JPH0143818B2 - - Google Patents
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- JPH0143818B2 JPH0143818B2 JP29782587A JP29782587A JPH0143818B2 JP H0143818 B2 JPH0143818 B2 JP H0143818B2 JP 29782587 A JP29782587 A JP 29782587A JP 29782587 A JP29782587 A JP 29782587A JP H0143818 B2 JPH0143818 B2 JP H0143818B2
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Landscapes
- Manufacturing Of Steel Electrode Plates (AREA)
Description
〔産業上の利用分野〕
この発明は、圧延方向ならびに圧延方向に直角
な方向に磁化容易軸<001>方位を有するととも
に圧延面に{100}面が現れている(ミラー指数
で{100}<001>)結晶粒から構成される、所謂
二方向性電磁鋼板の製造方法に関する。 〔従来の技術〕 従来、米国特許第1965559号に基づく方法で、
圧延方向に特に磁化され易く、鐵損値が低い一方
向性電磁鋼板が製造されている。この一方向性電
磁鋼板は、鋼板の圧延面に{110}面が現れ、圧
延方向に磁化容易軸である<001>方位を有する
(ミラー指数で{110}<001>)結晶粒から構成さ
れている。 二方向性電磁鋼板は、圧延方向ならびに圧延方
向に直角な方向に磁化容易軸を有し二方向で磁気
特性が優れているから、圧延方向にのみ磁気特性
が優れている一方向性電磁鋼板(たとえば、圧延
方向におけるB10値:1.92Tesla、圧延方向に直角
な方向におけるB10値:1.45Tesla)に比し、磁性
が優れており、特に大型回転機器用の磁芯材料と
して用いると有利である。 一方、小型静止器の分野では一般的に、磁化容
易軸を高度に集積させていない冷間圧延無方向性
電磁鋼板が用いられているが、この分野において
も上記二方向性電磁鋼板を用いると、機器の小型
化、効率向上の面で極めて有効である。 叙上の如く、二方向性電磁鋼板は、一方向性電
磁鋼板に比し優れた特性を有している処から、そ
の製品化が待望されてきたにも拘わらず今日まで
工業製品として一般的に使用されるに至つていな
い。 実験室規模では、各種の製造方法が発表されて
いるけれども、何れも工業的規模の製造プロセス
としては問題がある。 先行技術として1つの方法は、特公昭37−7110
号公報に開示されているように、極性ガスたとえ
ば、硫化水素を含む雰囲気中で高温焼鈍を行い、
{100}<001>方位粒を二次再結晶させる方法であ
る。しかしながら、この方法は、鋼板表面雰囲気
を厳密に制御する必要があり、大量生産プロセス
には不都合である。 先行技術としてもう1つの方法は、田口悟等に
よる特公昭35−2657号公報に開示されている方法
である。この田口悟等による方法は、一方向に冷
間圧延を行つた後、前記圧延方向に直角な方向に
冷間圧延を行う、所謂「交叉冷間圧延法」であ
る。この交叉冷間圧延法によれば、比較的高い磁
化特性(B10の値で表示されるTesla)が得られ
るけれども、その製造方法の煩雑さに起因するコ
スト高に見合うだけの優れた磁気特性を有しない
ため、従来の一方向性電磁鋼板に対抗できない。 一方向性電磁鋼板の磁化特性B10は、特公昭40
−15644号公報、特公昭51−13469号公報に開示さ
れた技術が発明されて以来急速に進歩し、B10≧
1.89TeslaがJISで規格化されており、B10値が、
1.92Tesla前後の製品が市販されている。 かかる状況下で、二方向性電磁鋼板において
も、前記一方向性電磁鋼板に匹敵する磁化特性
(B10)を有することが必要である。二方向性電
磁鋼板の磁化特性を向上せしめる方法として、特
公昭38−8213号公報に、熱間圧延材を焼鈍した後
に相互に直交する方向に冷間圧延する方法が提案
されたが、この方法によつても得られる磁化特性
は、必ずしも十分なものとは言えない。 鐵芯材料は、上記磁化特性の他に鐵損特性が優
れている(鐵損値W/Kgが低い)ことが必要であ
る。鐵損特性を良くするためには、B10値を高く
すること、製品板厚を薄くすることが特に有効で
あり、一方向性電磁鋼板の分野では、0.23mm厚さ
までJISによつて規格化されている。 然るに、かかる板厚の電磁鋼板で{100}<001
>方位粒を得ることは、極めて困難であり、特公
昭35−2657号公報、特公昭38−8213号公報に、開
示された何れのプロセスにおいても、最終板厚は
0.3mmが限度である。 そこで、改良技術として、特公昭35−17208号
