JP4848043B1 - 路盤材 - Google Patents

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Abstract

【課題】リサイクル材を原料として製造することができ、かつ、優れた保水性を活かして、街路樹に悪影響を及ぼすことなくヒートアイランド現象の抑制を図ることができる路盤材を提供する。
【解決手段】本発明は、学校等の運動場、各種競技場、公園、歩道等の屋外施設において用いられる舗装用の路盤材であって、一般廃棄物又は産業廃棄物の溶融スラグと、浄水汚泥を脱水し乾燥させて成る浄水汚泥ケーキとを3:7〜7:3の比率で配合して成り、粒径が40mm以下となるように調整された路盤材である。本発明の路盤材は優れた保水性と透水性を有し、ヒートアイランド現象を抑制する効果を有するだけでなく、低コストで安定的に入手可能なリサイクル材を原料として製造することができる。さらに、強アルカリ性を有さないことから、街路樹に悪影響を及ぼすことがない。
【選択図】図1

Description

本発明は、学校等の運動場、各種競技場、公園、歩道等の屋外施設において用いられる舗装用の路盤材に関する。
従来、路盤材には再生砕石が広く用いられてきた。再生砕石とは、建築構造物を解体したときなどに発生する建設副産物のうち、コンクリート塊やアスファルトコンクリート塊を破砕して再利用したものである。しかし、再生砕石を原料とした場合、路盤材を低コストで製作することができる反面、強アルカリ性を有し(pH=12.5程度)、街路樹や土壌からしみ出す排水に悪影響を与えてしまう。
一方、ヒートアイランド現象を抑制することを目的とした路盤材の開発も進められている。保水性の高い路盤材を用いて、路盤材に保持された水分が蒸発する際の気化熱によって路面温度を低下させることが検討されている。このような路盤材として、特許文献1には、浄水場泥土の脱水ケーキを解砕し、水硬性バインダーを加えて製造した造粒粉からなる路盤材が提案されている。
特開2005−139880号公報
特許文献1に記載の路盤材では、水硬性バインダーとして高炉セメントを用いれば、路盤層の水を中性に近づけることができ、街路樹などに悪影響を及ぼさず、かつヒートアイランド現象を抑制することができる。高炉セメントとは、製鉄所の銑鉄製造工程である高炉から生成する副産物である高炉スラグの微粉末とポルトランドセメントを混合したセメントである。しかし、高炉セメントを使用すると、リサイクル材である高炉スラグの微粉末以外にポルトランドセメントを使用する必要がある。
本発明が解決しようとする課題は、低コストで安定的に入手可能なリサイクル材を原料として製造することができ、かつ、街路樹に悪影響を及ぼすことなく、優れた保水性を活かしてヒートアイランド現象の抑制を図ることができる路盤材を提供することである。
上記課題を解決するために成された本発明に係る路盤材は、歩道用舗装又はグラウンド舗装構造の路盤に用いられる路盤材であって、一般廃棄物又は産業廃棄物の溶融スラグと、浄水汚泥を脱水し乾燥させて成る浄水汚泥ケーキとを3:7〜7:3の比率で配合して成り、粒径が40mm以下となるように調整されたことを特徴とする。
また、本発明は、溶融スラグ及び浄水汚泥脱水ケーキの総量に対して、0%〜20%の砕石又は再生砕石が配合されていることが望ましい。
さらに、本発明は、路盤材全体の細粒分が3%〜18%となるように砂粉及び/又は砕石粉が配合されていることが望ましい。
本発明に係る路盤材は優れた保水性(自然含水比10%以上)と透水性とを有するため、路盤材内部に保持された水分が蒸発する際の気化熱によって路面温度を低下させることができ、ヒートアイランド現象を抑制することができる。
また、本発明に係る路盤材は、大量に発生する廃棄物である浄水汚泥ケーキと一般廃棄物又は産業廃棄物の溶融スラグを原料として製造することができることから、低コストで安定的に原料を入手して製造することができる。
