JPH0212374B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は超高圧加速管のコンデシヨニング方法
に関する。

［従来の技術］ 超高圧電子顕微鏡等の加速管においては、電子
源よりの電子線を加速するために複数の加速電極
を筒状の絶縁体を介して積み重ねて構成してい
る。この様な加速管では、加速電極間の真空絶縁
耐圧を高めるために所謂コンデシヨニングと称さ
れる処理が度々行われる。このコンデシヨニング
処理は、従来加速管内を例えば10^-6〜10^-8Torr
に排気すると共に各加速電極を電気的に並列に接
続して、通常の運転時に印加される電圧の1.5倍
程度の交流電圧を前記電極間に印加してマイクロ
放電を起こさせて行うようにしている。このマイ
クロ放電により、加速管内部に付着した残留ガス
成分を除去すると共に、電極等の表面上の電荷を
取り除き、加速電極間等の真空絶縁耐圧を高め、
運転時に放電が起こりにくい状態にしている。

しかし乍ら、この様な従来のコンデシヨニング
方法においては、放電の原因になる加速電極又は
絶縁碍子表面の突起や、ゴミ等を充分取り除くこ
とができないだけでなく、逆に電極や碍子表面の
状態を悪くしてマイクロ放電を激しく発生させて
しまう場合がある。この様な場合、加速電極又は
絶縁碍子表面がダメージを受け、加速管をその都
度オーバーホールしなければならないという欠点
があつた。

［発明の目的］ 本発明は以上の点に鑑みなされたもので、マイ
クロ放電の発生を防ぎ得る新規な超高圧加速管の
コンデシヨニング方法を提供することを目的とし
ている。

［発明の構成］ 本発明は、荷電粒子を加速する複数個の加速電
極を筒状絶縁体を介して積み重ねた加速管のコン
デシヨニングを行う方法において、加速管内部に
不活性ガスを流入させたて比較的低い真空度とし
た後、前記電極間に比較的小さな第１の交流電圧
を印加してグロー放電を生起せしめ、更に該加速
管内部を比較的高い真空度に排気すると共に、前
記電極間に加速管運転時よりも高い第２の交流電
圧を印加してマイクロ放電を生起せしめるように
したことを特徴としている。

［実施例］ 以下本発明の実施例を添付図面に基づき詳述す
る。

第１図は本発明を実施するための装置の一例を
示すためのもので、図中１は複数個の加速電極２
ａ，２ｂ…２ｆを円筒状の例えば絶縁碍子等の絶
縁部材３ａ，３ｂ，…３ｆにて気密を保持して一
体として構成された加速管である。該加速管上部
には、フイラメント４及びウエーネルト電極５か
ら成る電子源が設けられており、該フイラメント
４とウエーネルト電極５には稼動状態又はコンデ
シヨニング状態の切り換えを行なうためのスイツ
チ機構６を介して高圧電源７が接続されている。
又、加速管１の下部には鏡筒８が連通しており、
該加速管１及び鏡筒８内部は、該内部を10^-6〜
10^-8Torrの高真空に排気するための例えばイオ
ンポンプ９及び10^-1〜10^-2Torrの低真空に排気
するための油回転ポンプ１０がバルブ１１を介し
て接続されている。１３は加速管内部及び鏡筒内
に窒素ガス供給源（図示せず）より窒素ガスを供
給するためのバルブである。１４，１５，１６は
導電性部材より形成されそれぞれ加速電極２ａ，
２ｃ，２ｅに電気的に接続されたプーリである。
同様に、１７，１８，１９，２０もそれぞれウエ
ーネルト電極５、加速電極２ｂ，２ｄ，２ｆに接
続されたプーリである。２１は各プーリに接触し
て移動するベルトであり、該ペルト２１は第２図
及び第３図より明らかなように導電部材で形成さ
れた導電体部分２１ａと、絶縁部材で形成された
絶縁体部分２１ｂとを有しておりベルト駆動手段
２２により移動する。そのため、ベルト２１がベ
ルト駆動手段２２により移動し、各プーリ間がベ
ルト２１の導電体部分２１ａが接触した状態（コ
ンデシヨニング状態）では、第２図に示す様に各
加速電極は並列に接続される。又、ベルト２１が
更に移動し、該ベルト２１の絶縁体部分２１ｂが
各プーリに接触した状態（稼動状態）では、第３
図に示す様に各加速電極はそれぞれ絶縁された状
態となる。尚、第２図及び第３図においては、電
気的接続関係のみを中心に示しているため、各プ
ーリ、電極の位置及び各電極の形状は第１図のも
のから変更されている。２３はコンデシヨニング
用の可変交流電源であり、該電源２３の出力電圧
は昇圧トランス２４により昇圧されコンデシヨニ
ング抑制抵抗R₁，R₂を介してプーリ１６及びプ
ーリ２０間に印加されている。２５はベルト駆動
手段２２により制御され昇圧トランス２４よりの
コンデシヨニング電圧をオン、オフする電源スイ
ツチである。