公報に開示されている技術が提案されたが、この
方法においては、冷間圧延と焼鈍が追加され、製
造コストを著しく高いものにする。加えて、得ら
れる製品の磁化特性B10は、1.8Tesla以下であり、
最終板厚も0.294mm止まりである。 〔発明が解決しようとする問題点〕 本発明は、高い磁化特性をもつ二方向性電磁鋼
板薄手製品を低い製造コストで製造できる技術を
確立することを目的としてなされた。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明は、高い磁束密度を有する二方向性電磁
鋼板を、1回の交叉冷間圧延で安定して製造し得
るとともに、最終板厚も0.33mm未満とすることを
可能ならしめるものである。 以下に、本発明を、詳細に説明する。 本発明は、交叉冷間圧延によつて最終板厚とし
た鋼板に、最終冷間圧延後仕上焼鈍過程における
{100}<001>方位粒の発現までの間で鋼板表面か
ら一定量の窒素を侵入させることにより、{100}
<001>方位粒の優先成長を促し、高い磁束密度
を有する二方向性電磁鋼板を得るようにした点に
よつて特徴づけられる。 最終冷間圧延後仕上焼鈍過程における{100}<
001>方位粒の発現までの間で鋼板表面から一定
量の窒素を侵入させる手段は、特に限定しない。
たとえば、最終冷間圧延後に行なわれる脱炭を自
的とした短時間焼鈍中又は脱炭焼鈍後の追加焼鈍
中に、窒化能のある雰囲気下で鋼板を窒化処理す
る方法或は仕上焼鈍過程における{100}<001>
方位粒の発現までの鋼板の昇温を、窒化能のある
雰囲気下に行う方法を適用することができる。 前記仕上焼鈍の対象がストリツプコイルであつ
て、ストリツプコイルが大型である場合には、ス
トリツプの層間に窒素が侵入し難く鋼板の窒化が
不十分となる恐れがあるから、ストリツプの層間
隙を一定量以上確保するか或は仕上焼鈍に先立つ
てストリツプ表面に塗布する焼鈍分離剤中に、仕
上焼鈍過程で窒素を放出する金属窒化物、アンモ
ニア化物を添加する等の措置を採ることが望まし
い。 本発明において、鋼板中に侵入させた窒素は、
おそらく、AlN、Si3N4、(Al、Si)N等の微細
析出物として{100}<001>方位結晶粒の優先成
長を促進しているものと考えられるが、その真は
明らかでない。 次に、本発明の構成要件を説明する。 本発明における冷間圧延工程は、基本的には特
公昭35−2657号公報は特公昭38−8213号公報に開
示されているプロセスにおける冷間圧延工程と同
じである。 本発明にあつては、熱延板は、酸洗された後一
方向に40〜80%の圧下率を適用する冷間圧延を行
い、続いて前記一方向に交叉する方向に30〜70%
の圧下率を適用する冷間圧延を行う。 熱延板に、750〜1200℃の温度域で30秒〜30分
間の短時間焼鈍を施すと、製品の磁束密度を高く
することができるが、製造コストを高めるから望
む磁束密度の水準との対応によつて短時間焼鈍の
採否を決めるとよい。短時間焼鈍を行うプロセス
の場合、短時間焼鈍に引き続き上記二方向の冷間
圧延が行なわれる。 冷間圧延前の素材としては、通常の珪素鋼熱延
板を採用できる。また、溶鋼を連続鋳造して得ら
れるホツトゲージ板、例えば1.5〜3.0mm厚さの連
続鋳造薄退(ストリツプ)を用いることもでき
る。 素材が含有する成分としては、Si:0.8〜4.8%、
酸可溶性Al:0.008〜0.048%、残部:Feおよび不
可避的不純物であり、これらを必須成分としてそ
れ以外は限定しない。 Siは、含有量が4.8%を超えると、冷間圧延時
に材料が割れ易く圧延不可能となる。一方、Si含
有量は、少なければ少ないほど製品の磁束密度を
高めるから好ましいけれども、仕上焼鈍時にα→
γ変態が生じると結晶の方向性を破壊するので、
α→γ変態の生じない1.8%以上を限定範囲とす
る。 酸可溶性Alは、0.008〜0.048%の範囲で、製品
の磁束密度B10が1.85Tesla以上となる。特に、酸
可溶性Al:0.018〜0.036%の範囲内では、製品の
磁束密度B10が1.92Tesla以上の、今までにない高
いものとなる。 残部は、Feおよび不可避的不純物である。 上記成分からなる溶鋼は、鋳造→熱間圧延或は
溶鋼を連続鋳造して直接的に、薄鋼板(ホツトゲ
ージ)とした後、直ちに或は短時間焼鈍工程を経
て交叉冷間圧延を行う。 最初に行う冷間圧延の方向が、素材の熱間圧延
或は連続鋳造方向と一致する方が、該方向に直角
な方向に冷間圧延する場合よりも製品の磁束密度
が高くなる。 しかし、最初り行う冷間圧延の方向が、素材の
熱間圧延或は連続鋳造方向に直角な方向である場
合であつても、得られる製品の結晶方位が{100}
<001>或はその近傍の二方向性電磁鋼板である
ことに変わりはない。 冷間圧延後の材料は、通常、鋼中に含まれる微
量のCを除くため、湿水素雰囲気中、750〜1000