さらに、本発明に係る路盤材は強アルカリ性を有さないことから、街路樹に悪影響を及ぼすことがない。
本発明の一実施の形態に係る路盤材の製造手順を示す図。 別の実施の形態に係る路盤材の製造手順を示す図。 路盤材の一般特性及び粒度特性の試験項目及び規格を示す図。 本発明の実施例に係る路盤材の一般特性及び粒度特性の試験結果を示す図。 本発明の実施例に係る路盤材の透水特性に関する評価結果を示す図。 本発明の実施例に係る路盤材と火山砂利の保水力比較試験結果を示す図。 本発明の実施例に係る路盤材と砕石を用いたヒートアイランド現象抑制効果の比較試験における舗装構造を示す図。 本発明の実施例に係る路盤材と砕石を用いたヒートアイランド現象抑制効果の比較試験における、表層表面の温度の推移を示す図。 本発明の実施例に係る路盤材と砕石を用いたヒートアイランド現象抑制効果の比較試験における、表層表面から100mm上方位置の温度の推移を示す図。 本発明の実施例に係る路盤材と砕石を用いたヒートアイランド現象抑制効果の比較試験における、表層表面での温度差の推移を示す図。 本発明の実施例に係る路盤材と砕石を用いたヒートアイランド現象抑制効果の比較試験における、表層表面から100mm上方位置での温度差の推移を示す図 本発明の実施例に係る路盤材と砕石を用いたヒートアイランド現象抑制効果の比較試験における、特定時刻での温度差を示す図。 本発明の実施例に係る路盤材と砕石を用いたヒートアイランド現象抑制効果の別の比較試験における舗装構造を示す図。 本発明の実施例に係る路盤材と砕石を用いたヒートアイランド現象抑制効果の別の比較試験における、表層表面の温度の推移を示す図。 本発明の実施例に係る路盤材と砕石を用いたヒートアイランド現象抑制効果の別の比較試験における、表層表面から100mm上方位置の温度の推移を示す図。 本発明の実施例に係る路盤材と砕石を用いたヒートアイランド現象抑制効果の別の比較試験における、表層表面での温度差の推移を示す図。 本発明の実施例に係る路盤材と砕石を用いたヒートアイランド現象抑制効果の別の比較試験における、表層表面から100mm上方位置での温度差の推移を示す図 本発明の実施例に係る路盤材のコーン指数試験結果を示す図。 建設機械の走行に必要なコーン指数を示す図。
本発明の路盤材は、一般廃棄物又は産業廃棄物の溶融スラグと、浄水汚泥を脱水し乾燥させて成る浄水汚泥脱水ケーキとを3:7〜7:3の比率で配合して成り、粒径が40mm以下となるように調整したものである。粒径40mm以下としたのは、従来から広く使用されている砕石や再生砕石の多くが粒径40mm以下に調整されていることを目安としたものである。
浄水汚泥脱水ケーキは、各自治体の浄水場や下水処理場から発生する浄水汚泥を固化処理したものであり、自治体単位で安定的に供給されている。浄水汚泥脱水ケーキは一定の安全性基準を満たしており、水溶液中でpH7〜8の中性を示す。
溶融スラグは、一般廃棄物(都市ごみ)や産業廃棄物を高温で融解し、重金属や有害物質を分解、除去した後に冷却して生産されるものであり、大幅に減容量化されている。この溶融スラグを再利用することで資源の循環を図ることができる。溶融スラグは、冷却時にスラグ中のガスが気泡化することにより発泡体状となる。溶融スラグも、浄水汚泥脱水ケーキと同様、水溶液中でpH7〜8の中性を示す。
一般廃棄物の溶融処理施設は全国に多数存在し、年間80万トン以上の溶融スラグが生産されており、現在及び将来にわたって安定的に供給されることが予想される。溶融処理施設で処理される溶融スラグはJIS A5031(一般廃棄物、下水汚泥又はそれらの焼却灰を溶融固化したコンクリート用溶融スラグ骨材)及びJIS A5032(一般廃棄物、下水汚泥又はそれらの焼却灰を溶融固化した道路用溶融スラグ)の規定に基づき、品質管理が行われている。従って、溶融処理施設で生産される溶融スラグは、安全性に係る基準(有害物質(カドミウム、鉛、六価クロム、ヒ素、総水銀、セレン、フッ素、ホウ素)の溶出量基準、含有量基準)を満たしている。このような溶融スラグを歩道用及びグラウンド等の路盤材として用いることは、安全性の点で好ましい。
