JPH018781Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はバルブに関し、詳しくは腐食性流体の
パイプラインに好適に使用し得るバルブステムの
シール機構を備えたバルブに関する。

従来、例えば、ボールバルブにおいては、ハウ
ジング内の流体通路を開閉し得る弁体としてのボ
ールがステムを軸として回動し得るように収容さ
されており、バルブの閉状態において、ハウジン
グ内の流体の通路間の漏れを防止するためにハウ
ジングとボールとの間にシール部が構成されてい
ると共に、ハウジングのボス部の端面に取付けた
グランドフランジと上記ステムとの間にもシール
部が構成されて、ハウジング・キヤビテイを外気
に対してシールしている。

第１図はＯ−リングを用いる従来のステムシー
ル機構の一例を示す。弁体（図示せず）に接続さ
れたステム１はハウジングのボス部２に嵌合さ
れ、上記ボス部の端面に固定されたグランドフラ
ンジ３がこのステムを囲繞して、グランドフラン
ジに組み込まれたＯ−リング４及び５がステムを
シールし、また、ハウジングに組み込まれたＯ−
リング６がハウジングとグランドフランジの間を
シールしている。

尚、ハウジングのボス部の内面には高荷重に耐
え、且つ、摩擦係数の小さい軸受（ステムベアリ
ング）７が被着されている。更に、ステムのシー
ル性能を長期間にわたつて保持すると共に、この
シール部が損傷した場合にも、一次的にシール機
能を維持するために、シーラント・インジエクタ
８がグランドフランジ側面に取付けられ、必要に
応じてシーラントがシーラント孔９に注入され、
ステム１上に供給される。

第２図はＶパツキングを用いる従来のステムシ
ール機構の一例を示し、グランドフランジ３に組
み込まれたＶパツキング１０とＯ−リング１１と
がステム１をシールし、ハウジング３に組み込ま
れたＯ−リング１２がハウジングとグランドフラ
ンジの間をシールしている。

上記のようなステムシール機構を有するバルブ
は、例えば、硫化水素を含有するガスのような腐
食性流体に適用した場合、この流体がハウジン
グ・キヤビテイ内においてグランドフランジに直
接に接触するので、グランドフランジの腐食を避
けるためにはグランドフランジ全体を耐食性材
料、例えば、ステンレス鋼で製作したり、或いは
腐食性流体に接触する部分に耐食性材料からなる
被覆材を設けたりすることが必要となるが、前者
によれば特に大型のバルブの場合に材料費用が高
くなり、また、後者によれば、複雑な加工を要す
るので製作費用が高くなると共に、その保守管理
も煩瑣である。

従つて、本考案の技術的課題は、製作及び保守
管理が簡単であつて、腐食性流体に好適に使用す
ることができるステムシール機構を備えたバルブ
を提供することである。

上記課題を解決するために、本考案によれば、
ハウジング内に収容された弁体と、この弁体に接
続され、ハウジングのボス部に嵌合されているス
テムと、このステムを囲繞するように上記ハウジ
ングのボス部の端面に固定されているグランドフ
ランジとを備えたバルブにおいて、グランドフラ
ンジの内側においてステムとハウジングのボス部
との間にステムを囲繞する耐食性の環状スペーサ
が嵌装され、このスペーサの内周面と外周面とに
それぞれ耐食性のＯ−リングが取付けられてい
る。

従つて、本考案のバルブによれば、グランドフ
ランジの内側に間隔をおいて、上記耐食性の環状
スペーサの内周面に組み込まれた耐食性のＯ−リ
ングによつてステムとスペーサとの間がシールさ
れ、外周面に組み込まれた耐食性のＯ−リングに
よつてハウジングボス部とスペーサとの間がシー
ルされるので、グランドフランジはハウジング・
キヤビテイ内の腐食性流体と直接に接触すること
がない。このように、所定の位置に耐食性環状ス
ペーサを付設することにより、グランドフランジ
を耐食性流体から遮断してステムシールを構成す
るステムシール機構によれば、スペーサの製作が
簡単であるのみならず、バルブへの組み込みが容
易であり、また、その保守管理も容易である。

以下に一実施例を示す第３図に基づいて本考案
を説明する。尚、第１図と同じ部材には同じ参照
番号が付されている。

前記したように、弁体（図示せず）を収容する
ハウジングのボス部２の端面にはグランドフラン
ジ３が固定されており、弁体に接続されたステム
１は上記ハウジングボス部に嵌合され、グランド
フランジがこれを囲繞している。グランドフラン
ジの内側には、ステムとハウジングのボス部との
間にステムを囲繞する耐食性材料、例えば、ステ
ンレス鋼からなる環状スペーサ１３が嵌装され、
このスペーサの内周面と外周面とにそれぞれ耐食
性材料、からなるＯ−リング１４及び１５が設け
られ、グランドフランジから内側に離れた位置で
スペーサとステム及びハウジングボス部との間に
シール部が構成されている。

尚、好ましくはグランドフランジにもステムを
シールするＯ−リング１６及びハウジングボス部
をシールするＯ−リング１７が組み込まれて、ハ
ウジング・キヤビテイを一層完全にシールする。
但し、これらＯ−リングは腐食性流体と直接に接
触しないので、通常の材料からなつていてもよ
い。尚、これらＯ−リングの間にステム表面に開
口するシーラントの注入孔９が開口されている。
Ｏ−リングを有しないスペーサ面とステムとの
間、及びハウジングボス部内面には、前記と同様
に、軸受１８及び１９が設けられている。

更に、本考案による好ましい実施例によれば、
図示したように、ハウジングボス部内面に耐食性
材料からなるスリーブ２０が被覆され、この被覆
の上に上記軸受１９が被着され、特に、ボス部下
端のハウジングキヤビテイへの露出部は、上記耐
食性スリーブとの間に腐食が起こらないように溶
接される。

従つて、本考案のバルブによれば、グランドフ
ランジの内側に間隔をおいて、耐食性スペーサに
よつてステムとハウジングのボス部とがシールさ
れ、グランドフランジは腐食性流体に直接に接触
しないので腐食されない。しかも、スペーサの製
作、バルブへの付設、バルブの保守管理も容易で
ある。更に、ハウジングのボス部内面にも腐食性
スリーブを被着すれば、このボス部も腐食から保
護される。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のバルブにおけるＯ−リングによ
るステムシール機構を示す要部断面図、第２図は
同様にＶパツキングによるステムシール機構を示
す要部断面図、第３図は本考案のバルブの一実施
例を示す要部断面図である。 １……ステム、２……ハウジングのボス部、３
……グランドフランジ、４，５，６……Ｏ−リン
グ、７……軸受、８……シーラント・インジエク
タ、９……シーラント供給孔、１０……Ｖパツキ
ング、１１，１２……Ｏ−リング、１３……耐食
性スペーサ、１４，１５……耐食性Ｏ−リング、
１６，１７……Ｏ−リング、１８，１９……軸
受、１８……耐食性スリーブ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ハウジング内に収容された弁体と、この弁体に
   接続され、ハウジングのボス部に嵌合されている
   ステムと、このステムを囲繞するように上記ハウ
   ジングのボス部の端面に固定されているグランド
   フランジとを備えたバルブにおいて、グランドフ
   ランジの内側においてステムとハウジングのボス
   部との間にステムを囲繞する耐食性の環状ペーサ
   が嵌装され、このスペーサの内周面と外周面とに
   それぞれ耐食性のシーリングが取付けられている
   ことを特徴とするバルブ。