℃の温度域で短時間の脱炭焼鈍を行う。 本発明を特徴づける鋼板中への窒素増量処理
は、最終冷延後に行う短時間処理工程即ち前記脱
炭焼鈍中又は脱炭焼鈍後の追加焼鈍で、或いは、
仕上焼鈍の昇温過程の何れかで行なわれる。 ここでは、脱炭焼鈍後の追加焼鈍を、アンモニ
ア含有雰囲気中で種々の時間行い、鋼板中の窒素
量を種々変化させたときの製品の磁束密度を示
す。そのときの処理プロセスは、以下の通りであ
つた。 C:0.055%、Si:3.23%、酸可溶性Al:0.028
%、total N:0.0073%、残部:Feおよび不可避
的不純物からなる1.65mm厚さの熱延板に、1000℃
で2分間の焼鈍を施した後、熱間圧延における同
一方向に65%の圧下率で冷間圧延し更に、前記冷
間圧延方向に交叉する方向(実質的に直交方向)
に60%の圧下率を適用する冷間圧延を行つた。 かくして得られた冷延板に、湿水素雰囲気下、
810℃で90秒間の脱炭焼鈍を行つた。この脱炭焼
鈍後の材料の窒素含有量は、素材におけるそれと
同じ0.0075%であり、この段階では窒化していな
い。 脱炭焼純後の材料を、NH3:10%を含有する
雰囲気中、55℃で(10〜360)秒間追加焼鈍して
窒化した。 こうして得られた材料に、焼鈍分離剤として
MgOを塗布し乾燥した後(25%N2+75%H2)雰
囲気中で昇温し、100%H2雰囲気中で1200℃で20
時間の純化焼鈍を行つた。得られた製品のB10値
と、仕上焼鈍前に行つた追加焼鈍(鋼板の窒化処
理)による窒素増量との関係を、第1図に示す。 第1図から明らかなように、増窒素処理を行わ
ないと、二次再結晶が起こらず磁束密度(B10
値)が低い。一方、窒素増量が多過ぎると、製品
の結晶粒が極めて大きくなり、{100}<001>以外
の方位粒の出現頻度が高くなり、B10値が低くな
る。 窒素増量が0.002〜0.060%の範囲で、1.88Tesla
以上のB10値が得られ、0.0060〜0.0200%の範囲
で、最も高い磁束密度の製品が得られる。 上記以外の窒素増量手段としては、焼鈍分離剤
中に、仕上焼鈍過程で分解して窒素を放出し鋼板
を窒化する、金属窒化物、アンモニア化物を添加
する方法或は脱炭焼鈍における雰囲気に窒化能を
持たせて材料を処理する方法が手段となり得、特
に拘らない。 しかしながら、冷間圧延前の材料に対して窒素
増量処理を行つてもその効果はなく、冷間圧延後
の焼鈍過程で窒素増量を行つたときのみ、効果が
ある。 〔実施例〕 実施例 1 重量%で、C:0.048%、Si:3.40%、Mn:
0.14%、酸可溶性Al:0.023%、total N:0.0035
%、残部:Feおよび不可避的不純物からなる、
1.65mm厚さの熱延板を、1070℃で2分間焼鈍し、
冷間圧延方向と同一方向に65%の圧下率を適用す
る冷間圧延を行つた。さらに、前記冷間圧延方向
に交叉する方向に60%の圧下率を適用する冷間圧
延を行つて、0.23mmの最終板厚とした。 この冷延板を、湿水素雰囲気中、810℃で90秒
間脱炭焼鈍した。 次いで、焼鈍分離剤として、MnNを、それぞ
れ0、2、5および10%含有するMgOを材料に
塗布した後、N2:10%+H2:90%の雰囲気中で
昇温し、H2:100%の雰囲気中、1200℃で20時間
の純化焼純を行う仕上焼鈍を行つた。 こうして得られた製品のB10値と、上記N2:10
%+H2:90%の雰囲気中での昇温過程900℃の段
階で加熱を停止(切電)して材料を取りだし分析
した鋼板のtotal N量を、第1表に示す。第1表
から明らかなように、焼純分離剤中にMnN添加
がなく窒素増量が少ない場合は、製品のB10値が
低い。これに比し、焼鈍分離剤中にMnNを添加
し、適切な窒素増量がある場合は、製品のB10値
が高い。
な方向に磁化容易軸<001>方位を有するととも
に圧延面に{100}面が現れている(ミラー指数
で{100}<001>)結晶粒から構成される、所謂
二方向性電磁鋼板の製造方法に関する。 〔従来の技術〕 従来、米国特許第1965559号に基づく方法で、
圧延方向に特に磁化され易く、鐵損値が低い一方
向性電磁鋼板が製造されている。この一方向性電
磁鋼板は、鋼板の圧延面に{110}面が現れ、圧
延方向に磁化容易軸である<001>方位を有する
(ミラー指数で{110}<001>)結晶粒から構成さ
れている。 二方向性電磁鋼板は、圧延方向ならびに圧延方
向に直角な方向に磁化容易軸を有し二方向で磁気
特性が優れているから、圧延方向にのみ磁気特性
が優れている一方向性電磁鋼板(たとえば、圧延
方向におけるB10値:1.92Tesla、圧延方向に直角
な方向におけるB10値:1.45Tesla)に比し、磁性
が優れており、特に大型回転機器用の磁芯材料と
して用いると有利である。 一方、小型静止器の分野では一般的に、磁化容
易軸を高度に集積させていない冷間圧延無方向性
