JPH0160242B2

JPH0160242B2 -

Info

Publication number: JPH0160242B2
Application number: JP57085696A
Authority: JP
Inventors: Petorini Roorando; Do Maruchi Jiinnruisu
Original assignee: Francois Salomon et Fils SA
Current assignee: Salomon SAS
Priority date: 1981-05-22
Filing date: 1982-05-22
Publication date: 1989-12-21
Also published as: JPS57206401A; US4561196A; FR2506135B1; ATA201382A; DE3218256A1; DE3218256C2; FR2506135A1; AT389632B

Description

【発明の詳細な説明】本発明は、スキー靴の胴部の角度変化に対する
スキーヤーの脚部の角度変化の差を補正できる装
置を有する後部挿入式（リヤ・エントリー式）の
アルペンスキー靴に関するものである。

現在、市場には、スキーヤーがスキーの方向制
御を所要の技能によつて確実に伝達するため各種
のスキー靴が出廻つている。この技能を一層高度
に行うために現今のスキー靴は、使用者の脚低部
全体を取り囲むように、踝の区域から上方に種々
異なる高さで延びている。しかし、このようなス
キー靴を製造するために使用される材料は比較的
硬質のプラスチツクであるため、これらの材料を
用いると靴の履き心地の点では好ましくない。こ
のことは、特に高胴形の靴の場合には、胴部が靴
本体低部にヒンジ結合されているといないとにか
かわらず問題となる。事実、スキーヤーが競技に
おいて、ゲレンデ又はゲレンデ外において、アル
ペンスキーの各種種目を行う際に、このような靴
を使用可能とするためには、靴の前方傾斜角を変
化させ得ることが望ましい。この前方傾斜角は、
例えば、滑降競技とかゲレンデ外のように使用状
況によつて多かれ少なかれ重要となる。かかる観
点から、従来技術によるスキー靴は前述の胴部の
前方傾斜角を変化できるように靴本体（シエル）
低部にヒンジ結合させた胴部を案出している。

かかる靴は、ドイツ特許第2058969号明細書お
よび米国特許第3619914号明細書に記載されてい
る。しかしながら、これらの靴は前方傾斜角の変
化を可能にしてはいるけれども、スキー滑走中に
前方屈曲が加わると、たいていの場合、スキーヤ
ーの脚の向脛に不快感を与える。この不快感は、
正確に云うと、胴部のヒンジ結合軸が実際にはス
キーヤーの踝で形成される関節部と厳密に一致し
ないという事実から生ずる。スキー靴の胴部に設
けた関節部とスキーヤーの脚の関節部との間に存
在する上記の不一致は、スキーヤーが脚の内部で
脚部を傾ける際、脚低部（脛）と靴胴部間の傾斜
角度の相違がそれぞれの関節軸の不一致を引き起
こすので、脚の向脛全体に亘つて線接触領域を生
ずる。

云うまでもなく、このような欠点は、ヒンジ結
合されていない胴部を有する後部挿入式の靴の場
合には一層顕著に現われる。そこで、各メーカ
は、例えば、米国特許第2410063号明細書に記載
されているように、胴前部に形成したスリツト・
システムのような異なる装置を設け、その開度を
該スリツトに沿つて動くスライダによつて調節し
て靴の履き心地をよくしようと試みた。現実に
は、このような装置は、向脛の快適さを確保する
という問題を解決しておらず、胴前部に沿つて動
くスライダの位置に応じて向脛を移動させるだけ
のことである。

脚部の領域におけるスキーヤーの履き心地の問
題は、前方屈曲のみに限らない。なぜなら、フラ
ンス特許第2089128号明細書には、スキー滑走時
にスキーヤーが余儀なくされる後部支持の範囲内
で前記胴部上縁により直線的な接触をスキーヤー
の脚部が受けないよう、ヒンジ結合されていない
胴部を有する靴の後方に枢動装置を配設すること
が既に記載されているからである。この構造の場
合、該枢動装置はスキーヤーのふくらはぎを保護
する作用に限定される。

