JPH0216257B2 - - Google Patents

Info

Publication number
JPH0216257B2
JPH0216257B2 JP7707483A JP7707483A JPH0216257B2 JP H0216257 B2 JPH0216257 B2 JP H0216257B2 JP 7707483 A JP7707483 A JP 7707483A JP 7707483 A JP7707483 A JP 7707483A JP H0216257 B2 JPH0216257 B2 JP H0216257B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pulp
fibers
cured product
inorganic
producing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired
Application number
JP7707483A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS59203747A (ja
Inventor
Kenichi Matsui
Takeshi Murakami
Tamotsu Akasaka
Takashi Soda
Koji Sawada
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Works Ltd filed Critical Matsushita Electric Works Ltd
Priority to JP7707483A priority Critical patent/JPS59203747A/ja
Publication of JPS59203747A publication Critical patent/JPS59203747A/ja
Publication of JPH0216257B2 publication Critical patent/JPH0216257B2/ja
Granted legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
[技術分野] この発明は、建築材料として用いられる無機硬
化体の製法に関する。さらに詳細には、抄造にあ
たり、石綿を使用しないで抄造体を得るセメント
系無桟建材等無機硬化体の製法に関するものであ
る。 [背景技術] 従来よりセメントを結合材として石綿を補強材
として含ませるようにした無機硬化体が広く使用
されている。石綿を補強繊維として用いるように
すると、無機硬化体に対する補強効果が著しくな
るとともに、ハチエツク抄造方式等の大量生産に
適した抄造法により無機硬化体をつくるのが可能
になるからである。この方法では、原材料を含む
スラリーをハチエツク抄造機等の抄造機で抄き上
げ、得られた賦形体を養生して無機硬化体を作る
ようにする。その際、石綿を原材料の固形分基準
で5重量%以上用いると抄き上げが可能となる。 しかしながら、石綿を使用する上で石綿公害を
引き起きす恐れがあり、これから先も石綿を使用
し続けることは、社会環境を守る上で問題とな
る。その為、近年、石綿を含まない無機硬化体の
研究がさかんに行われている。その一例として、
石綿の代わりにパルプを含ませるようにした無機
硬化体があり、現在すでにその製品が市場に出廻
つている。しかし、この無機硬化体には、次のよ
うな欠点があり、一般の建築材料として用いるの
には不適用であつた。すなわち、不燃性でないと
いう欠点である。抄造法によりこの無機硬化体を
作るには、原材料の固形分基準で約6重量%(以
下、すべて原材料の固形分基準で表す)以上のパ
ルプを使用する必要があるが、このように多量の
パルプを使用すると、得られた無機硬化体が不燃
性でなくなるのである。また、強度、特に吸水時
の強度が不充分であるという欠点もあるので、外
装用建築材料として用いるには不適当であつた。 現在、石綿の代替繊維としてパルプ以外に、ガ
ラス繊維、カーボン繊維、鋼繊維、ウオラストナ
イト等の無機繊維、ビニロン、アクリル、ポリエ
チレン等の有機繊維等も種々検討されているが、
いずれも、1本の繊維の太さが石綿に比し太く、
石綿のようにセメントとのなじみが良くないの
で、単独で使用されるに至つていない。 [発明の目的] 前述したような事情に鑑み、この発明は、石綿
を使用することなく、不燃性でしかも強度が高
く、その上ハチエツク抄造法により大量生産出来
る無機硬化体の製法を提供することを目的とす
る。 [発明の開示] 発明者らは研究を重ねた結果、短く切断するこ
となく叩解フイブリル化したパルプをうまく使用
することにより、不燃性でしかも強度の高い硬化