電磁鋼板が用いられているが、この分野において
も上記二方向性電磁鋼板を用いると、機器の小型
化、効率向上の面で極めて有効である。 叙上の如く、二方向性電磁鋼板は、一方向性電
磁鋼板に比し優れた特性を有している処から、そ
の製品化が待望されてきたにも拘わらず今日まで
工業製品として一般的に使用されるに至つていな
い。 実験室規模では、各種の製造方法が発表されて
いるけれども、何れも工業的規模の製造プロセス
としては問題がある。 先行技術として1つの方法は、特公昭37−7110
号公報に開示されているように、極性ガスたとえ
ば、硫化水素を含む雰囲気中で高温焼鈍を行い、
{100}<001>方位粒を二次再結晶させる方法であ
る。しかしながら、この方法は、鋼板表面雰囲気
を厳密に制御する必要があり、大量生産プロセス
には不都合である。 先行技術としてもう1つの方法は、田口悟等に
よる特公昭35−2657号公報に開示されている方法
である。この田口悟等による方法は、一方向に冷
間圧延を行つた後、前記圧延方向に直角な方向に
冷間圧延を行う、所謂「交叉冷間圧延法」であ
る。この交叉冷間圧延法によれば、比較的高い磁
化特性(B10の値で表示されるTesla)が得られ
るけれども、その製造方法の煩雑さに起因するコ
スト高に見合うだけの優れた磁気特性を有しない
ため、従来の一方向性電磁鋼板に対抗できない。 一方向性電磁鋼板の磁化特性B10は、特公昭40
−15644号公報、特公昭51−13469号公報に開示さ
れた技術が発明されて以来急速に進歩し、B10≧
1.89TeslaがJISで規格化されており、B10値が、
1.92Tesla前後の製品が市販されている。 かかる状況下で、二方向性電磁鋼板において
も、前記一方向性電磁鋼板に匹敵する磁化特性
(B10)を有することが必要である。二方向性電
磁鋼板の磁化特性を向上せしめる方法として、特
公昭38−8213号公報に、熱間圧延材を焼鈍した後
に相互に直交する方向に冷間圧延する方法が提案
されたが、この方法によつても得られる磁化特性
は、必ずしも十分なものとは言えない。 鐵芯材料は、上記磁化特性の他に鐵損特性が優
れている(鐵損値W/Kgが低い)ことが必要であ
る。鐵損特性を良くするためには、B10値を高く
すること、製品板厚を薄くすることが特に有効で
あり、一方向性電磁鋼板の分野では、0.23mm厚さ
までJISによつて規格化されている。 然るに、かかる板厚の電磁鋼板で{100}<001
>方位粒を得ることは、極めて困難であり、特公
昭35−2657号公報、特公昭38−8213号公報に、開
示された何れのプロセスにおいても、最終板厚は
0.3mmが限度である。 そこで、改良技術として、特公昭35−17208号
公報に開示されている技術が提案されたが、この
方法においては、冷間圧延と焼鈍が追加され、製
造コストを著しく高いものにする。加えて、得ら
れる製品の磁化特性B10は、1.8Tesla以下であり、
最終板厚も0.294mm止まりである。 〔発明が解決しようとする問題点〕 本発明は、高い磁化特性をもつ二方向性電磁鋼
板薄手製品を低い製造コストで製造できる技術を
確立することを目的としてなされた。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明は、高い磁束密度を有する二方向性電磁
鋼板を、1回の交叉冷間圧延で安定して製造し得
るとともに、最終板厚も0.33mm未満とすることを
可能ならしめるものである。 以下に、本発明を、詳細に説明する。 本発明は、交叉冷間圧延によつて最終板厚とし
た鋼板に、最終冷間圧延後仕上焼鈍過程における
{100}<001>方位粒の発現までの間で鋼板表面か
ら一定量の窒素を侵入させることにより、{100}
<001>方位粒の優先成長を促し、高い磁束密度
を有する二方向性電磁鋼板を得るようにした点に
よつて特徴づけられる。 最終冷間圧延後仕上焼鈍過程における{100}<
001>方位粒の発現までの間で鋼板表面から一定
量の窒素を侵入させる手段は、特に限定しない。
たとえば、最終冷間圧延後に行なわれる脱炭を自
的とした短時間焼鈍中又は脱炭焼鈍後の追加焼鈍
中に、窒化能のある雰囲気下で鋼板を窒化処理す
る方法或は仕上焼鈍過程における{100}<001>
方位粒の発現までの鋼板の昇温を、窒化能のある
雰囲気下に行う方法を適用することができる。 前記仕上焼鈍の対象がストリツプコイルであつ
て、ストリツプコイルが大型である場合には、ス
トリツプの層間に窒素が侵入し難く鋼板の窒化が
不十分となる恐れがあるから、ストリツプの層間
隙を一定量以上確保するか或は仕上焼鈍に先立つ
てストリツプ表面に塗布する焼鈍分離剤中に、仕
上焼鈍過程で窒素を放出する金属窒化物、アンモ
ニア化物を添加する等の措置を採ることが望まし
い。 本発明において、鋼板中に侵入させた窒素は、
