JPH021999B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 この発明は給湯装置やソーラシステムなどの循
環ポンプとして利用可能なポンプに関する。

(ロ) 従来の技術 従来のポンプは実開昭48−69107号公報に開示
されているように、固定子と、この固定子の内側
に配設された回転子とをポンプ室のバツクケーシ
ングで区画するとともに、固定子外周をフレーム
で被覆して構成されており、バツクケーシングや
フレームには耐蝕性および経済性の向上を図るた
めに、樹脂材料が使用されるようになつてきた。
しかしながら、樹脂材料を使用したバツクケーシ
ングはポンプ室の水圧に耐え得るだけの機械的強
度を保つために、肉厚を十分に厚くしなければな
らず、固定子と回転子の間隔が広くなつてモータ
効率が低下するとともに、樹脂の使用量が多くな
る問題があつた。また、磁力の反発力により固定
子が回転するのを防止するため、フレームの外側
から固定子へビスを打込んで固定子を固定しなけ
ればならず、この作業が大変面倒であつた。

(ハ) 発明が解決しようとする問題点 この発明の課題はポンプ室のバツクケーシング
（仕切り壁）を樹脂の成形品としたポンプにおい
て、ポンプ室の水圧に対する仕切り壁の機械的強
度を損なうことなくモータ効率の低下を防止し、
さらには、固定子の回り止めが簡単に行えるよう
にすることである。

(ニ) 問題点を解決するための手段 この発明では、本体ケースと、この本体ケース
の内部に設けられ、軸方向に延びる複数の凹所を
内周面に有する固定子と、この固定子の内側に設
けられた回転子と、固定子と回転子との間に設け
られ、本体ケース内部を固定子収容部とポンプ室
とに区画する筒状の仕切り壁とを備え、仕切り壁
を樹脂の成形品としたポンプにおいて、仕切り壁
の外周壁に軸方向に延びる複数の突条を設け、仕
切り壁の突条を固定子の凹所に嵌合させた構成で
ある。

(ホ) 作 用 仕切り壁の外周壁に軸方向に延びる複数の突条
を設け、仕切り壁の突条を固定子の凹所に嵌合さ
せたので、仕切り壁を複数の突条で補強してポン
プ室の水圧に対する仕切り壁の機械的強度が損な
われないようにしつつ、仕切り壁の肉厚を極力薄
くし、さらには、複数の突条を固定子の凹所に収
め、固定子と回転子の間に余分なスペースを取ら
ないようにして固定子の回転子の間隔を狭くし、
モータ効率が低下しないようにできるとともに、
全体の肉厚を厚くするものに比べて樹脂の使用量
が少なくなる。また、固定子がバツクケーシング
の突条と係合し、固定子の回転が阻止されるた
め、面倒な回り止めの作業が不要となる。

(ヘ) 実施例 以下、この発明の実施例を第１図ないし第６図
について説明する。

第１図ないし第６図において、１は軸支部２、
吸込み口ホース継手３および吐出口ホース継手４
を一体に有し、ガラスを30容量％含むポリフエニ
レンオキサイド（PPO）を用いて樹脂成形きれ
たポンプ室５のフロントケーシング、６は固定
子、７は固定子６の内側に配設され、フロントケ
ーシング１と同じ樹脂を用いてインペラー８と一
体に樹脂成形された回転子であり、ロータマグネ
ツト９および鉄芯１０が埋込まれている。また、
回転子７の軸挿入孔セラミツクス軸受１２，１３
が嵌め込まれている。１４はセラミツクス軸受１
２，１３を介して回転子７の軸挿入孔１１に挿入
されたセラミツクスシヤフト、１５は固定子６の
外周を被覆するフレーム１６、固定子６と回転子
７との間を水密に区画するポンプ室５の筒状のバ
ツクケーシング１７（仕切り壁）、および軸支部
１８をフロントケーシング１と同じ樹脂で一体成
形した本体ケース、１９は固定子６のステータコ
イル２０を被覆するモールド材であり、硅砂等の
熱伝導性の良い充填材を70容量％以上含むポリエ
ステル系樹脂を使用している。２１は本体ケース
１５の開口端部を封止する端蓋であり、フロント
ケーシング１と同じ樹脂で作られている。２２は
フロントケーシング１と本体ケース１５との接合
部を水密に保持するＯリング、２３および２４は
フロントケーシング１と本体ケース１５とを結合
するビスおよびナツト、２５はセラミツクスシヤ
フト１４に嵌合され、軸受１３とフロントケーシ
ング１の軸支部２との間に介在させたセラミツク
ス製のスラストカラー、２６は本体ケース１５の
下部にビス等で固着された取付金具である。

本体ケース１５は第４図および第５図に示すよ
うに、バツクケーシング１７の外周壁とフレーム
１６の内周壁とに軸方向に延びる複数の突条２
７，２８が所定間隔で設けられている。そして、
第６図に示すように、これらの突条２７，２８を
それぞれ固定子６内周のスロツト２９の開口と固
定子６外周の溶接溝３０とに嵌合させてある。ま
た、バツクケーシング１７の外周壁およびフレー
ム１６の内周壁には固定子６の軸方向の位置決め
用の段部３１，３２が形成されている。また、端
蓋２１にはダボ出し突起３３，３３が設けられて
いる。