体を抄造法により大量生産出来ることを見い出
し、ここにこの発明を完成した。 すなわち、針葉樹、広葉樹等のバージンパルプ
をPFIミル、シングルデイスクリフアイナー、ダ
ブルデイスクリフアイナー等の叩解機の叩解条件
をうまく設定することにより、繊維長590ミクロ
ン以上(28メツシユ以下)を60重量%以上に保ち
ながらフイブリル化してシヨツパー濾水度を
40゜SR以上70゜SR以下にしたパルプを用いれば、
スラリー固型分中のパルプの量が6重量%以下で
もハチエツク方式により抄き上げることが可能で
あり、この発明の目的とするところの不燃性で高
強度の板が得られることを見い出し、この発明を
完成したのである。 従つて、この発明は、セメントを含むスラリー
から抄造法により得た賦形体を養生して無機硬化
体を得る方法において、抄造にあたり、繊維長
590ミクロン以上が全パルプ量の60重量%以上で
フイブリル化によりシヨツパー濾水度を40゜SR以
上70゜SR以下に調整したパルプを、全固型分に対
し1〜7重量%の割合で含有し、必要あらばこれ
にフイラー、補強繊維を配合して、濃度を4〜15
重量%、濾過係数を5cm4/sec以下に調整したス
ラリーを用いることを特徴とする無機硬化体の製
法をその要旨とする。 ここに、濾過係数は下記のように定義される。 濾過係数:定圧濾過時の単位濾過面積当りの係
数 K=2V/dθ/dv) V;濾液量(cm3) θ;濾過時間(sec) 60メツシユ金網使用 以下にこれを詳細に説明する。 ここで結合材として用いるセメントとしては、
水硬化のものであれば特に限定されない。例え
ば、ポルトランドセメント、高炉セメントなどで
ある。パルプとしては、針葉樹、広葉樹のサラシ
あるいは末サラシクラフトパルプ等を用いるのが
良い。新聞紙、クラフト紙等の故紙は多量に用い
ると含有されている不純物の影響でセメントの硬
化不良を招いたりする場合がある。ただし、故紙
は、一般に繊維長の短いものが多いので、シヨツ
パー濾水度が比較的大きい。そのため、石綿等と
併用して少量なら使用される場合が多く、この発
明でも、前述の40゜SR以上70゜SR以下までフイブ
リル化した針葉樹、広葉樹の長繊維パルプと併用
して繊維長590ミクロン以上のものが60%以上に
保たれる範囲内で使用することが出来る。 この発明では、シヨツパー濾水度40゜SR以上
70゜SR以下、590ミクロン以上の長さの繊維が全
パルプ量の60%以上であるような針葉樹および/
または広葉樹パルプは、全固形分量の1〜7重量
%(以下%と略す)用いられる。すなわち、上述
のフイブリル化されたパルプ量が1%未満では、
たとえば他の濾過性を悪くするような微粒の無機
フイラーを併用しても、ハチエツク方式で抄造可
能な濾過係数まで下げることが出来ない。たとえ
出来たとしてもシリンダの網目から水と共に抜け
るセメント粒子の量が多くなり、製品品質におい
て期待のものが得られないばかりか、生産工程に
おいてもパルプの詰り等のトラブルが生じ、好ま
しくない。また、前述のフイブリル化されたパル
プ量が7%を越えるようになると、抄造は勿論可
能であるが、他の有機補強繊維を加えた場合の好
ましい添加量をも考え合わせると不燃性の面で不
合格となる。そして、抄き上げた後のシリンダ上
やフエルト上において、あるいはメーキングロー
ル加圧時やプレス賦形時における水抜け性が悪く
なりすぎ、思うような高密度の製品を得ることが
不可能となる。従つて、強度面でも期待通りのも
のが出来ないという欠点が生じる。通常に叩解さ
れた針葉樹または広葉樹パルプのシヨツパー濾水
度は40゜SR未満であり、このものでは7%以下で
は他の濾過性を悪くするような微粒の無機フイラ
ー等を併用してもハチエツクでは抄造出来ない。
すなわち、濾過性が良すぎて(水切れが良すぎ
て)セメント粒子が濾過液中に逃げてしまうので
ある。従つて、シヨツパー濾水度が40゜SR以上に
叩解したパルプ量が1%以上あることが、不燃の
硬化体を抄造出来る絶対条件である。また、この
製法においては、繊維を切らないよう細心の注意
を払つて叩解しシヨツパー濾水度70゜SR以上のパ
ルプを用いた場合、抄き上げたシートの水抜けが
悪く、抄造効果を低下させるばかりでなく、製品
の密度も小さいものになつてしまい、強度が低
く、吸水率が大きくなり、耐凍害性の悪い建材し
か得られないので70゜SR以下でないと好ましくな
い。 つぎに、フイブリル化されたパルプの繊維長で
あるが、PFIミル、シングルデイスクリフアイナ
ー、ダブルデイスクリフアイナー等の叩解機で叩
解するが、フイブリル化と同時に繊維も短くカツ
トされる現象が進む。シヨツパー濾水度を上げる
ためにパルプを叩解する必要はあるが、あまり叩
解しすぎると繊維が短く切れ、硬化体の補強効果
としての役目が果たせなくなつてくる。たとえ
