JPH0144904Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は汚泥焼却、一般塵芥焼却等に用いる横
筒型の焼却炉に関する。

燃焼室を構成する炉体が回転ドラムよりなり、
該ドラムの一端側から他端側へ焼却目的物を送り
ながら燃焼させるロータリキルン方式の焼却炉は
公知である。この方式の焼却炉においては、回転
ドラムよりなる炉体が断面円形であるため、焼却
目的物はその底部に滞留し、炉体の回転運動によ
り一端側から他端側へ移動しながら燃焼する。こ
のとき燃焼室内の燃焼空気の風速が一定以下であ
ると煙の発生が避け難く、また煙を発生させない
で燃焼させるには或る一定以上の風速を必要と
し、炉体が断面円形である場合には燃焼室空間が
広くて燃焼空気の大半が燃焼に直接関与しない空
気として通過してしまうため、前記一定以上の風
速で燃焼させると空気過多となる。この燃焼空気
量が多くなり煙突から排出される排ガスが増加す
ると、臭気除去のための脱臭オイル等の排ガスの
処理材料が多量に必要となる。特にこの種の焼却
炉の場合、空気量と燃焼効率との関係では必ずし
も燃焼室の全長にわたつて広い空間を必要としな
いものである。

このような問題点を解決する焼却炉として、処
理胴１の全長に亘つてその断面が略半円状である
焼却炉が、特開昭51−105172号公報に示されてい
る。そして、この焼却炉は炉の断面積を円筒に比
べて最小に止めることができるため、少ない風量
で効率よい熱交換を行なうことができると、記載
されている。

一般に汚泥等の焼却目的物は含水率が高いた
め、焼却を効率よく行なうには、焼却目的物の供
給側の燃焼室内において焼却目的物を充分に乾燥
させることが重要である。そして、そのために
は、高温の燃焼空気が、焼却目的物の供給側ほど
ゆつくり進み、燃焼空気と焼却目的物との間の熱
交換が充分に行なわれる必要がある。

しかしながら、上記公報に示されている焼却炉
は、燃焼室の断面積が燃焼室の全長に亘つて同じ
であるため、燃焼室内を通過する燃焼空気の風速
も燃焼室の全長に亘つて一定である。従つて、煙
を発生させないで燃焼させるために一定以上の風
速で燃焼空気を進ませると、焼却目的物の供給側
においては焼却目的物の乾燥が充分に行なわれな
いという事態が生じ、ひいては燃焼効率が低下す
るという問題が生じる。

本考案は、上記に鑑みて、上記公報に示されて
いる燃焼炉の欠点を補ない、燃焼空気量が少なく
しかも燃焼効率のよい焼却炉を提供すべく考案し
たものであり、燃焼室を構成するドラム型炉体
を、その上部側を平面状に下部側を断面円弧状に
形成し、焼却目的物の供給側から灰の排出口側へ
段階的に上部側の平面度合を大きく形成するとと
もに、この炉体形態に相応してこれを回転させる
ことなく所定角度の範囲を揺動させるようにした
ことを特徴とするものである。

次に本考案の実施例を図面に基いて説明する。
１は横長の燃焼室２を構成するドラム型炉体、
３，４は炉体１の前後両端部に嵌合被蔽した前後
のフード、５は後部フード４を貫通して燃焼室２
に臨ませた焼却目的物の供給手段で、コンベヤー
等の搬送手段６を備えている。７は前部フード３
を貫通して設けたバーナ、８は前部フード３の下
部に設けた灰の排出口、９は後部フード４の上部
に設けた排ガスの排出口である。

しかして上記ドラム型炉体１は、前後のフード
３，４に嵌合する前後両端部１ａ，１ｂを除き、
上部側が平面状に下部側が断面円弧状に形成さ
れ、焼却目的物の供給側から灰の排出口８側へ段
階的に上部側の平面度合が大きく形成されてい
る。すなわち、炉体１は、下部の半円筒ドラム１
０とその上に接合した上部体１１より構成されて
おり、上部体１１は、焼却目的物の供給側から灰
の排出口８側へ、所要長さの範囲ごとに、３段階
に亘つて上部の平面度合が大きくなるように形成
されている。１１ｃ，１１ｂ，１１ａは、上部体
１１の各段部を示す。