おそらく、AlN、Si3N4、(Al、Si)N等の微細
析出物として{100}<001>方位結晶粒の優先成
長を促進しているものと考えられるが、その真は
明らかでない。 次に、本発明の構成要件を説明する。 本発明における冷間圧延工程は、基本的には特
公昭35−2657号公報は特公昭38−8213号公報に開
示されているプロセスにおける冷間圧延工程と同
じである。 本発明にあつては、熱延板は、酸洗された後一
方向に40〜80%の圧下率を適用する冷間圧延を行
い、続いて前記一方向に交叉する方向に30〜70%
の圧下率を適用する冷間圧延を行う。 熱延板に、750〜1200℃の温度域で30秒〜30分
間の短時間焼鈍を施すと、製品の磁束密度を高く
することができるが、製造コストを高めるから望
む磁束密度の水準との対応によつて短時間焼鈍の
採否を決めるとよい。短時間焼鈍を行うプロセス
の場合、短時間焼鈍に引き続き上記二方向の冷間
圧延が行なわれる。 冷間圧延前の素材としては、通常の珪素鋼熱延
板を採用できる。また、溶鋼を連続鋳造して得ら
れるホツトゲージ板、例えば1.5〜3.0mm厚さの連
続鋳造薄退(ストリツプ)を用いることもでき
る。 素材が含有する成分としては、Si:0.8〜4.8%、
酸可溶性Al:0.008〜0.048%、残部:Feおよび不
可避的不純物であり、これらを必須成分としてそ
れ以外は限定しない。 Siは、含有量が4.8%を超えると、冷間圧延時
に材料が割れ易く圧延不可能となる。一方、Si含
有量は、少なければ少ないほど製品の磁束密度を
高めるから好ましいけれども、仕上焼鈍時にα→
γ変態が生じると結晶の方向性を破壊するので、
α→γ変態の生じない1.8%以上を限定範囲とす
る。 酸可溶性Alは、0.008〜0.048%の範囲で、製品
の磁束密度B10が1.85Tesla以上となる。特に、酸
可溶性Al:0.018〜0.036%の範囲内では、製品の
磁束密度B10が1.92Tesla以上の、今までにない高
いものとなる。 残部は、Feおよび不可避的不純物である。 上記成分からなる溶鋼は、鋳造→熱間圧延或は
溶鋼を連続鋳造して直接的に、薄鋼板(ホツトゲ
ージ)とした後、直ちに或は短時間焼鈍工程を経
て交叉冷間圧延を行う。 最初に行う冷間圧延の方向が、素材の熱間圧延
或は連続鋳造方向と一致する方が、該方向に直角
な方向に冷間圧延する場合よりも製品の磁束密度
が高くなる。 しかし、最初り行う冷間圧延の方向が、素材の
熱間圧延或は連続鋳造方向に直角な方向である場
合であつても、得られる製品の結晶方位が{100}
<001>或はその近傍の二方向性電磁鋼板である
ことに変わりはない。 冷間圧延後の材料は、通常、鋼中に含まれる微
量のCを除くため、湿水素雰囲気中、750〜1000
℃の温度域で短時間の脱炭焼鈍を行う。 本発明を特徴づける鋼板中への窒素増量処理
は、最終冷延後に行う短時間処理工程即ち前記脱
炭焼鈍中又は脱炭焼鈍後の追加焼鈍で、或いは、
仕上焼鈍の昇温過程の何れかで行なわれる。 ここでは、脱炭焼鈍後の追加焼鈍を、アンモニ
ア含有雰囲気中で種々の時間行い、鋼板中の窒素
量を種々変化させたときの製品の磁束密度を示
す。そのときの処理プロセスは、以下の通りであ
つた。 C:0.055%、Si:3.23%、酸可溶性Al:0.028
%、total N:0.0073%、残部:Feおよび不可避
的不純物からなる1.65mm厚さの熱延板に、1000℃
で2分間の焼鈍を施した後、熱間圧延における同
一方向に65%の圧下率で冷間圧延し更に、前記冷
間圧延方向に交叉する方向(実質的に直交方向)
に60%の圧下率を適用する冷間圧延を行つた。 かくして得られた冷延板に、湿水素雰囲気下、
810℃で90秒間の脱炭焼鈍を行つた。この脱炭焼
鈍後の材料の窒素含有量は、素材におけるそれと
同じ0.0075%であり、この段階では窒化していな
い。 脱炭焼純後の材料を、NH3:10%を含有する
雰囲気中、55℃で(10〜360)秒間追加焼鈍して
窒化した。 こうして得られた材料に、焼鈍分離剤として
MgOを塗布し乾燥した後(25%N2+75%H2)雰
囲気中で昇温し、100%H2雰囲気中で1200℃で20
時間の純化焼鈍を行つた。得られた製品のB10値
と、仕上焼鈍前に行つた追加焼鈍(鋼板の窒化処
理)による窒素増量との関係を、第1図に示す。 第1図から明らかなように、増窒素処理を行わ
ないと、二次再結晶が起こらず磁束密度(B10
値)が低い。一方、窒素増量が多過ぎると、製品
の結晶粒が極めて大きくなり、{100}<001>以外
の方位粒の出現頻度が高くなり、B10値が低くな
る。 窒素増量が0.002〜0.060%の範囲で、1.88Tesla
以上のB10値が得られ、0.0060〜0.0200%の範囲
で、最も高い磁束密度の製品が得られる。 上記以外の窒素増量手段としては、焼鈍分離剤
中に、仕上焼鈍過程で分解して窒素を放出し鋼板