ば、パルプ繊維長が590ミクロン以下のものはほ
とんど補強効果を発揮せず、シヨツパー濾水度を
上げることのみにしか効果を発揮しないので、こ
れの量は、できるだけ低くおさえることが望まし
い。 ここで、繊維長が590ミクロン以上のパルプを
パルプ全量の60%以上とした理由は、これより少
ないと、硬化体の吸水率が上がり、著しく吸水時
の強度が低下するためである。 なお、パルプとしては、シヨツパー濾水度40
゜SR以上70゜SR以下、繊維長590ミクロン以上の
パルプを全パルプ量の60%以上に保つようにフイ
ブリル化したパルプのほかに、シヨツパー濾水度
40゜SR未満のパルプ(針葉樹バージンパルプ、広
葉樹バージンパルプ、故紙など)をスラリー全固
型分の1%以内の範囲で含めても良い。すなわ
ち、濾過性を悪くするような微粒の無機フイラー
等を併用すれば、上述のフイブリル化されたパル
プばかりで無くても、スラリー濾過係数を5cm
/sec以下に調整出来る範囲でシヨツパー濾水度
40゜SR未満のパルプを併用出来るのである。 このようにスラリー中に40゜SR未満のパルプを
少量加える事の効果としては、メーキングロール
加圧時、プレス賦形時の水抜け性がよくなり、40
〜70゜SRのものだけを用いた場合よりも硬化体の
密度の高い、すなわち、製品特性のより優れたも
のを得る事ができるという長所がある。しかし、
この配合量が1%を越えるとスラリーの濾過係数
が5cm4/sec以上になる恐れが生じるばかりでな
く、濾過夜濃度も高くなる傾向にあるので、越え
ないようにするのがよい。 次に、フイラーは、必ずしも必要ではないが、
用いるとすれば、セピオライト、ベントナイト等
で特に膨潤度が3倍以上のものか、平均粒子径5
ミクロン以下の晶質あるいは非晶質シリカを用い
るのがよい。 ここに、膨潤度は下記のように定義される。 膨潤度:24時間後の吸水した水の量/吸水前のフイラ
ー重量 このようなフイラーを前述のフイブリル化され
たパルプと併用して、セメント、水と混合する事
により、スラリーの濾過係数を、更に下げる事が
出来、抄造し易いスラリーとする事ができるもの
である。すなわちフイラーを併用する事でパルプ
の叩解度の低目のものを使用しても抄造可能な濾
過係数を得る事が出来るもので、パルプ叩解時の
動力費削減ができるばかりでなく、製品の使用目
的に応じ、パルプだけでなく、フイラーによつて
も配合を変える事ができるという融通性(フレキ
シビリテイー)が生ずるのである。また、フイラ
ーとして5ミクロン以下の晶質、非晶質のシリカ
を用いると養生中にセメント成分と反応し、一層
高強度で高品質の製品ができるという長所も生じ
る。 上述のフイブリル化されたパルプとこのような
フイラーを併用すると、なぜスラリーの濾水性が
悪くなく、しかも、セメントの歩溜りが向上する
かは定かでないが、推察するに、フイブリル化さ
れたパルプの微細繊維にフイラーがうまくからみ
合い、網目のようになつて濾過されている為と思
われる。フイラーの添加量は全固型分に対して1
〜10%とするのがよい。10%を越えると強度低下
を起こす恐れがある。 つぎに、パルプは、必ずしも必要ではないが、
用いるとすればガラス繊維、カーボン繊維、鋼繊
維、ウオラストナイト等の無機繊維またはポリビ
ニルアルコール(ビニロンともいう。以下PVA
と略記する。)、アクリル、ポリエチレン等の有機
繊維が使用出来るが、有機繊維ではPVA、無機
繊維ではウオラストナイトが最も好ましい。ま
た、PVA繊維やアクリル繊維でも、ところどこ
ろ幅もしくは径が大きくなつたものを用いるのが
好ましい。PVA繊維は、その親水基のため、有
機繊維の中で最もセメントとの結合性が良く、補
強効果が優れていることは公知である。これをフ
イブリル化されたパルプと併用することにより、
一層の強度向上、特に耐衝撃性強度の向上が図れ
る。その理由は、PVA単独では今一つセメント
とのなじみが悪く抜け易いが、前記パルプと併用
することにより、PVA繊維とフイブリル化され
たパルプの微細繊維がうまくからみ合い、PVA
のすべりが防止されることによると推定出来る。
PVA繊維あるいはアクリル繊維としては、太さ
5〜50ミクロン、長さ3〜10mmのものを用いるの
がこのましい。PVA繊維あるいはアクリル繊維
の含有量は0.3〜2%とするのが好ましい。この
範囲であれば最も補強効果が大きいからである。
2%を越えてPVAあるいはアクリルの量を増や
しても、硬化体の強度は殆ど上がらず、配合費用
のみ上昇する。これは、PVAあるいはアクリル
が2%を超えて含有されると、その分散性が悪く
なつてくるためと推定される。また、0.3%未満
では、補強の役割が果せない。 PVAあるいはアクリルとして、湿式紡糸法、
乾式紡糸法などによつて紡糸されたものを、熱処