本発明は、上述した諸欠点を除去することを目
的とするとともに、スキーヤーの踝から上の脛の
実際の傾き角と前方屈曲運動を受ける靴胴部の傾
き角との間に存在する角度差をうまく補正できる
ようなスキー靴、特に後部挿入式のスキー靴、を
実現することを目的としている。本発明の他の目
的は、靴本体低部にヒンジ結合されている前記胴
部の前方傾斜角の程度の如何を問わず、向脛に加
わる接触圧を一定して分配するような靴胴部を実
現することによつて、上述の前方屈曲運動が際立
つて大きくなつても常に履き心地のよいスキー靴
を得ることにある。

この目的のために、スキーヤーの足部を囲む硬
質の靴本体低部とその脚低部を包む胴部からな
り、該胴部は前記靴本体低部にヒンジ結合される
とともに、前記脚低部の向脛の支持部材の働きを
する前記胴部の前面部分において、その上縁から
下方に向つて延びる１の切込み部分を含む１また
は複数個の部材によつて構成された本発明のスキ
ー靴は、向脛に押し当てられる分配板（クツシヨ
ン板）が該胴部の前面上部区域内に配設された第
２のヒンジ結合部の周りを枢動し、かつ、その外
壁面を介して少なくとも部分的に、該胴部の前記
上部前面区域の内壁面と共働することを特徴とす
るものである。

いくつかの可能な実施態様が本発明によつて実
現でき、それら実施態様の１には、靴本体低部に
ヒンジ結合された胴部が、その前面上部に、スキ
ーヤーの脚部の向脛の形状にほぼ合致する樋形を
した第２の胴部をもち、且つ、この第２の樋形胴
部自体が靴の長手方向中央面両側に位置する２本
のヒンジ結合軸によりヒンジ結合されていて、前
記ヒンジ結合された靴胴部全体に対して枢動する
方向補正用分配板（クツシヨン板）の働きをする
ようになつているスキー靴が示されている。

胴部の複式ヒンジ結合を実現する他の一態様に
よれば、２個のヒンジ結合軸の代りにただ１個の
ヒンジ結合軸を使用することが考えられる。この
場合、前記唯一のヒンジ結合軸は胴部の周面に対
し接線的に且つ胴部の上縁からその前面部に形成
した切込み下部の真下に位置しており、顕著な前
方屈曲運動の場合にも上記の方向補正部材の角度
変化を容易にするものである。この切込みは上述
した実施態様に限られるものではなく、本発明に
よる靴の実施態様全てについての必要な作動要素
の一つである。更に、この切込みの形状は広狭両
形、Ｖ字形、梯形などあらゆる形が考えられ、胴
部ならびに方向補正部材に用いられる材料の剛性
および／又は柔軟性に応じてその何れかが選ばれ
る。

最後に、本発明の実施態様には、その使用性能
を改善するための各種の付属品を付け加えること
ができる。これらの付属品や、構造的配置の詳細
ならびにそれらの作用は、本発明に関する以下の
記載を添付の図面と共に読むことによつて一層よ
く理解できるであろう。

