JPH0141954B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 発明の分野 本発明は、原子炉燃料要素集合体に関するもの
であり、特には実質上互いに平行関係で束になつ
て支持される細長い筒状燃料棒により特徴づけら
れる型式の燃料集合体に関する。

発明の背景 このような燃料集合体は代表的にその長さに沿
つて一定の間隔で位置づけられるスペーサ格子を
使用する。これらスペーサ格子は代表的に、卵仕
切り構成で相互に係止されそしてそれらの直交交
差部において溶接により接合されるスロツト付き
の薄い金属板から作製される。スペーサ格子は、
燃料棒を位置決めしそして支持する。詳しくは、
燃料棒は、スペーサ格子の相互係止しあう金属板
により形成される方形セル開口を通して軸線方向
に挿通されそして各格子セルにおける側壁自体を
成形して形成される硬質（非可撓性）止め及び軟
質（可撓性）止めにより位置決めされる。

現在の実施態様において制御棒案内管と計測具
用の、計装用案内管が燃料棒配列体を通して一定
の模様で分布されている。案内管は、燃料棒と同
様の、但し燃料は充填されていない細長い中空筒
体である。

代表的配列において、15×15配列数の燃料棒が
使用され、配列体の中央位置が中央計装用案内管
の為に確保されている。別の16位置が制御棒位置
として使用の為制御棒案内管用に割当てられてい
る。

制御棒案内管は核分裂反応を調節する目的で燃
料集合体中への制御棒の通入を許容するようそれ
らの上端において開口している。同様に、計装用
案内管は運転中の燃料集合体における中性子状態
及び熱状態を検知する目的で燃料集合体内に下側
からの計測プローブの通入を許容するようその下
端において開口している。代表的に、案内管はそ
の上下端において上端及び下端取付具にそれぞれ
螺着式機械的連結具或いは溶接により剛着され
る。

これら端取付具は、燃料集合体を通しての冷却
材流れの通流を許容するようそして案内管端を収
容する為開口を備える格子状枠組から成る。他の
構造用主要部材も代表的に、炉心での燃料集合体
の位置づけを容易ならしめそして取扱い機器との
接続の接合点を与える為これら枠組に付設され
る。一つ以上のらせんバネが、燃料集合体を通し
ての冷却材の上向き流れにより誘起される燃料集
合体の浮上りを防止す為上端取付具に装着されて
いる。

多くの現在の燃料集合体設計において、上述し
たスペーサ格子は、案内管に溶接によるか或いは
機械的付設具により剛着される。この剛着式設計
とは異なつて、バブコツクアンドウイルコツクス
型燃料集合体設計においては浮遊式スペーサ格子
が提唱されており、ここでは機械的付設具や溶接
物は設けられない。スペーサ格子は照射中の燃料
棒の軸方向長さの僅かの変化に適応するよう案内
管に沿つて軸線方向に自由に滑動しうるようにさ
れている。

中央計装用案内管の周囲には、スペーサ格子の
移動制限用のスペーサスリーブが原子炉運転中の
スペーサ格子の過剰の軸線方向移動を防止するよ
う配置されている。これらスペーサスリーブは、
上下の隣りあうスペーサ格子間にスペーサ格子の
軸線方向移動の為の余地を残すように格子から間
隔を置いて位置づけられる。つまり隣りあうスペ
ーサ格子間の距離より短いよう寸法づけられてい
る。

浮遊式設計のスペーサ格子は運転中燃料棒束に
沿つて上方に浮遊することが見出された。これ
は、インコネル製格子を使用した場合第３サイク
ル中にそしてジルカロイ製格子を使用した場合に
は第１サイクル中に生ずる。ジルカロイ製格子は
また、格子板材としてインコネルの使用の場合に
は数分の１インチのみの移動が起るだけである
が、ジルカロイ製格子の場合には一旦滑りはじめ
るともつと大きく移動して、スペーサスリーブと
衝突して止まる。

中央計装用案内管は、スペーサ格子板自体から
成形されるサドルにより、それが装通されるスペ
ーサ格子セル開口中に支持される。これらサドル
は、中央スペーサ格子板の上下縁辺からセル内方
に突出する支持用の突起である。これらサドルは
比較的強度が弱くそしてスペーサ格子が大きく移
動してスペーサスリーブと衝突するなら、その衝
撃により内外裏返しになる可能性がある。特に、
移動の大きなジルカロイ製格子サドルはインコネ
ル製格子サドルの強度の約1/2にすぎない。