を窒化する、金属窒化物、アンモニア化物を添加
する方法或は脱炭焼鈍における雰囲気に窒化能を
持たせて材料を処理する方法が手段となり得、特
に拘らない。 しかしながら、冷間圧延前の材料に対して窒素
増量処理を行つてもその効果はなく、冷間圧延後
の焼鈍過程で窒素増量を行つたときのみ、効果が
ある。 〔実施例〕 実施例 1 重量%で、C:0.048%、Si:3.40%、Mn:
0.14%、酸可溶性Al:0.023%、total N:0.0035
%、残部:Feおよび不可避的不純物からなる、
1.65mm厚さの熱延板を、1070℃で2分間焼鈍し、
冷間圧延方向と同一方向に65%の圧下率を適用す
る冷間圧延を行つた。さらに、前記冷間圧延方向
に交叉する方向に60%の圧下率を適用する冷間圧
延を行つて、0.23mmの最終板厚とした。 この冷延板を、湿水素雰囲気中、810℃で90秒
間脱炭焼鈍した。 次いで、焼鈍分離剤として、MnNを、それぞ
れ0、2、5および10%含有するMgOを材料に
塗布した後、N2:10%+H2:90%の雰囲気中で
昇温し、H2:100%の雰囲気中、1200℃で20時間
の純化焼純を行う仕上焼鈍を行つた。 こうして得られた製品のB10値と、上記N2:10
%+H2:90%の雰囲気中での昇温過程900℃の段
階で加熱を停止(切電)して材料を取りだし分析
した鋼板のtotal N量を、第1表に示す。第1表
から明らかなように、焼純分離剤中にMnN添加
がなく窒素増量が少ない場合は、製品のB10値が
低い。これに比し、焼鈍分離剤中にMnNを添加
し、適切な窒素増量がある場合は、製品のB10値
が高い。
【表】
実施例 2
実施例1におけると同一の成分からなる、厚さ
1.4mmの熱延板を、1070℃で2分間焼純した。次
いで、熱間圧延の方向と同一の方向に50%および
65%の圧下率を適用する冷間圧延を行い、更に前
記冷間圧延方向に交叉する方向にそれぞれ67%お
よび53%の圧下率を適用する冷間圧延を行つて
0.23mmの最終板厚とした。 他方、上記熱延板を1070℃で2分間焼鈍した後
に、熱間圧延方向に交叉する方向に50%および65
%の圧下率を適用する冷間圧延を行い、更に前記
冷間圧延方向に交叉する方向にそれぞれ67%、53
%の圧下率を適用する冷間圧延を行つて0.23mmの
最終板厚とした。 この4種類の冷延板を、湿水素雰囲気中、810
℃で90秒間脱炭焼鈍した。 得られた材料に、焼鈍分離剤として、10%の
MnNを含有するMgOを塗布した後、N2:10%
+H2:90%の雰囲気中で昇温し、H2:100%の
雰囲気中、1200℃で20時間純化焼純する、仕上焼
純を行つた。 得られた製品のB10値を、第2表に示す。 第1回目、第2回目の冷間圧延の如何に拘わら
ず、ほぼ同一のB10値が得られた。
1.4mmの熱延板を、1070℃で2分間焼純した。次
いで、熱間圧延の方向と同一の方向に50%および
65%の圧下率を適用する冷間圧延を行い、更に前
記冷間圧延方向に交叉する方向にそれぞれ67%お
よび53%の圧下率を適用する冷間圧延を行つて
0.23mmの最終板厚とした。 他方、上記熱延板を1070℃で2分間焼鈍した後
に、熱間圧延方向に交叉する方向に50%および65
%の圧下率を適用する冷間圧延を行い、更に前記
冷間圧延方向に交叉する方向にそれぞれ67%、53
%の圧下率を適用する冷間圧延を行つて0.23mmの
最終板厚とした。 この4種類の冷延板を、湿水素雰囲気中、810
℃で90秒間脱炭焼鈍した。 得られた材料に、焼鈍分離剤として、10%の
MnNを含有するMgOを塗布した後、N2:10%
+H2:90%の雰囲気中で昇温し、H2:100%の
雰囲気中、1200℃で20時間純化焼純する、仕上焼
純を行つた。 得られた製品のB10値を、第2表に示す。 第1回目、第2回目の冷間圧延の如何に拘わら
ず、ほぼ同一のB10値が得られた。
【表】
実施例 3
実施例1における同一の成分からなる、1.8mm
厚さの熱延板を、1つは熱間圧延まま、他の1つ
は950℃で2分間、更に他の1つは1070℃で2分
間焼鈍した。 これらを、熱間圧延方向と同一方向に63%の圧
下率を適用する冷間圧延を行い、更に前記冷間圧
延方向に交叉する方向に55%の圧下率を適用する
冷間圧延を行つて0.30mmの最終板厚とした。こう
して得られた3種類の冷延板を、湿水素雰囲気
中、810℃で120秒間脱炭焼鈍した。次いで、焼鈍
分離剤として、10%のMnNを含有するMgOを塗
布した後、N2:10%+H2:90%の雰囲気中で昇
温し、H2:100%雰囲気中で純化焼鈍する仕上焼
鈍を行つた。 得られた製品のB10値を、第3表に示す。 熱延板焼鈍を行うと、特に高いB10値の製品が
得られ、現在の一方向性電磁鋼板の冷間圧延方向
におけると同等以上のB10値をもつ二方向性電磁
鋼板を得ることができた。
厚さの熱延板を、1つは熱間圧延まま、他の1つ