以下に、第１図乃至第３図に示す実施態様を参
照して本発明を詳細に説明する。

図において、本発明によるスキー靴１は硬質の
プラスチツク材料でできているシエル（靴本体）
低部２を含み、このシエル低部に対してスキーヤ
ーの脚低部（脛）を包む胴部３がヒンジ結合され
ている。この胴部３自体はスキーヤーの脚低部後
方を囲む後部覆い４と、脚低部の前方を包むスリ
ーブ５と呼ばれる前部分とからできている。これ
らの後部覆い４とスリーブ５は、ここで述べる構
造的配置の場合、スキーヤーの踝部にほぼ対応す
る区域に位置する共通ヒンジ結合軸６にヒンジ結
合されている。又、概略的に図示した後部覆い４
をスリーブ５に対して閉鎖するためのフツク７
は、上記胴部３をスキーヤーの脚低部８に確実に
締付ける。胴部３の上部にはスリーブ５の上縁１
０から切り込んだ切り込み９が設けられており、
この切り込みは下方に向つて延びるとともに靴の
長手方向中央面に対して左右対称形になつてい
る。従つて、この切り込み９はスリーブ５の上部
で胴部３全体に比べてより柔軟で且つ撓み易い２
つの部分１１，１２を画定している。樋に似た形
の曲板１３がスリーブ５の内面から上記の切込み
部９を塞ぎ、スキーヤーの脚低部にある向脛の区
域に密着するようになつている。クツシヨン板
（分配板）と称するこの曲板１３とスリーブ５の
上部との枢動連結はヒンジ結合軸１４，１５によ
つて、該切り込み９の両側で行なわれる。これら
のヒンジ結合軸をクツシヨン板１３の中間くらい
の所に位置させて、前方屈曲の場合に上記クツシ
ヨン板が前方に回転できるようにするとよい（第
３図）。ヒンジ結合軸１４，１５は金属やプラス
チツク製の超薄型平リベツトで実現することがで
きる。このリベツトを、靴の構造的配置構成に応
じて、クツシヨン板又はスリーブ上部の何れか一
方の部材にクリツプ止め可能な筒状突起の形で、
該部材と一体に鋳造成形してもよい。

通常の静止位置（第２図）において、スキーヤ
ーの脚低部８はあらかじめ内靴（インナー・ブー
ツ）を備えた靴の胴部３内で、靴底の面に対する
垂直線から角度α^だけ前傾した位置に沿つて保持
されている。スリーブ５の前面に配設したクツシ
ヨン板１３は胴部３全体と同じ角度方向に沿つて
脚低部の向脛区域８′に密着する。

スキーヤーが前方屈曲すると（第３図）、胴部
３全体は、靴本体低部２に設けたヒンジ結合軸６
の回りを、静止位置での角度α^より大きな新しい
前傾角α^₁だけ枢動する。このように、脚部からの
屈曲力は靴本体低部上の固定軸の回りでの胴部３
の回動により表わされるが、この胴部３の回動
は、実際には、屈曲運動の大きさに比例して回転
の中心が移動する踝関節１６に対する脚低部８の
角運動により表わされる。この事実から、胴部の
所定の前傾角α^₁を得るために、脚低部の方はα^₁よ
り大きい値の角β^だけ枢動する。もしも、枢動す
る分配板（クツシヨン板）１３が無いと、脚低部
８は、スリーブ５の上縁１０に沿つて線接触せざ
るを得なくなるであろう。本発明に基く配置構成
によれば、このようなことにはならない。事実、
方向補正子の働きをする枢動可能なクツシヨン板
１３は、該脚低部の向脛８′に対して、脚部の方
向と完全に一致する方向を有する接触面に加わる
屈曲力を配分できるようにする。このように、胴
部の前方上部に設けた第２のヒンジ結合部によ
り、クツシヨン板１３は脚部８の傾斜に追随し、
胴部３の傾きと脚部の傾斜角の差を完全に補正す
る。

