JPH0214202B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、両側において少なくとも１本のビー
ドワイヤに固定されたラジアルカーカスと、タイ
ヤ赤道帯域に沿つてラジアルカーカスに対して平
行な小さい曲率を有するブレーカとを有し、前記
ブレーカはコードからなる少なくとも２層を重ね
合わせて構成され、これらのブレーカのコードは
各層において相互に平行、層間において相互に交
差し、またタイヤ周方向に対して30゜までの角度
をなすようにした偏平タイヤに関する。

この種のタイヤの赤道帯域およびリム上ビード
座における直径を増大することなく、即ちリム上
のタイヤ高さＨを維持したままで、タイヤの軸方
向幅Ｂを増大させる時、水平地面との接触面は、
Ｈ／Ｂ比が１から0.5またはこれ以下に低下する
に従つて著しくその形状を変更することが確認さ
れる。これは、縁部を補強されたブレーカを使用
した場合にも見られる。タイヤ接地面は軸方向に
おいて拡大するがタイヤ周方向において短縮して
行く。このタイヤ周方向の短縮に伴なつて、タイ
ヤ赤道帯域が益々周方向に狭くなつて行き、遂に
接地面の前縁と後縁が結合し、次に接地面はタイ
ヤトレツドの縦軸線に対して対称的な別々の２区
域に分割されるに至る。

幅広いトレツド、並びに１により相当に低い
Ｈ／Ｂ比を有するタイヤの持つ利点にもかかわら
ず（キヤツプ保持、摩耗抵抗、横方向安定性の改
良等）、この型のタイヤにおいては0.75程度の
Ｈ／Ｂ比から接地面の赤道部の短縮と分割を生じ
る現象は、例えばトレツド赤道帯域の接地不良、
或いはトレツド縁部における高圧集中等の欠点を
伴なう。

この現象はラジアルカーカスの径の局部的増大
によつて生じるものと思われる。ラジアルカーカ
スは、タイヤふくらまし圧作用のもとに、そのサ
イドウオール、肩部およびブレーカ縁部の下方区
域においてその自然平衡プロフイルをとろうとす
る。ブレーカの縁部径の増大によつてこの縁部区
域に予応力を生じる。この予応力の結果、ブレー
カの交差層間の剪断を生じる。この剪断作用はタ
イヤの走行によつて生じる剪断作用に累加され
て、ブレーカの耐用期間を低減させる。

この様な欠点を除去する為、本発明によれば、
前記の型のタイヤのカーカスとブレーカとが平行
な赤道帯域内において、タイヤ赤道面から離間し
た２区域に、またこれらカーカスとブレーカとの
中間に、補強ベルトをそれぞれを配置し、この補
強ベルトは、きわめて非伸長性のコードの２層を
重ね合わせて構成され、補強ベルトのコードは各
層において相互に平行、また層間において相互に
交差し、タイヤ周方向に対して反対方向の角度を
なし、この角度はブレーカに使用されるコードの
最小角度の半分までの絶対値とし、好ましくは5゜
〜10゜の範囲とする。

ここできわめて非伸長性のコードとは、その破
断荷重の0.2％以下、10％の相対伸び率 △ｌ／ｌを有する金属例えば鋼の要素線またはコ ードを意味する。これらのコードはその見掛け径
の12〜20倍の範囲の撚りピツチをもつて形成され
る。また好ましくは、これらのコードは相互に接
して配置される。

カーカスの膨張圧から生じる張力の伝達に対す
る最良の遮蔽体を成す為、また鋼であればガラス
フアイバであれ、いかなる強化要素も実際上非伸
長性ではないことを考慮に入れて、本発明によれ
ば、補強ベルトの構成層の強化要素を、周方向に
対してゼロ度以下の一定角度に配置する。また実
際に交差された複数の層は、内圧の作用下におけ
る補強ベルトの曲率を低減させる傾向を示す。

