JPH0216102Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は気体または液体燃料を酸化触媒表面で
無炎燃焼させる触媒燃焼器に関する。更に詳細に
は、本考案は遠赤外線領域の放射効率が大きく、
人体への快適な暖房、火を恐れる家蓄の暖房また
は衣服などの洗濯物の蒸発乾燥などに用いられる
触媒燃焼器に関する。

〔従来の技術〕

従来、プロパンガスのように空気よりも重く、
かつ比較的軽質な炭化水素気体液料を酸化触媒マ
ツトを用いて、その酸化反応により、酸化触媒表
面温度が500℃以下の無炎で燃焼させる触媒燃焼
器がある。このような触媒燃焼器は、第４図に示
すように金属ケース１の内底面とその内底面の上
方に設けられた整流板２との間に空間部３が形成
されている。空間部３には複数個のノズル穴５を
設けたガス吐出管６が設置されている。整流板２
には、複数個の穴７が設けられている。整流板２
の下面には、金属ケース１の内底面にまでのびた
脚８が設けられている。整流板２の上面には、保
温機能とガス拡散機能とを有する第１の保温板１
０と第２の保温板１１とが重ねられている。第２
の保温板１１の上面には、酸化触媒マツト１３と
保温網１４とが重ねられている。酸化触媒マツト
１３及び保温網１４は、それらの周辺部が金属ケ
ース１の上端部とサツシ枠１５との間で固定され
ている。

またこの触媒燃焼器としては、整流板２に脚８
を設ける代わりに、第５図に示すように、金属ケ
ース１の側壁に肩部１７を設けて、その肩部１７
に整流板２の周辺部が乗せ受けられることが提案
されている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、第４図に示すような、触媒燃焼
器では、整流板２の周辺端部と金属ケース１の側
壁面との間から生ガスが流出し易い問題がある。
また、酸化触媒マツトは、その上面周縁部から冷
たい空気が流れ込むため、金属ケース１の内部が
冷される問題がある。この結果、酸化触媒マツト
１３の周辺部は、中央部と比較して、温度が低
く、かつ完全燃焼しきれない燃焼中間生成物や生
ガスなどのHC濃度が高いという現象がある。し
たがつて、燃焼効率は低くなる傾向にある。

また、第５図の触媒燃焼器にあつては、整流板
２の周辺部が肩部１７に設けられているために、
燃焼効率は改善される。しかしながら、金属ケー
ス１は肩部１７を形成するために、その加工を二
段絞りとして作らざるを得ず、したがつて板厚を
厚くしなければならない。このため、金属ケース
１の加工に手間がかかるとともに、加工のための
成形金型のコストもより高くなるという問題があ
る。

それ故に本考案の目的は、燃焼中間生成物や生
ガスの流出を少なくして酸化触媒マツトの表面温
度分布を均一に近づけるとともに、燃焼効率の向
上が得られる触媒燃焼器を提供することにある。

更に、本考案の他の目的は、製造コストの低減
が得られる触媒燃焼器を提供することにある。

〔問題点を解決するための手段及び作用〕

本考案によれば、一面が開放されたケースと、
上記ケースの内部に設けられた、複数個の穴を有
する整流板と、上記ケースの内底面と上記整流板
との間の空間部に位置したガス吐出管と、上記整
流板の上記空間部とは反対側に所定方向に順に設
けた第１の保温板、第２の保温板及び酸化触媒マ
ツトとを含み、上記ガス吐出管から吐出された気
体または液体燃料を上記酸化触媒マツトの表面で
無炎燃焼させる触媒燃焼器において、上記整流板
はその周辺部に、上記空間部とは反対側に曲がつ
たエツジ部を有し、上記エツジ部をその先端が上
記第２の保温板に上記所定方向で対向するように
上記ケースの側壁と上記第１の保温板との間に延
在させて、上記ケースの側壁内面に固定したこと
を特徴とする触媒燃焼器が得られる。