他方、本発明によるこの構造的配置構成は、上
記の履き心地の改善の外に、胴部の曲げ剛性に関
連してスキーヤーのテクニツクを著しく改善する
効果を保証する。従つて、スキーヤーが起伏のあ
る野外を通過する際、脚部の屈曲を繰返し行なう
と、胴部の屈曲の大小に関係なく、クツシヨン板
１３が前方に枢動し、これによつて胴部の両側部
分１１，１２が多かれ少なかれ左右に開き、スキ
ーヤーは絶えず靴との柔かい接触感を保ち続ける
のである。それゆえ、材料の性質から固有の弾性
を有するスリーブ５は、胴部の前面上部の特定区
域において、屈曲運動の振巾に応じてある程度の
付勢力を受けるばね減衰装置の作用をする。尚、
上記側方部分１１，１２が有する板ばねには、更
に、上記スリーブの弾性と輪郭とにより、スキー
ヤーが脚部の屈曲を停止すると直ぐに通常の安息
位置に戻る動作に関与する。この弾性的戻り作用
は、ヒンジ結合軸１４，１５が一致している第４
図の場合よりも、ヒンジ結合軸１４ａ，１５ａが
交わつている第４ａ図の場合の方が強い。第４ａ
図に示したような構造の利点は、胴上部の弾性部
戻り作用がスリーブ５の側面部分１１，１２の一
時的な変形だけに限らず、ヒンジ結合軸１４ａ，
１５ａの軸線が交わつているため屈曲応力を受け
た時に不安定な位置に置かれるヒンジ結合軸１４
ａ，１５ａの付近に付勢効果が加わるということ
にある。云うまでもなく、胴部の上部区域にある
ヒンジ結合軸１４，１５，１４ａ，１５ａの位置
は、靴底の面にほぼ平行な横長スリツト内で、或
いは、胴部の軸線にほぼ平行な縦長スリツト内で
これらのヒンジ結合軸に移動させることにより同
様に調節できる。

上述した第１の場合（横長スリツト）、その構
造的配置構成は滑り溝装置を必要とし、この滑り
溝に沿つてクツシヨン板のヒンジ結合点が滑動
し、次いで所定の位置で固定され、それによつて
胴部の角度に影響を与えることなく脚部の初期前
傾角の調節を確実に行なえるようにする。第１１
図はこのような構成を示すものである。ここで注
意すべきことは、ヒンジ結合軸１４，１５又は１
４ａ，１５ａが滑り溝内で各々位置決めを行なう
ためには、該クツシヨン板は脚部の形に応じて上
記枢軸の回りで方向を定める機能を明らかに保持
しているということである。更に留意すべきこと
は、上記枢軸の滑り溝内における位置に応じて、
脚部の前傾角はβ^₁からβ^₂に移るが、角α^（つまり
主
胴部の傾き）は変らないということである。

このように、靴本体低部に対する脚部の前傾角
を独立して変化させる可能性が実現され、従つて
脚部の異なる位置に対して、胴部に固有の屈曲性
能と剛性が維持できる利点を生むのである。

調節用スリツトについて述べた第２の場合（縦
長スリツト）、その構造的配置構成は滑り溝装置
を必要とし、この滑り溝装置に沿つてクツシヨン
板のヒンジ結合軸が上述の場合と同じ要領で摺動
する。前の場合と異る点は、滑り溝がほぼ垂直方
向に設けられていることである（第１２図）。こ
の配置構成によつて、脚部の前傾角調節の許容範
囲が僅かに減少するが、この調節範囲の減少は図
面の矢印７５で示されているようなスキーヤーの
脛骨に沿つたクツシヨン板の高さ調節機能により
補償される。この機能は、スキーヤーによる該ク
ツシヨン板の使用に際して、周知の要領で履き心
地を更に良くするものであり、その場合スキーヤ
ーは自分の向脛の位置や形状に応じて該クツシヨ
ン板の位置を調節、適合させることができる。

第５図及び第５ａ図は、向脛の区域で接線方向
に配設した単一のヒンジ結合軸１７をもつという
点で、上述した実施態様とは別異の態様を示す。
このために、スリーブ２９の切込み２０の縁はリ
ブ（隆起部）１８，１９を備えており、このリブ
内にねじ孔２１，２２が穿設されて、両端２３，
２４に逆方向のピツチでねじ切りを施したヒンジ
結合軸１７を収容するようになつている。なお、
このヒンジ結合軸１７の中央部２５は単なる丸棒
で、Ｖ字形の切込みと同じ角度を有する楔状のボ
ス２７を備えたクツシヨン板２６のヒンジ結合軸
の働きをし、この切込み内にボスが収容される。
このボス２７には、ヒンジ結合軸の中央部と同じ
径の筒状内孔１８が穿設されている。胴部のスリ
ーブ２９の内側に配置したクツシヨン板２６は、
スキーヤーが第５図の矢印３０方向に脚を屈曲さ
せると前方に枢動する。この屈曲運動のための支
持剛性は楔形状ボス２７の両側面と該切込みを縁
取つているＶ字形のリブ１８，１９との共働によ
り制御される。この屈曲作用が起ると、楔形ボス
２７はリブ１８，１９の間隔を広げようとし、一
方リブは材料自体の性質により、変形に対して何
らかの反力をもつて対抗する。この機能におい
て、逆方向のピツチでネジ切りを施してある２つ
のネジ部２３，２４はリブ１８，１９の間隔調節
を可能にし、それによつて、剛性の変化および胴
部内にある脚部の実際の前傾角の振巾変化の調節
を行なうと云う利点がある。上記の調節手段は限
定的なものではなく、この種の構造におけるリブ
の間隔を利用しようとする同等の他の手段全てに
適合させ得ることは明かである。

