JPH0217749Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はスタツド溶接に用いられるスタツドホ
ルダーに関する。

〔従来技術及びその問題点〕

アークスタツド溶接はスタツドと母材との間に
アークを発生させ、適当な溶融池が生じたとき、
両者を急速に圧着してスタツドを植えつけるもの
である。このようなアークスタツドに用られるス
タツドは従来、その断面が円形のボルトやピンを
対象としていた。そのため、溶接ガンの通電部先
端には放射方向に拡縮自在なチヤツクが設けら
れ、それによりスタツドの頭部を把持すればよか
つた。ところが、本考案者の実験によれば、一例
として第５図に示すような頭部が特殊形状をした
板材からなるケーブルハンガーであつても、船舶
等の側壁等にスタツド溶接可能であることがわか
つた。しかしながら、このような異形のスタツド
を着脱自在に締結把持し、溶接用の溶接ガンによ
り多数のスタツドを順次効率よく大電流を通電さ
せるために適当なホルダーは存在しなかつた。

〔考案の目的及び構成〕

そこで、本考案は第５図に示すように頭部がコ
字状に形成され、その中央部平面を切り起こして
脚１２としたようなＴ字状のスタツドであつて
も、着脱自在に且つ確実に把持し、該スタツドに
溶接電流を流し得るホルダーを提供することを目
的とする。そして、その構成は次の通りである。

即ち、ホルダー本体３の上端部が溶接ガンの通
電部先端に着脱自在に嵌着される。そして、該ホ
ルダー本体３の下端に縦断面逆Ｌ字状に形成され
た幅方向位置決め部２を有する。さらにホルダー
本体３に弾性体５を介して締結板６を取付け、そ
れを逆Ｌ字状の立ち下がり面４に対向させる。そ
れと共に、締結板６と立ち下がり面４との対向距
離が弾性的に拡縮自在となるように構成する。さ
らに、前記逆Ｌ字状の底面７の中央に長手方向位
置決め片８を突設する。そして、前記逆Ｌ字状の
幅方向位置決め部２と前記締結板６との間で金属
製のスタツド９の頭部外周面を着脱自在に締結把
持する。それと共に、スタツド９の頭部２２の開
口１１における端縁に前記長手方向位置決め片８
を当接し得るように構成したことを特徴とする。

〔考案の実施例〕

次に図面に基づいて本考案の一実施例につき説
明する。

第１図は本考案のスタツドホルダーの立面図で
あり、第２図は同左側面図であつて、一部を破断
したもの。そして、第３図は本ホルダーに第５図
に示すようなスタツド９を把持させた状態を示す
一部破断立面図、第４図は同左側面図である。そ
して、この実施例のホルダーは主として第５図に
示すような形状のスタツド９を幅方向及び長手方
向に位置決めしつつ、確実に把持できるように構
成したものである。このスタツド９は第５図に示
す如く、一例として金属板からなり、中央部から
両側に夫々異なつた長さL₁とL₂とに中央部から
切込み１４を形成し、該切込み１４内に折り曲げ
用の異なつた長さの脚１２を夫々形成したもので
ある。そして、夫々の脚１２の先端部は鈍角に形
成してなる。そして、両脚のうち一方を選択し
て、それを第５図の如く頭部２２に直角に折り曲
げたものである。このスタツド９は船舶用ケーブ
ルハンガーとして用いられる実施例であり、脚１
２の先端部が船舶の壁面等にスタツド溶接され
る。そして、頭部２２の上面に斜線で示すケーブ
ル１３が同図の如く敷設され、バインド線や締結
バンドをそれらに巻回してケーブル１３を頭部２
２に固定するものである。

ここにおいて、本スタツドホルダーは、第１図
及び第２図の如く形成され、そのホルダー本体３
が真鍮等の導電体から構成される。そして、その
上端にテーパー形に形成された接続用凸部１７が
設けられている。この接続用凸部１７の外周面に
は溶接ガン１の通電部先端が着脱自在に被嵌され
る。又、本ホルダー本体３の下端部は縦断面逆Ｌ
字状に形成された幅方向位置決め部２を有する。
即ち、この幅方向位置決め部２は底面７と立ち下
がり面４とから形成され、この立ち下がり面４の
下端にわずかの段部１９が突設され、その内側に
スタツド９の頭部２２を抱持して該スタツド９が
下方へ移動しないように抜け止めするものであ
る。次に、立ち下がり面４に対向してホルダー本
体３の側面には締結板６が設けられ、それがガイ
ド用ボルト１８に案内されている。そして、この
締結板６はガイド用ボルト１８及び圧縮コイルバ
ネからなる弾性体５により第１図において、右方
に付勢されている。そして、矢印の如くわずかに
回動又は平行移動自在に構成されている。

〔考案の作用〕

次に、このスタツドホルダーの使用方法につき
説明する。

先ず、第３図及び第４図に示す如く、溶接ガン
１の通電部先端に本スタツドホルダーの接続用凸
部１７を嵌着する。次いで、スタツド９を第３図
矢印の如く下方から本ホルダーの幅方向位置決め
部２に押し込む。すると、締結板６が第３図にお
いて、鎖線の如く時計方向に回転し、スタツド９
は図の如く嵌着される。すると、締結板６は弾性
体５の付勢力により鎖線の状態から実線の状態に
復帰し、スタツド９の側面を押圧締結する。かか
る状態で第４図に示す如くスタツド９を矢印方向
に移動し、その脚１２を長手方向位置決め片８に
当接する。次いで、第６図に示すようなアークシ
ールド１５をスタツド９の脚１２の先端に嵌入
し、図示しないシールドホルダーにアークシール
ド１５を上下動自在に把持させる。即ち、溶接ガ
ンの先端に本スタツドホルダーと平行に突設され
た図示しないシールドホルダーによりアークシー
ルド１５の外周を保持させる。