図1及び図2に本実施の形態に係る路盤材の製造手順を示す。図1及び図2において、「スラグ」は溶融スラグを、「スラッジ」は浄水汚泥脱水ケーキを意味する。
図1は製造工場にて溶融スラグ、浄水汚泥脱水ケーキ、砂粉又は/及び砕石粉を混合して路盤材を製造する手順を、図2は屋外の現場で溶融スラグと浄水汚泥ケーキを既存の土壌(現地土。真砂土や赤土等の天然土)に混ぜ込んで路盤材を製造する手順を示す。図1に示す手順で製造された路盤材は、トラック等で現地まで運搬する。図2の方法により路盤材を製造する場合には、既存の土壌に再生砕石を混ぜ込んで路盤材としていた従来と同様、既存土壌の土質を考慮し、溶融スラグ及び浄水汚泥脱水ケーキの総量が既存土壌の15%〜50%となるようにするとよい。
図1及び図2において破線で囲んだ工程(砂利採取場からの原料の搬入、スラッジ乾燥粉砕、砂粉乾燥粉砕)は、必要に応じて行う。例えば、砂利採取場からの原料の搬入は、路盤材に砂粉を配合する場合に行う。
また、図1において二点鎖線で囲んだ工程(配合試験(土質試験))は、毎回行う必要はない。つまり、配合材料である溶融スラグ、浄水汚泥脱水ケーキ、砂粉又は/及び砕石粉の性質が同じである場合には省略することができる。一方、図2に示す手順により、溶融スラグ、浄水汚泥脱水ケーキを既存の土壌に混ぜ込んで路盤材を製造する場合は、現場ごとに既存の土壌の性質が異なることが予想されるため、毎回、配合試験を行う。
具体的な実施例を説明する。以下の実施例では、溶融スラグ、浄水汚泥脱水ケーキ及びその他の土壌材料を適宜の比率で配合して路盤材を生成し、各種試験を行った。試験の結果は、従来から路盤材として使用されている砕石や再生砕石、火山砂利の特性と比較することにより評価した。
図1に示す手順に従って溶融スラグ、浄水汚泥脱水ケーキの混合比率を変えて製造した路盤材の一般特性、粒度特性について調べた。図3に一般特性、粒度特性に関する試験項目を示す。
図4に路盤材の一般特性、粒度特性に関する試験結果を示す。試験を行う路盤材として、溶融スラグと浄水汚泥脱水ケーキを3:7〜8:2の比率で配合した、5種類の路盤材を用いた。図4の上欄に路盤材(A)〜(E)の溶融スラグと浄水汚泥脱水ケーキの混合比率(溶融スラグ:浄水汚泥脱水ケーキ)を、その下に試験日、試験結果を示している。自然含水比の数値から、路盤材(A)〜(E)のいずれもが砕石や再生砕石より優れた保水性を示しており、路盤材(A)〜(C)、(E)(一般廃棄物又は産業廃棄物の溶融スラグと、浄水汚泥を脱水し乾燥させて成る浄水汚泥脱水ケーキとを3:7〜7:3の比率で配合したもの)が優れた保水性の目安とする10%以上の自然含水比を有していることが分かる。
図5に路盤材(A)〜(E)の透水特性に関する評価を示す。透水特性の評価は、簡易透水比較試験を3回ずつ行った結果に基づき判定した。簡易透水比較試験は、200mlの路盤材を容器に入れ、表面を均して、直径25mm、長さ180mmの木製の棒で軽く25回突いてから、その上にろ紙を置き、ろ紙の上から150mlの水を注いだときに路盤材を浸透する時間を計測することにより行った。
図4及び図5の結果から、路盤材(A), (B), (E)は、優れた保水性に加え、砕石や再生砕石と同等以上の優れた透水性を有していることが分かる。特に、路盤材(A)(溶融スラグ:浄水汚泥脱水ケーキを50:50で混合して製造した路盤材)及び路盤材(E)(溶融スラグ:浄水汚泥脱水ケーキを30:70で混合して製造した路盤材)が優れた保水性、透水性を示した。
