JPS631624Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、バンやワゴン等の後部車室を貨客両
用に利用可能とした自動車におけるリヤシートに
関する。

ところで、車室内の後半部を貨客両用に利用す
る場合には、例えば実開昭55−47481号公報に記
載されているような構成のリヤシートが用いられ
る。これは、第１図に示すように、リヤシートＡ
を構成するシートバツクＢの下端部をシートクツ
シヨンＣの後端部にヒンジ部材Ｄを用いて結合し
て、該シートバツクＢをシートクツシヨンＣ上に
前倒可能とすると共に、該シートクツシヨンＣの
前端部についても車体フロアＥに対してヒンジ部
材Ｆを用いて連結することにより、上記シートバ
ツクＢをシートクツシヨンＣ上に前倒させた状態
で、これらを更に前方に起こし得るようにした構
成である。

然るに、このリヤシートＡのようにシートバツ
クＢとシートクツシヨンＣを折りたたんで前方に
起こすようにした場合、第１図に示すように該リ
ヤシートＡがフロントシートＧの真後ろに位置す
ることになつて、該フロントシートＧの後方への
リクライニングやスライドが妨げられることにな
る。そのため、後部車室に積載される荷物量が多
い場合は止むを得ないとしても、後部車室にスペ
ースの余裕がある比較的荷物量が少い場合にも同
様にフロントシートのリクライニングやスライド
が規制されて、前部座席の居住性が徒らに損われ
ることになる。

本考案は、従来における上記のような不合理性
を解消するもので、シートバツクをシートクツシ
ヨン上に前倒させた状態で両者を前方に起こし得
るようにしたリヤシートにおいて、上記シートク
ツシヨン及びシートバツクを前方に起こした状態
で、更に前方位置及び後方位置の二位置を取り得
るように構成したものである。これにより、後部
車室への積載荷物量が多い場合は、リヤシートを
上記の前方位置にセツトして十分な荷物用スペー
スを確保すると共に、荷物量の比較的少い場合
は、リヤシートを上記の後方位置にセツトするこ
とにより、フロントシートの後方へのリクライニ
ングやスライドを可能とするものである。

即ち、本考案は上記目的の達成のため、シート
クツシヨンの後端部にシートバツクを前倒可能に
ヒンジ結合すると共に、上記シートバツクを前倒
させた状態で該シートバツクと共にシートクツシ
ヨンを前方に起こし得るように、シートクツシヨ
ンの前端部を車体フロアに枢支したリヤシートに
おいて、このシートクツシヨン前端部の枢支部
を、一端が車体フロアに軸支され且つ他端がシー
トクツシヨン前端部に軸支されたリンク部材によ
り構成し、該リンク部材の前後への揺動によつ
て、上記シートクツシヨン及びシートバツクを前
方に起こした状態で更に前後の２位置を取り得る
ように構成する。そして、上記シートクツシヨン
の下面もしくは車体フロアのいずれか一方にはロ
ツドの一端を軸支し、且つ他方には該ロツドの他
端を係止する２つの係合部が上記２位置に対応さ
せて設けられたガイドブラケツトを固設して、シ
ートクツシヨン及びシートバツクを起こした状態
で上記２位置で固定するストツパ装置を構成した
ことを特徴とするものである。

以下、本考案を図面に示す実施例に基いて説明
する。

第２図は該実施例における全体の配置を示すも
ので、車体の前部フロア１上にはフロントシート
２が、後部フロア３上にはリヤシート４が夫々配
置されている。フロントシート２はシートクツシ
ヨン５とシートバツク６により構成されていると
共に、スライドレール７を介してフロア１上に載
置されて前後位置の調節が可能とされており、且
つ上記シートバツク６の下端部がシートクツシヨ
ン５の後端部にリクライニング装置８を介して連
結されていることにより、該シートバツク６のリ
クライニング調節が可能とされている。