理時に型付けして、繊維の幅もしくは径がところ
どころ大きくなつたものを使用するといつそう高
強度の硬化体を得ることができる。第1図はその
ような繊維の形態モデルをあらわす斜視図、第2
図は第1図を矢印A側より見た側面図、第3図は
第1図を矢印B側より見た側面図である。これら
の図にみるように、繊維1は、繊維軸方向にとこ
ろどころに幅の大きくなつた部分2を有してい
る。これらの部分2は、少なくとも一方の面から
眺めて、第2図の如く幅が大きくなつたものであ
る。。つまり、繊維が加熱時型付けによつて押し
付けられて巾が広くなつた部分2は、繊維によじ
れが生じているのが、通常であることから、眺め
る角度によつて第2図の如く巾広くみえたり、第
3図の如く偏平にみえたりするからである。しか
し、このモデル図に示すものに限定されるもので
はなく、どの角度からみても径に太いものであつ
てもよい。第4図および第5図は、繊維の顕微鏡
写真をあらわすものであつて第4図は型付前の側
面図、第5図は熱処理型付後の側面図である。第
5図にもみるように、熱処理型付後は、ところど
ころに幅または径の大きい部分2が形成されてい
る。部分2の繊維径(t1)と、元の繊維径(t2
は、t1>t2の関係になつている。部分2は、繊維
軸方向に規則正しく配列されている必要はない。
部分2の径は、好ましくは元の繊維径(t2)に対
し2〜3倍程度であるが、特にこれに限定されな
い。また、部分2の個数は、好ましくは繊維長50
〜2000μに対して、長さ20〜100μ位の部分を一個
所有すればよい。この部分はセメントマトリツク
スとの界面での接着性を向上させる作用をする。
したがつて、このような部分を有するPVA繊維
あるいはアクリル繊維をセメントマトリツクス中
に混合して得られた硬化体は、通常のPVA繊維
あるいはアクリル繊維の使用に比べて著しく強度
(曲げ強度、衝撃強度等)が増大する。この強度
発現の機構は未だ明らかでないが、繊維の断面積
を減少させることなく、その表面積を増大させる
ことが出来ているために、セメントマトリツクス
との接着面積が増大すると共に、凸部により繊維
が抜けにくくなることが原因と推察される。断面
積が全く減少しないため、繊維自体の強度低下も
ない。 ところどころに幅または径の大きい部分を
PVA繊維あるいはアクリル繊維に設けるための
熱処理は、たとえば第6図に示されているように
して行なう。金属等からなるロール3および周面
に微小で多数の凹凸を持つ金属等からなるロール
4を使用し、ロール4の表面温度を200〜300℃程
度として、両ロール3,4の間に繊維5を通す。
そうすると、ところどころに幅または径の大きい
部分を持つ繊維が得られる。両ロール3,4間の
隙間(クリアランス)は使用繊維の厚みや径に応
じて決める必要があるが、厚みあるいは径が16μ
程度の場合は8μ程度とするとよい。また、ロー
ル4に設けられる凹凸の凸部間の間隔は、幅また
は径の大きい部分の所望とする間隔に応じて決め
る必要がある。 ウオラストナイトは無機繊維の中でセメントと
一番なじみ易く、補強材としての効果があること
は、よく知られている。このウオラストナイトも
前述のPVAと同じようにフイブリル化されたパ
ルプと併用することにより、その効果が向上す
る。すなわち、フイブリル化されたパルプの微細
繊維の周囲にウオラストナイトがからみ合い、セ
メントの歩溜りを向上させ、結果的に強度向上に
つながるのである。また、ウオラストナイトを使
用することにより、パルプを主体に使用した無機
硬化体の欠点である寸法変化率を小さく押さえる
効果もでる。ウオラストナイトの使用量は2〜15
%が好ましい。2%未満では、ウオラストナイト
添加の効果が小さくなり、15%を超えると逆に硬
化体の密度が低下して強度低下現象が認められる
ようになる。 上記原材料と水を混合してスラリーを作るが、
このスラリーの固形分濃度は4〜15%とするのが
好ましい。さらに好ましくは6〜10%である。4
%未満の場合は、スラリー中の固型分が抄造機の
抄き上げ部(金網)に抄き上がつてくる効率が悪
く、生産性が悪くなり、その上、スラリー中の固
型分が沈澱して、予定した組成の無機硬化体が得
られなくなる傾向がある。他方、15%を超える
と、抄き上げたケーキの厚みが不均一となり、均
質な硬化体を得ることが困難になる傾向にある。 スラリーの濾過係数を5cm4/sec以下に調整す
る必要があり、これはハチエツクで抄造できる絶
体条件である。この発明では、この5cm4/sec
を、パルプ、無機フイラーの量を前述のごとくに
調整することにより達成できる。 以上述べてきた配合でスラリーを作り、ハチエ
ツク抄造機で抄き上げ、積層して適当な厚みの賦
形体とする。この賦形体を養生すれば硬化体が得
られる。 [実施例,比較例] つぎに、実施例を比較例と併せて説明する。 第1表に示される原材料を使用し、ハチエツク
