JPH0221024Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 【考案の技術分野】

本考案は所定時間毎に正逆方向に切り換えられ
て回転する回転翼を具えた洗濯機に於いて、洗濯
水中に浮遊する繊維くず等の浮遊物を除去する洗
濯機の浮遊物除去装置に関し、特に洗濯水を強制
循環することで浮遊物を除去できるようにしたも
のである。

【従来技術と問題点】

電気洗濯機は、その洗濯槽の底部に露出して設
けた羽根車をモータにより正、逆方向に所定時間
毎に繰返し回転することに依り洗濯槽内の洗濯水
を撹拌しかつランキン渦を生じさせ、これにより
衣類、その他の洗濯物を洗濯するようにしてい
る。 しかるに洗濯物を水及び洗剤とともに撹拌する
とき、洗濯物に付着している塵埃及び洗濯時に洗
濯物同志の摩擦、回転する羽根車あるいは槽内壁
との摩擦等により生じる繊維くずは洗濯物から分
離して洗濯水中に浮遊するが、このような浮遊物
は洗濯中に除去しないと、洗濯物に再び付着し、
特に厚手の衣類等にあつては毛玉を生じさせる要
因となつてしまう。 そこで従来にあつては、浮子を取付けた浮遊物
捕集網を洗濯水の上面層に浮遊させ、繊維くず等
の浮遊物を捕集するようにしているが、この捕集
網は表層部に浮遊する繊維くず等を除去できるも
のの、洗濯水の中層以下に浮遊している繊維くず
等は除去できる。このため、洗濯された衣類等へ
の浮遊物の付着あるいは毛玉の発生は免れず、そ
の解決が要望されている。

【考案の目的】

本考案は上記のような点に鑑みなされたもの
で、その目的とするところは、所定時間毎に正逆
方向に切り換えられて回転する回転翼を具えた洗
濯機に於いて、当該回転翼に設けられた羽根車の
回転を利用して洗濯水を強制循環させ、この洗濯
水循環系路に設けた捕集バツグで洗濯水中の浮遊
物を捕集することにより浮遊物の除去を確実に
し、洗濯物への浮遊物の付着及び毛玉の発生を減
少させるようにした洗濯機の浮遊物除去装置を提
供するにある。

【考案の構成】

上記目的を実現するために本考案に係る洗濯機
の浮遊物除去装置は、所定時間毎に正逆方向に切
り換えられて回転する回転翼４を具え、かつ、洗
濯槽２の一部に上下方向に延ばして形成した洗濯
水導入部１０と、上記洗濯水導入部１０の下端と
上記洗濯槽２の底部に配設した回転翼４の下面側
とを連通する洗濯水吸込通路１１とを具えた洗濯
機に於いて、上記した回転翼４は、多数の噴出口
８を穿設すると共に、当該噴出口８をその下面に
おいて左右に２分する如く羽根９を垂設して成る
ものとし、また、上記洗濯水導入部１０の洗濯槽
側開口を覆い、かつ多数の洗濯水吸込穴１３を有
するカバー板１２を設けると共に、当該カバー板
１２は、内方へ円弧状に突出する彎曲形状となし
た渦水流衝突面１２ａ，１２ａを左右対称的に連
設して成るものとし、更に、上記洗濯水導入部１
０内に挿脱可能にセツトするバツク支持体１４
は、上記カバー板１２の渦水流衝突面１２ａ，１
２ａに対向して配設される左右対称的な一対の洗
濯水ガイド板１５，１５を有し、当該ガイド板１
５，１５はその横断面が円弧状を成す形状とする
と共に、当該ガイド板１５，１５の上端は、洗濯
水導入部１０の上部開口１０ａを閉鎖する蓋材１
６に一体に固着すると共に、その下端は、浮遊物
捕集バツグ１７を着脱自在に取り付けた取付枠１
８に固着するように構成したものである。