同様に、リヤシート４もシートクツシヨン９と
シートバツク１０によつて構成されているが、該
リヤシート４においては、シートバツク１０の下
端部がシートクツシヨン９の後端部にヒンジ部材
１１を介して連結され、鎖線で示すよう該シート
バツク１０をシートクツシヨン９上に前倒可能と
されていると共に、シートクツシヨン９の前端部
は、左右両端位置においてヒンジ装置１２及びス
トツパ装置１３を介して車体フロア３に連結され
ている。

次に、第３図により上記ヒンジ装置１２及びス
トツパ装置１３の構成を説明する。

ヒンジ装置１２は、後部フロア３の前端部にお
ける床面を一段低くしたコーナー部３ａにボルト
１４により固着された固定ブラケツト１５と、シ
ートクツシヨン９の前端部下面に設けられた凹部
９ａにボルト１６により固着された可動ブラケツ
ト１７、及び両端部を上記固定ブラケツト１５と
可動ブラケツト１７とに夫々ピン１８，１９を介
して連結された板状のリンク部材２０により構成
されている。そして、該リンク部材２０は、固定
ブラケツト１５の前後部に設けられた立上り部１
５ａ，１５ｂに当接する範囲内で、上記ピン１８
を中心として前後に揺動可能とされ、また該リン
ク部材２０の揺動側の端部に対して、上記可動ブ
ラケツト１７及び該ブラケツト１７が固着された
シートクツシヨン９が上記ピン１９を中心として
回動可能とされている。

一方、ストツパー装置１３は、上記後部フロア
３のコーナー部３ａにボルト２１により固着され
たガイドブラケツト２２と、シートクツシヨン９
のコーナー部裏面にボルト２３により固着された
可動ブラケツト２４と、該可動ブラケツト２４に
一端部を枢支され且つ他端部を上記固定ブラケツ
ト２２に形成された前後方向の長孔２２ａにスラ
イド可能に係合されたロツド２５とにより構成さ
れている。ここで、上記長孔２２ａの前後両端部
は下方に切込まれて上記ロツド２５の端部２５ａ
に対する係合部２２ｂ，２２ｃとされ、これらの
係合部２２ｂ，２２ｃのいずれかにロツド２５の
当該端部２５ａが係合すると該端部２５ａのスラ
イドが阻止されるように構成されている。また、
該端部２５ａを長孔２２ａの両端位置において係
合部２２ｂ又は２２ｃに積極的に係合させ且つこ
れを係合した状態に保持するため、ロツド２５を
ａ方向に付勢するスプリング２６が該ロツド２５
と上記可動ブラケツト２４との間に装着されてい
る。

次に、上記構成についての作用を説明する。

第２図に実線で示すように、リヤシート４にお
けるシートバツク１０を着席し得るように立てた
状態、又は後部車室に荷物を載せるため、先づ上
記シートバツク１０をシートクツシヨン９上に折
り重ねた状態においては、第４図ａに示すよう
に、ヒンジ装置１２においては、リンク部材２０
が前方に倒れて固定ブラケツト１５の前方の立上
り部１５ａに受止された状態にある。また、スト
ツパ装置１３においては、ロツド２５のスライド
側の端部２５ａがガイドブラケツト２２における
長孔２２ａの後方の係合部２２ｃに係合された状
態にある。

然してシートバツク１０をシートクツシヨン９
上に重ねた状態で、上記ロツド２５の端部２５ａ
をスプリング２６に抗してガイドブラケツト２２
における長孔２２ａの後方の係合部２２ｃから離
脱させれば、上記リンク部材２０の揺動側の端部
におけるピン１９を中心として、可動ブラケツト
１７と共にシートクツシヨン９及びシートバツク
１０を前方に起こすように回動させることができ
るのである。その場合に、上記ロツド２５の端部
２５ａはガイドブラケツト２２の長孔２２ａ内を
前方にスライドし、第４図ｂに示すように該長孔
２２ａの前端部までスライドした時点でスプリン
グ２６によつて前方の係合部２２ｂに係合され
る。これにより、リヤシート４が、シートクツシ
ヨン９とシートバツク１０が折りたたまれ且つ前
方に起こされた状態で第２図に鎖線Ｘで示す前方
位置に固定されることになる。尚、この場合にお
いてはヒンジ装置１２におけるリンク部材２０は
前方に倒れた状態に保持されている。

