JPH021308Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、パツケージ等を捲き上げる際に生ず
る耳高の発生を防止する捲糸機における耳高防止
装置に関する。

〔従来の技術〕

捲糸機におけるトラバースドラムのカム溝端部
はトラバースガイドのターンの際の衝撃を緩和す
るために曲線を画いてターンしており、このため
トラバース端部でトラバース速度が減少し、従つ
て捲糸密度が高くなり、いわゆる耳高が形成され
る。耳高が形成されたパツケージは後の工程にお
いて解舒張力が変動したり染色むらが発生するこ
とがある。そのために出来るだけ耳高の発生を防
止し上記の欠点をなくさねばならないが、耳高の
発生を心配するあまり綾落ちの発生を見るようで
もいけない。そのためにはパツケージに捲き上げ
る糸の太さ、種類等に応じてその糸に対して最も
適したクリーピング比でパツケージの捲き上げを
行なわなければならない。ここで、クリーピング
率とは第１図に示す如く、トラバースガイドが最
大のトラバース巾でトラバース運動している時間
Ｔと、トラバース巾が最大より縮小した巾でトラ
バース運動している時間ｔとの比を言う。そのた
めにはクリーピング比率を自由に任意に変更する
ことができるようにしなければならない。

〔考案が解決しようとする問題点〕

本考案は、パツケージ等に捲き上げた際に、糸
の太さ、種類等によつて種々の形態に発生する耳
高を防止するため、パツケージに捲き上げる糸の
種類、太さ等に応じてクリーピング比率を任意に
容易に変更することができるようにすることを目
的としている。

〔問題点を解決するための手段〕 トラバースドラムのトラバース溝に摺動自在に
支承されたＬ字形のトラバースガイドの一腕を糸
案内部材とし他腕に設けた摺動片をトラバースド
ラムに対し揺動自在に対設したカム板のカム溝に
摺動自在に嵌合し、上記カム板には、任意の所定
時間駆動を停止することのできる駆動停止機構を
持つたカム軸に支持されたカムにより揺動するカ
ム板揺動装置を設けてなる。

〔作用〕

トラバース装置のガイド部材の移行巾を変更す
るための装置をカムを介して制御し、カムの回転
に従つてトラバース巾を変更させ、カムが所定角
回転したときにカム軸の回転を所定時間停止し、
その停止時間は任意に設定できるようにし、その
後回転を再開することによりクリーピング比率を
変化させるようにした。

〔実施例〕

本考案装置の実施の１例を図面と共に次に説明
する。

１は複数のパツケージに対応する数だけ設けら
れた複数のカムで、カム軸２に支持された角θ間
は同一の最小径部１ａとなつている。軸３にはＬ
字腕４が揺動自在に支持され、スプリング５の弾
発力によつて第１腕の端部に設けたカムローラ６
をカム１に圧接している。Ｌ字腕４の第２腕の端
部には連杆７を枢支し、連杆７の他端はトラバー
ス装置８のカム板９の一端に連結されている。カ
ム板９はその中央を支点とし左右端を揺動する。
前記カム１、Ｌ字腕４、連杆７によりカム板揺動
装置１００を構成する。カム板９はトラバースド
ラム１１の上位に位置し長手方向に溝１０を有し
ている。トラバースドラム１１のトラバース溝１
２には図示しないカムシユーを摺動自在に嵌合し
てＬ字形のトラバースガイド１３を支持し、トラ
バースガイド１３の一腕に設けた摺動片１４を前
記カム板９の溝１０に嵌合している。１５はフリ
クシヨンローラ、１６はパツケージである。前記
複数のカム１，１……を支持するカム軸２にはス
イツチ用カム１７が設けられ、カム１７はカム１
の最小径部１ａが前記カムローラ６と接している
ときにスイツチ１８の接点を閉じるような形状と
する。スイツチ１８はカム軸２に設けたクラツチ
１９を操作するもので、スイツチ１８が入つたと
きにクラツチ１９が作動し、モーター２０の回転
をカム軸２に伝達するのを停止する。

