JPH0221232Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、Ｂ−Ｂ型あるいはサテライト型のオ
フセツト輪転印刷機のブランケツト胴洗浄装置に
関するものである。

（従来の技術） 一般に、オフセツト輪転印刷機においては、長
時間運転した場合、ブランケツト胴表面に堆積、
硬化した残留インキや紙粉、クレイ等が付着して
印刷効果を著しく低下させる。

従来、このようなブランケツト胴を洗浄するに
は、手作業にて胴面を洗浄していた。

（考案が解決しようとする問題点） しかし、このような手作業による洗浄は、印刷
機の稼動を一旦停止させて行なわなければならな
いところから、作業能率の低下を招き、また印刷
物の品質の安定性を欠くという欠点がある。

本考案は、このような点に鑑みて案出されたも
ので、その目的とするところは、運転中に洗浄を
行なうようにするとともに、その小型化を図るに
ある。

（問題点を解決するための手段） 第１図に示すものは、一般的なＢ−Ｂ型オフセ
ツト輪転印刷機であり、２組の版胴Ｐ，P′とブラ
ンケツト胴１，１′から構成される両面刷の印刷
機であり、印刷用紙Ｗは、相接するブランケツト
胴１，１′の間を通つて、両面同時に印刷される
ように構成されている。

そこで先ず、上下のブランケツト胴の表面であ
つて、印刷部より回転方向前方にハウジングをそ
れぞれ配設し、これらそれぞれのハウジング内に
おいて、ブランケツト胴の回転と同一方向に回転
するブラシロールをブランケツト胴表面に接触す
るようにそれぞれ配設するとともに、それぞれの
ブランケツト胴表面に対し、回転方向の上記接触
点より後方に洗浄液を噴射するスプレーノズルを
それぞれ配設して、ブランケツト胴洗浄装置を構
成した。

ブランケツト胴とブラシロールの回転方向を考
えると、洗浄効果の点で接触面の相対速度が大き
くなる方向、すなわち、両者の同一方向に回転す
るようにしている。

しかしながら、このものは、下側ブランケツト
胴において洗浄液が上方に飛散することになり、
この飛散した液滴がブランケツト胴に落下するこ
とにより、印刷物に悪影響を及ぼすことがあつ
た。

そこで、本考案にあつては、ブラシロールの回
転方向とブランケツト胴の回転方向を同一にする
ために生じる前記廃液による問題点を、下側のハ
ウジング天板にブランケツト胴表面から外方に向
かつて水平方向よりも下方に傾斜するひさし部を
設けるとともに、このひさし部の傾斜低部をブラ
シロールの上方にあるように構成することによ
り、飛散してハウジング天板に衝突した洗浄廃液
が洗浄完了後も、このひさし部に沿つて流れ落
ち、その低部からブラシロールに落下するように
している。

（実施例） 以下、本考案を第２図に示す実施例について説
明する。

１，１′はＢ−Ｂ型輪転印刷機において相接す
るブランケツト胴の上胴と下胴であつて、矢印Ｂ
は用紙Ｗの流れを示している。

２は、上胴１と接触し、これと同一方向に回転
するブラシロールである。

同様に２′は下胴１′と接触し、これと同一方向
に回転するブラシロールである。

ブラシロール２，２′をブランケツト胴１，
１′と同一方向に回転することにより接触面にお
けるブランケツト胴とブラシロールの相対速度が
大きくなり、良好な洗浄効果を得ることができ
る。

３，３′は上下のブランケツト胴１，１′の印刷
部から回転方向前方にそれぞれ配設されたハウジ
ングであり、廃液、ミスト等の周囲への飛散を防
止するものである。

ハウジング３には、ブラシロール２よりも下方
の位置に、ブラシロール２と平行に洗浄液供給路
４が一体的に形成されており、これの偏平な側壁
４ａには、洗浄液供給路４に通ずるスプレーノズ
ル５が複数取り付けられていて、これからブラン
ケツト胴１に対して、ブラシロール２との接触位
置よりも回転方向後方に洗浄液を噴射するように
なつている。

洗浄液供給路４をハウジング３と一体とするこ
とは、ハウジングのコンパクト化を図る上で大き
な効果がある。

ハウジング３′にも同様に、洗浄液供給路４′が
一体的に形成され、その偏平な側壁４a′には洗浄
液供給路４′に通ずるスプレーノズル５′が取付け
られ、これらはブランケツト胴２′の回転方向の
関係上、ブラシロール２′よりも上方に位置して
いる。

この際、ブラシロール２′は、図中反時計方向
に回転するものであるから、洗浄廃液、ミスト等
は上方に飛散し、ハウジング３′の上部に衝突す
ることになるが、ハウジング３′の天板には、ひ
さし部３ａが形成されており、このひさし部３ａ
はブランケツト胴１′から外方に向かつて水平方
向より下方に傾斜しているので、液滴はこれに沿
つて流れ落ち、ブラシロール２′の上方に位置す
るひさし部３ａの底部の屈曲部３ｂからブラシロ
ール２′上に落下するようになつている。

