JPH0139950Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 この考案は、エンジンのクランク軸に固定した
フライホイルのボス部内側と、クランク軸貫通部
のオイルシール用スリーブの外端部との間に設け
た皿バネを弾性保護カバーで覆うようにした皿バ
ネ保護装置に関する。

〈従来技術〉 上記皿バネは第３図に示すように、従来より保
護カバーがなく外部に直接露出されていた。すな
わち、第３図において符号３はクランク軸２の突
出軸、５はフライホイル４のボス部、６はオイル
シール用スリーブ、７は皿バネである。

〈従来技術の問題点〉 しかるに、エンジンを過酷な設置条件の下で使
用する場合など、前記皿バネの外表面を被覆した
メツキや塗装が局部的に損傷すると、そこから錆
が発生し、ついには皿バネが破損するに至ること
がある。

〈考案が解決しようとする問題点〉 そこで、この皿バネを耐久性の高い高分子材料
製の弾性保護カバーで覆つて保護することが要請
され、例えば、保護カバーの内端をオイルシール
ケース（第３図の１１）の外端部、保護カバーの
外端をフライホイルのボス部内側面（第３図５
ａ）に接当させるよう構成することが考えられる
が、この場合には、ボス部の回転に伴なつて保護
カバーの外端が摺擦摩耗して保護カバーそのもの
の耐久性を損なう。

あるいは、また前記スリーブ（第３図６）の外
端部をさらに長く突出させ、そこに保護カバーの
内端部をバンドで止めるとともに、外端を上記同
様フライホイルのボス部内側面に接当させて、一
体に回転させるよう構成することも考えられる
が、この場合には、それに応じて突出軸の突出寸
法を長くする必要があり、フライホイルの荷重に
よる軸の曲げモーメントが大きくなり、エンジン
に余分の負過を与えることとなる。

本考案はこのような難点を解消するとともに、
既存のエンジンにも簡単に実施可能なエンジンの
クランク軸の皿バネ保護装置を提供することをそ
の目的とするものである。

〈問題点を解決するための手段〉 本考案は上記目的を達成するために、冒述の皿
バネ保護装置において、弾性保護カバーの内端部
の内縁より金属製係合板を内径側へ固着突出さ
せ、金属製係合板の内径側突出部をスリーブと皿
バネとの間の隙間に嵌入係合し、弾性保護カバー
の外端部をフライホイルのボス部に弾力的に接当
させたことを特徴とするものである。

〈作用〉 弾性保護カバーの内端部の内縁より内径側に固
着突出した金属製係合板が皿バネとスリーブ外端
との隙間に嵌入係合して弾性保護カバーの内端部
を止着し、一方、弾性保護カバーの外端部はフラ
イホイルのボス部に弾力的に接当されるから、皿
バネは弾性保護カバーによつてすつぽりと覆われ
て外部に露出されることがなく、しかも、弾性保
護カバーはフライホイル及び前記スリーブと一体
に回転するとともに、クランク軸の突出軸長を長
くする等の変更も要しないから、保護カバーの摺
擦摩耗や、前記曲げモーメントの増大を生じさせ
ない。

〈実施例〉 以下、本考案による実施例を図面に基づいて説
明する。

第１図は本考案の主要部拡大図、第２図は本考
案を適用した横形エンジンの平面図、第３図は本
考案の前提構造を示す要部平断面図である。

これらの図において同一部材は同一符号をもつ
て表わした。

まず、本考案の前提構造を第３図に基づいて説
明する。

エンジンＥのクランクケース１からクランク軸
２の突出軸３が突出され、突出軸３の外寄部にフ
ライホイル４のボス部５が固定されるとともに、
突出軸３の内寄部にはオイルシール用のスリーブ
（以下単にスリーブと称する）６が軸方向に摺動
自在で、しかも突出軸３と一体回転するように外
嵌されている。

前記スリーブ６の外端側の周面には油戻し用螺
旋溝６ａを、内面にはＯリング６ｂをそれぞれ設
け、前述のようにこのスリーブ６を突出軸３に嵌
着した後、スリーブ外端面をフライホイル４のボ
ス部内側面５ａとの間に介装させた皿バネ７でエ
ンジン内方へ押圧付勢して固定するように構成さ
れている。

そこで、本考案の特徴的構造について以下に説
明する。

第１図は第３図ので示す部分に本考案を適用
した拡大図であり、この図において符号９は例え
ばナイロン、ビニール樹脂等の高分子材料で成型
され弾性保護カバーで、前記皿バネ７の外周空間
８をすつぽり覆うように構成されている。すなわ
ち、この弾性保護カバー９の内端部９ａの内縁よ
り金属製係合板１０を内径側へ固着突出させ、こ
の内径側突出部１０ａをスリーブ６と皿バネ７と
の間の隙間に嵌入係合させて当該弾性保護カバー
９の内端部９ａをスリーブ６に止着するととも
に、弾性保護カバー９の外端部９ｂは、フライホ
イルボス部５の内側面５ａに弾性的に接当させて
ある。

また、弾性保護カバー９の大径部に薄肉凹部を
形成して押圧方向に変形可能な弾性部９ｃを設け
てある。

なお、弾性保護カバー９の内部の前記皿バネ外
周空間８内にグリース等を封入して、皿バネ９の
防錆効果をさらに高めるようにしてもよい。

〈考案の効果〉 本考案は前述のように構成し作用するから、次
のような優れた効果を奏する。

イ 弾性保護カバーは、フライホイルル及びスリ
ーブと一体に回転するように構成されているか
ら、接当部分の摺擦摩耗がなく、耐久性に優れ
る。

ロ クランク軸の突出軸長を長くする等の変更を
要しないから、フライホイルによる軸の曲げモ
ーメント増大を生じることがなく、エンジンに
余分の負荷を与えなくてすむ。

ハ 構造が簡単で既存機にでも簡単に実施適用す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の主要部断面図、第２図は本考
案を適用した横形エンジンの平面図、第３図は本
考案の前提構造を示す要部平断面図である。 Ｅ……エンジン、１……クランクケース、２…
…クランク軸、３……突出軸、４……フライホイ
ル、５……ボス部、５ａ……内側面、６……スリ
ーブ、７……皿バネ、８……皿バネ外周空間、９
……弾性保護カバー、１０……金属製係合板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジンＥのクランクケース１からクランク軸
   ２の突出軸３を突出させ、突出軸３の外寄部にフ
   ライホイル４のボス部５を固定するとともに、そ
   の内寄部にスリーブ６を摺動自在で一体回転する
   ように外嵌し、フライホイル４のボス部５とスリ
   ーブ６との間に皿バネ７を介在させてスリーブ６
   を内側に押圧するように構成し、皿バネ７の外周
   空間８を高分子材料製の弾性保護カバー９で覆つ
   て構成したエンジンのクランク軸の皿バネ保護装
   置において、弾性保護カバー９の内端部９ａの内
   縁より金属製係合板１０を内径側へ固着突出さ
   せ、金属製係合板１０の内径側突出部１０ａをス
   リーブ６と皿バネ７との間の隙間に嵌入係合し、
   弾性保護カバー９の外端部９ｂをフライホイル４
   のボス部５に弾力的に接当させたことを特徴とす
   るエンジンのクランク軸の皿バネ保護装置。