抄造機を用いるハチエツク方式により、実施例1
〜19、比較例1〜6の無機硬化体を作つた。そし
て、これらを試験に供した結果を第1表に併記す
る。 表中の抄き上げ性、耐凍害性の評価および不燃
テスト結果においては、◎良好、〇は普通、×不
適である。 比較例5は、この発明のごとくパルプをフイブ
リル化して実施したが、シヨツパー濾水度が高過
ぎ繊維長が短い為、低比重で強度の弱いものしか
得られなかつた。比較例1はアスベストを使用し
た場合であり、比較例2〜4と6はアスベストを
使用せずパルプも通常のシヨツパー濾水度40゜SR
未満のものを使用した。 第1表にみるように、実施例はいずれもアスベ
ストを使用しない比較例よりすぐれていた。 第1表における注の意味は下記の通りである。 ※1 フイブリル化したパルプとは、シヨツパ
ー濾水度が40〜70゜SRとなり、かつ590μ以上
の繊維長のパルプが全パルプの60重量%以上
となるように調整したパルプ。 ※2 凹凸品とは、紡糸後のPVA繊維あるい
はアクリル繊維に220〜240℃の熱と圧力を部
分的にかけることにより、200μ間隔ごとに
20〜70μの突出をつけたものである。
【表】
【表】
【表】
【表】
〔発明の効果〕
この発明の方法は、以上のように構成されてい
るため、これによれば、石綿を使用しなくても、
強度の強い硬化体が抄造法で容易に多量に生産で
きる。その上、パルプの含有量が少く、かつ、フ
イブリル化が進んでいるので、不燃性であるばか
りでなく、吸水率が低くて吸水強度低下の少ない
硬化体が得られる。また、同じくフイブリル化さ
れた微細繊維が抄造体の層間の密着力を向上させ
ており、この結果、耐凍害性にもすぐれた硬化体
となつている。 〔参考〕 なお、つぎに説明するような製法によれば、補
強繊維として石綿を用いなくても、高強度の無機
硬化体を得ることができる。 石綿の、公害衛生上からみた人体への悪影響の
問題や、天燃物である関係上資源的に入手難等の
理由により、石綿の代替としてスチールフアイバ
ー、ガラス繊維、カーボンフアイバー等の無機繊
維や、ポリプロピレン、ポリアミド、PVAなど
の有機繊維を、単独または組み合わせて補強繊維
として使用することが検討されている。 上記の代替補強繊維類は、いずれも一長一短が
あつて完全に石綿に置きかえるような技術は完成
されたとは云えない。そのような中では、PVA
繊維が未端に水酸基を有するのでマトリツクスと
のなじみが良く、かつ補強効果および経済性の面
よりすぐれている。しかし、従来のように単に、
PVA繊維をセメントと一緒に混ぜるというだけ
では、PVA繊維の有する高いヤング率が未だ充
分に生かされているとは云えない。すなわち、セ
メントとPVA繊維との接着性が未だ十分とは云
えず、この点を改良することにより、より性能の
すぐれた材料、製品が得られるものと推察でき
る。この様な点に鑑みて、PVA繊維に凹部を設
けてセメントの接着性をアツプさせようと試みた
特許が開示されている(特開昭56−149374、特開
昭56−140113、特開昭56−125270、特開昭56−
140112等)。 しかしながら、前記開示された技術はいづれも
PVA繊維に凹部を設けたものであり、元の繊維
径より太い部分が無く、凹部の径は元の繊維径よ
り細い。したがつて、繊維の引張強度が低下する
という問題点がある上に、セメントとの接着強度
をアツプさせるという観点からも効果が今一つで
ある。すなわち、一度マトリツクスから抜け出す
と、PVA繊維に引掛り部分が無いだけに簡単に
抜けてしまうといつた欠点があつた。このため、
発明者らは、補強繊維としての形状、構造につい
て鋭意検討を行い、PVA繊維のところどころに
幅もしくは径の大きくなつたものを含有させれ
ば、セメントマトリツクスの接着強度を向上さ
せ、強度のすぐれた無機硬化体が得られることを
見出した。また、アクリル繊維についても同様の
ことがいえるということも見出した。 発明者らは、このような補強繊維の形状、構
造、以外にも無機硬化体の強度を向上させる手段
として、セメントとPVA繊維および/またはア
クリル繊維のスラリー混合水中における補強繊維
の分散をよくして抄造時の捕集性を向上させれ
ば、得られる硬化体の強度もさらに向上せしめる
ことができるのではないかと考えて鋭意検討した
結果、著しくフイブリル化させたシヨツパーリグ
ラー濾水度が70゜SR以上のパルプを用いてハチエ
ツク式抄造を行なうこととすれば、上記目的を達
成し得ることを確認た。 したがつて、ここに説明する無機硬化体の製法
は無機バインダーを主成分とする混練物を養生硬
化させて無機硬化体を得るに当たり、混練物とし
てところどころに幅もしくは径の大きくなつた部
分をもつPVA繊維および/またはアクリル繊維