このように構成されたポンプの組立てについて
説明する。まず、フレーム１６とバツクケーシン
グ１７とで区画される固定子収容空間に予めモー
ルド材１９を充填した後、固定子６を本体ケース
１５内に開口端部側から挿入する。このとき、ス
ロツト２９の開口と溶接溝３０とに突条２７，２
８を嵌合させつつ、固定子６の挿入側端部がバツ
クケーシング１７およびフレーム１６の段部３
１，３２に係止するまで挿入を行なう。その後、
さらにモールド材１９を補充し、ステータコイル
２０をモールド材１９で完全に被覆したのち、本
体ケース１５の開口端部に端蓋２１を嵌め込み、
モールド材１９を熱硬化させる。このとき、端蓋
２１のダボ出し突起３３，３３がモールド材１９
に食い込むため、モールド材１９の硬化後、端蓋
２１は強固にモールド材１９と結合される。

このようにして、固定子６を本体ケース１５内
に組み込んだ後、回転子７の軸挿通孔１１に軸受
１２，１３を介してシヤフト１４を挿入する。そ
して、この回転子７をバツクケーシング１７内に
収容し、シヤフト１４の一端部を軸支部１８に嵌
合させる。次に、シヤフト１４の他端部にスラス
トカラー２５を嵌合させ、さらにシヤフト１４を
軸支部２に挿入しつつ、本体ケース１５とフロン
トケーシング１とをＯリング２２を介して接合さ
せ、これらをビス２３およびナツト２４で固定す
る。最後に、本体ケース１５の下部にビス等で取
付金具２６を固定し、ポンプの組立てが終了す
る。

本実施例によれば、バツクケーシング１７の外
周壁と、フレーム１６の内周壁とに軸方向に延び
る複数の突条２７，２８を設け、これらの突条２
７，２８を固定子６のスロツト２９の開口と溶接
溝３０とに嵌合させたので、本体ケース１５を例
えばインジエクシヨン成形により樹脂で一体成形
する際、金型（図示せず）内で突条部分がゲート
として働き、樹脂が軸支部１８→バツクケーシン
グ１７→フレーム１６の順にスムーズに流れ、樹
脂成形が良好に行なわれることになる。このた
め、バツクケーシング１７やフレーム１６は規定
水圧や予想される外圧などに耐え得る最小限度の
肉厚寸法にすることが可能となるばかりでなく、
バツクケーシング１７およびフレーム１６は肉厚
を薄くしても、突条２７，２８によつて補強さ
れ、ポンプ室５の水圧に対する機械的強度を十分
に維持でき、しかも、突条２７が固定子６の凹所
であるスロツト２９に収められ、固定子６と固定
子７の間に余分なスペースを取らないようにで
き、固定子６と回転子７との間隔を狭くしてモー
タ効率を高くすることができるとともに、全体の
肉厚を厚くするものに比べて樹脂の使用量を少な
くできる。また、固定子６は内外周の凹所がバツ
クケーシング１７の突条２７とフレーム１６の突
条２８とに係合し、回転が阻止されるため、従来
のように、フレームの外側から固定子へビスを打
込み、面倒な回り止めの作業を行なう必要もな
い。

なお、上述した実施例ではフレーム１６の内周
壁に複数の突条２８を設けたが、固定子６の回り
止めはバツクケーシング１７の突条２７と固定子
６との係合だけでも行えるが、好ましくは、成形
時に金型内での樹脂の流れの抵抗を小さくするゲ
ートを確保するために、フレーム１６の外周壁に
軸方向に延びる複数の突条を設けるようにしても
良い。この場合のフレームの突条は成形時の樹脂
の流れを良好にするほか、ステータコイル２０の
熱を大気中に逃がす放熱フインとして役立つ。

(ト) 発明の効果 この発明は以上のように構成されているので、
本体ケース内部を固定子収容部とポンプ室とに区
画する仕切り壁を樹脂の成形品としたものにおい
て、仕切り壁が複数の突条で補強され、仕切り壁
の肉厚を極力薄くしても、ポンプ室の水圧に対す
る仕切り壁の械的強度が損なわれないようにしつ
つ、複数の突条が固定子の凹所に収められ、固定
子と回転子の間に余分なスペースを取らないよう
にして固定子と回転子の間隔を狭くし、モータ効
率が低下しないようにできるとともに、仕切り壁
全体の肉厚を厚くするものに比べて樹脂の使用量
を少なくでき、さらには、固定子と仕切り壁の複
数の突条との嵌合によつて固定子の回転が阻止さ
れ、固定子の面倒な回り止め作業が不要になり、
組立て作業性の改善が図れるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例を示すポンプの縦
断面図、第２図は同じくポンプの斜視図、第３図
は同じくポンプの分解斜視図、第４図は本体ケー
スの正面図、第５図は本体ケースの斜視図、第６
図は固定子を収容した本体ケースの半断面図であ
る。 ５……ポンプ室、６……固定子、７……回転
子、１５……本体ケース、１６……フレーム、１
７……バツクケーシング（仕切り壁）、２７，２
８……突条。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 本体ケースと、この本体ケースの内部に設け
   られ、軸方向に延びる複数の凹所を内周面に有す
   る固定子と、この固定子の内側に設けられた回転
   子と、固定子と回転子との間に設けられ、本体ケ
   ース内部を固定子収容部とポンプ室とに区画する
   筒状の仕切り壁とを備え、仕切り壁を樹脂の成形
   品としたポンプにおいて、仕切り壁の外周壁に軸
   方向に延びる複数の突条を設け、仕切り壁の突条
   を固定子の凹所に嵌合させたことを特徴とするポ
   ンプ。