JPH0439459Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、自動車の車輪独立懸架機構における
アツパ・サスペンシヨン・アームに用いるアーム
用ブツシユ等の滑り軸受の改良に関するものであ
る。

〔従来の技術〕

従来からこの種滑り軸受の一例として、第３図
に示すように、内筒１と外筒２を同心状に配し、
該両筒１，２の間に筒状ゴム材３を挟着したもの
が知られているが、この滑り軸受は捩り方向に対
して第４図のグラフに示すような捩りバネ特性を
持つているため、過大な捩りトルクが掛かると捩
れ角が大となり、前記筒状ゴム材３の歪率が過大
になるという欠点を有していた。

この問題に対処するため、考案者らは先に、第
５図に示すような、軸方向の一端に外径方向に広
がるフランジ４ａを備えた第１内筒４と、該第１
内筒４の内周に嵌挿した第２内筒５と、同第１内
筒４に対し同心配置した外筒６と、第１内筒４と
外筒６の間に挟着した筒状ゴム材７と、第１内筒
４のフランジ４ａ前面に配され筒状ゴム材７の先
端屈曲部７ａに抱持された座金８と、第１内筒４
のフランジ４ａ前面と座金８後面の間に介装され
その内周面を第２内筒５の外周面に対向させるス
ラストワツシヤ９とを有し、第１内筒４と第２内
筒５の間Ａ、第１内筒４のフランジ４ａとスラス
トワツシヤ９の間Ｂおよびスラストワツシヤ９と
座金８の間Ｃに潤滑油脂類を介在させるととも
に、第２内筒５を軸受用合金または低摩擦性の樹
脂材にて成形した滑り軸受を考案している（実開
昭60−115107号公報参照）。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上記滑り軸受は、捩り方向に大きな荷重が掛か
つた場合に中間に潤滑油脂類を介在させた部材相
互を相対的に摺動せしめて筒状ゴム材に掛かる歪
み負担を小さくしたものであるが、この構成によ
ると、潤滑油脂類が回転作動に伴つて絞り出され
るようにして外部へ漏出する虞があり、また反対
に外部のダストや泥水が内部へ侵入する虞があ
る。上記滑り軸受においては筒状ゴム材７の先端
屈曲部７ａがリツプ状を呈して座金８の端面に接
触しているために該接触部で一応のシール作用を
奏するが、先端屈曲部７ａがゴムの単体であつて
かつ他の部品に支持されていないためにシール能
力が不安定でありかつ耐久性が乏しい。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は以上の点に鑑み、上記先願技術に対し
てシール性能を向上させることを目的として案出
されたものであつて、この目的を達成するため、
軸方向一端側の端部に外径方向に広がるフランジ
を形成した第１内筒と、前記第１内筒の内周側に
回転自在に嵌挿され、軸方向他端側の端部に前記
第１内筒の端部より軸方向に突出する部分を備え
た第２内筒と、前記第１内筒の外周側に離間配置
され、軸方向一端側の端部に屈曲抱持部を形成
し、前記屈曲抱持部の内周面に凹段部を形成した
外筒と、前記第１内筒と前記外筒の間に挟着さ
れ、軸方向他端側の端部に前記突出部分の外周面
に摺動自在に接触するシールリツプを形成した筒
状ゴム材と、前記フランジの軸方向一端側に配置
され、前記フランジに摺動自在に接触する座金
と、前記座金の軸方向一端側に配置され、その外
周縁を前記凹段部に対して軸方向に係合し、前記
屈曲抱持部によりカシメ固定された環状のプレー
トと、前記座金と前記プレートの間に介装され、
前記座金と前記プレートの間をシールする環状の
ゴムシール材と、を有し、前記第１内筒と前記第
２内筒の間および前記フランジと前記座金の間に
それぞれ潤滑油脂類を介在させたことを特徴とす
る滑り軸受を提供する。

〔作用〕

軸方向の一端部を座金とプレートの間にゴムシ
ール材を介装することによりシールし、軸方向の
他端部を第２内筒に設けた突出部分にシールリツ
プを摺動させることによりシールする。プレート
は外筒の屈曲抱持部にカシメ固定されて外筒に対
して固定されるようになつており、座金とこのプ
レートの間隔を調整することでゴムシール材に適
度の圧縮を加えることが可能である。

