JPH0220127Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 本発明は自動車の衝突時に搭乗者を保護する緩
衝用のエアバツグに関し、特にエアバツグの作動
後に於ける収縮制御に関するものである。

背景技術 近年、自動車事故の急増に伴なつて、運転者お
よび同乗者の安全確保が強く望まれている。これ
に対し、自動車の衝突時に於ける搭乗者の安全を
確保するための装置として、エアバツグシステム
が提案されている。このエアバツグシステムは、
加速度センサーが衝突を検出した時に、例えば運
転席の前部に設けられているエアバツグを急速に
ふくらませることにより、搭乗者がハンドルおよ
びフロントガラス等に衝突するのを緩衝して保護
するものである。そして、このエアバツグのふく
らませは、スクイブに通電することにより、爆発
的に加圧気体を発生させてエアバツグを瞬時に作
動させている。

しかしながら、このエアバツグシステムが有効
に作用するには、車両が何かに衝突した時に搭乗
者を係る衝撃から保護する一瞬のみであり、ふく
らみ続けると搭乗者が窒息したり、あるいは衝突
後の非難が困難となつて、２次災害が発生する問
題を有している。また、加速度センサーあるいは
スクイブが誤動作した場合には、ふくらんだエア
バツグが運転者が視野を遮断することになり、こ
れに伴つて走行中に於ける係る誤動作は極めて危
険なものとなる。

考案の開示 従つて、本考案による目的は、エアバツグの作
動に伴なう緩衝後のふくらみによる２次災害の発
生防止および誤作動時に於ける視野遮断時間の短
縮により事故発生の防止を行なうことである。

このような目的を達成するために本考案は、エ
アバツグの正常作動時には予め定められた緩衝期
間後に、エアバツグの気体を遮時に排気する急速
排気機構を作動させてエアバツグを瞬時に収縮さ
せ、また誤作動時にはこの誤作動の検出と同時に
上記急速排気機構作動させてエアバツグを瞬時に
収縮させるものである。

よつて、上記構成による自動車用エアバツグ制
御装置に於いては、エアバツグの作動に伴なう緩
衝終了と同時に瞬時に収縮されるために、ふくら
み続けることによる窒息あるいは避難困難時によ
る２次災害の発生が防止される。また、走行中に
誤作動によつて作動した場合には、そく瞬時に収
縮されるために、エアバツグが運転者の視野を遮
断し続けることによる事故発生が防止される。

考案を実施するための最良の形態 第１図は、本考案による自動車用エアバツグ制
御装置の一実施例を示す回路図である。同図に於
いて１，２は加速度センサーであつて、車体の前
部と後部にそれぞれ設けられている。３は加圧気
体発生装置４を瞬時に起動させて、加圧気体をエ
アバツグ５の内部に供給することにより、このエ
アバツグ５を瞬時にふくらませるスクイブであつ
て、このスクイブ３は発熱体によつて構成されて
いる。そして、このスクイブ３の両端はそれぞれ
加速度センサー１，２をそれぞれ介して電源＋Ｖ
とアースに接続されている。６はスクイブ６の両
端電位を入力とすることにより、加速度センサー
１，２およびスクイブ３の診断を行なう診断回
路、７は診断回路６の出力信号を入力とすること
により、スクイブ３の作動が故障あるいは衝突の
いずれによるものであるかの判別を行なつて、故
障検出信号Ａまたは衝突検出信号Ｂのいずれか一
方を出力する故障・衝突判別回路である。８はタ
イマー回路であつて、故障・衝突判別回路７から
発生される衝突検出信号Ｂを予め定められた時間
にわたつて遅延させた後に出力する。そして、こ
のタイマー回路８の設定時間は、自動車の衝突時
にふくらまされたエアバツグ５がこの衝突により
運転者に加えられる衝撃の緩衝期間（例えば１〜
５秒程度）に設定されている。９はオアゲートで
あつて、故障・衝突判別回路７から発生される故
障検出信号Ａおよびタイマー回路８の出力信号を
入力としている。１０はオアゲート９の出力信号
によつてトリガされて作動することにより、エア
バツグ５の一部に設けられている排気弁１１を開
くソレノイド１２を駆動し続けるソレノイド駆動
回路である。そして、排気弁１１は管路１３を介
して減圧タンク（真空タンク）１４に連通されて
おり、排気弁１１、ソレノイド１２および減圧タ
ンク１４によつて、搭乗者の自由な動きを阻止し
ない程度および運転者の運転視野を遮らない程度
にまでエアバツグを収縮させる急速排気機構を構
成している。

この様に構成された装置に於いて、通常時に於
いては加速度センサー１，２はオフ状態となつて
いる。従つてスクイブ３の両端は、電源＋Ｖおよ
びアースから共に浮かされた状態となつている。
また、スクイブ３の不作動時にはその両端間に発
熱体の抵抗分が得られることになる。従つて、診
断回路６はこれらの正常時に於ける条件を基とし
て診断を常時行なつている。

次に、車輛が衝突していない状態に於いて、ス
クイブ３が何かの原因によつて作動すると、加圧
気体発生装置４から加圧気体が発生されてエアバ
ツグ５が運転者の前部に於いて瞬時にふくらまさ
れる。一方、診断回路６は加速度センサー１，２
の少なくとも一方がオフでありながらスクイブ３
の両端間がその作動に伴なう発熱体の断線に伴な
つてオープン状態となつていることを検出して故
障・衝突判別回路７に供給する。故障・衝突判別
回路７は、診断回路６の出力信号の内容から故障
による誤動作と判別して故障検出信号Ａを発生す
る。この故障検出信号Ａはオアゲート９を介して
ソレノイド駆動回路１０をトリガすることにより
作動させる。ソレノイド駆動回路１０はオアゲー
ト９の出力信号によりトリガされると、セツト状
態となつてソレノイド１２を駆動し続ける。

