JPH0217152Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は内燃機関掃気管制弁装置に関する。

一般に、内燃機関の掃気管制弁装置は、シリン
ダライナの掃気孔部分に、このシリンダライナに
対する相対移動により前記掃気孔を開閉させる環
状の掃気管制弁を外嵌することにより構成されて
いる。ところが、この掃気管制弁装置の組立ては
シリンダライナをシリンダフレーム内に設置した
後に行なわなければならず、シリンダフレーム内
部の狭いスペースにおける前記組立作業は非常に
困難なものであるという問題がある。

そこで本考案は、機関外部で前もつてシリンダ
ライナに掃気管制弁およびそれに関係するすべて
の部品を組込み、シリンダライナと一体化してし
まい、そののちシリンダフレームに挿入可能なよ
うにし、掃気管制弁装置の組立作業を簡単にする
ことを目的とするものである。

このため本考案は、シリンダフレームのライナ
受け部内にシリンダライナの上部を内嵌させると
ともに、掃気孔が形成されたこのシリンダライナ
の下部外径を上部外径より小さく形成し、この小
さく形成された下部小径部に、シリンダライナに
対する相対移動により前記掃気孔を開閉させると
ともにその外径が前記ライナ受け部内径よりも小
さくされた環状の掃気管制弁を外嵌させたもので
ある。

したがつて、機関外部で前もつてシリンダライ
ナに掃気管制弁およびそれに関係するすべての部
品を組込んでシリンダライナと一体化し、この一
体化したものをシリンダフレームに挿入すること
ができるため、シリンダフレーム内部で行なう作
業は掃気管制弁とこの掃気管制弁を作動させる駆
動装置とを接続する作業だけとなり、作業を非常
に簡単なものにすることができることになる。

以下、本考案の一実施例を図面にもとづいて説
明する。第１図〜第２図において、１はシリンダ
フレームであり、そのライナ受け部２によりシリ
ンダライナ３が内嵌支持されている。シリンダラ
イナ３の下部所定位置には、周方向に複数の掃気
孔４が形成されている。掃気孔４を含むシリンダ
ライナ３の下部外面には、その上部におけるライ
ナ受け部２への嵌合部５よりも外径の小さな小径
部６が形成されている。７は環状の掃気管制弁で
あり、小径部６に外嵌されるとともにその外径が
ライナ受け部２の内径よりも小径に形成され、駆
動装置（シリンダ装置）８の作動により接続金具
９を介してシリンダライナ３の軸心方口に移動
し、掃気孔４を開閉させる。

小径部６の上端には、掃気管制弁７の上端面が
当接可能な盛金１０を施した上部弁座１１が、焼
ばめ等によりシリンダライナ３側に固定されてい
る。この上部弁座１１もまた、シリンダライナ２
の内径よりも小径に構成されている。

小径部６よりも下方のライナ下端部１２は、そ
の外径が小径部６よりもさらに小径に形成され、
このライナ下端部１２の外面と、掃気管制弁７の
内面との間隙には、シリンダライナ３に対して一
定範囲内で昇降可能な可動シールリング１３が設
けてある。すなわち可動シールリング１３は、シ
リンダライナ３に形成した下向き段面１４と、こ
の下向き段面１４に対向するようにライナ下端部
１２に取り付けたストツパ１５との間において昇
降可能とされている。１６は可動シールリング１
３の内面に当接するようにライナ下端部１２に取
付けられたガスタイトリングである。また、可動
シールリング１３の下端には、外側ほど上位にな
るように傾斜した盛金１７が施してあり、この盛
金１７に対して下方から当接可能な下部弁座１８
が掃気管制弁７の下端に形成されている。なお、
１９はシリンダライナ３の下端面に取り付けられ
た落止め金具である。

シリンダライナ３の小径部６の外面と掃気管制
弁７の内面との間、および可動シールリング１３
の外面と掃気管制弁７との間には適当の隙間が形
成されており、この結果、掃気孔４のシールは、
掃気管制弁７の上端面と上部弁座１１との間、お
よび掃気管制弁７の下部弁座１８と可動シールリ
ング１３との間でなされるようになつている。す
なわち、掃気管制弁７の上端面と上部弁座１１と
の間のシールは駆動装置８にもとづく押付力によ
り、また下部弁座１８と可動シールリング１３と
の間のシールは可動シールリング１３の上面に作
用する燃焼ガス圧により、それぞれ行なわれるよ
うになつている。