〔実施例〕

つぎに本考案の実施例を図面にしたがつて説明
する。

第１図および第２図において、符号１６は軸方
向一端側（図上右側、以下単に右側と称する）の
端部に外径方向に広がるフランジ１６ａを形成し
た第１内筒であつて、該第１内筒１６の内周側に
第２内筒１７が回転自在に嵌挿されている。第２
内筒１７の軸方向他端側（図上左側、以下単に左
側と称する）の端部には第１内筒１６の端部より
軸方向に突出する部分１７ａが設けられている。
第１内筒１６の外周側に外筒１８が離間配置さ
れ、この第１内筒１６と外筒１８の間に筒状ゴム
材１９が挟着されている。外筒１８の右側の端部
に前記フランジ１６ａを覆うようにして環状の屈
曲抱持部１８ａが形成され、該屈曲抱持部１８ａ
の内周面に環状の凹段部１８ｂが形成され、屈曲
抱持部１８ａはここで厚さを一段薄くして内周方
向に屈曲されたカシメ縁１８ｃとなっている。筒
状ゴム材１９の左側の端部に前記突出部分１７ａ
の外周面に摺動自在に接触するシールリツプ１９
ａが形成されている。フランジ１６ａの右側に該
フランジ１６ａに摺動自在に接触する座金２０が
配置され、座金２０の更に右側に環状のプレート
２１が配置され、プレート２１に座金２０の端面
に摺動自在に接触する環状のゴムシール材２２が
接着されている。プレート２１は軸方向に屈曲し
た外周縁２１ａを凹段部１８ｂに対して軸方向に
係合し、屈曲抱持部１８ａにカシメ固定されて外
筒１８に対して固定されるようになつており、座
金２０とこのプレート２１の間隔を調整すること
によりゴムシール材２２に適度の圧縮を加えるこ
とが可能である。ゴムシール材２２には座金２０
の端面に圧接する複数の環状のリツプが形成され
ている。また第１内筒１６と第２内筒１７の間お
よびフランジ１６ａと座金２０の間にはそれぞれ
潤滑油脂類（図示せず）が介在せしめられてい
る。

上記構成の滑り軸受は、その軸方向の一端部を
座金２０に対してゴムシール材２２を圧接させる
ことによりシールし、その軸方向の他端部を第２
内筒１７に設けた突出部分１７ａに対してシール
リツプ１９ａを摺動させることによりシールする
ものであつて、特に、プレート２１が外筒１８の
屈曲抱持部１８ａにカシメ固定されて外筒１８に
対して固定されるようになつており、座金２０と
このプレート２１の間隔を調整することでゴムシ
ール材２２に適度の圧縮を加えることが可能であ
るために、プレート２１によりゴムシール材２２
をバツクアツプしてシール能力を安定させること
ができ、ゴムシール材２２が早期にへたるのを防
止して耐久性を向上させることができる。

なお、ゴムシール材２２は必ずしもプレート２
１に接着する必要はなく、プレート２１と座金２
０の間に接着せずに挟み込むようにしても良い。

〔考案の効果〕 本考案は次の効果を奏する。すなわち、滑り軸
受の軸方向の一端部を座金とプレートの間にゴム
シール材を介装することによつてシールし、軸方
向の他端部を第２内筒に設けた突出部分に対して
シールリツプを摺動させることによつてシール
し、潤滑油脂類が外部へ漏出したり、外部のダス
トや泥水が内部へ侵入したりするのを防止するこ
とができる。またプレートが外筒の屈曲抱持部に
カシメ固定されて外筒に対して固定されるように
なつており、座金とこのプレートの間隔を調整す
ることでゴムシール材に適度の圧縮を加えること
が可能であるために、プレートによりゴムシール
材をバツクアツプしてシール能力を安定させるこ
とができ、ゴムシール材が早期にへたるのを防止
して耐久性を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例に係る滑り軸受の断面
図、第２図は一部拡大断面図、第３図は従来例に
係る滑り軸受の断面図、第４図は捩りバネ特性を
示すグラフ、第５図は他の従来例に係る滑り軸受
の断面図である。 １６……第１内筒、１６ａ……フランジ、１７
……第２内筒、１７ａ……突出部分、１８……外
筒、１８ａ……屈曲抱持部、１８ｂ……凹段部、
１８ｃ……カシメ縁、１９……筒状ゴム材、１９
ａ……シールリツプ、２０……座金、２１……プ
レート、２１ａ……外周縁、２２……ゴムシール
材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 軸方向一端側の端部に外径方向に広がるフラン
   ジ１６ａを形成した第１内筒１６と、前記第１内
   筒１６の内周側に回転自在に嵌挿され、軸方向他
   端側の端部に前記第１内筒１６の端部より軸方向
   に突出する部分１７ａを備えた第２内筒１７と、
   前記第１内筒１６の外周側に離間配置され、軸方
   向一端側の端部に屈曲抱持部１８ａを形成し、前
   記屈曲抱持部１８ａの内周面に凹段部１８ｂを形
   成した外筒１８と、前記第１内筒１６と前記外筒
   １８の間に挟着され、軸方向他端側の端部に前記
   突出部分１７ａの外周面に摺動自在に接触するシ
   ールリツプ１９ａを形成した筒状ゴム材１９と、
   前記フランジ１６ａの軸方向一端側に配置され、
   前記フランジ１６ａに摺動自在に接触する座金２
   ０と、前記座金２０の軸方向一端側に配置され、
   その外周縁２１ａを前記凹段部１８ｂに対して軸
   方向に係合し、前記屈曲抱持部１８ａによりカシ
   メ固定された環状のプレート２１と、前記座金２
   ０と前記プレート２１の間に介装され、前記座金
   ２０と前記プレート２１の間をシールする環状の
   ゴムシール材２２と、を有し、前記第１内筒１６
   と前記第２内筒１７の間および前記フランジ１６
   ａと前記座金２０の間にそれぞれ潤滑油脂類を介
   在させたことを特徴とする滑り軸受。