次に、本考案装置におけるトラバース動作につ
き説明する。今、カム１とカムローラ６とがカム
１の最小径部の境界Ａに位置して接しているとす
る（第１図、第５図Ａ位置）。そしてカム軸２は
反時計針方向に回転するとしてその回転につれて
カム１は回転し、カムローラ６を介してＬ字腕４
は第２図反時計針方向に旋回する。これにより連
杆７は第２図左方向に移動し、カム板９を第３図
一点鎖線位置より反時計針方向に旋回する。それ
により、トラバースドラム１１のトラバース溝１
２に嵌合しカム板９の溝１０に案内され左右往復
動しているトラバースガイド１３は、次第にその
先端の往復動巾を狭め、第２図に示す如く、カム
１のＢ点がカムローラ６と接したときカム板９が
第３図実線に示す位置となりトラバースガイド１
３先端のトラバース巾は最小となる（第５図Ｂ
点）。そして、更にカム１の反時計針方向の回転
によりＬ字腕４は今度は時計針方向に旋回し、連
杆７は先とは反対に第２図において右方向に移動
し、カム板９を第３図実線位置から一点鎖線の位
置に近づける。そしてカム１のＣ点（最小半径）
がカムローラ６と接したときカム板９は第３図一
点鎖線位置となりトラバース巾は最大となる（第
５図Ｃ点）。このときに第４図に示すスイツチ用
カム１７がスイツチ１８を蹴りその接点をオンす
る。スイツチ１８の接点オンでリレーRA２１が
オフすると同時にタイマーTR２２がオンし、リ
レーRA２１のオフで接点２３が開となりクラツ
チリレーCR２４がオフする。そのためクラツチ
１９は切れてカム軸２は停止しカムローラ６はカ
ム１の最小径部１ａと接した状態を継続する。即
ち、カム板９は第３図一点鎖線の位置にあり停止
しているが、この間トラバースドラム１１は回転
しているからパツケージ１６は最大トラバース巾
で捲き上げられる。一定時間後タイマーTR２２
の作動でスイツチ２５がオンしリレーRA２１が
作動し接点２３が閉となり電磁クラツチ１９用の
リレーCR２４が入りカム軸２が回転する。カム
軸２の再始動によつてカムローラ６はカム１のＡ
点と接するまで回転し１回転終了する。

上記の停止時間はタイマーの設定時間を糸の種
類により適宜の時間に変更するものである。

第５図において明らかなように、停止時間TA
間においてはトラバースガイド先端のトラバース
巾は最大で一定である。なお、上記停止時間はカ
ム軸２に設けられたスイツチ用カム１７が、スイ
ツチ１８を蹴つたときにスタートを開始するが、
スイツチ用カム１７がスイツチ１８を蹴るのはカ
ム１の最小径部１ａの範囲内であればいずれの位
置でも良い。装置の慣性等によつて、クラツチ１
９が切れても直ちには回転が停止しないから、回
転が停止するまでの間にカムローラ６が最小径部
１ａの範囲から出ないように、最小径部１ａの範
囲は決められている。従つてカム１が回転を停止
するのはカムローラ６が最小径部１ａと接してい
る間であればどの位置でも良い。

上記にあつては、カムローラ６がカム１の最小
径部と接するときにカム１の回転を停止したため
に、トラバースガイド１３の先端のトラバース巾
は最大となつた状態で所定時間トラバースした
が、逆いカム１の最大径部においてカム１とカム
ローラ６が接するときにカム１の回転を停止すれ
ば、トラバースガイド１３先端のトラバース巾は
最小となつた状態で所定時間トラバースさせるこ
とができる。

〔考案の効果〕

本考案装置では上記した如く、トラバースガイ
ドのトラバース巾を所定時間だけ変動させずにト
ラバースさせることができ、糸の性質、太さ等に
応じて上記不変動時間を選定することによりそれ
ぞれの糸に応じた耳高のないパツケージを作るこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のパツケージのトラバース状態を
示す説明図、第２図は本考案装置の概略側面図、
第３図はトラバース装置の概略正面図、第４図は
トラバース装置のカム軸部分の概略正面図、第５
図はトラバース巾と時間の関係を示す図表、第６
図は各装置間の電気配線を示す結線図である。 １……カム、１３……トラバースガイド、１６
……パツケージ、１００……トラバース巾を変更
するための装置、Ｙ……糸。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 往復動部材に係合支承されたＬ字形トラバース
   ガイドの、一腕を糸案内部材とし他腕をカム板の
   カム溝に係合し、該カム板に、カムにより揺動す
   るカム板揺動装置を設けてなる耳高防止装置にお
   いて、上記カム板のカム軸に所定時間駆動停止機
   構を設け、カムの回転によりトラバースガイドの
   糸案内部材の往復動幅を変更すると共に、カム軸
   の回転を所定時間停止することにより、該時間糸
   案内部材の往復動幅を一定とし、上記カム軸の回
   転停止時間を任意に選定することによりクリーピ
   ング比率を任意に設定することができるようにし
   たことを特徴とする捲糸機における耳高防止装
   置。