ここで、ソレノイド１２が作動すると、排気弁
１１が開かれてエアバツグ５が管路１２を介して
減圧タンク１４に接続される。この結果、エアバ
ツグ５の内部気体が減圧タンク１４に引き込まれ
ることから、誤作動によりふくらまされているエ
アバツグ５が瞬時に、搭乗者の自由な動きを阻止
しない程度および運転者の運転視野を遮らない程
度にまで収縮される。従つて、このようなエアバ
ツグの誤作動時には、急速排気機構によつてエア
バツグ内の気体がそく排出されるために、運転者
の前方を遮ぎる時間が極めて短いものとなり、こ
れに伴なつて運転者に対する視野妨害による事故
発生が防止される。

次に、自動車の衝突に伴なつてその前部と後部
に設けられている加速度センサー１，２が共に作
動すると、スクイブ３の両端に電源＋Ｖが加わる
ことになり、これに伴なつてこのスクイブ３の内
部に設けられている発熱体の発火により加圧気体
発生装置４が作動して加圧気体を発生する。この
加圧気体はエアバツグ５を運転者の前部に於いて
瞬時にふくらませることにより、このエアバツグ
５が緩衝材となつて、搭乗者がハンドル、フロン
トパネルおよびフロントパネル等に衝突するのを
緩衝して保護する。この場合、自動車の衝突時に
於ける運転者に対する緩衝は、衝突直後の１〜５
秒程度の一瞬のみで良い。これは衝突時に於ける
運転者の前方移動は第１回目が最も強く、これを
十分に緩衝してやれば以後は問題とならないため
である。従つて、上記回路に於いては、診断回路
６が加速度センサー１，２の同時作動とスクイブ
３の内部に設けられている発熱体の作動に伴なう
断線を検出して故障・衝突判別回路７に供給す
る。故障・衝突判別回路７はこれらの条件を基と
して、衝突の発生を判別して衝突検出信号Ｂを発
生してタイマー回路８に供給する。タイマー回路
８は衝突検出信号Ｂが供給されるトリガされて計
時動作を開始し、予め設定された時間としての例
えば３秒が経過すると出力信号を発生する。この
タイマー回路８の出力信号はオアゲート９を介し
てソレノイド駆動回路１０に供給されることによ
り、このソレノイド駆動回路１０をトリガして動
作状態に保持させる。ソレノイド駆動回路１０が
作動すると、その出力信号によつてソレノイド１
２が駆動されることにより排気弁１１が開かれ
る。このようにして排気弁１１が開かれると、エ
アバツグ５の内部に満されている加圧気体が管路
１３を介して減圧タンク１４に引き込まれること
になる。従つて、エアバツグ５は一瞬にして、搭
乗者の自由な動きを阻止しない程度および運転者
の運転視野を遮らない程度にまで収縮されること
により、従来の様に長時間にわたつてふくらみ続
けることによる窒息あるいは避難困難等による２
次災害の発生が防止される。

なお、上記実施例に於いては、急速排気機構を
排気弁１１と、この排気弁を開くソレノイド１２
と、前記排気弁を介してエアバツグ５の内部に連
通する減圧タンク１４とによつて構成したが、本
考案はこれに限定されるものではなく、エアバツ
グ５の一部を破つて急速排気するもの等の種々の
構成が含まれるものである。

以上説明した様に、上記構成による自動車用エ
アバツグ制御装置によれば、衝突時に於ける緩衝
後のエアバツグ開放を速やかに行なつて２次災害
の発生を防止することが出来るとともに、エアバ
ツグの誤作動時に於ける運転者の視野妨害時間を
短くして、事故の発生を防止することが出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による自動車用エアバツグ制御
装置の一実施例を示す回路図である。 １，２……加速度センサー、３……スクイブ、
４……加圧気体発生装置、５……エアバツグ、６
……診断回路、７……故障・衝突判別回路、８…
…タイマー回路、９……オアゲート、１０……ソ
レノイド駆動回路、１１……排気弁、１２……ソ
レノイド、１３……管路、１４……減圧タンク。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車体の一部に設けられた加速度センサーの出力
   信号によりスクイブを駆動して加圧気体発生装置
   を作動させることにより、エアバツグを瞬時にふ
   くらませて車両の衝突時に加わる搭乗者への衝撃
   を緩衝するエアバツグ装置に於いて、前記スクイ
   ブの作動時に前記加速度センサーとの関係に於い
   て故障と車両の衝突を判別することにより、故障
   検出信号と衝突検出信号のいずれかを発生する故
   障・衝突判別回路と、前記故障・衝突判別回路か
   ら発生される衝突検出信号により計時動作を開始
   して、搭乗者に対する車両衝突時の保護動作が終
   了する予め定められた期間を計時すると出力を発
   生するタイマー回路と、前記故障・衝突判別回路
   から発生される故障検出信号および前記タイマー
   回路の計時終了時に発生される出力信号のいずれ
   かによつてトリガされて作動する駆動回路と、こ
   の駆動回路の出力により開状態となるソレノイド
   バルブと前記エアバツグに前記ソレノイドバルブ
   を介して取り付けられ、前記エアバツグの内部気
   体をその内部へ急速に放出させる減圧タンクとを
   含む急速排気機構とを備えたことを特徴とする自
   動車用エアバツグ制御装置。