カーカスによつてタイヤ頂部の層に加えられる
軸方向単位幅当りの張力Ｔは、近似的に式 Ｔ＝Ｐ・Ｒ／2COS²αによつて算出される。この 式において、Ｐはタイヤふくらまし圧、Ｒはタイ
ヤ回転軸線に対する層の半径、αはタイヤの周方
向に対する層のコードの角度である。

本発明の補強ベルトの構成層のコード角度をブ
レーカのコード角度の半分以下の角度αに設定す
ることにより補強ベルトの層の張力Ｔは、常にブ
レーカの最小角度の層の張力以下となる。故に、
カーカスから加えられる張力の作用による補強ベ
ルトの伸びは低減され、これによつてブレーカへ
のこの張力の伝達が防止される。

好ましくは、各補強ベルトの幅を、カーカスと
ブレーカの平行な赤道帯域の幅の15％〜45％の範
囲とする。またこれらの補強ベルトのタイヤ周方
向中心の相互間隔は、前記平行帯域の50％〜80％
の範囲とする。これによつて、各補強ベルトの外
側縁部を、極めて非変形性の区域の中に保持する
ことが可能となる。

10％の幅差を有する２枚の層を用いて補強ベル
トを形成することにより、これらの補強ベルトの
縁部とカーカス並びにブレーカとの間の転移部を
改良することができる。しかしまた１枚の層の両
縁を折返して平行円に沿つて接合させることによ
り、或いは１枚の層を２つ折りすることにより、
或いは１枚の層を２つ折りすることによつて補強
ベルトを形成することもできる。

本発明の利点を失うことなくトレツドを柔らか
にしようと思うならば、各補強ベルトを小間隔で
分離された隣設の２つの下位ブロツクに分割する
のでなく、各補強ベルトの幅を縮小することが好
ましい。

本発明の補強ベルトは、カーカスの半径方向圧
の生じる張力を吸収するとともに、タイヤ接地面
の挾搾化とこれに伴う問題を防止することができ
る。

本発明は、高速車または競走用車または木工工
事用車等の大積載量及び超大積載量のいずれにこ
の型タイヤが装備されても、上述の如き欠点を除
去するものである。

以下本発明を示す実施例について説明する。

Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄに分割された第１図において
Ｈ／Ｂ比の４種の価に対する乗用タイヤの４つの
接地面の輪郭を示す（Ｈはリム上のタイヤ高さ、
Ｂはタイヤの最大軸方向幅、第２図参照）。第１
図Ａの接地面はＨ／Ｂ＝１に対応し、第１図Ｂの
接地面はＨ／Ｂ比＝0.8に対向し、第１図Ｃの接
地面はＨ／Ｂ比＝0.65に対応し、第１図Ｄの接地
面はＨ／Ｂ比＝0.5に対応する。

第２図で半断面図で示す偏平タイヤにおいて、
タイヤ１は、カーカス２と、トレツド３と、ブレ
ーカ４と、これらのカーカス２とブレーカ４の中
間に配置された補強ベルト５とを有する。ブレー
カ４の高さ水準で測定されたリム６（部分図示）
上のタイヤ１の高さＨとカーカス２の最大軸方向
幅Ｂの比率は0.5に等しい。

図面を明瞭にする為、ブレーカ４のコードは、
第２図の放射断面に附属した平面図において、相
互に非常に離間された直線４３で図示されてい
る。補強ベルト５を構成する層５１と５２のコー
ドも同様に図示されているが、これらの層５１と
５２が相互にできるだけ近接されたコードから成
ることを示す為、更に近接された直線で図示され
ている。