〔実施例〕

第１図及び第２図は、本考案の触媒燃焼器の一
実施例を示している。

図示の触媒燃焼器は、縦（紙面に沿つた上下方
向）に長い金属ケース２１を有している。金属ケ
ース２１の内底面とその上方に設けられた整流板
２２との間には、空間部２３が形成されている。
空間部２３には、複数個のノズル穴２５を下向き
に設けたガス吐出管２６が備えられている。ガス
吐出管２６は、金属ケース２１のほぼ中央部で横
（紙面に沿つた左右方向）にのびている。一方、
整流板２２には、複数個の穴２８が設けられてい
る。整流板２２の周辺端部には、金属ケース２１
の壁面に接するようにして上方にのびたエツヂ部
３０が形成されている。エツヂ部３０は、金属ケ
ース２１の側壁に対して、スポツト溶接またはア
ルミニウムテープなどによつて貼り付けられてい
る。整流板２２の上面には、例えば、グラスウー
ルで作られた第１の保温板３２と、セラミツクフ
アイバーで作られた第２の保温板３３とが重ねら
れている。第１図からわかるように、エツジ部３
０は金属ケース２１の側壁と第１の保温板３２と
の間に介在し、その先端が第２の保温板３３の下
面に対向している。この結果、第２の保温板３３
の下降はエツジ部３０の先端で係止されることに
より制限される。従つて、第１の保温板３２がグ
ラスウールで作られているにもかかわらず、第２
の保温板３３の位置ずれ、即ち、下降は防止され
る。

尚、整流板２２のエツジ部は空間部２３と反対
側に曲がつているため、整流板２２を金属ケース
２１の内部に組み込む作業が容易である。また、
エツジ部３０にその先端部分が拡がつたテーパを
持たせ、整流板２２を金属ケース２１の内部に挿
入した場合にはエツジ部３０がその弾力により金
属ケース１の側壁内面に押圧接触し、これにより
エツジ部３０の密着性を高めることが可能とな
る。第１の保温板３２及び第２の保温板３３は、
保温機能とともに、ガス吐出管２６から吐出した
ガスを整流板２２の穴２８に導びき、できるかぎ
り均一にガスを拡散させるためのガス拡散機能を
有している。第２の保温板３３の上面には、金属
ケース２１の上端面に周辺部が乗せ受けられた酸
化触媒マツト３５が設けられている。酸化触媒マ
ツト３５の上面には、保護網３６が設けられてい
る。酸化触媒マツト３５及び保護網３６はそれら
の周辺部が金属ケース２１の上端面と、サツシ枠
３８とによつて固定されている。また、整流板２
２には、金属ケース２１の内底面に向けて、複数
個の切起し部（図示せず）を形成して、第１の保
温板３２及び第２の保温板３３や酸化触媒マツト
３５などを下向きに押えつけても撓みが生じない
ように作られている。

今、ガス吐出管２６に設けられた複数個のノズ
ル穴２５から吐出されたガスは、金属ケース２１
と整流板２２との間に作られた空間部２３に充満
する。そこで、ガスは整流板２２、第１の保温板
３２及び第２の保温板３３によつて拡散されなが
ら、酸化触媒マツト３５の上面へと吐出される。
この際整流板２２の穴２８は、整流板２２の周辺
部からのガスの流出をできる限りおさえ、中央部
に寄せて拡散が行なわれるように作用する。具体
的には、整流板２２の周辺から、穴２８の位置を
20mm〜30mm離して設けている。また、金属ケース
２１の縦方向において整流板２２の穴２８は、横
方向にのびたガス吐出管２６よりも20mm〜50mm上
方の位置を境とし、それよりも下側には４mmの丸
穴２５が複数個形成され、それより上側には６mm
の丸穴２５が複数個設けられている。それぞれの
穴２８は、縦方向に40mmピツチ、横方向に20mmピ
ツチで設けられている。