は950℃で2分間、更に他の1つは1070℃で2分
間焼鈍した。 これらを、熱間圧延方向と同一方向に63%の圧
下率を適用する冷間圧延を行い、更に前記冷間圧
延方向に交叉する方向に55%の圧下率を適用する
冷間圧延を行つて0.30mmの最終板厚とした。こう
して得られた3種類の冷延板を、湿水素雰囲気
中、810℃で120秒間脱炭焼鈍した。次いで、焼鈍
分離剤として、10%のMnNを含有するMgOを塗
布した後、N2:10%+H2:90%の雰囲気中で昇
温し、H2:100%雰囲気中で純化焼鈍する仕上焼
鈍を行つた。 得られた製品のB10値を、第3表に示す。 熱延板焼鈍を行うと、特に高いB10値の製品が
得られ、現在の一方向性電磁鋼板の冷間圧延方向
におけると同等以上のB10値をもつ二方向性電磁
鋼板を得ることができた。
【表】
実施例 4
重量%で、C:0.051%、Si:3.25%、Mn:
0.12%、total N:0.0065%、残部:Feおよび下
可避的不純物からなる溶鋼にAlを添加し、それ
ぞれ0.005%、0.009%、0.020%、0.032%および
0.058%の酸可溶性Al含有量とした。この溶鋼か
ら2.0mm厚さの熱延板を得、1070℃で2分間焼鈍
した。次いで、熱間圧延方向と同一方向に、67%
の圧下率を適用する冷間圧延を行い、更に、前記
冷間圧延方向に交叉する方向に55%の圧下率を適
用する冷間圧延を行つて、0.30mmの最終板厚とし
た。 この冷延板を、湿水素雰囲気中、810℃で120秒
間脱炭焼鈍した。次いで、10%のNH3を含む雰
囲気中、800℃で60秒間の窒素増量処理を行つた。 処理後の鋼板の窒素含有量は、0.028%であつ
た。この材料(鋼板)に焼鈍分離剤としてMgO
を塗布した後、N2:10%+H2:90%の雰囲気中
で昇温し、H2:100%雰囲気中、1200℃で20時間
純化焼鈍する仕上焼鈍を行つた。 得られた製品のB10値を、第4表に示す。 本発明で規定する範囲の酸可溶性Alを含有し
たとき、高いB10値の製品が得られた。
0.12%、total N:0.0065%、残部:Feおよび下
可避的不純物からなる溶鋼にAlを添加し、それ
ぞれ0.005%、0.009%、0.020%、0.032%および
0.058%の酸可溶性Al含有量とした。この溶鋼か
ら2.0mm厚さの熱延板を得、1070℃で2分間焼鈍
した。次いで、熱間圧延方向と同一方向に、67%
の圧下率を適用する冷間圧延を行い、更に、前記
冷間圧延方向に交叉する方向に55%の圧下率を適
用する冷間圧延を行つて、0.30mmの最終板厚とし
た。 この冷延板を、湿水素雰囲気中、810℃で120秒
間脱炭焼鈍した。次いで、10%のNH3を含む雰
囲気中、800℃で60秒間の窒素増量処理を行つた。 処理後の鋼板の窒素含有量は、0.028%であつ
た。この材料(鋼板)に焼鈍分離剤としてMgO
を塗布した後、N2:10%+H2:90%の雰囲気中
で昇温し、H2:100%雰囲気中、1200℃で20時間
純化焼鈍する仕上焼鈍を行つた。 得られた製品のB10値を、第4表に示す。 本発明で規定する範囲の酸可溶性Alを含有し
たとき、高いB10値の製品が得られた。
【表】
〔発明の効果〕
この発明は、以上延べたように構成しかつ、作
用せしめるようにしたから、現在、最高レベルの
一方向性電磁鋼板の冷間圧延方向におけるB10値
と同等以上のB10値を二方向にもつ、二方向性電
磁鋼板を、簡潔なプロセスで製造し得る効果を奏
する。
用せしめるようにしたから、現在、最高レベルの
一方向性電磁鋼板の冷間圧延方向におけるB10値
と同等以上のB10値を二方向にもつ、二方向性電
磁鋼板を、簡潔なプロセスで製造し得る効果を奏
する。
第1図は、本発明のプロセスによつて最終的に
得られた製品の、それぞれの冷間圧延方向におけ
るB10値を、窒素増量との関係において示した図
である。
得られた製品の、それぞれの冷間圧延方向におけ
るB10値を、窒素増量との関係において示した図
である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 重量%で、Si:1.8〜4.8%、酸可溶性Al:
0.008〜0.048%、残部:Fe及び不可避的不純物か
らなる珪素鋼板に、40〜80%の圧下率を適用する
冷間圧延を施し、更に前記冷間圧延における圧延
方向に交叉する方向に、30〜70%の圧下率を適用
する冷間圧延を行い、次いで750〜1000℃の温度
域で短時間焼鈍を施した後、900〜1200℃の温度
域で最終焼鈍する二方向性電磁鋼板の製造方法に
おいて、前記30〜70%の圧下率を適用する最終冷
間圧延の後に行う短時間焼鈍工程或は最終焼鈍工
程における二次再結晶の発現以前の昇温過程で、
材料のN含有量がtotal N量として0.002〜0.060
%となる如く窒化せしめることを特徴とする二方