一般的に、透水性が良い(透水速度が速い)路盤材は含水比が小さくなる傾向がある。しかし、これらの路盤材(A), (E)は透水性及び含水性の両方が優れていることから、表層が大量に水分を含んでいる場合には速やかに水分を吸収し、表層が乾燥している場合には水分を供給するという、優れた調湿性を備えていると言える。
路盤材(C)は、優れた保水性を有するものの、路盤材(A),(B),(E)に比べて透水性が劣る結果となったが、従来から路盤材の原料として用いられている砂粉や砕石粉を混合することにより透水性を向上させることができる。なお、砂粉や砕石粉を配合する場合には、従来の路盤材と同様、路盤材全体の細粒分が3%〜18%となるように配合すれば、保水性、透水性ともに優れた路盤材にすることができる。
次に、上記試験において、優れた保水性と透水性を示した路盤材(A)及び路盤材(E)について、路盤材としての性能を評価するための各種の試験を行った。
まず、路盤材(A)について、従来から用いられている路盤材である火山砂利について保水力比較試験(JGS 0151)を行った。火山砂利は、砕石や再生砕石に比べて優れた保水力を有する一方、主たる産地が九州地方であるため、首都圏や近畿圏等、九州以外の地域の路盤材に用いる場合には運搬コストがかかる。
保水力比較試験は、加圧板法によりpF=2.0、遠心法によりpF=4.0の圧力を加えた状態で、それぞれの含水率を測定することにより行った。その結果を図6に示す。単位体積(100ml)あたりの含水率において、pF=2.0では火山砂利の方が高い含水率を有するものの、pF=4.0では路盤材(A)の方が火山砂利よりも高い含水率を有しており、火山砂利よりも優れた保水力を有することを示している。
なお、pF=4.0の圧力を加えた状態での単位重量(100g)あたりの含水率に関しては、路盤材(A)よりも火山砂利の方が高い数値を示している。これは火山砂利の乾燥重量の方が路盤材(A)の乾燥重量よりも軽いため、単位重量(100g)の路盤材を採取した場合に火山砂利の量の方が多くなることに起因する。実際には、路盤材が決められた場所(体積)内で使用されることを考慮すれば、pF=4.0の圧力下では、単位体積あたりの含水率が高い数値を示す路盤材(A)の方が火山砂利よりも高い保水力を有していると言える。
路盤材(A)のpH値を測定したところ、pH=6.94であった。従って、路盤材(A)を用いる場合には、強アルカリ性を示す再生砕石を路盤材に用いたときのように、街路樹等に悪影響を与える心配がない。
路盤材(A)を用いて、ヒートアイランド現象の抑制効果を評価する試験を行った。ヒートアイランド現象の抑制効果は、表層等の構造を同一にした条件において、路盤材に上記路盤材(A)を用いたもの(実施例X)と、従来の路盤材である砕石を用いたもの(比較例X)の間で、舗装表面及び舗装表面から100mm上方位置でどの程度の温度差が生じるかを測定することにより評価した。具体的には、図7に示すように、地表面上に100mm厚の上記実施例X又は比較例Xの路盤材を配し、その上方に敷砂として30mm厚の溶融スラグ、更に上方の表層に70mm厚のインターロッキング舗装を施した構造で、インターロッキング舗装表面及びその上方100mm位置での温度推移を測定して比較した。
温度測定は2010年9月1日10時から2010年9月10日8時までの間、1時間ごとに行った。図8に、実施例Xと比較例Xのインターロッキング舗装表面温度の推移を、図9に実施例Xと比較例Xのインターロッキング舗装面から100mm上方位置における温度の推移を、それぞれ示す。また、図10に実施例Xと比較例Xのインターロッキング舗装表面における温度差(比較例X−実施例X)を、図11に実施例Xと比較例Xのインターロッキング舗装面から100mm上方位置における温度差(比較例X−実施例X)を、それぞれ示す。図10及び図11から明らかなように、測定期間内のほぼ全ての時間において、実施例Xの方が低い温度を示している。
