JPH0140754Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は貨客兼用車両などにおける格納型複列
座席の構造に関するものである。

〔従来の技術〕

実開昭57−199140号公報に開示される格納型複
列座席では、前座席と後座席の背凭れを座部の上
側へそれぞれ折り畳み、前座席の前脚と後座席の
前脚とを連結する連結部材を引き起すと、前脚席
の上側へ後座席が倒立状態に移動して格納され、
前座席と後座席の床が荷物の積載に利用される。
しかし、これは床に横たわる連結部材と一緒に後
座席を引き起すものであるから、後座席の重心の
上下移動が非常に大きく、女性運転者には苛酷な
作業となる。

〔考案が解決しようとする問題点〕

本考案の目的は、格納時の重心の上下移動量が
少なく、後座席が前座席の前側へ格納され、女性
にも作業に無理がない。格納型複列座席の構造を
提供することにある。

〔問題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、本考案の構成は床
に支持した前脚に前座席の座部を倒立可能に連結
し、前座席と後座席の座部の後端部に、背凭れを
座部の上側へ、後脚を座部の下側へそれぞれ折畳
み可能に連結し、後座席の座部に回動可能に連結
した前脚の下端部に、床に沿つて前方へ延びる間
隔部材を設け、間隔部材の前端から上方へ延びる
補助脚を前座席の背凭れに固定してなるものであ
る。

〔作用〕

格納時、後座席１２の背凭れ１４を座部１３の
上側へ折り畳み、後座席１２を前脚２０を連結す
るピン１５を中心として回動して倒立させる。次
いで、間隔部材２２を引き起すと、前座席２の背
凭れ４が座部３の上側へ折り畳まれると同時に、
後座席１２が前座席２の上側へ重なる。さらに、
前座席２と後座席１２を前脚１０との連結部を中
心として引き起すと、後座席１２が前座席２の前
側へ倒立状態に格納される。一連の格納作業は途
中で休んでも、座席の姿勢が安定であり、座席の
重心の上下移動が少ないので、格納作業に無理が
ない。

〔考案の実施例〕

第１図に示すように、貨客兼用車両は運転座席
１が配置される前部床２４が、床下に機関が配置
される都合上高くなつている。後部床２５に格納
可能の前座席２と後座席１２が配置され、後座席
１２の後側に荷物を積み込むスペースが備えられ
る。

前座席２の座部３に前脚１０と後脚９が、ピン
５，６により折り畳み可能に連結され、前脚１０
が床２５に立設される。座部２の後端部にリクラ
イニング機構８のピン７により、背凭れ４が前方
へ折り畳み可能に連結される。後座席１２も座部
１３に前脚２０と後脚１９が、ピン１５，１６に
より折り畳み可能に連結され、座部１２の後端部
にリクライニング機構１８のピン１７により、背
凭れ１４が前方へ折り畳み可能に連結される。

本考案によれば、後座席１２の前脚２０の下端
から間隔部材２２が床２５に沿つて前方へ延長さ
れ、この前端を上方へ折り曲げて補助脚２３が一
体に形成される。補助脚２３の上端部は前座席２
の背凭れ４に固定される。こうして、後座席１２
の前脚２０と前座席２の背凭れ４とを連結する連
結部材３０が構成される。

第２図に示すように、連結部材３０は座席の両
側に配設され、横部材２７により互いに結合され
る。連結部材３０は管材により形成し、床２５に
横たわる間隔部材２２を偏平に押し潰すことが好
ましい。

左右の各後脚９，１９も下端部で床２５に沿つ
て延びる横部材２８により一体に結合され、かつ
ピン６，１６を中心として第１図に示す状態から
反時計方向には回動できないが、時計方向に回動
して座部３，１３の下側へ折り畳むことができ
る。

次に、本考案装置の作動について説明する。第
１図に示す使用状態から座席を格納する場合は、
後座席１２の背凭れ１４をピン１７を中心として
前方へ倒し、座部１３の上側へ折り畳む。次い
で、後脚１９を座部１３の下側へ折り畳み、後座
席１２をピン１５を中心として反時計方向へ回動
すると、第３図に示すように、後座席１２が間隔
部材２２の上側へ移動し、前座席２の背凭れ４へ
押し付けられる。そこで、前座席２の背凭れ４の
背面に取り付けた例えば紐などの緊締部材２９
を、後座部１２の座部１３の後端部に設けたフツ
ク（図示せず）に係止する。