シリンダライナ３には、下端面から軸心方向の
導孔２０が設けられている。この導孔２０は周方
向に複数設けられ、掃気孔４の上下における小径
部６と掃気管制弁７との隙間に向かう半径方向の
シーリングエア供給孔２１に連通したものと、可
動シールリング１３よりも上方におけるライナ下
端部１２と掃気管制弁７との隙間に向かう半径方
向の注油およびエア供給孔２２に連通したものと
に区別されている。

上記構成において、掃気管制弁７装置を組立て
る場合には、機関外部でまず小径部６に上部弁座
１１を焼ばめし、次にライナ下端部１２にガスタ
イトリング１６、可動シールリング１３およびス
トツパ１５を取り付け、その後シリンダライナ３
の下端から小径部６に向けて掃気管制弁７を外嵌
し、最後に落止め金具１９を取り付ける。この状
態のシリンダライナ３をシリンダフレーム１内に
上方から挿入し、ライナ受け部２に嵌合部５を内
嵌させる。このとき掃気管制弁７は第１図の仮想
線で示すように落止め金具１９により係止され、
シリンダライナ３からの抜け落ちが防止される。
また、掃気管制弁７と上部弁座１１との外径は、
ともにライナ受け部２の内径よりも小径とされて
いるため、シリンダライナ３をシリンダフレーム
１に挿入する際において何ら問題は生じず、容易
に作業が行なわれる。

駆動装置８は、シリンダライナ３をシリンダフ
レーム１内に挿入する前に予めこのシリンダフレ
ーム１内に配置されており、シリンダライナ３が
挿入されたなら接続金具９を掃気管制弁７に固定
することにより組立作業は完了する。

機関を運転する際には、シーリングエア供給孔
２１に連通する導孔２０に空気を通し、また注油
およびエア供給孔２２に連通する導孔２０には空
気と潤滑油とを通す。これらは、掃気管制弁７が
閉の状態のときのみ通すようにする。このように
すると、掃気管制弁７が閉の状態において、シリ
ンダライナ３内の燃焼ガスが掃気管制弁７から漏
れるのをシーリングエア供給孔２１からの空気に
より強制的にシールできる。また、注油およびエ
ア供給孔２２からの潤滑油により掃気管制弁７な
らびに可動シールリング１３の摺動に対する潤滑
が確実に行なわれるとともに、空気により可動シ
ールリング１３が掃気管制弁７の下部弁座１８に
強力に押し付けられ、ガスシールがより確実に行
なわれる。

以上述べたように本考案によると、機関外部で
前もつてシリンダライナに掃気管制弁およびそれ
に関係するすべての部品を組込んでシリンダライ
ナと一体化し、この一体化したものをシリンダフ
レームに挿入することができるため、シリンダフ
レーム内部で行なう作業は、掃気管制弁とこの掃
気管制弁を作動させる駆動装置とを接続する作業
だけとなり、作業を非常に簡単なものにすること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の断面図、第２図は
その要部拡大図である。 １…シリンダフレーム、２…ライナ受け部、３
…シリンダライナ、４…掃気孔、５…嵌合部、６
…小径部、７…掃気管制弁、１１…上部弁座、１
９…落止め金具、２０…導孔、２１…シーリング
エア供給孔、２２…注油およびエア供給孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダフレームのライナ受け部内にシリンダ
   ライナの上部を内嵌させるとともに、掃気孔が形
   成されたこのシリンダライナの下部外径を上部外
   径より小さく形成し、この小さく形成された下部
   小径部に、シリンダライナに対する相対移動によ
   り前記掃気孔を開閉させるとともにその外径が前
   記ライナ受け部内径よりも小さくされた環状の掃
   気管制弁を外嵌させたことを特徴とする内燃機関
   掃気管制弁装置。