す斜視
図、第２図は同装置の結合用タングと装着用タン
グとがシートベルトガイドに保持された状態を示
す斜視図、第３図はこの考案の第１実施例のシー
トベルト装置を示す斜視図、第４図は同装置の第
２図と同様な図、第５図は同装置の結合用タング
と装着用タングとがシートベルトガイドに保持さ
れた状態を示す断面図、第６ａ〜ｄ図は同装置の
結合用タング等がシートベルトガイドに保持され
るまでの状態を示す説明図で、第６ａ図は結合用
タングが結合用バツクルに挿着された状態を示
し、第６ｂ図は結合用タングが結合用バツクルか
ら外れた状態を示し、第６ｃ図は結合用タングが
シートベルトガイドに保持された直後の状態を示
し、第６ｄ図は結合用タングがシートベルトガイ
ドに保持された状態を示し、第７図〜第９図は同
装置の装着用タングが装着用バツクルに挿着され
るまでの状態をそれぞれ示す斜視図で、第７図は
装着用タングがドア寄り位置にある状態を示し、
第８図は装着用タングが室内寄り位置にある状態
を示し、第９図は装着用タングが装着用バツクル
に挿着された状態を示し、第１０図はこの考案の
第２実施例のシートベルト装置を示す斜視図、第
１１図は同装置の結合用タングと装着用タングと
がシートベルトガイドに保持された状態を示す斜
視図、第１２図は同装置の結合用タングと装着用
タングとがシートベルトガイドに保持された状態
を示す断面図、第１３図は同装置の装着用タング
がウエビングに挿通されている状態を示す一部を
省略した斜視図である。 １……シート、２……フロア、３……シートク
ツシヨン、４……シートバツク、６……リトラク
ター、７……装着用バツクル、９……シートベル
トガイド、１０……ルーフサイドレール（車体側
部上方）、１１……結合用バツクル、１２……ウ
エビング、１３……結合用タング、１４……装着
用タング、１５……固定金具、２４……装着用タ
ング、２４ａ……一つ穴タング、２４ｂ……タン
グストツパー。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) フロアに設置のリトラクターから引き出した
   ウエビングをシートバツクのドア側側面に固定
   のシートベルトガイドを通して、シートベルト
   ガイドよりも先方のウエビング先方部に、車体
   側部上方に設置の結合用バツクルに挿着自在の
   結合用タングとフロアに設置の装着用バツクル
   に挿着自在の装着用タングとを設け、前記ウエ
   ビング先方部の端末を前記フロアに設置の固定
   金具に固定し、前記リトラクターから前記結合
   用タングに至るまでの前記ウエビング部を前記
   シートバツクに近い側に位置させ、前記固定金
   具に固定された前記ウエビング端末から前記結
   合用タングに至るまでの前記ウエビング部を前
   記シートバツクから遠い側に位置させ、前記結
   合用タングを前記結合用バツクルから取り外し
   て前記ウエビングが前記リトラクターに巻取ら
   れ、前記シートベルトガイドと前記結合用タン
   グとが当接した際、前記装着用タングのタング
   片が下方を向き、前記結合用タングのタング片
   が上方を向くように該装着用タングを前記結合
   用タングよりも前記ウエビング先方部の端末側
   に位置させ、前記装着用タングを前記装着用バ
   ツクルに装着するときは前記装着用タングが室
   内側を向き、前記装着用タングを前記装着用バ
   ツクルから取り外したときは前記装着用タング
   が室外側を向くように前記ウエビング先方部で
   あつて前記結合用タングから前記ウエビングの
   端末までの間の部分が捩られていることを特徴
   とするシートベルト装置。 (2) 装着用タングはウエビングを通し、前記ウエ
   ビングに対して保持能力を有する二つ穴タング
   であることを特徴とする実用新案登録請求の範
   囲第１項記載のシートベルト装置。 (3) 装着用タングはウエビングが挿通自在な一つ
   穴タングと、前記一つ穴タングと前記固定金具
   との間に設けられ、前記一つ穴タングの前記ウ
   エビングにおける移動を阻止するタングストツ
   パーとからなることを特徴とする実用新案登録
   請求の範囲第１項記載のシートベルト装置。