このような構成としたため、燃焼室空間は焼却
目的物の供給側ほど大きく、燃焼室２内を通過す
る燃焼空気は、焼却目的物の供給側において最も
ゆつくりと進む。従つて、焼却目的物の供給側に
おいては、高温の燃焼空気と焼却目的物との間の
熱交換が充分に行なわれるため、含水率の高い汚
泥、一般塵芥等の焼却目的物を充分に乾燥でき、
燃焼室２内における焼却を効率よく行なわせるこ
とができる。

一方、灰の排出口８側においては、必要最小限
の燃焼空気が一定以上の風速で通過するため、煙
が発生せず、効率のよい燃焼状態を得ることがで
きる。

上記のドラム型炉体１は、半円筒ドラム１０よ
りなる下部所要個所の外周にタイヤ１２，１２を
装着するとともに、該タイヤ１２，１２の部分を
ローラ１３，１３にて炉体軸心を中心に回転可能
に受支し、さらに下部外周に設けたギヤー１４と
モータ等の駆動手段１５の出力軸上のギヤー１６
とを噛合連結し、該駆動手段１５の正逆回転によ
り所定角度の範囲を揺動するように設けている。
炉体１を回転可能に受支する手段および所定角度
の範囲を揺動させる駆動手段および機構について
は種々実施できる。

また、上記炉体１内での焼却目的物の移送手段
として、図示する実施例では炉体１を灰の排出口
８側へ低く数度の傾斜角度をもつて設置し、この
傾斜と揺動作用とにより移送できるように設けて
いるが、これに限らず炉体１の揺動作用を利用し
て焼却目的物を移送できる種々の実施が可能であ
る。

本考案は上記のように構成されており、供給手
段５により炉体１内一端側（後部）に供給され落
下する汚泥等の焼却目的物は、炉体１の揺動作用
に伴なつて左右に揺り動かされ撹拌されつつ他端
側（前部）へと除々に移動し、この移動の間に燃
焼空気とともに吹込まれるバーナ７の火炎等によ
り炉体１の内部の横長の燃焼室２内において着
火、燃焼し、焼却灰は前部フード３に有する排出
口８より排出される。また燃焼排ガスは後部フー
ド４に有する排出口９より排出される。

しかして本考案の場合、燃焼室２を構成する炉
体１は、上部側が平面状に下部側が断面円弧状に
形成され、焼却目的物の供給側からの灰の排出口
８側へ段階的に上部側の平面度合が大きく形成さ
れているので、焼却目的物の供給量と撹拌効率と
の関係で従来のロータリキルン方式の断面円形の
炉体と同径のものであつても、燃焼室空間は断面
円形の場合より狭く、それだけ燃焼空気量が少な
くて済み、特に煙を発生させないで燃焼させるの
に必要な風速も従来より少ない空気量で得ること
ができ、空気過多となることがなく無駄がない。
また、燃焼室２の焼却目的物の供給量において
は、高温の燃焼空気がゆつくりと進むので燃焼目
的物が充分に乾燥され、燃焼室２内における燃焼
効率を損なうこともない。燃焼空気量が少ないと
補助燃料の使用量も少なく、また煙突より排出さ
れる排ガス量も少なくて臭気除去等の排ガス処理
が容易となる等、経済的効果も大きい。

さらに、炉体が断面略割円形をなすにも拘ら
ず、この炉体形態に相応して所定角度の範囲を揺
動させるようにしたので、焼却目的物の撹拌、移
動は回転方式の場合と殆んど変らず、その燃焼、
焼却に何等問題がない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す斜視図、第２図
は同縦断面図、第３図は第２図の−線断面図
である。 １……炉体、２……燃焼室、５……焼却目的物
の供給手段、８……灰の排出口、９……排ガスの
排出口、１０……半円筒ドラム、１１……上部
体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 横長の燃焼室を構成するドラム型炉体の一端側
   に焼却目的物の供給手段を、他端側に灰の排出口
   を設け、焼却目的物を一端側から他端側へ移送し
   つつ燃焼させる焼却炉であつて、前記ドラム型炉
   体は、上部側が平面状に下部側が断面円弧状に形
   成され、焼却目的物の供給側から灰の排出口側へ
   段階的に上部側の平面度合が大きく形成されると
   ともに、炉体軸心を中心に回転可能に受支され、
   適宜駆動手段により所定角度の範囲を揺動するよ
   う設けられてなることを特徴とする焼却炉。