実験では、金属ケース２１の寸法を縦440mm、
横370mm、入力発熱量1830Kcal／hr、第１の保温
板３２（グラスウール）の厚さ20mm、第２の保温
板３２（セラミツクフアイバー）の厚さ10mmとし
て、整流板２２を金属ケース２１の内部に設け
た。そして整流板２２の二周辺に脚部となるエツ
ヂを設けて金属ケース内に置いたものと、整流体
２２の四周辺にエツヂ部３０を設けて金属ケース
２１の側壁にアルミニウムテープで貼り付けたも
のとを用意し、それぞれについて酸化触媒マツト
３５の表面の中央部と周辺部とのHC濃度を測定
した。測定結果としては、第３図に示すように、
整流板２２の二周辺にエツヂ部３０を設けたもの
が曲線Ａとして得られ、整流板２２の四周縁にエ
ツヂ部３０を設けたものが曲線Ｂとして得られ
た。また、第２の保温板３３の厚みを25mmに増し
て燃料ガスの拡散と酸化触媒マツト３５の保温を
高めたものは曲線Ｃで示されている。曲線Ａ，
Ｂ，Ｃで示したそれぞれの燃料効率は、96.8％，
99.0％，99.5％であり、燃焼効率が向上している
ことが判つた。一方、酸化触媒マツト３５の表面
平均温度は、整流板２２の二周辺にエツヂ部３０
を設けた場合、270℃、整流板２２の四周辺にエ
ツヂ部３０を設けた場合には、315℃まで上昇し
ている。また、燃料ガスの届きにくい酸化触媒マ
ツト３５の縦方向上辺部の左隅の表面温度は、そ
れぞれの実験において、165℃，280℃，310℃で
あり、整流板２２と保温板３２の改善により、ほ
ぼ表面平均温度に近づいていることが確認され
た。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案の触媒燃焼器によれ
ば、金属ケースの内部に設けた整流板にエツヂ部
を設け、金属ケースの側壁との間を少なくするこ
とにより、酸化触媒マツトの表面温度分布のムラ
を少なくすることができる。その結果、燃焼効率
を向上することができる。また、金属ケースの加
工は一段絞りですみ、材料費、加工費や金型代な
どが、二段絞りの加工に比較して安価となる。

しかも、整流板のエツヂ部によつて第２の保温
板及び酸化触媒マツトの位置ずれ、即ち、下降を
防止するという効果もある。

また、整流板のエツヂ部を金属ケースの側壁内
面に固定させることによつて、酸化触媒マツトの
表面の周辺部からの燃料ガスの流出を妨害し、燃
焼効率の向上が得られる。

さらに、整流板のエツヂ部が空間部とは反対側
に曲がつているため、整流板を金属ケースの側壁
内面に組み込む作業が容易である。また、このこ
とより、エツジ部にテーパを持たせてその弾力に
より金属ケースの側壁内面に対する密着性を高め
ることが可能となる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の触媒燃焼器の一実施例の断
面図、第２図は、第１図の触媒燃焼器の平面図、
第３図は、実験によつて得られた本考案及びその
他の触媒燃焼器の酸化触媒表面でのHC濃度分布
図、第４図及び第５図は、従来の触媒燃焼器の断
面図である。 １；金属ケース、２；整流板、６；ガス吐出
管、１０；第１の保温板、１１；第２の保温板、
１３；酸化触媒マツト、２１；金属ケース、２
２；整流板、２６；ガス吐出管、２８；穴、３
０；エツヂ部、３２；第１の保温板、３３；第２
の保温板、３５；酸化触媒マツト、３８；サツシ
枠。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一面が開放されたケースと、上記ケースの内部
   に設けられた、複数個の穴を有する整流板と、上
   記ケースの内底面と上記整流板との間の空間部に
   位置したガス吐出管と、上記整流板の上記空間部
   とは反対側に所定方向に順に設けた第１の保温
   板、第２の保温板及び酸化触媒マツトとを含み、
   上記ガス吐出管から吐出された気体または液体燃
   料を上記酸化触媒マツトの表面で無炎燃焼させる
   触媒燃焼器において、上記整流板はその周辺部
   に、上記空間部とは反対側に曲がつたエツジ部を
   有し、上記エツジ部をその先端が上記第２の保温
   板に上記所定方向で対向するように上記ケースの
   側壁と上記第１の保温板との間に延在させて、上
   記ケースの側壁内面に固定したことを特徴とする
   触媒燃焼器。