而して、スタツド９の突端を図示しない母材に
押しつける。次いで、アークシールド１５を相対
移動させてその端面を母材に接触させる。次い
で、溶接ガンの引金を引けば、スタツド９の突端
が母材からわずかに離反し、パイロツクアークが
発生する。次いで、アークシールド１５の内部で
激しくアークが発生する。このとき発生するガス
はアークシールド１５の下端のガス抜き溝１６か
ら外部に放出される。そして、母材とスタツド９
先端とが溶融して溶融池が形成される。このとき
溶融電流は、溶接ガン１の先端から接続用凸部１
７及びホルダー本体３をとおり、その下端に把持
されたスタツド９及び図示しない母材へと流れ
る。そして、制御装置によつて予め設定されたア
ーク時間（通常１秒以内）を経過すると、電流が
自動的にOFFし、同時に銃に内装されたバネの
復元力によつてスタツド９の先端が溶融池内に急
速に押しつけられて溶着される。

そこで、次に本スタツドホルダーを溶接された
スタツド９の頭部から取り外すには次のようにす
ればよい。即ち、第３図において溶接ガン１と共
に、ホルダー本体３を立ち下がり面４を中心とし
て時計方向に回転させればよい。すると、締結板
６が鎖線の如く移動し、スタツド９の頭部はホル
ダー本体３から外れる。従つて、スタツド９の取
り外し作業を殆どワンタツチで行うことができ
る。このようにして、ケーブルハンガー等のスタ
ツド９を船舶の壁面等の母材に極めて容易に且
つ、能率的に多数溶接することができる。なお、
前記した陶器製のアークシールド１５は溶接完了
後、ハンマー等で壊して取り除かれる。

〔変形例〕

本考案のホルダーが把持できるスタツドは上記
実施例に限定されるものでは勿論なく、例えば、
スタツド９の頭部２２の長さや脚１２の長さを第
５図のものと異なつたものとすることができると
共に、その形状を適宜変更できる。又、図のよう
なスタツド９はコ字状の型鋼から製作することも
できる。次に、スタツドホルダーの締結板６は第
１図においてその上端を枢着し、かつ下端を開閉
自在に構成すると共に、適宜な弾性体で閉塞方向
に付勢するように構成してもよい。

〔考案の効果〕

本考案のホルダーは以上のような構成からな
り、次の効果を有する。

(1) 本ホルダーは逆Ｌ字状に形成された幅方向位
置決め部２と締結板６とによりスタツド９の頭
部外周を幅方向に着脱自在に締結把持できる。
そして、その締結力により本ホルダーを介して
スタツド９に溶接電流を確実に通電し、スタツ
ド先端部を迅速に溶接し得る。そして、スタツ
ド９を母材に溶接した後にも殆どワンタツチで
スタツド９から本ホルダーを外すことができ
る。従つて、多数のスタツドを能率よく溶接す
ることができる。

(2) 又、本ホルダーは底面７に長手方向位置決め
片８が突設され、該長手方向位置決め片８にス
タツド９頭部の開口縁が当接されるように構成
されているからスタツド９の長手方向における
特定位置を常に把持し、該スタツド９を母材の
所定位置に確実に且つ迅速に溶接することがで
きる。そして、前記幅方向位置決め部２と長手
方向位置決め片８及び締結板６とによりスタツ
ド９を確実に把持し、溶接中にスタツド９が揺
動す虞れをなくし、そのスタツド９を母材に正
確に植設することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のスタツドホルダーの立面図、
第２図は同左側面図であつて、締結板６の一部を
破断したもの。第３図は第５図に示すスタツド９
を把持した状態の本スタツドホルダーの立面図で
あつて、その一部を破断したもの。第４図は同左
側面図、第５図は本考案のスタツドホルダーによ
り把持されるスタツド９の一例を示す斜視図、第
６図は第５図のスタツド９先端部を被蔽するアー
クシールド１５の斜視図。 １…溶接ガン、２…幅方向位置決め部、３…ホ
ルダー本体、４…立ち下がり面、５…弾性体、６
…締結板、７…底面、８…長手方向位置決め片、
９…スタツド、１１…開口、１２…脚、１３…ケ
ーブル、１４…切込み、１５…アークシールド、
１６…ガス抜き溝、１７…接続用凸部、１８…ガ
イド用ボルト、１９…段部、２０…ビス、２２…
頭部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. スタツド溶接用の溶接ガン１の通電部先端に着
   脱自在に上端部が嵌着されると共に、下端に縦断
   面逆Ｌ字状に形成された幅方向位置決め部２を有
   する金属製のホルダー本体３と、前記逆Ｌ字状の
   立ち下がり面４に対向すると共に、該立ち下がり
   面４との対向距離が拡縮自在となるように、弾性
   体５を介して前記本体３に取付けられた締結板６
   と、前記逆Ｌ字状の底面７の中央に突設した長手
   方向位置決め片８と、を具備し、前記逆Ｌ字状部
   ２と前記締結板６との間で金属製のスタツドの頭
   部外周面を着脱自在に締結把持すると共に、スタ
   ツドの頭部開口における端縁に前記長手方向位置
   決め片８を当接し得るように構成したスタツド溶
   接用のスタツドホルダー。