JPH0157738B2 - - Google Patents

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JPH0157738B2
JPH0157738B2 JP57096221A JP9622182A JPH0157738B2 JP H0157738 B2 JPH0157738 B2 JP H0157738B2 JP 57096221 A JP57096221 A JP 57096221A JP 9622182 A JP9622182 A JP 9622182A JP H0157738 B2 JPH0157738 B2 JP H0157738B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、超音波エコーと基準超音波とを相関
処理することを前提として、局所的に1以上存在
する反射体各々の性状を識別する超音波による欠
陥識別方法とその装置に関するものである。
従来より超音波による探傷方法が実用に供せら
れているが、従来の方法による場合は反射体の性
状を確実に識別し得ないという欠点がある。即
ち、超音波エコーの振幅の大きさと超音波エコー
受信時間(伝播距離に対応)の長さとにより反射
体の大きさやその位置を評価していたものであ
る。しかしながら、超音波エコー受信時間が同一
であつても反射体もが同一であるとは限らない。
例えば被検体が鋼材溶接部である場合その溶接部
周辺に存する割れを検知することは困難となつて
いる。これは、割れとして反射体と溶接たれ込み
などの反射体が近接している場合が多く、したが
つて反射体の位置だけにもとずく評定からは割れ
が存するのか否かを容易確実に識別し得ないとい
うわけである。
よつて本発明の目的は、1以上の反射体が局所
的に存在する場合であつても、それら反射体各々
の性状を容易確実に識別し得る超音波による欠陥
識別方法とその装置を供するにある。
この目的のため本発明は、基本的な前提として
超音波エコーの位相情報にもとづき反射体の性状
を識別するようにしたものである。より具体的に
は超音波エコーと基準超音波との相互相関関数を
求め、相互相関関数の正側、負側の(ピーク値)
最大値の大小関係から反射体の性状を知るように
したものである。しかしながら、2以上の反射体
が局所的に存在していることもあり得ることか
ら、残りの反射体各々の性状をも識別すべく上記
大小関係に応じ相互相関関数と基準超音波の自己
相関関数とを所定に加減算し、これによつて得ら
れる関数を新たな相互相関関数としてその正側、
負側のピーク値の大小関係より反射体の性状を識
別する、といつた処理を繰り返すようにし、ま
た、そのように反射体各々の性状を識別すべく構
成したものである。
以下、本発明を第1図から第5図により説明す
る。
先ず第1図から第3図により本発明の前提とし
ての超音波による欠陥識別方法あるいはその原理
について説明する。
第1図a,bに示す如く溶接部とその周辺を被
検体としたものであるが、超音波によつて溶接部
周辺に存する割れを検出する際探触子1は被検体
3外表面上を矢印方向に走査される。走査が行な
われている間に超音波送信器2より探触子1を介
しパルス状の超音波を被検体3内部の所定の入射
角度で放射せしめるものである。超音波は被検体
3内部にある拡がりをもつて放射され、通常被検
体3内表面によつて反射されるが、割れFや溶接
たれ込みWが存する場合には入射角と反射体の位
置関係からそれら割れFや溶接たれ込みWによつ
ても超音波は反射されることになる。反射された
超音波、即ち、超音波エコーは探触子1を介し超
音波送受信器2によつて受信されるが、入射角が
図示の如くである場合には被検体3内表面からの
超音波エコーは探触子1方向に反射されることは
少ないから、被検体3内表面からの超音波エコー
の受信レベルは小さいものとなる。これに反し割
れFや溶接され込みWにもとづく超音波エコーは
探触子1方向に相当反射されることから、その受
信レベルは大きなものとなる。これは、割れFが
存する場合には超音波は第1図aに示す如く一旦
被検体3内表面によつて反射された後割れFの表
面によつても反射されるか、あるいはこれとは逆
の経路を辿つて探触子1方向にスキツプエコーと
して反射されるようになるからである。溶接たれ
込みWが存する場合には第1図bに示す如くその
部分で直接反射され、探触子1方向に直接エコー
反射されるようになるからである。
このように割れFにもとづく超音波エコーは元
の超音波が2回反射されたものであるのに対し、
溶接たれ込みWにもとづく超音波エコーは元の超
音波が一回反射されたものとなるが、この相違は
位相の相違となつて現われるというものである。
反射超音波の音圧Prは入射超音波の音圧P1と媒
質の音響インピーダンスZ1,Z2とから、Pr=(Z2
−Z1)・Pr/(Z2+Z1)と求められるが、Z2,Z1
をそれぞれ空気、鉄の音響インピーダンスとすれ
ば、Z2≪Z1であるから、超音波が反射される度に
反射超音波の音圧の極性は入射超音波の音圧の極
性を反転したものとなる。即ち、割れFにもとづ
く超音波エコーの位相は元の超音波に位相的に同
一となるが、溶接たれ込みWにもとづく超音波エ
コーのそれは逆転されたものとなるわけである。
第2図a,bはそれぞれ割れF、溶接たれ込み