を固型分換算で0.5〜5重量%およびシヨツパー
リグラー濾水度が70゜SR以上にフイブリル化した
パルプを固型分換算で1〜7重量%含むものを用
いてハチエツク式抄造を行なうことをその要旨と
している。以下これについて詳細に説明する。 この製法では、製造原料として、無機バインダ
ー、補強繊維およびシヨツパーリグラー濾水度
70゜SR以上にフイブリル化したパルプが必須のも
のとして用いられる。この製法で使用する無機バ
インダーとは、広義には、水硬性物質、狭義には
セメント類をいう。すなわち、水硬性物質とは、
セメント類、スラグ類、石膏類、石灰類、炭酸マ
グネシウム類等をいう。セメント類とは、普通ポ
ルトランドセメント、アルミナセメント、早強セ
メント、ジエツトセメント、高炉セメント、フラ
イアツシユセメント等をいう。 また、補強繊維としては、PVA繊維および/
またはアクリル繊維が用いられる。PVA繊維あ
るいはアクリル繊維は、湿式紡糸法、乾式紡糸法
などによつて紡糸されたものを、熱処理時に型付
けして、ところどころに幅もしくは径の大きくな
つたものにして使用する。幅もしくは径がところ
どころに大きくなつた繊維の構造は前述したとお
りである。そして、やはり、幅または径の大きい
部分の個数としては、繊維長50〜200μに対して、
長さ20〜100μ位の部分を一個所有するのが好ま
しい。前述したように、このような部分を有する
PVA繊維あるいはアクリル繊維をセメントマト
リツクス中に混合して得られた硬化体は、通常の
PVA繊維の使用に比べて著しく強度が増大する
のである。 次に、この発明において使用するパルプは、通
常の針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、故紙パルプ等
いずれのパルプでも良く、パルプの種類には特に
限定されない。これらのバージンパルプをシング
ルデイスクリフアイナー、ダブルデイスクリフア
イナー、ジヨルダンリフアイナー等でフイブリル
化(繊維を切らずに細く解繊すること)したもの
であつて、シヨツパーリグラー濾水度の値が
70゜SR以上にしたものである。このように、シヨ
ツパーリグラー濾水度が70゜SR以上の著しくフイ
ブリル化したパルプは、細く繊維状に解繊された
パルプの単繊維同志が複雑にからみ合い、多量の
スラリー混合水中における無機バインダー粒子と
PVA繊維あるいはアクリル繊維の分散を助けて
セメント粒子の捕集を向上させる。このため、ス
ラリーの濾過抵抗が大きくなり、抄造を円滑に行
うことができる。したがつて、強度の高い硬化体
を得ることができる。特に、この製法のようにと
ころどころに幅または径の大きいPVA繊維ある
いはアクリル繊維を用いると、この幅または径の
大きい部分が細くフイブリル化したパルプ繊維と
うまくからみ合つてPVA繊維あるいはアクリル
繊維が分離しにくくなるので、無機バインダー粒
子の捕集が向上し、硬化体の強度を一層向上させ
るのである。 次に、幅または径の大きいPVA繊維あるいは
アクリル繊維の含有量については原料固型分全重
量に対し0.5〜5重量%とすることが好ましい。
0.5重量%未満では強度の効果が顕著ではなく、
5重量%を越えると繊維の分散がむつかしく、逆
に強度低下の原因となる場合がある。また、シヨ
ツパーリグラー濾水度が70゜SR以上にフイブリル
化されたパルプの含有量は原料固型分全重量に対
し1〜7重量%、好ましくは、2〜5重量%であ
る。パルプ量が1重量%未満では、セメント粒子
が捕集出来ず、濾液中に、多量のセメント粒子が
逃げる。また、パルプ量が7重量%を越えると、
PVA繊維あるいはアクリル繊維とからまり合つ
てマリモの様な状態になり、抄造した製品の物性
がばらつき不適である。このようにして準備した
PVA繊維および/またはアクリル繊維、パルプ
単繊維を多量の水の中に分散させ、これに無機バ
インダーを添加して混合し、スラリーとする。こ
の際、必要に応じて、他の添加物、例えば無機フ
イラー(粘土系、シリカ粉末、炭酸カルシウム粉
末等)、繊維類(ロツクウール、スチールフアイ
バー等)、凝集剤、撥水剤、樹脂物を添加しても
良い。 このようにして得たスラリーを、ハチエツク式
抄造機で抄造し、通常の湿熱養生を経て、無機硬
化体を形成する。 この無機硬化体の製法では、補強繊維としてと
ころどころに幅もしくは径の大きくなつた部分を
もつPVA繊維および/またはアクリル繊維を使
用し、シヨツパーリグラー濾水度が70゜SR以上に
フイブリル化されたパルプを使用して抄造するの
で、スラリー混合水でPVA繊維またはアクリル
繊維とパルプ単繊維がうまくからみ合つて無機バ
インダー粒子の捕集を向上させる。このため、ス
ラリーの濾過抵抗が大きくなり、抄造を円滑に行
うことができる。したがつて、これを養生、硬化
