JPH0213637Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は合成樹脂発泡体を構成材とする畳床に
関する。

近年、畳床の原材料である藁材の不足、高騰に
伴ない、その対策として、一部または全部に合成
樹脂発泡体等の藁以外の材料を用いた畳床が種々
提案されており、例えばポリスチレン等のスチレ
ン系樹脂発泡体を基体とし、その上または上下に
天然の藁材を積層したもの、あるいは前記藁材の
代りに繊維状物を集合した繊維板（インシユレー
シヨンボード等）を積層したものが出現してい
る。

しかしながら、上記のごとき構造の畳床は、上
層または上下層の藁材や繊維板が湿気を吸収し易
いために、湿気で腰が弱くなつたり、重い物を置
いた場合の凹みやへたりが大きく劣化し易い上、
害虫が発生し易い等の欠点がある。

またポリスチレン樹脂発泡体は弾力性や復元性
および耐衝撃性、感触等の点で藁材に劣り、これ
単独では到底畳床として好適品にはなり得ないも
のである。

本考案は、上記に鑑みて、藁材等を全く使わず
に藁材の畳床と殆んど同様の弾力性や触感を呈
し、しかも湿気に対して強く腰がありかつ耐衝撃
性、復元性も良好で耐久性に優れるとともに、害
虫が発生するおそれのない畳床を提供すべく考案
したものである。

本考案の実施例を図面に基いて説明すると、本
考案に係る畳床Ａは、ポリプロピレン等のオレフ
イン系樹脂を主体とする熱可塑性樹脂の発泡体で
あつて、表面が高密度、内部が低密度の樹脂発泡
細条１１を多数本平行に配列して集束し、隣接す
る細条同士を互に融着せしめてなる合成樹脂発泡
体１を構成体として用いてなる。前記樹脂発泡細
条１１，１１同士の融着は熱可塑性樹脂を押出機
先端の口金から条状に多数同時に押出し発泡せし
めるとともに、押出し直後に所定の型内を通過さ
せて発泡を規制し互に密接させることにより行な
う。そのため合成樹脂発泡体の表面に高密度の表
皮層１２が形成され、また各細条１１，１１同士
の融着部１３でも高密度になつている。

上記でいうオレフイン系樹脂を主体とする熱可
塑性樹脂としては、ポリプロピレンやポリエチレ
ン等のオレフイン系樹脂単独でもよいが、これら
オレフイン系樹脂とポリスチレン等のスチレン系
樹脂との混合樹脂その他のオレフイン主体の共重
合体を例示でき、中でもポリプロピレン等のオレ
フイン系樹脂とスチレン系樹脂との混合樹脂で、
オレフイン系樹脂が50重量％以上、好ましくは60
〜80重量％程度含まれているものが好適に用いら
れる。また合成樹脂発泡体１の発泡倍率は、前記
樹脂の混合割合等によつても異なるが、平均５〜
30倍、好ましくは10〜20倍とする。

２は裏打材であつて、図の場合、合成樹脂の扁
平な細幅シートを交差結合した合成樹脂クロス２
ａをクラフト紙２ｂに貼着したものよりなる。こ
の裏打材２を上記合成樹脂発泡体１の裏面側に積
層した状態で、これを製畳機械等にて縫着するこ
とにより畳床を製することもできるが、図示する
実施例の場合には、アスフアルト等を含浸させた
繊維質シート３により合成樹脂発泡体１を包み込
み、その裏面側に上記裏打材２を積層して、これ
ら全体を縫着一体化せしめ畳床Ａを構成してい
る。４はその縫糸を示す。前記繊維質シート３と
裏打材２とによつて、合成樹脂発泡体１を保護で
き、縫目からの破損を防止できる。特に裏打材２
が上記のごとく合成樹脂クロス２ａよりなる場
合、引裂きに対して強く、縫目からの裂損防止効
果に優れる。

なお、上記した実施例では畳床に相当する厚み
の合成樹脂発泡体１の板材を用いた場合を示した
が、比較的肉薄の合成樹脂発泡体の板材を重ね合
せて用いることもできる。

図中、５は畳表であつて、従来周知の手段によ
り畳床Ａに装着される。

上記したように本考案の畳床Ａは、合成樹脂発
泡体１を構成材とするものであるから、防湿性の
ある藁材や繊維板のごとき素材を全く使用してい
ないので、防湿、防腐性に優れ、畳表が傷まず、
畳を長持ちさせることができるとともに、ダニ等
の害虫の発生を防ぎ、またほこりが出ず衛生的で
ある。

殊に本考案の畳床Ａは、その構成材として、表
面が高密度、内部が低密度の樹脂発泡細条１１を
多数本平行に配列して集束し、隣接する細条同士
を互に融着せしめてなる合成樹脂発泡体１、つま
りその製造上の特質として表皮層１２とともに細
条同士の融着部１３が高密度になつている独特な
内部構造の発泡体を用いており、しかもその素材
の熱可塑性樹脂がスチレン系樹脂に比しかなり軟
質のポリプロピレン等のオレフイン系樹脂を主体
とするものであるから、構成材がスチレン系樹脂
発泡体である場合よりも優れた弾力性および強靭
性を持ち、特に前記表皮層１２および細条同士の
融着部１３の高密度部分の強靭性が高く、畳床全
体として腰があつて耐圧縮強度および耐衝撃性に
優れるとともに、藁製畳床と殆んど同様の弾力性
や復元性および感触を呈し、しかも湿気に対して
強くて藁材等のように湿気で腰が弱くなつたり復
元性が阻害されるおそれがなく、タンス等の重い
物を置いた場合の凹みやへたりが少なく、耐久性
に非常に優れる。また合成樹脂発泡体１は高密度
部分と低密度部分とが混在した発泡体であるた
め、製畳機械による縫製が可能であり、しかも前
記高密度部分によつて、縫製による針孔が過度に
拡がつたり該孔の部分から裂損するのを防止で
き、縫着状態を良好に保持できる。

さらに本考案は、発泡体を構成材とするもので
あるから、きわめて軽量で取扱い易く、畳製造お
よび輸送効率を高めることができるほか、断熱お
よび保温性にも優れる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の畳床を示す一部欠截斜視図、
第２図は前図−線における一部の拡大断面図
である。 Ａ……畳床、１……合成樹脂発泡体、１１……
樹脂発泡細条、２……裏打材、３……繊維質シー
ト、４……縫糸、５……畳表。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ ポリプロピレン等のオレフイン系樹脂を主体
   とする熱可塑性樹脂の発泡体であつて、表面が
   高密度、内部が低密度の樹脂発泡細条を多数本
   平行に配列して集束し、隣接する細条同士を互
   いに融着せしめてなる合成樹脂発泡体を構成材
   とする畳床。 ２ 熱可塑性樹脂が、ポリプロピレンおよびポリ
   エチレン等のオレフイン系樹脂とポリスチレン
   等のスチレン系樹脂との混合樹脂であつて、オ
   レフイン系樹脂が50重量％以上のものからなる
   実用新案登録請求の範囲第１項記載の畳床。 ３ 合成樹脂発泡体の発泡倍率が平均５〜30倍で
   ある実用新案登録請求の範囲第１項または第２
   項記載の畳床。