JPH0141965Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 考案の技術分野 本考案は、芯体入り丸ベルトに関し、さらに詳
しくは、芯体入りであつて接合部に工夫がなされ
た丸ベルトに関する。

考案の技術的背景ならびにその問題点 動力伝達用あるいは搬送用のベルトとしては、
丸ベルト、Ｖベルト、歯付ベルトなどが広く用い
られている。これらのベルトは通常合成樹脂ある
いはゴム類で製造されているため、使用時にベル
トの伸びが生じたり、接合部から破断が生じると
いう問題点があつた。ベルトの使用時にベルトの
伸びが生ずると、ベルトのから回りが生じて動力
伝達効率が低下したり、ベルトまたはプーリの摩
耗が生ずるため、プーリの軸間距離の調整が必要
となつていた。特に丸ベルトにおいては、ベルト
の伸びあるいは接合面からの破断が生じやすいと
いう問題点があるため、ミキサー、ジユーサー、
もちつき機、あわ立て機などの一般家庭用電気製
品の駆動用ベルトとしては、丸ベルトから歯付ベ
ルトに置き換わりつつある。ところが歯付ベルト
は正確で効率のよい動力伝達を提供しうるが、ベ
ルト、プーリともに高価であつて、一般家庭用電
気製品としては過剰品質である。

このため、ベルトの使用時に伸びが生じにく
く、しかも接合面での強度が大きい丸ベルトが求
められていた。

考案の目的 本考案は、上記のような従来技術に伴う問題を
解決しようとするものであつて、以下のような目
的を有する。

(a) 使用時にベルトの伸びが生じにくく、したが
つて動力伝達効率が低下せず、しかもプーリの
軸間距離の調整の必要ない丸ベルトを提供する
こと。

(b) 接合部でのベルトの破断が生じにくく、充分
な強度を有する丸ベルトを提供すること。

考案の概要 本考案に係る丸ベルトは、複数本の断面ほぼ円
形状の芯体が埋設され、両端部が接合された無端
状とされるベルトであつて、ベルトの一端には前
記芯体の少なくとも２本が埋設された直径の全長
を含む接合凸部が突設され、ベルトの他端には該
接合凸部が嵌合しうる接合凹部が設けられ、接合
凹部の両側壁部にはそれぞれ前記芯体の少なくと
も１本が埋設されていることを特徴としている。

考案の実施例 以下本考案を図面に示す実施例により説明す
る。以下本考案を丸ベルトについて説明する。

本考案に係る丸ベルトは、その斜視図が第１図
に示されるように、ベルト本体１中に４本の断面
円形状の芯体２ａ，２ｂ，２ｃ，２ｄが埋設され
ており、両端部は接合されて無端状とされる。ベ
ルト本体１の一端には、２本の芯体２ｂ，２ｃが
埋設された接合凸部３が設けられており、この接
合凸部３の基端のベルト本体１の両側に芯体２ａ
および２ｄが埋設されている。この接合凸部３
は、丸ベルトの直径の全長を含むような高さに形
成されている。

またベルト本体１の他端には、前記接合凸部３
が嵌合しうる接合凹部４が設けられており、この
接合凹部の両側壁部５，６には、それぞれ芯体２
ａおよび２ｄが埋設されている。

接合凸部３の長さは、丸ベルト径がｄである
とすると、3d以上好ましくは3d〜4dであること
が、得られる無端ベルトの接合部強度を高める意
味から好ましい。

丸ベルトのベルト本体１の断面図を第２図に示
す。ベルト本体１には、丸ベルトの中心に対して
対称に４本の断面円形状の芯体２ａ，２ｂ，２ｃ
および２ｄが埋設されており、中心線Ｘに対して
対称位置にある２つの芯体２ａおよび２ｄのそれ
ぞれの外径間の距離ｆは、芯体の径をｅと仮定す
ると、3e＋１mm〜3e＋４mmの範囲にあることが好
ましい。また、前記距離ｆは、丸ベルト径ｄより
も４mm以上小さいことが好ましい。

ベルト本体１および接合凸部３は同一材料によ
つて一体的に形成されていることが好ましく、ベ
ルト本体形成材料としては、引張り強度が大きく
しかも耐摩耗性を有し、かつ摩擦係数の大きい、
熱可塑性の合成樹脂、あるいはゴム類などが用い
られ、具体的には、ポリウレタン樹脂、ポリエス
テル樹脂、塩化ビニル樹脂、天然ゴム、スチレン
ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴ
ム、ブチルゴムなどが用にられうる。このうち特
に70〜95、望ましくは80〜90の硬度（JISA）を
有する熱可塑性ポリウレタン樹脂が好ましい。

芯体２ａ，２ｂ，…としては、断面円形状のス
チールコード、ケブラーコードなどが広く用いら
れうる。この芯体２ａ…は、破断時の伸びが４％
以下のものが好ましい。

次に本考案に係るベルトの接合方法について説
明する。

ベルト本体１の一端に設けられ接合凸部３を、
ベルト本体１の他端に設けられた接合凹部４に嵌
合させ、ベルト本体形成材料が軟化する温度（た
とえば熱可塑性ポリウレタンの場合には170〜210
℃）に加熱された金型にベルトの接合部を圧接さ
せることによつて、ベルトの両端は接合されて、
ベルトは無端状とされる。この際ベルトの接合部
に接合金具を用いて、接合を一層強固なものとし
てもよい。

このようにして接合された無端丸ベルトでは、
接合部の強度が非接合部強度の1/2程度となり、
従来の平面状の接合面を接合して得られる無端丸
ベルトと比較して著しく大きく、接合部でのベル
トの破断が減小される。

以上の実施例では、ベルト本体１に４本の芯体
２が丸ベルトの中心に関して対称埋設されていた
が、接合凸部３に少なくとも２本の芯体が埋設さ
れ、接合凹部４の両側壁部にそれぞれ少なくとも
１本の芯体が埋設されていれば、ベルト本体１に
埋設される芯体２は４本である必要はなく、たと
えば第３図に示されるように、ベルト本体１には
８本芯体２ａ，２ｂ，２ｃ，２ｄ，２ｅ，２ｆ，
２ｇ，２ｈが丸ベルトの中心に対称に埋設されて
いてもよい。

考案の効果 本考案は、上記のように構成したので、以下の
ような効果を有する。

(a) それぞれ芯体が埋設された接合凸部と接合凹
部とを嵌合したのち一体化させてベルトを無端
化しているので、接合部の強度が大きく、接合
部でのベルトの破断が生じにくい。

(b) ベルト本体中に複数本の芯体が埋設されてい
るので、使用時にベルトの伸びが生じにくく、
したがつて動力伝達効率が低下せず、プーリの
軸間距離の調整が必要ない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る丸ベルトの斜視図であ
り、第２図はその断面図であり、第３図は本考案
に係る他の丸ベルトの断面図である。 １……ベルト本体、２……芯体、３……接合凸
部、４……接合凹部、５，６……接合凹部壁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 複数本の断面円形状の芯体が埋設され、両端部
   が接合され無端状とされる丸ベルトであつて、ベ
   ルトの一端には前記芯体の少なくとも２本が埋設
   された直径の全長を含む接合凸部が突設され、ベ
   ルトの他端には該接合凸部が嵌合しうる接合凹部
   が設けられ、接合凹部の両側壁部にはそれぞれ前
   記芯体の少なくとも１本が埋設されていることを
   特徴とする丸ベルト。