第６図乃至第９図は、それ自体、本発明による
スキー靴のシエル（靴本体）低部にヒンジ結合さ
れた胴部自体の第２のヒンジ結合点を実現する他
の２変形例を示す。これらの変形例も既述の原
理、すなわち、胴上部に設けたクツシヨン板のヒ
ンジ結合を靴の長手方向軸を横断するとともに向
脛の区域に対して接線方向に配置した唯一のヒン
ジ結合軸により行なうと云う原理、を使用してい
る。

より詳しく述べると、第６図と第７図は本発明
の実施態様の一変形例を示すもので、クツシヨン
板３２のヒンジ結合軸は胴部３５の前部上方でＵ
字形に切りとつた部分３３の底部３４に配設した
筒状突起３１の形状により実現される。この筒状
突起３１はスリーブ３５それ自身と一体に鋳造成
形される。場合によつては、該筒状突起は、例え
ば別の金属部品を公知の組立方法で組込んでもよ
い。クツシヨン板３２それ自体は、その長手方向
ほぼ中程で、その前面３７に（鋳造成形又は組付
けによる）ボス３６を有し、このボスは上記の筒
状突起３１と同一寸法の横断凹み３８を備えてい
る。この凹み３８は上記筒状突起の直径より小さ
い寸法の開口部３９を有し、該ボス３６と該筒状
突起３１の２部分は互いに上下関係で挟み合つて
本発明による胴部の組立を行なうとともに、第２
のヒンジ結合部を実現する。

第８図および第９図は、切込み４０をＵ字形で
表わしてあるが、これとは異る形状の切込みであ
つてもよいという点を除き、前列に類似した一変
形例を示している。この変形例においても、やは
り、クツシヨン板４１は胴部４３の内側からクリ
ツプ止めされている。前例の場合と同様に、プラ
スチツク材料の変形特性を大巾に利用して一種の
見掛上のヒンジ結合軸を得ている。つまり、クツ
シヨン板４１はその外表面４４から垂直に突出す
る乳首状突起４３をその中央部に含む。この突起
はスリーブの切込み４０の下縁４６の真下にある
孔４５に嵌め込まれるようになつているので、ス
キーヤーが図中の矢印４７に沿つた屈曲を行なう
際に必要とされる前傾角遊間を実現可能にする。
このような屈曲動作の間、突起４３はヒンジ結合
軸を具現化する曲げ領域４８を画定する曲げ変形
を受ける。云うまでもなく、この種の構造に用い
られる材料は上記のような付勢力に耐える適性を
もつものでなければならない。更に突起４３の筒
状部分は、クツシヨン板４１が（矢印４９の方向
に沿つて）該突起の軸の回りで回転できるように
するという利点もある。このことは、クツシヨン
板４１がスリーブの内壁面によつて作り出される
許容角度の範囲内で向きを変える能力をもち、従
つて湾曲脚あるいはこの種の異常な形状の脚をも
スキーヤーの場合にも完全に適合できることを意
味する。同様に、この種の構造の場合には、筒状
孔の代りに靴の長手方向中央面に対し垂直方向に
配設した細長の窓孔を使用して該クツシヨン板の
設置高さを調節する装置を備えることも考えられ
る。従つて、この窓孔は、これに沿つた所定の位
置に上記の突起を固定させる装置を収容する。こ
のような装置の説明は第１３図を参照してより詳
しく行うが、これは２個のヒンジ結合軸を有する
変形例の場合にも適用できる。