このひさし部３ａの角度は適宜に選定し得るも
のであるが、水平方向から15゜程度傾斜せしめた
ものがよく、その低部の屈曲部３ｂは、ブラシロ
ール２′の上方にあることが条件である。

ハウジング３，３′下部には、廃液、ミスト等
の受け部３ｃ，３c′が形成されており、この受け
部３ｃ，３c′は各々排出管７，７′と連通してい
る。

以上のようなハウジング３，３′は、例えばア
ルミニウムで一体成形されるものであつて、内壁
がテフロン、シリコン等の撥水、撥油性の物質で
処理されており、汚物が付着しにくいようになつ
ているが、この処理は必ずしも内壁全面に施す必
要のあるものでなく、内壁下部に対してのみ施す
こともある。

また、スプレーノズル５，５′には、その噴射
口の詰まり防止のため、焼結ブロンズフイルター
が内装されている。

６，６′は、ブラシロールに対して接触するよ
うに、これと平行に張設されたピアノ線等の線材
よりなるブラシロール自体のクリーナーである
が、その張設位置は適宜選定しえるものである。

さて、以上のような本考案洗浄装置の作動状態
は次のようになる。

すなわち、先ずブランケツト胴１，１′にスプ
レーノズル５，５′より洗浄液が噴射されるとと
もに、ブラシロール２，２′を回転させ洗浄が開
始される。

適正な洗浄液量を噴射後、スプレーノズル５，
５′からの噴射をとめ、その後も回転し続けるブ
ラシロール２，２′によりブランケツト胴１，
１′表面の洗浄が行われる。

以上のように短時間で良好な洗浄効果を得るこ
とができる。

なお、印刷機の緩動時（ブランケツト胴の回転
速度５ｍ／min〜10ｍ／minで、印刷機を動かす
ことがある。）に洗浄する場合、スプレーノズル
から連続滴に洗浄液を噴射することは、液量過多
となるので、液を間欠滴に噴射することもでき
る。

又、ブランケツト胴の両側端部にあるベアラ面
Ａ（印圧の基準面）に若干付着した洗浄廃液が回
転中に飛散し、汚れを発生する場合があるが、そ
の際、第２図のようにハウジング３，３′と連結
したスポンジ状の物質からなるワイパー８，８′
を取り付けて、上記ベアラ面Ａに押しつけておく
ことにより、汚れを防止することもできる。

なお、上記実施例はサテライト型印刷機にも適
用しうるものである。

（考案の効果） 本考案は、上下のブランケツト胴の印刷部より
回転方向前方にハウジングをそれぞれ配設し、こ
れらのハウジング内においてブランケツト胴と同
じ方向に回転するブラシロールを、ブランケツト
胴に接触するようにそれぞれ配設するとともに、
ブランケツト胴に対し、接触点より回転方向の後
方に洗浄液を噴射するようにスプレーノズルを配
設したものであるから、ブランケツト胴を停止す
ることなく運転中において洗浄することができ、
これがため洗浄による印刷能力の低下を防ぐこと
ができる。

ブラシロールはハウジング内に配設されている
から、ブラシロールによる廃液、ミスト等の外方
への飛散を防ぎ、洗浄作業になんら支障をきたす
ようなことはない。

また、下側ハウジングにあつては、ブランケツ
ト胴側から外方向に向う天板のひさし部が水平よ
り下方に傾斜し、その傾斜低部をブラシロールの
上方にあるようにしたから、ハウジング内の廃
液、ミスト等の飛散は、天板の傾斜ひさし部を伝
わつて低部よりブラシロール上に落下することに
より、これがためブランケツト胴を汚損すること
がなく、これが延いては印刷物の品質の向上に寄
与することになる。

しかも、このような装置がハウジング内に配設
されるものであるから、装置全体をコンパクトに
小形化することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はＢ−Ｂ型印刷機の印刷ユニツトの概略
側面図、第２図は本考案洗浄装置を示す概略説明
図である。 １，１′……ブランケツト胴、２，２′……ブラ
シロール、３，３′……ハウジング、３ａ……ひ
さし部、３ｂ……傾斜低部、４，４′……洗浄液
供給路、５，５′……スプレーノズル、６，６′…
…ブラシロールクリーナー、７，７′……排出管、
８，８′……ベアラーワイパー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上下のブランケツト胴の表面であつて、印刷部
   より回転方向前方にハウジングをそれぞれ配設
   し、これらそれぞれのハウジング内において、ブ
   ランケツト胴の回転と同一方向に回転するブラシ
   ロールをブランケツト胴表面に接触するようにそ
   れぞれ配設するとともに、それぞれのブランケツ
   ト胴表面に対し、回転方向の上記の接触点より後
   方に洗浄液を噴射するスプレーノズルをそれぞれ
   配設し、かつ下側ハウジング天板にはブランケツ
   ト胴表面から外方に向かつて水平方向よりも下方
   に傾斜するひさし部を設けるとともに、このひさ
   し部の傾斜低部をしてブラシロールの上方にある
   ように構成したオフセツト輪転印刷機のブランケ
   ツト胴洗浄装置。