JPH0223440Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は加硫成形時にインク層の艶が損なわれ
ず、しかも、皺が発生しないように改善されたゴ
ム用転写マークに関する。

〔従来技術〕

従来、ゴム用転写マークとしては、剥離紙にゴ
ム成分を含有する印刷用インク層を積層したもの
と、ポリエステルフイルムにゴム成分を含有する
印刷用インク層を積層したものがある。

これら従来のゴム用転写マークを用いて例えば
自転車用ゴムタイヤのサイドウオール等のゴム製
品にマークを転写する方法としては、加硫前成形
後にゴム製品の所定の位置に転写マークを貼り、
剥離紙またはポリエステルフイルムを剥がしてか
ら加硫成形する方法と、加硫前成形後にゴム製品
の所定の位置に転写マークを貼り、剥離紙または
ポリエステルフイルムをつけたまま加硫成形し、
その後に剥離紙またはポリエステルフイルムを剥
がす方法がある。

〔考案が解決しようとする問題点〕

剥離紙にゴム成分を含有する印刷用インク層を
積層した転写マークを用いて、加硫成形前に剥離
紙を剥がす方法では、加硫に使用する金型の表面
の形状が転移する為に印刷表面の艶が出ない。
又、剥離紙にゴム成分を含有する印刷用インク層
を積層した転写マークを用いて、加硫成形後に剥
離紙を剥がす方法では、ゴム製品の加硫時の変形
に対し剥離紙が順応変形出来ない為に剥離紙やこ
れに付着していたインク層に皺及び亀裂が生じ、
剥離紙を剥がした後のマークの外観が損なわれた
り、マークの位置ずれが生じたりすることが多
い。特に、加硫前成形で直線状に形成された半製
品をリング状に曲げて加硫成形する自転車用ゴム
タイヤにマークを転写する場合には皺や位置ずれ
が非常に発生しやすい。

又、ポリエステルフイルムにゴム成分を含有す
る印刷用インク層を積層した転写マークを使用す
る場合には、加硫成形時にポリエステルフイルム
の表面の光沢が転移してマークに艶が出る。しか
し、ゴム半製品の加硫前成形時に貼り付けた転写
マークのポリエステルフイルムを剥がそうとして
も、通常、ポリエステルフイルムとインク層との
結合力がインク層とゴム製品との結合力よりも強
いので、ポリエステルフイルムのみを剥がすのが
困難である。そこで、ポリエステルフイルムにゴ
ム成分を含有する印刷用インク層を積層した転写
マークを使用する場合には、加硫成形後にポリエ
ステルフイルムが剥がされるのが通例である。し
かしながら、ゴム製品が加硫時変形するのに対し
てポリエステルフイルムの順応変形性は極端に小
さく、また、ポリエステルフイルムは比較的伸縮
性が乏しいので、ポリエステルフイルムやこれに
付着していたインク層に皺が生じ、ポリエステル
フイルムを剥がした後のマークの外観が損なわれ
たり、マークの位置ずれが生じたりすることが多
い。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は上述の事情を考慮して、印刷表面の艶
を損なわず、しかも、皺やマークの位置ずれが生
じないようにしたゴム用転写マークを提供するこ
とを目的とするものである。

本考案に係るゴム用転写マークは、伸縮性があ
り、耐熱性を有するフイルム層に、熱可塑性を有
する剥離層及びゴム成分を含有する印刷用インク
層を積層したことを特徴とするものである。

〔作用〕

このように構成されたゴム用転写マークは加硫
前成形されたゴム製品の所定の位置に貼り、フイ
ルム層をつけたまま加硫成形し、その後でフイル
ム層を剥がすことによつてマークが所定の位置に
定着される。フイルム層をつけたまま加硫成形を
するので、加硫成形時にフイルム層の表面の光沢
がインク層に移転してインクに艶を与えることに
なる。また、フイルム層が伸縮性および耐熱性を
有するので、ゴム製品が加硫時に変形するのに対
してフイルム層がゴム製品に追随して伸長変形す
るので、インク層、即ち、マークがこれに対応す
るゴム製品の部位と同じように伸縮し、フイルム
層やこれに付着していたインク層に皺や位置ずれ
が生じなくなる。

〔実施例〕

以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明
する。

第１図は本考案に係るゴム用転写マークを模式
的に示す断面図であり、このゴム用転写マーク１
は、伸縮性があり、耐熱性を有する、例えば、ナ
イロン製のフイルム層２と、これに順次積層され
る熱可塑性を有する剥離層３と、ゴム成分を含有
する印刷用インク層４とを有している。

通常、このゴム用転写マーク１はフイルム層２
が台紙５に容易に剥離できるように接着された状
態で市場に供給される。

フイルム層２は、ナイロンフイルムに限定され
るものではなく、その他の伸縮性および耐熱性を
有する合成樹脂フイルムで構成してもよい。

剥離層３は、例えば合成ゴム100部、硫黄１〜
1.5部、亜鉛華３部、クマロン２〜３部、老化防
止剤１〜２部、ステアリン１部を混合した混合物
で形成される。

インク層４は、例えば合成ゴム100部、硫黄１
〜1.5部、クマロン１〜２部、老化防止剤１〜２
部、ステアリン１部に適量の着色料を混入したも
のが使用される。

尚、このゴム用転写マーク１には、必要に応じ
て接着層６を付加的に積層することが可能であ
る。

このように構成されたゴム用転写マーク１は、
台紙５から剥がして加硫前成形されたゴム製品
（図示せず）の所定の位置に、インク層４側が密
着するように貼り着けられ、フイルム層２をつけ
たまま加硫成形し、その後でフイルム層２を剥が
すことによつてマークが所定の位置に定着され
る。

このようにフイルム層２をつけたまま加硫成形
をするので、加硫成形時にフイルム層２の表面の
光沢が移転し、インクに艶を与えることになる。
また、フイルム層２が伸縮性および耐熱性を有す
るので、ゴム製品が加硫時変形するのに対してフ
イルム層２がゴム製品の変形に追随して伸長し、
インク層４、即ち、マークがこれに対応するゴム
製品の部位と同じように伸縮し、フイルム層２や
これに付着していたインク層４に皺や位置ずれが
生じなくなる。

更に、上記剥離層３は、加硫成形前にはインク
層４とフイルム層２とを強固に接着するのである
が、熱可塑性を有するので、加硫成形時にインク
層４に溶着ないし融着されてインク層４と一層強
固に結合するので、加硫成形時に冷却されて硬化
した状態ではこの剥離層３を境にしてフイルム層
２を簡単に剥離できるようになる。

〔考案の効果〕

以上のように本考案によれば、フイルム層をつ
けたまま加硫成形することにより、加硫成形時に
インクの艶を出す為のフイルム層を付けたまま加
硫成形出来るので、印刷表面の艶が損なわれない
ようにできる。また、フイルム層が伸縮性および
耐熱性を有するので、ゴム製品が加硫成形時に変
形するのに対してフイルム層がゴム製品の伸縮に
追随して伸縮し、フイルム層やこれに付着してい
たインク層に皺や位置ずれが生じなくなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るゴム用転写マークを模式
的に示す断面図である。 ２……フイルム層、３……剥離層、４……イン
ク層。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 伸縮性があり、耐熱性を有するフイルム層に、
   熱可塑性を有する剥離層及びゴム成分を含有する
   印刷用インク層を積層したことを特徴とするゴム
   用転写マーク。