して得られる硬化体は、著しく強度(曲げ強度、
衝撃強度など)の増大したものとなつている。 以下、参考実施例について参考比較例と併せて
説明する。 〔参考実施例 1〜3〕 まず、補強繊維として、通常の湿式紡糸法によ
り得られたPVA繊維を、第2表に示した条件に
したがつて熱処理しながら型付けして、第5図の
如き部分2を設けたものを準備した。パルプにつ
いては、第2表に示したパルプ処理条件で解繊し
たシヨツパーリグラー濾水度85゜SR、93゜SRのも
のを準備した。 〔参考比較例〕 補強繊維として、熱処理型付けしない第4図の
如きPVA繊維を準備した。パルプについては、
第2表に示した解繊未処理のシヨツパーリグラー
濾水度12゜SRのものを準備した。 これら参考実施例1〜3、参考比較例で準備し
たPVA繊維およびパルプを用いて、第2表に示
した配合割合でセメントスラリーを作り、同じく
第2表に示した抄造条件で、ハチエツク抄造(丸
網抄造)を実施し、さらに、第2表に示した条件
で養生を行ない、厚み7mmの平板状の無機硬化体
を得た。各無機硬化体の物性値を第3表に示し
た。
【表】
【表】 参考実施例1〜3は、参考比較例に比し、細く
フイブリル化したパルプ単繊維とPVA繊維の複
雑なからみ合いによつて、セメントの捕集性は良
好であつた。また、得られた硬化体も第3表に示
す如く、曲げ強度、衝撃強度、層間密着強度の一
層すぐれたものであつた。
【図面の簡単な説明】
第1図は幅がところどころ大きくなつたPVA
繊維あるいはアクリル繊維の形態モデルをあらわ
す斜視図、第2図は第1図を矢印A側より見た側
面図、第3図は第1図を矢印B側より見た側面
図、第4図および第5図はPVA繊維あるいはア
クリル繊維の顕微鏡写真をあらわすものであつ
て、第4図は型付前の側面図、第5図は熱処理型
付後の側面図、第6図は熱処理の説明図である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 セメントを含むスラリーからハチエツク抄造
    法により得た賦形体を養生して無機硬化体を得る
    方法において、抄造にあたり、繊維長590ミクロ
    ン以上が全パルプ量の60重量%以上でフイブリル
    化によりシヨツパー濾水度を40゜SR以上70゜SR以
    下に調整したパルプを、全固型分に対し1〜7重
    量%の割合で含有し、濃度を4〜15重量%、濾過
    係数を5cm4/sec以下に調整したスラリーを用い
    ることを特徴とする無機硬化体の製法。 2 パルプが、針葉樹および/または広葉樹のサ
    ラシもしくは未サラシのパルプである特許請求の
    範囲第1項記載の無機硬化体の製法。 3 パルプが、全固型分中の1重量%以下の範囲
    で、シヨツパー濾水度40゜SR未満のものをも含ん
    でいる特許請求の範囲第1項または第2項記載の
    無機硬化体の製法。 4 フイラーが、セピオライト、ベントナイト、
    および平均粒子径5ミクロン以下の晶質あるいは
    非晶質のシリカからなる群の中から選ばれた少な
    くとも1種であり、全固型分に対し1〜10重量%
    含まれている特許請求の範囲第1項から第3項ま
    でのいずれかに記載の無機硬化体の製法。 5 補強繊維が、太さ5〜50μ、長さ3〜10mmの
    ビニロン繊維であり、全固型分に対し0.3〜2重
    量%含まれている特許請求の範囲第1項から第4
    項までのいずれかに記載の無機硬化体の製法。 6 補強繊維が、ところどころに幅もしくは径の
    大きくなつた部分をもつビニロン繊維である特許
    請求の範囲第5項記載の無機硬化体の製法。 7 補強繊維が、太さ5〜50μ、長さ3〜10mmの
    アクリル繊維であり、全固型分に対し0.3〜2重
    量%含まれている特許請求の範囲第1項から第4
    項までのいずれかに記載の無機硬化体の製法。 8 補強繊維が、ところどころに幅もしくは径の
    大きくなつた部分を持つアクリル繊維である特許
    請求の範囲第7項記載の無機硬化体の製法。 9 補強繊維が、ウオラストナイトであり、全固
    型分に対し2〜15重量%含まれている特許請求の
    範囲第1項から第4項までのいずれかに記載の無
    機硬化体の製法。
JP7707483A 1983-04-30 1983-04-30 無機硬化体の製法 Granted JPS59203747A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7707483A JPS59203747A (ja) 1983-04-30 1983-04-30 無機硬化体の製法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7707483A JPS59203747A (ja) 1983-04-30 1983-04-30 無機硬化体の製法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS59203747A JPS59203747A (ja) 1984-11-17