然るに、該リンク部材２０は、固定ブラケツト
１５にピン１８を中心として前後に揺動可能に連
結されているから、ストツパ装置１３におけるロ
ツド２５の端部２５ａをガイドブラケツト２２の
前方の係合部２２ｂから離脱させれば、該端部２
５ａを長孔２２ａに沿つて後方にスライドさせな
がら、該リンク部材２０を後方に揺動させること
ができる。そして、第４図ｃに示すように該リン
ク部材２０を固定ブラケツト１５の後方の立上り
部１５ｂに当接するまで後方に揺動させ、且つロ
ツド２５の端部２５ａをガイドブラケツト２２の
後方の係合部２２ｃに再び係合させれば、リンク
部材２０の揺動側の端部に可動ブラケツト１７を
介してシートクツシヨン９の前端部が連結された
リヤシート４が後方に平行移動され、第２図に示
す後方位置Ｙに固定されることになる。これによ
り、フロントシート２の後方にスペースの余裕が
生じ、後部車室に荷物を載せるためリヤシート４
を折りたたんで前方に立てかけたにも拘らず、フ
ロントシート２の後方へのスライドやリクライニ
ングが可能となるのである。

尚、ストツパ装置１３におけるガイドブラケツ
ト２２と可動ブラケツト２４の取り付け位置を入
れかえ、前者をシートクツシヨンの下面に、後者
をフロアに夫々固着しても同様の作用が行われ
る。

以上のように本考案によれば、後部車室を貨客
両用に利用する自動車において、該後部車室に荷
物を積載するためリヤシートを折りたたんだ状態
で前方に立てかける場合に、該リヤシートを積載
荷物量に応じて前方位置又は後方位置のいずれか
を選択して位置させることが可能となる。これに
より、積載荷物量が多い場合は後部車室に十分な
荷物用スペースが確保されると共に、荷物量が少
い場合には、リヤシートを上記の後方位置にセツ
トすることによりフロントシートの後方へのリク
ライニングやスライドが可能とされ、前部座席の
良好な居住性が得られることになる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例を示す側面図、第２図は本考案
の実施例を示す側面図、第３図は該実施例の要部
拡大斜視図、第４図ａ〜ｃは該実施例の作用を示
す要部拡大側面図である。 ３……車体フロア、４……リヤシート、９……
シートクツシヨン、１０……シートバツク、１１
……ヒンジ部材、１３……ストツパ装置、２０…
…リンク部材、２２……ガイドブラケツト、２２
ｂ，２２ｃ……係合部、２５……ロツド、Ｘ……
前方位置、Ｙ……後方位置。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シートクツシヨンの後端部にシートバツクを前
   倒可能にヒンジ結合すると共に、上記シートバツ
   クを前倒させた状態で該シートバツクと共にシー
   トクツシヨンを前方に起こし得るように車体フロ
   アにシートクツシヨンの前端部を枢支したリヤシ
   ートにおいて、このシートクツシヨン前端部の枢
   支部を、一端が車体フロアに軸支され且つ他端が
   シートクツシヨン前端部に軸支されたリンク部材
   により構成して、該リンク部材の前後への揺動に
   よりシートクツシヨン及びシートバツクを起こし
   た状態で前後の２位置を取り得るように構成する
   と共に、シートクツシヨンの下面もしくは車体フ
   ロアのいずれか一方にはロツドの一端を枢支し、
   且つ他方には該ロツドの他端を係止する２つの係
   合部が上記２位置に対応させて設けられたガイド
   ブラケツトを固設して、シートクツシヨン及びシ
   ーバツクを上記２位置で固定するストツパ装置を
   構成したことを特徴とする自動車のリヤシート。