第１０図は本発明による靴５０の好ましい実施
態様を示すもので、複式ヒンジ結合軸を有する胴
部５１が２部分からなるスリーブ５２で構成され
ている。つまり、これら２部分はスキーヤーの脚
部の屈曲を可能にするヒンジ結合軸５６を介して
靴本体低部５４と直接共働する下方部分５３と該
胴部それ自体の初期前傾角調節装置によつて該靴
本体低部と共働する上方部分５７とからなる。こ
の初期前傾角調節装置は上記胴部の下方部分５３
上に設けた上方部分５７のヒンジ結合部材５９
と、これら相互に嵌合させた両部材の角度変化を
固定する装置５８とからなるものである。

最後に、クツシヨン板５５は、２個の枢軸６０
を介し、前述の第１図乃至第４ａ図、第１１図お
よび第１２図の各図面で説明した構造的配置構成
の何れか１つに従つて、スリーブ５２の上方部分
５７にヒンジ結合されている。

調節用窓孔又は溝に沿つて位置を固定する手段
の詳細を明らかにするため、クツシヨン板のヒン
ジ結合調節装置６１の一変形例を第１３図に示し
ておく。但し、本発明はこれに限定されるもので
はない。この実施例によれば、回り止め６３を備
えたネジ付ボルト６２がクツシヨン板６４および
スリーブ６５の壁面を貫通し、スリーブは筒状ナ
ツト６６によりクツシヨン板６４に締付けられ、
該ナツトの頭部６７は位置決め用小片６８を保持
している。クツシヨン板６４がヒンジ結合軸の周
りを回動できるようにするため、該位置決め用小
片６８はナツトの筒状部７０との間に自由な遊び
間〓を残す孔６９を備えている。要するに、突状
の刻み目７１が上記ナツトの筒状部７０が移動で
きる細長の窓孔７３の両側にあるスリーブ６５に
形成された対応する凹み７２と共働するようにな
つている。該ヒンジ結合軸の位置を変えるには、
ナツト６６を緩めてスリーブの凹み７２から刻み
目７１を解放し、且つ、クツシヨン板６４を保持
しているネジ＝ナツト＝小片６２，６６，６８の
組立体を細長窓孔７３の何れか一方の端部に向け
て移動させ、次いで、ナツトを再び締め、刻み目
７１を前記端部寄りに配置した凹み７２′又は７
２″と係合させる。

第１４図は、本発明による靴を示す。この場
合、スリーブの切込み７４の両側に配置した前記
調節装置６１は、更に、靴胴部の中心軸に対して
クツシヨン板の向き（図面には角γ^で示してあ
る）を変えることもできる。

本発明の範囲内で、更に構造上の他の変形例を
案出することもでき、また、上述した種々の変形
例を相互に組合せることによつて、機能上の特性
の内の或るものを変化させることができよう。