スペーサスリーブは、運転サイクルにおける
様々の時点において上方及び下方サドルの上及び
下縁辺に衝突する。もし高い軸方向負荷でもつて
スペーサ格子がスペーサスリーブに衝突するな
ら、片持梁状態の（内方に出張つている）サドル
は内方に曲つて破損しまたスペーサ格子を損傷す
る可能性がある。隣りあう燃料集合体に関してス
ペーサ格子の相対移動が起り、これは燃料棒のえ
ぐれや炉心の幾何学的特性の不均一化を生ずる可
能性がある。

従来技術 スペーサ格子の移動を制限するための幾つかの
可能性のある方法が検討された。案内管にスペー
サ格子を溶接するといつた直接的な付設手段は２
つの理由、即ち製作順序が大巾に乱れること及び
浮遊式格子構成と関連する基本的利点が失われる
ことの為所望されない。中央計装用案内管を、ス
ペーサ格子の移動を制限するようなスペーサ格子
の上下で膨出加工することは、実行可能な代案で
はあるが、やはり作製手順を著しく変えてしま
う。

発明の概要 最適の解決法は、浮遊式格子概念を保持し、ス
ペーサ格子のスペーサスリーブへの衝突に際して
スペーサ格子を保護し、そして中央計装用案内管
サドル（殊にジルカロイ製スペーサ格子におい
て）を強化することである。こうした観点におい
て、本発明は、スペーサ格子の、中央計装用案内
管が装通される開口セル内に、中央計装用案内管
の周囲に同心的に位置決めされそして上端におい
て該スペーサ格子開口上縁と係合のための肩を含
んでいるスペーサ格子挿入体を組込むことを案出
した。

実施例 第１図は計装用案内管１０の一部を示す。案内
管１０の図示部分の高さ水準には、スペーサ格子
１２が位置している。上述したように、スペーサ
格子１２は燃料集合体において燃料棒を位置決め
する為卵仕切り方式で交差されるスロツト付きの
薄い金属板から成る。中央計装用案内管が装通さ
れる開口セル位置において、これらスペーサ格子
は計装用案内管支持用のサドル１４を具備する。
サドル１４は、スペーサ格子の上下縁辺からセル
内方に突出し、そして計装用案内管と接触する突
起である。スペーサスリーブ１６が、計装用案内
管のまわりに同心的にそして２つの軸方向に隣り
あう上下スペーサ格子の間に更には最上位置スペ
ーサ格子の上方及び最下位置スペーサ格子の下方
に位置づけられている。現在の技術水準において
は、スペーサ格子は運転サイクル中計装用案内管
に沿つて上方に移動しそしてスペーサスリーブ１
６と衝突し、その衝撃でもつて片持梁式に内方に
突出する計装用案内管サドル１４を内方に歪曲或
いは破損せしめまた薄い板から構成されるスペー
サ格子１２を損傷せしめる。

第２図は、中央計装用案内管１０のまわりに同
心的に位置決めされるスペーサ格子挿入体２０を
示す。挿入体の肩２２が、燃料集合体の組立て中
そして燃料集合体の運転早期にはスペーサ格子開
口セルの上縁と係合し、脱落を防止している。挿
入体がスペーサ格子から上方に抜けるのを防止す
るために、必要なら、例えばスポツト溶接により
格子下側で挿入体に連結されるカラー２４を設け
ることもできる。別様には、挿入体は単に上方へ
の脱離を防止するに充分長いものとされうる。挿
入体２０またはサドル１４に溶接されうる。各場
合において、挿入体２０は格子を通しての全負荷
を担持してスペーサ格子の負担を軽減し、同時に
サドル１４は挿入体により与えられる内部支持に
よりそして張出し量の減少により剛性が増して格
子誘起負荷に対して強化される。

一つの好ましい形態は、スペーサ格子挿入体２
０をそれが制御棒案内管と同じ外径を有するよう
寸法づけることである。これにより、制御棒案内
管サドルと中央格子セルにおける計装用案内管サ
ドル１４とが同等となしえ、加工を容易ならしめ
る。