向性電磁鋼板の製造方法。 2 重量%で、Si:1.8〜4.8%、酸可溶性Al:
0.008〜0.048%、残部Fe及び不可避的不純物から
なる珪素鋼板に、40〜80%の圧下率を適用する冷
間圧延を施し、更に、前記冷間圧延における圧延
方向に交叉する方向に、30〜70%の圧下率を適用
する冷間圧延を行い、次いで750〜1000℃の温度
域で短時間焼鈍を施した後、900〜1200℃の温度
域で最終焼鈍する二方向性電磁鋼板の製造方法に
おいて、前記40〜80%の圧下率を適用する冷間圧
延に先立つて珪素鋼板に750〜1200℃の温度域で
30秒〜30分間の焼鈍を行うとともに、前記30〜70
%の圧下率を適用する最終冷間圧延の後に行う短
時間焼鈍工程或は最終焼鈍工程における二次再結
晶の発現以前の昇温過程で、材料のN含有量が
total N量として0.002〜0.060%となる如く窒化
せしめることを特徴とする二方向性電磁鋼板の製
造方法。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29782587A JPH01139722A (ja) | 1987-11-27 | 1987-11-27 | 二方向性電磁鋼板の製造方法 |
EP88119808A EP0318051B1 (en) | 1987-11-27 | 1988-11-28 | Process for production of double-oriented electrical steel sheet having high flux density |
DE3853871T DE3853871T2 (de) | 1987-11-27 | 1988-11-28 | Verfahren zur Herstellung doppeltorientierter Elektrobleche mit hoher Flussdichte. |
US07/276,856 US4997493A (en) | 1987-11-27 | 1988-11-28 | Process for production of double-oriented electrical steel sheet having high flux density |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29782587A JPH01139722A (ja) | 1987-11-27 | 1987-11-27 | 二方向性電磁鋼板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH01139722A JPH01139722A (ja) | 1989-06-01 |
JPH0143818B2 true JPH0143818B2 (ja) | 1989-09-22 |
Family
ID=17851646
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP29782587A Granted JPH01139722A (ja) | 1987-11-27 | 1987-11-27 | 二方向性電磁鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH01139722A (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE69032461T2 (de) * | 1989-04-14 | 1998-12-03 | Nippon Steel Corp., Tokio/Tokyo | Verfahren zur Herstellung von kornorientierten Elektrostahlblechen mit hervorragenden magnetischen Eigenschaften |
JPH0733548B2 (ja) * | 1990-04-20 | 1995-04-12 | 新日本製鐵株式会社 | 磁束密度の高い二方向性電磁鋼板の製造方法 |
JPH083125B2 (ja) * | 1991-01-08 | 1996-01-17 | 新日本製鐵株式会社 | 磁束密度の高い方向性電磁鋼板の製造方法 |
KR102009834B1 (ko) | 2017-12-26 | 2019-08-12 | 주식회사 포스코 | 이방향성 전기강판 및 그의 제조방법 |
-
1987
- 1987-11-27 JP JP29782587A patent/JPH01139722A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH01139722A (ja) | 1989-06-01 |
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