特に、晴れた日の10時と16時に顕著な温度差が確認された。図12に測定期間中の10時と16時の天候と、インターロッキング舗装表面及びその100mm上方における温度差(比較例X−実施例X)を示す。一日の中で、10時頃は路面温度が上昇し始める時間帯、16時頃は路面温度が下降し始める時間帯であると考えられることから、路盤材(A)には砕石に比べて路面温度を上げにくく、また下げやすくする効果があるものと判断される。即ち、砕石に比べて、路盤材(A)が大きなヒートアイランド現象の抑制効果を有しているものと評価できる。
ヒートアイランド現象の抑制効果を評価する試験は、上記とは別の構造(図13に示す実施例Yと比較例Y)でも行った。実施例Yは、地表面上に路盤材として100mm厚の路盤材(A)を、その上方に表層材として100mm厚のエコクレイ(グランド用)(商品名、東和スポーツ施設株式会社製グランド用表層材)を配した構造、比較例Yは地表面上に路盤材として100mm厚の砕石、その上方に表層材として100mm厚の真砂土を配した構造を、それぞれ有している。温度測定期間や測定間隔、測定位置は上記試験と同じである。
図14に、実施例Yと比較例Yの表層表面温度の推移を、図15に実施例Yと比較例Yの表層表面から100mm上方位置における温度の推移を、それぞれ示す。また、図16に実施例Yと比較例Yの表層表面における温度差(比較例Y−実施例Y)を、図17に実施例Yと比較例Yの表層表面から100mm上方位置における温度差(比較例Y−実施例Y)を、それぞれ示す。図16及び図17から明らかなように、この試験でも、測定期間内のほぼ全ての時間において実施例Yの方が低い温度を示している。
実施例Yの表層材に用いたエコクレイは比較例Yの表層材に用いた真砂土よりも保水性が優れるものの、真砂土よりも黒色に近く、熱を吸収しやすい。そのため、本発明者が以前行った実験では、路盤材を再生砕石とし、表層材をエコクレイとした場合、特に日照時間帯の表面温度が比較例Yと同程度、或いはそれよりも上昇しやすい傾向を示した。それにもかかわらず、実施例Yの方が比較例Yよりも低い温度推移を示したことは、やはり路盤材(A)の方が砕石よりも優れたヒートアイランド現象の抑制効果を有しており、運動場や各種競技場の路盤材として優れていると評価できる。
なお、運動場等の表層材の表面に人工芝を設置すると、温度が上昇し易くなることが知られており、条件によっては表面温度が60℃〜70℃にも達する。このような運動場の路盤材として上記路盤材(A)を用いても、ヒートアイランド現象の抑制効果は有効であると期待できる。
続いて、路盤材(E)を用いて、突き固めによる土の締固め試験(JIS A1210, JGS 0711:試験方法E-bにより実施)及び締固めた土のコーン指数試験(JIS A1228, JGS 0716)を行い、その締固め特性を評価した。
突き固めによる土の締固め試験の結果、路盤材(E)の最適含水比ωoptは18.6%、最大乾燥密度ρdmaxは1.643g/cm3であった。最適含水比、及び最大乾燥密度とは、路盤材(E)を締め固めたとき、最も良く締まる状態の含水比、及び密度をいう。
締固めた土のコーン指数試験は、路盤材(E)の含水率を変えた4種類の試料1〜4(含水率:9.8%、13.2%、16.1%、19.4%)を用いて行った。その結果を図18に示す。コーン指数は建設機械の走行性の良し悪しを示す土の性質を表すものである。コーン指数は、図19に示すように各建設機械の接地圧に対応し、それらの建設機械が走行できるかどうかを判定する尺度として用いられており、路盤材の堅固性を表す目安となる。コーン指数qc(kN/m2)は、コーンペネトロメーターを1cm/s の貫入速度で地表面から5cm,7.5cm 及び10cmのところまで連続的に押し込んだ時にコーン底面に作用する貫入抵抗力(kN)の平均値を求め、それを先端コーンの底面積(3.24cm2)で除する(貫入抵抗力/先端コーンの底面積)ことにより求められる。図18に示すように、路盤材(E)の全ての試料1〜4のコーン指数が図19に示すダンプトラックのコーン指数を上回っていることから、路盤材(E)はダンプトラックの走行が可能な程度の堅固性を有していることが分かる。
