JPH0212322Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、軸受に係り、特に自動車等のステア
リングシヤフトを支持するのに適した軸受に関す
るものである。

〔従来の技術〕

従来から、自動車等のステアリングホイールａ
のシヤフトｂを支持する構造として、第１図に示
すような深溝ラジアルボールベアリングｃが使用
されているが、このボールベアリングｃには、部
品数が多いために成形や組付け作業に多大な手間
を要し、また金属部品が多いために重量が重い欠
点がある。

このため、同じく従来、第２図に示すように、
可撓性を有する軸受材料からなり、内面を軸受面
ｅ、外面をケースｇに対する接合面ｆとした支持
輪ｄの回転軸方向に、内径を前記軸受面ｅの内径
より小さい面とした内筒部ｈと、外径を前記ケー
スｇに対する接合面ｆの外径より大きい面とした
外筒部ｉとを形成し、これら内外筒部ｈ，ｉの端
に切欠け部ｊ，ｋを設けてなる軸受が開発されて
いるが（特公昭45−31763号）、この軸受には、次
のような問題がある。

〔考案が解決しようとする課題〕

すなわち、シヤフトｌがケースｇに対して径方
向に変位した場合、前記軸受は、支持輪ｄの圧縮
変形だけに頼つてこれを支持するものである。支
持輪ｄに設けられた内筒部ｈは、シヤフトｌがケ
ースｇから離れる方向に移動する部分において、
シヤフトｌに追随し、シヤフトｌと支持輪ｄの間
に間隙が形成されるのを防ぐに過ぎない。したが
つて、支持輪ｄに十分な支持機能をもたせるため
に、当該軸受に初めから高い硬度を設定せざるを
得ず、シヤフトｌが少しでも径寸法に変位すると
直ちにシヤフトｌと当該軸受の間に大きな摺動抵
抗を生じる問題がある。また、前記軸受には潤滑
剤を保持する空間がないため、しばしば潤滑不足
による破損事故を生じる問題がある。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は、以上の点に鑑み、上記従来技術に見
られる問題を解消すべく案出されたもので、この
目的を達成するため、ハウジングの軸孔内壁と前
記軸孔に挿通したシヤフトの間に介装される軸受
において、合成樹脂によつて筒状体に成形され、
前記筒状体の外周面の軸方向略中央部に前記軸孔
の内径寸法より僅かに小径になる外周中央支持部
を設け、前記外周中央支持部の外周に前記軸孔内
壁に形成した凹部に係合する所要数の係合突起を
設け、前記筒状体の外周面の軸方向両端部にそれ
ぞれ前記軸孔の内径寸法より僅かに大径になる外
周端部支持部を設け、前記外周中央支持部と外周
端部支持部の間にそれぞれ前記外周中央支持部お
よび外周端部支持部より小径になる外周溝を設
け、前記筒状体の内周面の軸方向略中央部に内周
中央支持部を設け、前記筒状体の内周面の軸方向
両端部にそれぞれ端面方向へ向けて漸次拡径する
テーパ端部を設け、前記各テーパ端部の小径側端
部に前記シヤフトに対し所定の締め代をもつ内周
端部支持部を設け、前記内周中央支持部と内周端
部支持部の間にそれぞれ前記内周中央支持部およ
び内周端部支持部より大径になる内周溝を設け、
前記内周端部支持部をそれぞれ、その軸方向位置
において、外周端部支持部より内側に配置してな
る軸受を提供するものである。

〔作用〕

上記構成を備える軸受をハウジングの軸孔内壁
とシヤフトの間に嵌挿すると、外周端部支持部
が、内径方向へ弾性的に変位するとともに内周端
部支持部が外径方向へ弾性的に変位して弾性復元
力の回転モーメントが作用する。この状態から、
シヤフトがハウジングに対して径方向に変位しよ
うとすると、この変位に伴つて前記モーメントが
増大するとともに、外周中央支持部が軸孔内壁に
接触して当該軸受の軸方向中央部が径方向に圧縮
変形することによる支持力が加わる。本考案の軸
受はこのようにしてシヤフトの径方向変位を有効
に抑えるものである。

〔実施例〕

つぎに本考案の実施例を図面にしたがたつて説
明すると、当該軸受は、適宜弾性を有する合成樹
脂によつて全体を筒状体に成形されている。

前記筒状体の外周面において、軸方向中央部に
は、ハウジングＨの軸孔の内径寸法φ１より僅か
に小径になる外周中央支持部１が設けられ、該外
周中央支持部１の外周に、前記軸孔内壁に形成し
た凹部Ｈ１に係合し、当該軸受を円周方向と軸方
向に位置決めする所要数（図では２等配）の係合
突起２，２が設けられている。外周面の軸方向両
端部には、それぞれ、前記軸孔の内径寸法φ１よ
り僅かに大径になる外周端部支持部３，３が設け
られ、前記外周中央支持部１と外周端部支持部
３，３の間に、それぞれ、該両支持部１，３より
小径になる外周溝４，４が設けられている。外周
中央支持部１は断面形状において平たくなり、外
周端部支持部３と外周溝４は断面を円弧状の山谷
として一連につながつている。

