JPH0141763B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、浄水場から採取される上水汚泥を
原材料として、各種競技施設や遊歩道等の舗装面
を形成するのに適した土材料を製造する方法に関
する。

浄水場では、沈澱池やろ過池で分離された河川
水中の不純物である上水汚泥（スラツジともい
う）を固形物化して運搬可能にすることを目的と
して排水処理を行なつている。

排水処理の基本は濃縮・脱水・乾燥の３操作に
あり、要するに上水汚泥を減水し、有価物があれ
ばこれを回収し、最終的に生成物を固化、最小化
することである。

このような汚泥処理法として代表的なものに、
ポリマー添加ペレツト化濃縮法や、PAC（ポリ塩
化アルミニユーム）処理法のように高分子凝集剤
を使用するものがある。

これを説明すると、例えばポリマー添加ペレツ
ト化濃縮法では、採取した上水汚泥に水ガラス
（珪酸ナトリウム）とポリアクリルアミド等のポ
リマーを混和してペレツト化し、これを天日乾燥
により、あるいはロールプレスで圧壊したのち乾
燥炉にて乾燥することにより、運搬可能な程度に
まで脱水して固形物状の汚泥（これをケーキとも
いう）を生成する。

このようにして得られた固形物状の汚泥は、外
観的には荒木田土などの舗装用土材料に酷似して
いるが、比較的粒度が粗く、また水分、灼熱残渣
が極めて多いので乾燥収縮が激しいという欠点が
ある。仮に上水汚泥を舗装用材料として使用する
と、乾燥が進むにつれ硬化すると共に無数に亀裂
を生じるため到底使用に耐えないものとなる。

このような事情から、上水汚泥は砂利採取跡の
埋立てなどに使用するほかに有効な利用法が見出
せないというのが現状であつた。

これに対して本出願人は、舗装用土材料に凝集
剤を混和することにより耐久性、耐水性等の物理
的性質に優れた舗装を形成する方法を提案してい
るが、この舗装を形成するための主材料となる荒
木田土等が年々採掘困難になりつつあることか
ら、上水汚泥に高分子凝集剤が添加されている点
に着目して、これを舗装用土材料の増量材として
混合することにより主材料の節約と上水汚泥の有
効利用とを両立する舗装方法を創案した。

これは、高分子凝集剤を添加処理した上水汚泥
（ケーキ）と従来からの舗装用土材料とを混練し
て舗装用基礎上に敷設し、整地及び転圧を施して
舗装面を形成するのであるが、土材料に混合する
にあたつて汚泥を少なくとも粒径略200μ以下の
細砂状になるまで粉砕しておかないと混練が充分
になされず、従つて良好な舗装面が得られない。

ところが、処理済上水汚泥は水分含有率が20〜
60％で可塑性が高いのでそのままでは粉砕困難で
ある。しかしながら、処理済上水汚泥を容易に破
砕しうるように均一に加熱乾燥するのは技術的に
困難を伴い、また加熱のためのエネルギーコスト
も極めて高いものとなつてしまう。特に、高分子
凝集剤を含有する上水汚泥は水分含有率がおよそ
10％以下になると著しく硬度が高くなつてしまう
ので、全体を均一に適度な乾燥状態にしなければ
粉砕作業も能率の悪いものとなつてしまう。

本発明はこのような問題点を解消することを目
的として、上水汚泥を容易に微粒状の土舗装用材
料に転換する方法を提供するものである。

本発明では、先に述べたポリマー添加ペレツト
化濃縮法汚泥やPAC処理法汚泥のように処理過
程で高分子凝集剤が添加された上水汚泥に、脱水
炭酸カルシウムを含む乾燥剤を全体における容積
比にして20〜50％混合し、混練機等により混練撹
拌する。

乾燥剤の混合割合は、上水汚泥の水分含有率を
測定したうえで、好ましくは最終的に全体の水分
含有率が10〜25％の範囲内に収まるように選択す
る。上水汚泥の当初の水分含有率は既述したとお
りほぼ20〜60％であるので、通常は上述のように
容積比で20〜50％の範囲で混合割合を選択すれば
適当な水分含有率が得られる。なお、上水汚泥の
みの場合は水分含有率が20％程度ではいくらか可
塑性を維持していて破砕しにくいが、乾燥剤を混
入した状態では水分含有率25％程度であつても、
以下に述べるような作業で容易に破砕することが
できる。