別様には、サドル１４が全く排除されそして第
３図に示されるような表面を平らに削つて当接部
分を形成した挿入体２６が使用されうる。

本発明の一つの利点は、スペーサ格子挿入体を
組込む為に燃料集合体作製工程への著しい変更が
必要とされないことである。スペーサ格子挿入体
２０は燃料束組立前にスペーサ格子１２の中央計
装用案内管が装通されるセル内に置かれる。もし
永久固着方式が採られるなら、この固着作業もま
た作製工程のこの時点で為される。こうして今や
挿入体を組込んだスペーサ格子１４は、燃料棒の
挿入のため斯界で周知の態様でキーにより開口さ
れそして燃料集合体治具内に据付けられる。こう
したキー及び治具の例は、特公昭57−27439号に
記載されている。

第６〜９図により、キーを使用して燃料棒をス
ペーサ格子に挿入或いは抜出す状況を参考までに
説明する。

第６及び７図は燃料棒５４と係合する複数の格
子の１つにおける代表的セル４３の一部を示す。
第９図には燃料棒５４がセル４３から抜出された
状態を示す。セル４３は、互いに直交関係で交差
して点溶接される４枚の板４４，４５，４６およ
び４７配列体から構成される。各板の相当表面に
は、突起５０，５１，５２及び５３が成形されて
いる。これらの突起は、セル４３内に突出してい
る。突起５０及び５３はセルを構成する４壁のう
ちの隣りあう２壁の上縁近くにあり、他方突起５
１及５２は残る２壁の中央部に形成された板ばね
２３０及び２３１上に設けられている（後述する
ように燃料棒解放に際してはこれら板ばねが弾力
的に後退されてその突起５１及び５２を燃料棒か
ら引離す。）突起５０，５１，５２及び５３は燃
料棒５４の外表面と係合しそして燃料棒を燃料要
素を構成する他の構成部品に対して適正位置にし
つかりと把む役割を果している。

燃料棒を個々のセルから取外す為に、セル壁偏
倚用挿入キーを格子構造体内に挿入することを可
能とするスロツト２００がセル隅部に設けられて
いる。挿入キーは格子構造体内で廻動されて、こ
れら挿入棒における突出部がセル壁板ばね２３０
及び２３１上の突起をセルの外方へ押し戻すこと
を可能ならしめる。このような構成の下で、燃料
棒は個々に引掻き傷やえぐれの生ずる恐れなく格
子セル内から抜出されうる。

第８図を参照すると、そこには、突起と燃料棒
との間の係合を解放するのに使用される代表的挿
入キー４０が示されている。好ましくは、挿入キ
ー４０は、一般に矩形断面を持つ長手方向幹部分
４１を具備している。突出部４２がキー４０の幹
部分４１から一定の間隔を置いて突出している。

第９図に示されるように、挿入キー５５及び５
６は、板４４及び４５，４６及び４５並びに４３
及び４７の交差点において形成されるスロツト２
００を通してセル４３内に挿し込まれる。第６図
に示されるように、挿入キーは、突出部４２及び
４２′が垂直方向、即ち図面の平面に直角の方向
に配向されるようにしてセル４３内に挿入されね
ばならない。突起４２及び４２′をこのように配
向した状態で、セル４３におけるスロツトはキー
突出部４２，４２′をセル４３に装通するに充分
の間隙を提供する。更に、突出部４２及び４２′
は隣り合うセル壁板ばねに近接して位置づけられ
ている。当然、挿入キー５５及び５６はセル壁を
偏倚するに充分の強度のものでなければならない
けれども、それらはまた、燃料棒５４と板４５及
び４６の間の空隙に嵌入するに充分薄くなければ
ならない。この間隙は、突起５１及び５２それぞ
れがセル４３内に突出る巾により確立される。キ
ーの挿入中突出部４２及び４２′はセル４３の構
成表面と係合していない。

突起５０〜５３が燃料棒５４に適用している把
持作用をゆるめる為に、以つて燃料棒が金属表面
に引掻き傷、えぐれ傷或いは別様の傷を受けるこ
となく格子構造体から引出されることを可能とす
る為に、第７図に示される操作が行われる。第７
図において、キー５５及び５６は、それぞれの長
手方向軸線を中心として矢印で示されるように時
計方向に90゜廻動される。この廻動は、突出部４
２及び４２′と関連突起５１及び５２を担持する
隣接セル壁の板ばね２３０及び２３１とを整列せ
しめる。この状態において、突出部４２及び４
２′は突起５１及び５２をセル４３の外方へと偏
倚する。燃料棒５４を格子構造体のセル４３から
棒表面への突起による擦過傷乃至引掻き傷を生じ
ることなく引き出すには、突起５１及び５２のこ
の僅かな外方変位で充分である。