Wに対して実際に超音波を照射した場合での超音
波エコーのRF波形を示したものであるが、後者
のものにおいては位相が逆転されていることが判
る。また、前者のものにおいてはピーク値は零レ
ベルよりも正側に、後者のものにおけるそれは負
側に存するものであることが判る。被検体3内表
面による超音波エコーは位相的に溶接たれ込みW
にもとづく超音波エコーに同一となるが、したが
つて、超音波エコーの位相を弁別することによつ
て、割れが存するか否かを識別し得るというもの
である。
このように超音波エコーの位相を弁別すること
によつて欠陥の存否を識別することが可能となる
が、本発明ではその位相弁別を相互相関関数によ
つて行なおうとするものである。別途設けられた
基準超音波Us(t)と超音波エコーU(t)との
相互相関関数φuus(τ)を求めるわけであるが、
この相互相関関数の物理的意味は基準超音波と超
音波エコーとがどの程度同一性あるかを示すもの
となつている。φuus(τ)=1であればUs(t)=U
(t)、また、|φuus(τ)|<1であればUs(t)

U(t)、更にφuus(τ)=−1である場合にはUs
(t)=−U(t)となり、基準超音波に対し超音
波エコーが同相(正相)か逆相(負相)かにより
確実に判断し得ることになるものである。
基準超音波としては超音波の発信波や被検体底
面からの直接超音波エコーなどを用い得るが、第
3図a,bはそれぞれ基準超音波Us(t)に対し
超音波エコーU(t)が同相、逆相である場合で
の相互相関関数φuus(τ)を実際に得られた波形
として示したものである。これら図からも判るよ
うに同相と逆相では相互相関関数に明瞭な違いが
ある。即ち、正側ピーク値P+と負側ピーク値P-
とを比較すれば、同相である場合には正側のピー
ク値P+が負側のそれよりも大きく、逆相の場合
はそれとは逆に負側のピーク値P-が正側のそれ
よりも大きいといつた相違がある。したがつて、
基準超音波に対し超音波エコーが同相であるか逆
相であるかを判別するには、何れの側のピーク値
が大であるかの判別を行なえばよいことになる。
以下本発明の前提を説明したが、このような方
法によつては被検体内に弧立状態として大きく分
散して存在する反射体各々の性状は容易に識別さ
れ得ることになる。しかしながら、各種の反射体
が局所的に2以上存在する場合には、もはや反射
体各々の性状を識別し得なくなつてしまう。受信
される超音波エコーは反射体対応の超音波エコー
が合成されたものとして得られるからである。し
たがつて、一般的に超音波エコーは同相成分と逆
相成分が混在したものとして得られることにな
る。これら成分各々の位相判別は以下に記す処理
を行なうことによつて容易である。
(1) 超音波エコーU(t)と基準超音波Us(t)
との相互相関関数φuus(τ)を求める。
(2) その相互相関関数の正側、負側のピーク値の
大きさを比較し位相判別を行なう。
(3) (2)での比較でもしも正側ピーク値が大であつ
たならば基準超音波の自己相関関数φusus(τ)
にP+を乗じたものをφuus(τ)より差し引く。
また、もしも負側ピーク値が大であつたならば
φusus(τ)にP-を乗じたものをφuus(τ)に加
算する。減算または加算されたものを新たな
φuus(τ)として再び(2)での処理を行なう。
即ち、(3)の処理で得られる新たなφuus(τ)が
所定しきい値以下となるまで(3),(2)の処理を繰り
返し行なうようにすれば、残りの超音波エコー成
分についての位相判別も可能となるものである。
なお、相互相関関数φuus(τ)および自己相関関
数φusus(τ)は以下のように定義される関数であ
る。
φuus(τ)=1/T ・∫T 0U(t)Us(t−τ)dt …(1) φusus(τ)=1/T ・∫T 0Us(t)Us(t−τ)dt …(2) 但し、Tは波形のサンプリング区間である。
本発明による方法は以上のようであるが、最後
に本発明による装置について説明する。
第4図はその一例での構成を示したものであ
る。これによると各走査位置にて超音波送受信器
2からは探触子を介しパルス状の超音波が被検体
3内部に向けて放射される一方、被検体3内部か
らの超音波エコーは探触子1を介し超音波送受信
器2によつて受信されるようになつている。受信
された超音波エコー信号は高速にてAD変換さ
れ、超音波エコー波形データとして波形記録メモ
リ4に記録されるが、その際適当に得られた基準
超音波信号もまたAD変換された形で波形記録メ
モリ4に記録されるようになつている。基準超音
波信号に再現性がある場合は一旦波形記録メモリ
4に記憶せしめるだけで十分であるが、再現性を
有しない場合は各走査の度に基準超音波信号を記
録せしめておく必要がある。
さて、被検体3に対する走査が終了すれば、波
形記録メモリ4には各走査位置対応の超音波エコ
ー波形データおよび基準超音波波形データが所定
順に記録されているが、走査が終了した時点から
所定順に相関、演算処理装置9に読み出されるよ
うになつている。相関・演算処理装置9では第5
図に示すフローに従つて走査位置対応の超音波エ
コー波形データおよび基準超音波波形データを処
理するところとなるものである。
波形記録メモリ4より読み出された走査位置対
応のそれらデータは相関部5に入力され、ここで