【図面の簡単な説明】

第１図は切り込みを設けた胴部の前面上部に、
２本の軸の周りにヒンジ結合したクツシヨン板を
備えた本発明による靴の斜視図。第２図および第
３図は、それぞれ、通常の静止位置ならびに前方
屈曲位置にある、第１図の靴の側面図で、スキー
ヤーの脚低部（脛部）と靴の胴部間に生じる角度
位置の相違を現わすもの。第４図および第４ａ図
は長手方向軸に対するヒンジ結合軸の異なる２の
位置を示す第２図の−線に沿つて見た断面
図。第５図および第５ａ図は、それぞれ、クツシ
ヨン板のヒンジ結合部が胴部の前面で接線方向に
沿つて設けられている本発明による複式ヒンジ結
合部を備えた靴胴部の要部斜視図、ならびに、こ
のヒンジ結合部の詳細を示す平面図。第６図およ
び第７図は、それぞれ、胴部の前方切込みの根元
部にクリツプ止めされたクツシヨン板の該胴部に
対する接線的ヒンジ結合部の他の変形例を示す要
部斜視図ならびに一部縦断側面図。第８図および
第９図は、同じく胴部の前部切込みの下方に設け
たクツシヨン板の該胴部に対する接線的ヒンジ結
合部の他の変形例を示す要部斜視図ならびに一部
縦断側面図で、この変形例は、更に、靴の胴部前
部区域にほぼ垂直な回転軸に沿つてクツシヨン板
の方向変換を可能とする。第１０図はクツシヨン
板が複数の部材で構成されている胴部の前面に配
設されていて、その傾斜と剛性を調節できるよう
になつている反面、スキーヤーの脛に沿つて該ク
ツシヨン板の第２ヒンジ結合軸の高さを調節する
装置が胴部の切込みの両側に設けられている本発
明の靴の一部縦断側面図。第１１図および第１２
図はクツシヨン板のヒンジ結合軸の位置調節機構
の２例を示す要部概略図。第１３図はヒンジ結合
軸の調節機構を詳細に示す要部断面図。第１４図
は本発明による靴の中心軸線に対するクツシヨン
板の位置を変化させるための可能な変形例を示す
正面図。〔主要部分の符号の説明〕、１，５０……スキ
ー靴、２，５４……靴本体低部、３，３５，５１
……胴部、５，２９，５２，６５……前面部分
（スリーブ）、６，５６……ヒンジ結合軸、８……
脚低部、８′……脛、９，２０，３３，４０，７
４……切込み部、１１，１２……前方傾斜調節手
段、１３，２６，３２，４１，５５，６４……ク
ツシヨン板（方向補正用分配板）、１４，１５；
１４ａ，１５ａ；１７，６０……第２のヒンジ結
合軸（支点）、１８，１９……隆起部（リブ）、２
３，２４……ねじ切り部、２５……筒状軸、２７
……楔形のボス、３１……筒状突起、３６……鉤
爪、３８……中空筒状凹部、４３……乳首状突
起、４５……孔、４６……切込み部の下縁、５８
……角度変化固定装置、６１……クツシヨン板用
ヒンジ結合部の位置調節手段、６２，６３，６６
−７０……位置固定手段。