上水汚泥に適量の乾燥剤を混合することによ
り、混合の過程で乾燥剤が水分を吸収しつつ汚泥
中に混入していくため、汚泥は次第に可塑性を失
うとともに脆弱化して礫化する。

このようにして生成した上水汚泥と乾燥剤との
混合物は、ボールミル等の粉砕機にかけて細砂以
下の細かさになるまで粉砕する。このとき、汚泥
分は上述したように脆弱化しているため、簡単に
磨砕されて舗装用に適した土材料になる。

上記方法で形成した土材料と荒木田土等とを混
練したものを必要に応じて水分を付与しながら舗
装用基礎上に敷設し、敷地及び転圧をすると、当
初より汚泥中に含有されていた高分子凝集剤が土
粒子を被覆するとともに転圧時に土粒子同士を粘
着的に結合するため、乾燥硬化後には水に溶解し
難い強固な舗装面を形成する。また、このとき乾
燥剤として混入した炭酸カルシウムが土粒子間に
介在して乾燥収縮を抑制するので、乾燥の過程及
び乾燥後に亀裂発生が起こらない。

このようにして形成した舗装面は、従来の土舗
装と同様に土粒子間に適当な間隙を保有している
ので透水性にも優れ、従つてぬかるみにならない
こともあつて降雨後にすぐ供用でき、しかも外観
的には土舗装そのもので土に特有の適度な弾性を
保つているので運動競技施設や遊歩道に好適であ
る。

なお、乾燥剤としては炭酸カルシウムに加え
て、長石等の石粉や粘土粉、有色薬剤等を混用し
て差し支えない。

例えば、上水汚泥70％に対して、乾燥剤として
炭酸カルシウム25％、酸化鉄５％を混合すると、
陸上競技場や遊歩道等に適した煉瓦色の土材料が
得られる。あるいは、上水汚泥60％に対して乾燥
剤として炭酸カルシウム25％、粘土粉10％、酸化
クロム５％を混合すると、テニスコートや野球場
等に好適な鮮やかな緑色の土材料になる。

以上を要するに本発明によれば、炭酸カルシウ
ムを主体とする乾燥剤を混合して上水汚泥を脆弱
化することにより上水汚泥を容易に微粒子状に粉
砕しうるようにしたので、高級な土舗装を形成
し、かつ上水汚泥の有効利用と舗装土材料の節約
が可能な増量用土材料を大きな手間を要すること
なく提供することができる。

また、本発明によれば乾燥剤として混合した炭
酸カルシウムが舗装施工時に汚泥を主成分とする
土材料の嵌装収縮を防止するので、上水汚泥中に
含まれている高分子凝集剤による結合作用と併せ
て、強固な舗装面が形成されるという利点が得ら
れる。

さらに、本発明では安価な炭酸カルシウムを主
体とした乾燥剤を混合することにより土材料を調
製するので、上水汚泥を加熱乾燥する場合に比較
してコストを大幅に低減可能であるとともに、よ
り均質な土材料を提供できるという効果も得られ
る。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 高分子凝集剤を添加して処理した上水汚泥
   に、脱水した炭酸カルシウムを含む乾燥剤を全体
   における容積比にして20〜50％混合して撹拌し、
   この混合物を粉砕機にて細砂以下の粒状に粉砕し
   て土材料を形成することを特徴とする舗装用土材
   料の製造方法。 ２ 上水汚泥70％に対して、乾燥剤として炭酸カ
   ルシウム25％、酸化鉄５％を混合したことを特徴
   とする特許請求の範囲第１項に記載の舗装用土材
   料の製造方法。 ３ 上水汚泥60％に対して、乾燥剤として炭酸カ
   ルシウム25％、粘土粉10％、酸化クロム５％を混
   合したことを特徴とする特許請求の範囲第１項に
   記載の舗装用土材料の製造方法。