カーカス２の縁部２１はビート７のビードワイ
ヤ２２に巻回されて外向きに折返されている。こ
の実施例において、カーカス２は鋼コードの単一
層からなる。ブレーカ４は鋼コードの２層４１，
４２からなり、これらのコードは相互に交差し
て、タイヤ周方向Ｙ−Y′に対して30゜以内の角度
βをなしている。ブレーカ４の半径方向外側に、
弾性コードから成る保護層（図示されず）を配置
することができる。補強ベルト５は２層５１，５
２から成り、これらの層は相互に交差し、またタ
イヤ周方向に対して、前記の角度βの半分より小
さい角度αをなしている。補強ベルト５の半径方
向外側の層５２の幅l₂は内側層５１の幅l₁より小
である。

幅Ｌの赤道帯域（即ち、タイヤ赤道面の軌跡Ｘ
−X′を中心とする区域）に沿つて、ブレーカ４
はカーカスに対して平行である。この赤道帯域に
おいて、ブレーカ４とカーカス２は、比較的小さ
い曲率を有するので、前記の赤道帯域の幅Ｌの外
部においては、カーカス２に対するブレーカ４の
半径方向距離は増大して行く。この実施例におい
ては、軸方向幅Ｂの約63％であり、Ｈ／Ｂ比が減
少するに従つてこの幅Ｌは増大して行く。

軌跡Ｘ−X′のタイヤ赤道に対する補強ベルト
５とその対称（図示されず）のそれぞれのタイヤ
周方向中心線Ｙ−Y′は、タイヤ赤道面から軸方
向距離ｂにある。この距離ｂは、カーカス２とブ
レーカ４の平行帯域の幅Ｌの半分以下である。ま
た各補強ベルト５の幅l₁は、このブロツク５の軸
方向外側縁５３が、タイヤ赤道面Ｘ−X′から、
平行帯域の幅Ｌの半分以下の距離b₁にあるように
なされる。この実施例において、この距離b₁は平
行帯域の幅Ｌの約45％、また補強ベルト５の幅₁
は平行帯域の幅Ｌの約16％とする。

第３図は、１枚の層の５４の両縁５５と５６を
折りたたんで平行縁５７に沿つて接合させてなる
補強ベルト５′のタイヤ半径方向断面を示す。同
じく第４図に示すように、１枚の層５８を２つ折
りすることによつて、補強ベルトを形成すること
もできる。折り返し縁５９は好ましくはタイヤの
軸方向外側に配置される。

以上述べたように本発明によれば、カーカスの
放射方向圧の生じる張力を吸収し、タイヤ接地面
への圧を均一化し、タイヤのふくらまし圧による
剪断応力を吸収すると共に、タイヤ接地面の挟搾
化を防ぐ事ができる。