以上の様な装置を用いて、該加速管１のコンデ
シヨニングを行なう場合について説明する。先
ず、ベルト駆動手段２２により、ベルト２１をそ
の導電体部分２１ａが各プーリに接触するように
移動させると、第２図に示す様に各加速電極が並
列に接続される。この状態で、スイツチ機構６を
オフ状態にし、スイツチ２５をオン状態にする。
次に、バルブ１３を開状態として加速管内部に窒
素ガスを流入する。この窒素ガスの流入により加
速管内部は略大気圧付近まで上昇する。その後、
バルブ１１を開状態として油回転ポンプ１０によ
り加速管１内を10^-1〜10^-2Torr程度に排気する。
この状態において、可変交流電源２３を操作し昇
圧トランス２４を介して、並列に接続された各加
速電極間に例えば2KV程度の電圧を15分程度印
加する。この各加速電極間への印加により、気体
はイオン化され各加速電極間にはグロー放電が発
生する。このイオンは、加速管内部の電極表面や
絶縁碍子表面の突起物を丸くすると共にゴミを除
去して加速電極間等の真空絶縁耐圧を高める働き
をする。このグロー放電によるコンデシヨニング
が終了したら、イオンポンプ９を動作させて該加
速管内部を10^-6〜10^-8Torrに排気する。そして、
可変交流電源２３を操作し各加速電極間に通常の
運転時に印加される電圧の1.5倍程度の交流電圧
を30分程度印加する。この過電圧の印加によつて
マイクロ放電が起り、該表面の突起物は更に丸く
なりゴミ等は完全に除去されと共に加速管内部に
付着した残留ガス成分が完全に除去される。更
に、このマイクロ放電によつて表面上の電荷は完
全に取り除かれるため真空絶縁耐圧を更に向上さ
せることができる。この様に、直接高真空
（10^-8Torr程度）と過電圧（運転時に印加される
電圧の1.5倍）によつてマイクロ放電を発生させ
るコンデシヨニングによらず、予め低真空
（10^-1Torr程度）と比較的抵いコンデシヨニング
電圧（数KV）によりグロー放電によるコンデシ
ヨニングを行なうため、従来のコンデシヨニング
方法と異なりマイクロ放電を激しく発生させるこ
ともなく、従つて、加速電極又は絶縁碍子表面に
ダメージを与えることもない。そのため、加速管
をオーバーホールしなければならない回数が大幅
に減少する。

［発明の効果］ 以上の様に本発明によれば、加速管等をコンデ
シヨニングする場合において、加速電極又は絶縁
碍子表面にダメージを与えることがないため加速
管のオーバーホールの回数を大幅に減少させるこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明を実施するための装置の一例を
示す図、第２図及び第３図は各々加速管のコンデ
シヨニング状態を示すための図である。 １：加速管、４：フイラメント、５：ウエーネ
ルト電極、６：スイツチ機構、７：高圧電源、
８：鏡筒、９：イオンポンプ、１０：油回転ポン
プ、１１，１３：バルブ、１４，１５，１６，１
７，１８，１９，２０：プーリ、２１：ベルト、
２２：ベルト駆動手段、２３：可変交流電源、２
４：昇圧トランス、２５：電源スイツチ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 荷電粒子を加速する複数個の加速電極を筒状
   絶縁体を介して積み重ねた加速管のコンデシヨニ
   ングを行う方法において、加速管内部に不活性ガ
   スを流入させたて比較的低い真空度とした後、前
   記電極間に比較的小さな第１の交流電圧を印加し
   てグロー放電を生起せしめ、更に該加速管内部を
   比較的高い真空度に排気すると共に、前記電極間
   に加速管運転時よりも高い第２の交流電圧を印加
   してマイクロ放電を生起せしめるようにしたこと
   を特徴とする加速管のコンデシヨニング方法。