【考案の実施例】

以下、本考案の実施例を図面について説明す
る。 第１図〜第７図は本考案にかかる洗濯機の浮遊
物除去装置の一例を示すもので、洗濯機のハウジ
ング本体１の内部には洗濯槽２が設置され、この
洗濯槽２の底部凹部３内には洗濯用の回転翼４が
配置されており、この回転翼４は洗濯槽２の凹部
底壁を水密に貫通する回転軸５の先端に固着され
ているとともに、凹部底壁を貫通して下方に突出
する回転軸５の下端部は上記ハウジング本体１内
の下部に設置した正、逆方向に切換えられるクラ
ツチ（図示せず）を内蔵した減速機６に連結支持
され、さらに減速機６は電動機７によつて駆動さ
れるようになつている。また、上記回転翼４には
第２図、第６図及び第７図に示す如く多数の噴出
口８が穿設されており、この噴出口８に対向して
回転翼４の裏面にその正、逆回転に伴つて凹部３
内の洗濯水をすくい上げて上記噴出口８から上方
への噴出させる羽根９が一体形成されている。 １０は上記洗濯槽２の一つの角部に外方に突出
して一体に形成したダクト状の洗濯水導入部で、
この洗濯水導入部１０は洗濯槽２の上下方向に延
設され、その下端は洗濯槽２に一体に形成した吸
込通路１１を介して上記凹部３に連通されてい
る。また、上記洗濯水導入部１０の洗濯槽２側に
開放する面はカバー板１２により覆われ、このカ
バー板１２の渦水流衝突面１２ａ，１２ａは内方
へ円弧状に突出する彎曲形状をなしており、この
渦水流衝突面１２ａ，１２ａには、第３図に示す
如く多数の洗濯水吸込穴１３が長手方向に配列し
て穿設されている。１４は上記洗濯水導入部１０
内に挿脱可能にセツトされるバツグ支持体で、上
記カバー板１２の渦水流衝突面１２ａ，１２ａに
対向して配置される一対の洗濯水ガイド板１５，
１５を有し、このガイド板１５，１５はその横断
面が円弧状をなす形状になつているとともに、上
記渦水流衝突面１２ａ，１２ａの吸込穴１３から
吸入される洗濯水が下方に向け流れ易くなるよう
に傾斜されており（第４図参照）、そしてガイド
板１５，１５の上端は、洗濯水導入部１０の上部
開口１０ａを閉鎖する蓋材１６に一体に固着さ
れ、下端は浮遊物捕集バツグ１７の取付枠１８に
一体に固着され、この取付枠１８には上記ガイド
板１５，１５に対応して洗濯水流入開口１９ａ，
１９ａが形成されている。上記浮遊物捕集バツグ
１７は取付枠１８の下端側に交換可能に取付けら
れるものである。２０はオーバーフロー用排水
口、２１は上記蓋材１６に設けたつまみ部であ
る。また、２２は上記洗濯水導入部１０の内壁に
突設した受部で、上記バツク支持体１４のバツグ
取付枠１８が載置係合するものである。 次の上記のように構成された本実施例の作動に
ついて説明する。 洗濯に際しては、まず、浮遊物捕集バツグ１７
を取付けた支持体１４を洗濯水導入部１０内にセ
ツトし、かつ洗濯槽２内に洗濯物の量に応じた量
の水を洗剤とともに充填する。しかる後、電動機
７を起動して、その回転をクラツチ付き減速機６
を介して回転軸５に伝達し、回転翼４を回転させ
る。このとき、回転翼４は図示しないタイマー指