ずれ時間τを変数として相互相関関数φuus(τ)
および自己相関関数φusus(τ)が式(1),(2)に従い
演算されるようになつている。このようにして求
められたφuus(τ)およびφusus(τ)は演算処理部
8に転送されるとともに、φuus(τ)の結果はま
たピーク検出部6にも転送されるようになつてい
る。ピーク検出部6ではφuus(τ)の正側、負側
のピーク値を求めるようになつているものであ
る。これらピーク値は演算処理部8に取り込まれ
たうえ比較されるようになつている。この比較で
もしも正側のピーク値が大であれば割れによる超
音波エコーであると判定する一方、負側のピーク
値が大である場合には割れ以外のものによる超音
波エコーであると判定するものである。演算処理
部8では次に判定結果に応じφuus(τ)にはφusus
(τ)・P-が加算されるか、φuus(τ)よりφusus
(τ)・P+が差し引かれるようになつている。こ
れは、残りの成分をも位相弁別するためである
が、加減算によつて求められた新たなφuus(τ)
の絶対的なピーク値の大きさが雑音によつて定め
られるしきい値以下でない場合に限り位相弁別が
繰り返し行なわれるようになつている。これによ
り残りの成分についても位相弁別が可能となるも
のである。
走査位置対応のデータについて上記の如く処理
を行なうわけであるが、その処理を行なう度に必
要なデータや結果を退避記憶せしめておく場合
は、それらを用い被検体3内に欠陥が存するか否
かが知れるものである。表示装置7はそれらデー
タや結果を表示するためのものである。表示装置
としては例えばCRTやプリンタが用いられるよ
うになつている。
以上説明したように本発明は、超音波エコーと
基準超音波との相互相関関数を求め、この相互相
関関数の正側、負側のピーク値の大小関係より反
射体の性状が知れた後は、所定に相互相関関数を
更新する度に残りの超音波エコー成分についての
性状が順次知れるようにしたものである。したが
つて本発明による場合は、溶接部周辺に割れが存
する場合であつてもその割れを溶接たれ込みと区
別して容易確実に識別し得、構造物に対する保守
や製品の品質管理が大幅に改善され得るという効
果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図a,b、第2図a,bおよび第3図a,
bは、本発明による方法あるいはその原理を説明
するための図、第4図は、本発明による装置の一
例での構成を示す図、第5図は、相関・演算処理
装置での処理のフローを示す図である。 1…探触子、2…超音波送受信器、4…波形記
録メモリ、7…表示装置、9…相関・演算処理装
置。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 超音波エコーの位相が照射超音波である基準
    超音波の位相と同相か逆相であるかを弁別するこ
    とによつて欠陥の存否を識別する超音波による欠
    陥識別方法にして、走査位置対応に予め記憶され
    ている超音波エコーと基準超音波との相互相関関
    数を求め、該関数の正側、負側のピーク値の大小
    関係より欠陥の存否を識別した後は、相互相関関
    数から、大きさが大として識別された側のピーク
    値の大きさが乗じられた、基準超音波の自己相関
    関数を減算し、該減算によつて得られる関数を新
    たな相互相関関数として該関数の正側、負側のピ
    ーク値の大小関係より欠陥の存否を識別すること
    を繰り返すようにして、欠陥の存否を識別するこ
    とを特徴とする超音波による欠陥識別方法。 2 新たに得られる相互相関関数の絶対的なピー
    ク値の大きさが一定値よりも大である限り上記相
    互相関関数の正側、負側のピーク値の大小関係に
    よる欠陥の存否識別が繰り返される特許請求の範
    囲第1項記載の超音波による欠陥識別方法。 3 超音波送信器より探触子を介し被検体内に超
    音波を照射する一方、被検体内からの超音波エコ
    ーを逆の経路で受信し、受信された超音波エコー
    の位相が照射超音波である基準超音波の位相と同
    相か逆相であるかを弁別することによつて欠陥の
    存否を識別する超音波による欠陥識別装置にし
    て、走査位置対応の基準超音波および超音波エコ
    ーをデイジルデータ状態で所定順に記録する波形
    データ記録手段と、該手段より順次読み出される
    走査位置対応の波形データより基準超音波と超音
    波エコーとの相互相関関数、基準超音波の自己相
    関関数を求めたうえ、上記相互相関関数の正側、
    負側のピーク値の大小関係より欠陥の存否を識別
    した後は、相互相関関数からの、大きさが大とし
    て識別された側のピーク値の大きさが乗じられ
    た、基準超音波の自己相関関数の減算によつて得
    られる新たな相互相関関数の正側、負側のピーク
    値の大小関係より欠陥の存否を識別することを繰
    り返す手段と、該手段に退避記録された走査位置
    対応の識別結果を表示する手段とを具備してなる
    超音波による欠陥識別装置。
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