Claims

【特許請求の範囲】１スキーヤーの足部を囲む硬質靴本体低部と；
その脚低部を囲む靴胴部とからなり、前記靴胴部
は前記靴本体低部にヒンジ結合されるとともに、
前記脚低部の脛の支持部となる前部分と、同じく
前記靴本体低部にヒンジ結合される後部分とを含
み、前記前部分にはその上縁から靴本体低部に向
かつて下方に延びる１の切込み部を形成してなる
スキー靴において、前記切込み部９，２０，３３，４０，７４全体
を覆うようにして前記脚低部８の脛８′に当接す
るクツシヨン板１３，２６，３２，４１，５５，
６４を配設し、前記クツシヨン板は前記靴胴部
３，３５，５１の前記前部分５，２９，５２，６
５の上部区域に配設された少なくとも１の第２ヒ
ンジ結合部１４，１５；１４ａ，１５ａ；１７，
１８，１９；３６，３８；４３，４５；６０のま
わりを枢動するとともに、前記クツシヨン板の外
壁面が該靴胴部の前部分の上部区域の内壁面と少
なくとも部分的に共働することを特徴とするスキ
ー靴。２前記クツシヨン板が前記第２のヒンジ結合部
の位置を移動させることにより、前記胴部の壁面
に対する該クツシヨン板の位置を調節する少なく
とも１の手段６１，７３を有することを特徴とす
る特許請求の範囲第１項記載のスキー靴。３前記クツシヨン板が前記胴部に対する該クツ
シヨン板の前方傾斜を調節する少なくとも１の手
段１１，１２と接することを特徴とする特許請求
の範囲第１項又は第２項記載のスキー靴。４前記クツシヨン板が、前記胴部に沿つてその
高さを調節する少なくとも１の手段６１，７３を
含み、前記調節手段は前記第２のヒンジ結合部の
レベルにある選択された１の位置に固定手段６
２，６３，６６〜７０を含むことを特徴とする特
許請求の範囲第１項又は第２項記載のスキー靴。５前記第２のヒンジ結合部が、前記胴部に形成
した切込み部の両側に配設され、且つ、互に一致
した軸線を有する鋲、ねじ／ナツト、クリツプ結
合した突起、などで構成した２の枢軸１４，１５
からなることを特徴とする特許請求の範囲第１項
又は第２項記載のスキー靴。６前記第２のヒンジ結合部が、前記胴部に形成
した切込み部９の両側に配設され、且つ、前記胴
部の内方に向つて互に交わる軸線を有する鋲、ね
じ／ナツト、クリツプ結合した突起、などで構成
した２の枢軸１４ａ，１５ａからなることを特徴
とする特許請求の範囲第１項又は第２項記載のス
キー靴。７前記第２のヒンジ結合部が、前記胴部前面の
母線に対してほぼ接線方向に沿つて該スキー靴の
長手方向軸を横断して配置された単一のヒンジ結
合軸１７からなることを特徴とする特許請求の範
囲第１項、第２項、第３項、第４項、第５項又は
第６項記載のスキー靴。８前記胴部の母線に対して接線方向にあるヒン
ジ結合軸１７が、前記胴部に形成したＶ字形の切
込み部２０の両縁部に隣接し、該縁部の各々に沿
つて配設した隆起部１８，１９と、前記切込み部
の両縁に設けた隆起部間で且つ前記胴部の内側に
在るクツシヨン板上に配設した楔形のボス２７と
を貫通して係合する筒状軸２５で構成されている
ことを特徴とする特許請求の範囲第７項記載のス
キー靴。９前記筒状軸が、その両端の少なくとも一方に
ねじ切り２３，２４を施した軸棒であり、この軸
棒に対して前記切込み部の両縁部の間隔を多少狭
めるためのナツトや他の類似の締付手段がねじ止
めされることを特徴とする特許請求の範囲第８項
記載のスキー靴。１０前記胴部の母線に対して接線方向にあるヒ
ンジ結合軸が、前記切込み部の根元位置で水平方
向に配設され且つ前記胴部と一体に鋳造成形され
る筒状リブ３１で構成され、前記筒状リブに対し
てその直径より小さい直径の中空筒状凹部３８を
有する鉤爪３６がクリツプ止めされることを特徴
とする特許請求の範囲第７項記載のスキー靴。１１前記胴部の母線に対して接線方向にあるヒ
ンジ結合軸が比較的柔軟でクリツプ止め可能な突
起４３で構成され、前記突起は前記クツシヨン板
と一体的に鋳造成形されて、該クツシヨン板の外
表面から垂直方向に延び、前記切込み部の下縁４
６下方で胴部の前記区域に配置した孔４５内に挿
入されることを特徴とする特許請求の範囲第７項
記載のスキー靴。１２前記クリツプ止め可能な突起が、前記胴部
側壁の許容範囲内で、且つ、靴底の面にほぼ平行
な軸に沿つて回動４７，４９可能であることを特
徴とする特許請求の範囲第１１項記載のスキー
靴。１３前記靴胴部５１が、ヒンジ結合軸５６を介
して前記靴本体低部５４と共働する下方部分５３
及びヒンジ結合軸５９を介して前記下方部分５３
と共働する上方部分５７の２部分からなる前記前
部分５２を含み、前記上方部分は、その角度位置
を、前記下方部分との共働により変化させ、且
つ、前記クツシヨン板５５は２のヒンジ結合部６
０を介して前記上方部分５７にヒンジ結合されて
いることを特徴とする特許請求の範囲第１項記載
のスキー靴。