筒状体の内周面において、軸方向中央部には、
内周中央支持部８が設けられ、該支持部８は内径
寸法をシヤフトＳの外形寸法φ２より僅かに小さ
く設定されてシヤフトＳに対し所要の締め代をも
つている。内周面の軸方向両端部には、それぞ
れ、端面方向へ向けて漸次拡径するテーパ端部
５，５が設けられ、各テーパ端部５，５の小径側
端部に、シヤフトＳの外径寸法φ２より僅かに小
径になる内周端部支持部６，６が設けられ、該支
持部６，６もシヤフトＳに対し所定の締め代をも
つている。該支持部６，６の支持面は平たく成形
され、円弧状になる内周中央支持部８の頂面より
広い支持面をもつている。内周中央支持部８と内
周端部支持部６，６の間にはそれぞれ該支持部
６，８より大径になる内周溝７，７が設けられて
いる。内周中央支持部８と各内周溝７，７は断面
を円弧形に成形され、山谷状に一連につながつて
いる。内周端部支持部６，６には、それぞれ、外
周端部支持部３，３より軸方向内側に位置し、頂
度、外周溝４，４に内周側に位置している。

上記軸受をハウジングＨの軸孔内壁とシヤフト
Ｓの間に嵌挿すると、第４図に示すように、外周
端部支持部３，３が内径方向へ弾性的に変位する
とともに内周端部支持部６，６が外径方向へ弾性
的に変位するため（矢示ａ）、弾性復元力の回転
モーメントが作用し（矢示ｂ）、これによつて、
シヤフトＳを強く支持する。また、シヤフトＳが
ハウジングＨに対して径方向に変位しようとする
と、この変位に伴つて前記モーメントが増大する
とともに、新たに、外周中央支持部１が軸孔内壁
に接触して当該軸受の軸方向中央部が径方向に圧
縮変形することによる支持力が加わるため、シヤ
フトＳの径方向変位を有効に抑えることができ
る。このようにして当該軸受は、シヤフトＳが径
方向に変位したとき、これに伴つて支持力を増大
させる作用を有して、この分、当該軸受を従来技
術より低硬度に成形することを可能としているた
め、シヤフトＳが僅かに変位した場合における摺
動抵抗の極端な増加を抑えることができる。ま
た、内周溝７，７に潤滑剤を保持することができ
るため、優れた潤滑作用を奏して破損事故の発生
を防止することができる。

〔考案の効果〕

本考案の軸受は、シヤフトの径方向変位時に支
持力を増大させる機能を持つており、該機能をも
たない従来技術（第２図）より低硬度の材質で成
形可能である。したがつて、シヤフトが僅かに径
方向変位しただけで摺動抵抗が大幅に上昇すると
いつた従来の不都合を解消することができる。ま
た本考案によれば、優れた潤滑作用を奏し、潤滑
不足による事故の発生を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の軸受を装着したステアリング装
置の一部切欠した正面図、第２図は他の従来例を
示す軸受の断面図、第３図は本考案の実施例に係
る軸受の側面図、第４図は第３図におけるＡ−ｏ
−Ａ断面図である。 １……外周中央支持部、２……係合突起、３…
…外周端部支持部、４……外周溝、５……テーパ
端部、６……内周端部支持部、７……内周溝、８
……内周中央支持部、Ｈ……ハウジング、Ｈ１…
…凹部、Ｓ……シヤフト。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 ハウジングＨの軸孔内壁と前記軸孔に挿通した
   シヤフトＳの間に介装される軸受において、 合成樹脂によつて筒状体に成形され、 前記筒状体の外周面の軸方向略中央部に前記軸
   孔の内径寸法より僅かに小径になる外周中央支持
   部１を設け、前記外周中央支持部１の外周に前記
   軸孔内壁に形成した凹部Ｈ１に係合する所要数の
   係合突起２を設け、前記筒状体の外周面の軸方向
   両端部にそれぞれ前記軸孔の内径寸法より僅かに
   大径になる外周端部支持部３，３を設け、前記外
   周中央支持部１と外周端部支持部３，３の間にそ
   れぞれ前記外周中央支持部１および外周端部支持
   部３，３より小径になる外周溝４，４を設け、 前記筒状体の内周面の軸方向略中央部に内周中
   央支持部８を設け、前記筒状体の内周面の軸方向
   両端部にそれぞれ端面方向へ向けて漸次拡径する
   テーパ端部５，５を設け、前記各テーパ端部５，
   ５の小径側端部に前記シヤフトＳに対し所定の締
   め代をもつ内周端部支持部６，６を設け、前記内
   周中央支持部８と内周端部支持部６，６の間にそ
   れぞれ前記内周中央支持部８および内周端部支持
   部６，６より大径になる内周溝７，７を設け、 前記内周端部支持部６，６をそれぞれ、その軸
   方向位置において、外周端部支持部３，３より内
   側に配置してなることを特徴とする軸受。