JPH0219022Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、植物を栽培するための培地として用
いられる植物栽培用資材に関する。

〔従来の技術〕

従来、植物の種を蒔き苗を育成させるための培
地、例えば水稲苗の育成培地には天然の土を利用
しているが、天然の土は密度が大きいので、田植
機の使用に適するように育成管理するための取扱
いに不自由な点があり、また、原料として常に均
質な性質のものを大量に入手することは困難なも
のであつた。そこで、最近はロツクウールのマツ
トが培地として使用されるようになつてきた。従
来のロツクウール製の植物栽培用資材は、第６
図、第７図に示すように、繊維が主として厚み方
向に並んだ平坦な多孔質構造の繊維質マツト１の
裏面に補強用の敷紙２を貼着して構成されてお
り、このような植物栽培用資材は、通常、第９図
に示すように連続的に移動するコンベヤ３上に、
少量のバインダーを混入させた繊維を供給して繊
維がほぼ水平に並んだ層状成形体４を作り、該成
形体４を破線で示すように薄く裁断し、これを90
度回転させて並べ、その下面に敷紙２を貼付ける
ことにより、製造されている。ここで、第６図の
繊維質マツト１の端面１Ａは第９図の成形体４の
側面４Ａに対応し、繊維質マツト１の側面１Ｂは
成形体４の上面４Ｂ又は下面に対応する。この資
材において、繊維を厚み方向に並べる理由は、種
子の根がマツト内に良好に侵入しうるようにする
為である。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところが、上記構造の植物栽培用資材は取扱い
に不便であると言う問題点を有していた。即ち、
植物栽培用資材では、根が良好に侵入しうるよ
う、空隙を大きく且つバインダーの量を少なくし
ているので、繊維の層間がばらけ易く、しかも層
状に成形した成形体を各層が垂直になるように配
列しているので、層状に配列された繊維に対して
直角方向（第６図のＸ−Ｘ方向）の曲げ強度が極
めて弱く、第７図のように水平に置いた状態から
その一側縁をつかんで持ち上げようとすると、第
８図に示すように、層間がばらけて全体が折れ曲
つてしまうと言う問題点があつた。

本考案はかかる従来の問題点に鑑み為されたも
ので、繊維質マツトを良好に補強し、取扱いを容
易になした植物栽培用資材を提供することを目的
とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成すべく為された本考案は、繊維
が主として厚み方向に配列された平坦な無機繊維
質マツトの底面に酸性化処理してなる敷紙を貼着
し、且つその端面に補強用シート材を貼着して成
ることを特徴とする植物栽培用資材である。

本考案に使用しうる無機繊維質マツトとして
は、従来技術として説明したロツクウールマツト
が好適であるが、これ以外にも、ガラス繊維マツ
ト、石綿マツト等の無機繊維質マツトを挙げるこ
とができる。無機繊維質マツトの底面に貼着され
る敷紙は、マツトの各繊維のばらけや脱落を防止
し、且つマツト全体に強度を与えるものであり、
酸処理して酸性化したもの、例えば酸性紙が用い
られる。酸性紙は、塩基性の無機繊維質マツトに
対して使用することにより、マツトの塩基性を中
和し、植物栽培用資材全体を、植物育成に適性な
PH領域に保つ作用をする。繊維質マツトの端面に
貼着する補強用シート材としては、紙、プラスチ
ツクフイルム、プラスチツクシート、テープ等任
意のシート状材料を単体で或いは組み合わせて使
用可能であり、これにも酸性化処理してよい。こ
の補強用シート材は、繊維質マツトが第８図に示
すようにたわむのを防止する。

〔実施例〕

以下、図面の実施例を説明する。第１図は本考
案の一実施例を示す斜視図、第２図はその側面図
である。全体を参照符号１０で示す植物栽培用資
材は、繊維が主として厚み方向に配列された平坦
な無機繊維質マツト１１とその底面に貼着された
酸性化処理してなる敷紙１２とからなる。無機繊
維質マツト１１は第６図に示した従来のものと同
じ構造のもので、第９図に示す層状成形体４から
作られている。敷紙１２は繊維質マツト１１の長
さよりも若干長くなつており、その両端が上方に
折り曲げられて繊維質マツト１１の端面１１Ａに
貼着されている。このマツト端面に貼着された敷
紙の部分１２Ａは、植物栽培用資材１０全体のＸ
−Ｘ方向の曲げ強度を向上させ、繊維質マツト１
１の各層間のばらけを防止する。即ち、この部分
１２Ａが補強用シート材を構成する。

第３図は本考案の第二実施例を示す斜視図、第
４図はその側面図である。本実施例では、無機繊
維質マツト１１の底面に、繊維質マツト１１と同
じ長さの、酸性化処理してなる敷紙１２ａが貼着
され、マツト端面１１Ａには、テープ１３が貼着
され、且つテープ１３の一部は折り曲げられて敷
紙１２ａの上に接合されている。この例では、テ
ープ１３が補強用シート材を構成する。

第５図は更に他の実施例を示す側面図である。
この例では、無機繊維質マツト１１の端面１１Ａ
に厚紙１４が貼着され、更にその上に、酸性化処
理してなる敷紙１２の一部１２Ａが貼り付けられ
ている。本実施例では厚紙１４と敷紙の部分１２
Ａとが補強用シート材を構成するもので、第１図
の実施例に比べ、繊維質マツト１１の補強効果が
大きい。

なお、上記実施例ではいずれも無機繊維質マツ
ト１１が３個配列されているが、この個数は適宜
増減可能であり、勿論１個でもよい。各繊維質マ
ツト１１は底面の敷紙１２又は１２ａで保持され
ているので、各繊維質マツトの互いに接する側面
は、単に突き合わせただけとしても差し支えない
が、この側面を接着材で互いに接合すると植物栽
培用資材全体の強度が大きくなり、好ましい。

〔考案の効果〕

以上に説明したように、本考案の植物栽培用資
材は、繊維が主として厚み方向に配列された平坦
な無機繊維質マツトの底面に酸性化処理してなる
敷紙を貼着し、且つその端面に補強用シート材を
貼着して成るものであるので、前記敷紙が繊維の
ばらけや脱落を防止し、全体を一体化しており、
しかも端面の補強用シート材が、植物栽培用資材
全体のたわみに対する剛性を与え、層状に配列さ
れている繊維の各層間のばらけを防止し、取扱い
を容易にするという効果を有している。また、敷
紙が酸性化処理してなるものであるので、無機繊
維マツトの塩基性を中和し、植物育成に適当なPH
領域に保つことができるという効果を有してい
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の斜視図、第２図は
その側面図、第３図は本考案の他の実施例の斜視
図、第４図はその側面図、第５図は本考案の更に
他の実施例の側面図、第６図は従来の植物栽培用
資材の斜視図、第７図はその端面図、第８図は第
６図の植物栽培用資材がたわんだ状態を示す端面
図、第９図は植物栽培用資材の製造過程を示す図
である。 １０……植物栽培用資材、１１……無機繊維質
マツト、１１Ａ……端面、１２，１２ａ……敷
紙、１２Ａ……敷紙の一部（補強用シート材）、
１３……テープ（補強用シート材）、１４……厚
紙（補強用シート材）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 繊維が主として厚み方向に配列された平坦な無
   機繊維質マツトの底面に酸性化処理してなる敷紙
   を貼着し、且つその端面に補強用シート材を貼着
   して成ることを特徴とする植物栽培用資材。