以上より、路盤材(E)は学校等の運動場、各種競技場、公園、歩道等の屋外施設において用いる路盤材として用いるには十分な堅固性を備えているといえる。
上記の実施例は、歩道用舗装及びグラウンド舗装構造の路盤に用いられる路盤材に用いることを前提としたものであるが、これに再生砕石を混合することにより、道路にも適用可能な堅固性を持たせることができる。
上記路盤材(E)に再生砕石を混合することによる路盤材の堅固性向上の効果を検証した。この検証では、路盤材(E)と再生砕石とを80:20の割合で混合した路盤材(E')を用い、上述の土の締固め試験(JIS A1210, JGS 0711:試験方法E-bにより実施)と、CBR試験(JIS A1211, JGS 0721)を行った。
突き固めによる土の締固め試験の結果、路盤材(E')の最適含水比ωoptは12.5%、最大乾燥密度ρdmaxは1.789g/cm3であった。また、CBR試験の結果、95%修正CBR値は50.4%となった。このCBR値は道路用の下層路盤材である再生クラッシャランの修正CBR値である40%を超えるものである。従って、路盤材(E)に再生砕石を混合すれば、駐車場や道路用の路盤材としても使用可能な堅固性を持たせることができる。
従来の路盤材と同様、本発明の路盤材にも塩化ナトリウムや天然蛎殻、天然ホタテ殻、天然小粒軽石を配合すれば、路盤材に新たな特性を持たせることができる。
本発明の路盤材に塩化ナトリウムを配合すれば、路盤材の凍結を防止するとともに、雑草の生育を抑制することができる。塩化ナトリウムは1m2あたり2〜4kgの割合で配合すると良い。また、蛎殻やホタテ殻を配合すれば、路盤材の凍結を防止し、雑草の生育を抑制することに加え、路盤材の保水性、調湿性を向上させることもできる。さらに、軽石を配合すれば、路盤材の保水性、調湿性を更に向上させることができる。

Claims (6)

  1. 歩道用舗装又はグラウンド舗装構造の路盤に用いられる路盤材であって、一般廃棄物又は産業廃棄物の溶融スラグと、浄水汚泥を脱水し乾燥させて成る浄水汚泥ケーキとを3:7〜7:3の比率で配合して成り、粒径が40mm以下となるように調整された路盤材。
  2. 溶融スラグと浄水汚泥脱水ケーキが3:7〜5:5の比率で配合されていることを特徴とする請求項1に記載の路盤材。
  3. 溶融スラグ及び浄水汚泥脱水ケーキの総量に対して、0%〜20%の砕石又は再生砕石が配合されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の路盤材。
  4. 路盤材全体の細粒分が3%〜18%となるように砂粉及び/又は砕石粉が配合されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の路盤材。
  5. 溶融スラグ及び浄水汚泥脱水ケーキの総量が既存土の15%〜50%となるように、該既存土が配合されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の路盤材。
  6. 塩化ナトリウム又は/及び天然蛎殻又は/及び天然ホタテ殻又は/及び天然小粒軽石が混合されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の路盤材。
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