令により減速機６のクラツチを切換えることで
正、逆方向に所定時間間隔で回転される。これに
伴い洗濯槽２内の水は回転翼４の回転によつて第
２図の矢印Ｘ１又はＸ２方向に撹拌流動されラン
キン渦となる。 一方、回転翼４の回転に伴つて凹部３内の洗濯
水が羽根９によりすくい上げられ、噴出口８から
回転翼４の上方へ噴流される。このとき回転翼４
の上面にある洗濯物は上記噴流水により跳ねのけ
られる。これと同時に凹部３内に負圧になるた
め、洗濯槽２内の洗濯水は、吸込穴１３、洗濯水
導入部１０及び吸込通路１１を通して凹部３内に
吸引され、洗濯水導入部１０内を強制循環させる
こととなる。 即ち、カバー板１２の吸込穴１３，１３から吸
込まれた洗濯水は、ガイド板１５，１５により下
方へ流動案内され、さらに取付枠１８の流入開口
１９ａ，１９ａからバツグ１７内に流れ込み、こ
こで洗濯水中に混在している繊維くず等の浮遊物
は捕集される。そして浮遊物が除去された洗濯水
は吸込通路１１を通して凹部３内に流入し、羽根
９により洗濯槽２内に噴流される。 なお、回転翼４の正回転時（時計回り方向）
は、凹部３の洗濯水は第７図の実線矢印のように
羽根９ですくい上げられ、また、回転翼４の逆回
転時（反時計回り方向）は第７図の破線矢印のよ
うにすくい上げられて噴出口８から洗濯槽２内へ
噴流される。 さらにまた、回転翼４の正、逆回転により生じ
る第２図の矢印Ｘ１又はＸ２方向の渦水流は、洗
濯槽２内に突出するカバー板１２の衝突面１２ａ
に衝突するが、このとき、渦水流衝突面１２ａは
内方へ彎曲する形状になつているため、その吸込
穴１３を通して洗濯水導入部１０内に吸込まれる
洗濯水の吸込みが効率よく行われる。 バツグ１７で捕集された浮遊物を除去する場合
は、支持体１４のつまみ部２１を指で把持して支
持体１４全体を洗濯水導入部１０から抜き取り、
その後バツグ１７を取付枠１８から取外して、バ
ツグ１７内の浮遊物を排出すれば良い。 以上ような本実施例の浮遊物除去装置にあつて
は、、下端に交換及び着脱可能に取付けた浮遊物
捕集バツグ１７を有する支持体１４を洗濯槽２の
角部に設けた洗濯水導入部１０内に挿脱可能にセ
ツトし、そしてこの洗濯水導入部１０の下端と洗
濯槽２の底部に設けた回転翼収容用凹部３間とを
吸込通路１１により連通させ、吸込羽根９を有す
る洗濯用回転翼４の正、逆回転で洗濯水が上記洗
濯水導入部１０内の強制循環させるようにしたの
で、洗濯水中の浮遊物の捕集率が向上し、その捕
集率を略70〜80％にすることが可能となる。この
ため、洗濯物への繊維くず等の付着及び毛玉の発
生を大幅に減少させ得るほか、バツグ１７は布織
材から形成しているため、捕集された浮遊物の除
去及び掃除も容易で、かつ捕集容量も大きくで
き、安価である。また、吸込通路１１と洗濯槽２
との隔壁部分１１ａ（第１図参照）を別部材で構
成し、着脱可能にしておけば吸込通路１１内の掃
除が容易となり、かつ吸込通路１１及び洗濯槽２
の樹脂成形が容易となる。なお、吸込通路１１を
相当に大きい断面積のものにしておけば、浮遊物
によつて詰まるおそれがない。