次いで、前座席２の背凭れ４と連結部材３０と
後座席１２を一緒に、ピン７を中心として反時計
方向へ回動し、第４図に示すように、背凭れ４を
座部３の上側へ折り畳む。さらに、前座席２の後
脚９を座部３の下側へ折り畳み、座部３を後座部
１２と一緒に倒立させると（前脚１０のピン５を
中心として前座席２と後座席１２を引き起し、反
時計方向へ回動すると）、第５図に示すように、
後座席１２が前座部２の前側へ、換言すれば運転
席１の後側へ倒立状態に格納され、前座席２と後
座席１２の床２５に荷物を積むスペースが提供さ
れる。

連結部材３０は前座席２と後座席１２の間隔を
保ち、格納時折り畳まれた後座席１２を前後両側
から抱持し、かつ前座席２の前側へ後座席１２を
押し出す。

本考案によると、前座席２と後座席１２の格納
に際し、座席重心の上下移動量が少ないので、格
納作業が容易である。後座席１２が前座席２より
も前側へ、ちようど運転席１の後側に床下の機関
との関係から残されている空間へ格納されるの
で、運転者の後方視界が妨げられることがなく、
床２５に広い荷物空間が提供される。

なお、上述の実施例において、前座席２の座部
３と床に支持した前脚１０を連結するピン５を前
脚１０の中間部または下端部に配設すると、格納
時の座席の重心の上下移動量が一層少なくなる。
要は、座部３は前脚１０の上端に限らず中間部ま
たは下端部で倒立可能に支持されるものであれば
よい。

第６図に示すように、前座席２の前脚１０と後
脚９とをリンク３２により連結し、同様に後座席
１２の前脚２０と後脚１９とをリンク３３により
連結すれば、各座席の格納時、ピン５，１５を支
点とする引き起し動作に関連して、後脚９，１９
が自動的に折り畳まれる。

第７図に示す変更実施例では、前座席２の背凭
れ４が後方へ傾倒可能に構成される。この場合は
前脚１０が座部３に固定され、第３図に示す状態
から前座席２の座部３だけをピン５を中心として
床２５で倒立させて格納することができるので、
運転席１のすぐ後側に後座席１２を格納するスペ
ースがない場合に有益である。

〔考案の効果〕

本考案は上述のように、床に支持した前脚に前
座席の座部を倒立可能に連結し、前座席と後座席
の座部の後端部に、背凭れを座部の上側へ、後脚
を座部の下側へそれぞれ折畳み可能に連結し、後
座席の座部に回動可能に連結した前脚の下端部
に、床に沿つて前方へ延びる間隔部材を設け、間
隔部材の前端から上方へ延びる補助脚を前座席の
背凭れに固定してなるから、格納時、後座席の背
凭れを座部の上側へ折り畳み、後座席を前脚に連
結するピンを中心として回動し、間隔部材を引き
起すと、前座席の背凭れが座部の上側へ折り畳ま
れると同時に、後座席が前座席の上側へ重なる。
さらに、前座席の座部を後座席と一緒に前脚のピ
ンを中心として倒立させると、後座席が前座席の
前側へ倒立状態に格納される。したがつて、前座
席と後座席の床が広く荷物空間に開放される。

間隔部材は前座席と後座席の間隔を保ち、格納
時折り畳まれた後座席を前後両側から抱持し、か
つ前座席の前側へ後座席を押し出す。

一連の格納作業は途中で休んでも、座部の姿勢
が安定であり、座席の重心の上下移動が少ないの
で、格納作業に無理がない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る格納型複列座席を備えた
貨客兼用車両の概略構成を示す側面図、第２図は
同格納型複列座席の背面図、第３，４図は同格納
型複列座席の格納の過程を示す側面図、第５図は
同格納状態を示す側面図、第６図は本考案の変更
実施例に係る格納型複列座席の側面図、第７図は
本考案の他の変更実施例に係る格納型複列座席の
格納状態を示す側面図である。 ２……前座席、３，１３……座部、４，１４…
…背凭れ、５〜７，１５〜１７……ピン、９，１
９……後脚、１０，２０……前脚、１２……後座
席、２２……間隔部材、２３……補助脚、３０…
…連結部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 床に支持した前脚に前座席の座部を倒立可能に
   連結し、前座席と後座席の座部の後端部に、背凭
   れを座部の上側へ、後脚を座部の下側へそれぞれ
   折畳み可能に連結し、後座席の座部に回動可能に
   連結した前脚の下端部に、床に沿つて前方へ延び
   る間隔部材を設け、間隔部材の前端から上方へ延
   びる補助脚を前座席の背凭れに固定してなる格納
   型複列座席の構造。