本発明においては、挿入体により中央計装用案
内管セルが閉塞されているから、それを通る２つ
の中央セル列においては格子の一端から他端まで
キーを挿入しえない。従つて、格子の一端から中
央セルまでのほぼ半分の長さのキーが使用されね
ばならない。その後、燃料棒、スペーサスリーブ
並びに制御棒案内管及び中央計装用案内管が従来
態様で挿入される。

中央セル列において使用された上記部分長キー
は、もしスペーサ格子挿入体を貫通して通路が設
けられたなら、排除されそして標準的なキーと代
替しうる。第４図はそうした通路を含めることに
より改良されたスペーサ格子挿入体２８を示す。

本発明に従うスペーサ格子挿入体は計装用案内
管が現在行われているようにスペーサ格子水準に
おいて剛性的に拘束されるのを防止する。もしえ
ぐれ問題が生じるなら、第５図に示されるように
挿入体の自由端を長円化することによりまた別の
拘束手段が提供されうる。これは、120゜離れて配
列される３つの突出部により特徴づけられる修正
挿入体３０を生成する。

発明の効果 本発明に従うスペーサ格子挿入体は、浮遊式格
子配列を安全に使用する為の簡単にして経済的な
手段を提供する。計装用案内管の溶接或いは膨出
加工のような所望されざる構造変化が回避されそ
してサドルの軸方向負荷変形問題も解決される。
加えて、作製工程は本発明の実施により著しくは
変更されない。

本発明のスペーサ格子挿入体は、スペーサスリ
ーブとの衝突に際して、 １ セル内に挿入される円筒部が衝撃を受止め
て、格子板への負荷を軽減し、 ２ セル上縁を覆う肩がサドルを保護し、そして ３ サドルが従来より短くなしうるので、サドル
自体がそれだけ丈夫となる 点で、サドル及び格子板を保護する。

【図面の簡単な説明】

第１図は中央計装用案内管の一部の側面図、第
２図は本発明に従うスペーサ格子挿入体を示す中
央計装用案内管の一部の側面図、第３図は別の具
体例の斜視図、第４図は更に別の具体例の斜視
図、第５図は更に別の具体例の断面図、第６及び
７図は燃料棒を納めた格子セルへの操入キーの適
用状態を説明する説明図、第８図は挿入キーの一
例の正面図そして第９図は燃料棒、格子セル、挿
入キーの関係を示す斜視図である。 １０：計装用案内管、１２：スペーサ格子、１
４：サドル、１６：スペーサスリーブ、２０：ス
ペーサ格子挿入体、２２：肩、２４：カラー。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 燃料集合体の長さに沿つて位置づけられる複
   数のスペーサ格子を使用し、該スペーサ格子が少
   くとも１つの案内管に対して制限された可動関係
   にあり、スペーサ格子の移動制限用の複数のスペ
   ーサスリーブが中央計装用案内管の周囲にそして
   隣にあうスペーサ格子の間に配置されそして該ス
   ペーサスリーブが隣りあうスペーサ格子間の距離
   よりも短い長さを有する原子炉燃料集合体におい
   て、少くとも１つのスペーサ格子挿入体が前記ス
   ペーサ格子の、前記中央計装用案内管が装通され
   る開口セル内に該中央計装用案内管の周囲に同心
   的に位置決めされそして該スペーサ格子挿入体が
   上端において該スペーサ格子開口セル上縁と係合
   のための肩を含んでいることを特徴とする原子炉
   燃料集合体。 ２ 挿入体がその軸方向下端に位置づけられるカ
   ラーを含んでいる特許請求の範囲第１項記載の燃
   料集合体。 ３ 挿入体が制御棒案内管と実質上同じ外径を有
   している特許請求の範囲第１項記載の燃料集合
   体。 ４ 挿入体が平らに削つた当接部分を有する特許
   請求の範囲第１項記載の燃料集合体。 ５ 挿入体がその２側面に沿つてキー通路を含
   み、通路が挿入体に沿つて互いに軸方向にずらさ
   れそして約90゜離れた長手軸線を有している特許
   請求の範囲第１項記載の燃料集合体。 ６ 挿入体が約120゜離れて配列される突出部によ
   り特徴づけられる長円化外面を有している特許請
   求の範囲第１項記載の燃料集合体。