JPH0216257B2 true JPH0216257B2 (ja) 1990-04-16

Family

ID=13623640

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7707483A Granted JPS59203747A (ja) 1983-04-30 1983-04-30 無機硬化体の製法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPS59203747A (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60141658A (ja) * 1983-12-28 1985-07-26 三井化学株式会社 高セメント保持性セメント組成物
JPH02145465A (ja) * 1988-11-24 1990-06-04 Matsushita Electric Works Ltd 繊維セメント板
JP2514462B2 (ja) * 1990-10-22 1996-07-10 株式会社クボタ セメント板の製造方法
CN1246246C (zh) * 2000-10-04 2006-03-22 詹姆斯哈迪国际财金公司 使用上浆的纤维素纤维的纤维水泥复合材料
BR0114423A (pt) * 2000-10-04 2004-01-20 James Hardie Pty Ltd Materiais compósitos de cimento com fibras usando fibras de celulose carregadas com substâncias inorgânicas e/ou orgânicas
US8993462B2 (en) 2006-04-12 2015-03-31 James Hardie Technology Limited Surface sealed reinforced building element

Also Published As

Publication number Publication date
JPS59203747A (ja) 1984-11-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10669671B2 (en) Ceiling tile compositions comprising microfibrillated cellulose and methods for making same
DE69720236T2 (de) Defibrierte zellstoff-produkte und verfahren zu ihrer herstellung
DE68913824T2 (de) Verfahren zur Nassformung von Mineralfaserplatten unter Bildung von Faserknoten.
JPH0225857B2 (ja)
JP2014514240A (ja) 高靱性セメント系複合材料中の3モードでブレンドされたファイバー
JPH0216257B2 (ja)
JPH0225856B2 (ja)
JP7361147B2 (ja) 強度の上昇した天井、床材、および建材製品を提供するための組成物および方法
JPS5924107B2 (ja) 繊維強化セメント複合材料の製造方法
JPS6126544A (ja) 水硬性無機質抄造製品とその製造方法
JPH0123427B2 (ja)
JPH02229747A (ja) 無機質製品の押出成形方法
JPH0580425B2 (ja)
JPS6278136A (ja) 水硬性無機質抄造製品の製造方法
JPH0138065B2 (ja)
JPS6021836A (ja) 水硬性無機質抄造板及びその製造方法
JPH0549619B2 (ja)
JPH08144194A (ja) 難燃性シート
JPS616167A (ja) 水硬性無機質抄造製品及びその製造方法
JPS61167011A (ja) ポリビニルアルコ−ル系極細繊維およびその製造方法
JPS59174552A (ja) 無機硬化体
JP4043687B2 (ja) 木質セメント板および該木質セメント板の製造方法
JPH0469098B2 (ja)
JPH0238720B2 (ja)
JP4008171B2 (ja) 無機質板及びその製造方法