【考案の効果】

以上説明した通り、本考案に依れば、回転翼４
は、多数の噴出口８を穿設すると共に、当該噴出
口８をその下面において左右に２分する如く羽根
９を垂設して成るものとしたから、回転翼４が所
定時間毎に正逆何れの方向に回転しても、羽根９
は指向性を生じることなく極めて良好なる洗濯水
すくい上げ作用が奏され、従つて、噴出口８から
洗濯槽２内への噴流作用が、極めて良好に果たさ
れることとなる。 また、本考案は、洗濯水導入部１０の洗濯槽側
開口を覆い、かつ多数の洗濯水吸込穴１３を有す
るカバー板１２を設けると共に、当該カバー板１
２は、内方へ円弧状に突出する彎曲形状となした
渦水流衝突面１２ａ，１２ａを左右対称的に連設
して成るものとしたから、洗濯水が、洗濯槽２内
を正逆何れの方向に撹拌流動されても、上記した
渦水流衝突面１２ａ，１２ａの何れかに良好接触
し、その円弧状面に受け止められて、洗濯水吸込
穴１３内に齟齬なく吸込まれることとなる。 更に本考案は、洗濯水導入部１０内に挿脱可能
にセツトされるバツク支持体１４は、上記カバー
板１２の渦水流衝突面１２ａ，１２ａに対向して
配設される左右対称的な一対の洗濯水ガイド板１
５，１５を有し、当該ガイド板１５，１５はその
横断面が円弧状を成す形状とするように構成した
から、洗濯槽２内を正逆何れかの方向に撹拌流動
して、渦水流衝突面１２ａ，１２ａの対応側に受
け止められて洗濯水吸込穴１３内に吸込まれてき
た洗濯水は、上記した洗濯水ガイド板１５，１５
の何れかに良好に受け止められ、浮遊物捕集バツ
グ１７方向に案内することとなる。すなわち、当
該洗濯水ガイド板１５，１５の存在に基づき、洗
濯槽２内を正逆何れの方向に撹拌流動している洗
濯水であつても、浮遊物捕集バツグ１７方向に対
して、指向性の無い極めて良好なる案内が成され
ることとなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の浮遊物除去装置を備えた洗濯
機の縦断面図、第２図は第１図の一部の拡大平面
図、第３図は本考案における浮遊物除去機構部分
の斜視図、第４図は本考案におけるバツク支持体
の正面図、第５図は第２図の−線に沿う拡大
断面図、第６図は本考案における回転翼の断面
図、第７図は第６図の−線に沿う拡大断面図
である。 １……ハウジング本体、２……洗濯槽、３……
凹部、４……回転翼、６……減速機、７……電動
機、８……噴出口、９……羽根、１０……洗濯水
導入部、１１……吸込通路、１２……カバー板、
１３……吸込穴、１４……バツク支持体、１５…
…ガイド板、１６……蓋材、１７……捕集バツ
グ、１８……取付枠、１９ａ……流入開口、２１
……つまみ部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 所定時間毎に正逆方向に切り換えられて回転す
   る回転翼４を具え、かつ、洗濯槽２の一部に上下
   方向に延ばして形成した洗濯水導入部１０と、上
   記洗濯水導入部１０の下端と上記洗濯槽２の底部
   に配設した回転翼４の下面側とを連通する洗濯水
   吸込通路１１とを具えた洗濯機に於いて、上記し
   た回転翼４は、多数の噴出口８を穿設すると共
   に、当該噴出口８をその下面において左右に２分
   する如く羽根９を垂設して成るものとし、また、
   上記洗濯水導入部１０の洗濯槽側開口を覆い、か
   つ多数の洗濯水吸込穴１３を有するカバー板１２
   を設けると共に、当該カバー板１２は、内方へ円
   弧状に突出する彎曲形状となした渦水流衝突面１
   ２ａ，１２ａを左右対称的に連設して成るものと
   し、更に、上記洗濯水導入部１０内に挿脱可能に
   セツトするバツク支持体１４は、上記カバー板１
   ２の渦水流衝突面１２ａ，１２ａに対向して配設
   される左右対称的な一対の洗濯水ガイド板１５，
   １５を有し、当該ガイド板１５，１５はその横断
   面が円弧状を成す形状とすると共に、当該ガイド
   板１５，１５の上端は、洗濯水導入部１０の上部
   開口１０ａを閉鎖する蓋材１６に一体に固着する
   と共に、その下端は、浮遊物捕集バツグ１７を着
   脱自在に取り付けた取付枠１８に固着するように
   構成したことを特徴とする洗濯機の浮遊物除去装
   置。