本発明は、高速車または競争用車または土木工
事用車等の大積載量及び超大積載量のいずれかに
この型のタイヤが装備されても、上述の如き欠点
を除去することができる。

【図面の簡単な説明】

図１図はタイヤのＨ／Ｂ比を対応するタイヤ接
地面の輪郭の進化を示す説明図、第２図は本発明
による補強ベルトを備えた偏平タイヤの半断面図
及び補助平面図、第３図と第４図は補強ベルトの
他の実施例を示す断面図である。 ２…カーカス、４…ブレーカ、５，５′…補強
ベルト。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 最高0.75までのＨ／Ｂ比を有し、両側におい
   て少なくとも１本のビードワイヤに固定されたラ
   ジアルカーカスと、小さい曲率のブレーカとを備
   え、ブレーカは赤道帯域に沿つてラジアルカーカ
   スに対した平行であり、かつブレーカはコードか
   らなる少なくとも２枚の層を重ね合せて構成さ
   れ、ブレーカのコードは各層において相互に平
   行、また層間において交差し、タイヤ周方向に対
   して、最高30度までの角度をなすようにした偏平
   タイヤにおいて、前記ラジアルカーカス２とブレ
   ーカ４との平行な帯域Ｌでタイヤ赤道面Ｘ−
   X′から両側に離間した２区域でかつラジアルカ
   ーカス２とブレーカ４との間に、ラジアルカーカ
   ス２に対して平行に、補強ベルト５をそれぞれ配
   置し、各補強ベルト５は破断荷重の10％の荷重下
   において0.2％以下の伸びを有する非伸長性のコ
   ードの２枚の層を重ね合わせて構成され、これら
   のコードは各層の中において相互に平行であり、
   層間において相互に交差し、タイヤ周方向に対し
   ては反対方向にブレーカのコードの最小角度βの
   半分以下の角度をなし、各補強ベルト５，５′の
   幅は、ブレーカ４とラジアルカーカス２の平行な
   帯域の幅Ｌの15％乃至45％の範囲にあり、また２
   つの補強ベルトの長手方向中心線間距離ｂがラジ
   アルカーカスとブレーカとの平行な帯域の幅Ｌの
   50％乃至80％であることを特徴とする偏平タイ
   ヤ。 ２ 補強ベルト５，５′の構成層がタイヤ周方向
   に対してなす角度αは5゜乃至10゜の範囲内にある
   ことを特徴とする特許請求の範囲第１項に記載の
   偏平タイヤ。 ３ 補強ベルト５，５′のコードはその破断荷重
   の0.2％以下乃至10％の相対伸びを有することを
   特徴とする特許請求の範囲第１項または第２項に
   記載の偏平タイヤ。 ４ 補強ベルト５，５′のコードは、その見掛け
   径の12倍乃至20倍の範囲の撚りピツチを有するこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第１項または第２
   項記載の偏平タイヤ。 ５ 補強ベルト５，５′のコードは相互に接して
   配置されることを特徴とする特許請求の範囲第１
   項乃至第４項のいずれか１項に記載の偏平タイ
   ヤ。 ６ 補強ベルト５，５′の幅は、ブレーカ４とカ
   ーカス２の平行な赤道帯域の幅Ｌの15％乃至45％
   の範囲内にあることを特徴とする特許請求の範囲
   第１項乃至第５項のいずれか１項に記載の偏平タ
   イヤ。 ７ 補強ベルト５，５′の周方向中心線Ｙ，Y′の
   相互間隔はブレーカ４とカーカス２の平行帯域の
   幅Ｌの50％乃至80％であることを特徴とする特許
   請求の範囲第１項乃至第６項にいずれか１項に記
   載の偏平タイヤ。 ８ 補強ベルト５の構成層５１，５２の幅l₁，l₂
   は相互に最高10％まで相違することを特徴とする
   特許請求の範囲第１項乃至第７項のいずれか１項
   に記載の偏平タイヤ。 ９ 補強ベルト５′は、１枚の層５４の両縁５５，
   ５６を折りたたんで平行円５７に沿つて接合して
   なることを特徴とする特許請求の範囲第１項乃至
   第７項のいずれか１項に記載の偏平タイヤ。 １０ 補強ベルトは１枚の層５８を二つ折りして
   なり、その折り返し縁部５９はタイヤの外側に向
   けて配置されることを特徴とする特許請求の範囲
   第１項乃至第７項のいずれか１項に記載の偏平タ
   イヤ。 １１ ブレーカ４は、カーカス２とこのブレーカ
   ４との平行帯域Ｌにおいて、その周方向曲率まで
   の周方向曲率を有することを特徴とする特許請求
   の範囲第１項乃至第９項のいずれか１項に記載の
   偏平タイヤ。 １２ ブレーカ４は実際上一定の曲率を有するこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第１項乃至第１１
   項のいずれか１項に記載のタイヤ外皮。 １３ 補強ベルト５はタイヤ１の赤道面Ｘ−
   X′から等距離にあることを特徴とする特許請求
   の範囲第１項乃至第１２項のいずれか１項に記載
   の偏平タイヤ。 １４ ２つの補強ベルト５は同一幅を有すること
   を特徴とする特許請求の範囲第１項乃至第１３項
   のいずれか１項に記載の偏平タイヤ。