JPH0139469B2

JPH0139469B2 -

Info

Publication number: JPH0139469B2
Application number: JP57049734A
Authority: JP
Inventors: Zenshiro Iijima
Original assignee: Adger Kogyo Co Ltd
Current assignee: Adger Kogyo Co Ltd
Priority date: 1982-03-26
Filing date: 1982-03-26
Publication date: 1989-08-21
Also published as: JPS58167659A

Description

【発明の詳細な説明】本発明は紙上に記載した文字や図案を市販の消
しゴムで消去することができ、さらにその消去跡
に再び文字や図案を記載することのできる紙用イ
ンク組成物の製造方法に関するものである。

従来の万年筆やサインペンなどに用いられてい
る筆記用インクは、このインクを用いて紙に記載
した場合、その記載事項を消しゴムで消去するこ
とは殆んど不可能である。従来のインクで記載さ
れた事項を消去するには、一般的には字消し液が
使用されている。しかしながら、このような字消
し液を用いる場合、その消去跡は湿つた状態にあ
るため、その消去直後に文字を記載することはで
きず、消去跡に再度文字を記載するには、消去跡
を完全に乾燥させる必要があつた。消去跡が字消
し液により湿つている間に文字を書いても、その
文字にはニジミを生じたり、また字消し液の作用
により再び記載した文字が消去されてしまう。

本発明者は、前記したような字消し液によら
ず、記載した文字や画線が従来の消しゴムにより
容易に消去可能なインク組成物を開発すべく鋭意
研究を重ねた結果、意外にも、顔料と非電解質の
水溶性高分子化合物との混練物を実質的に界面活
性剤の不存在下、水性媒体中に分散させたものが
その目的の適合することを見出し、本発明を完成
するに到つた。

本発明者は、先に、市販のエマルジヨン型の顔
料を用いて前記目的に適合するインク組成物を開
発すべく種々検討したが、この場合には、低分子
の水溶性金属化合物と水溶性高分子化合物の存在
が必要とされた（特願昭56−162417号）。しかも、
この場合には、紙質の種類によつては、記載した
文字を消しゴムにより完全に消去することが著し
く困難である等の問題もあつた。本発明者は、こ
の点の改良に種々研究を重ねた結果、市販のエマ
ルジヨン型顔料は、顔料分散のために分散剤又は
界面活性剤を含み、そしてこの分散剤又は界面活
性剤が原因となつて、顔料の紙中への浸透が促進
され、その結果、消しゴムにより記載事項を消去
することが著しく困難になることが判明した。

本発明においては、顔料は、実質的に界面活性
剤（又は分散剤）の不存在下において、水性媒体
中に均一に分散されていることを特徴とする。水
性媒体中への顔料の分散は、アルキルベンゼンス
ルホン酸塩や、第四アンモニウム塩、ポリエーテ
ル系等の通常の低分子量系の分散剤や界面活性剤
を用いる方法でなければ任意であるが、一般に
は、顔料と水溶性高分子化合物とを水の存在下均
一に混練して、顔料と水溶性高分子化合物との均
一混練物をあらかじめ形成し、次に、この混練物
を水性媒体中へ分散させる方法が採用される。こ
の場合、水溶性高分子化合物としては、顔料の凝
集沈澱を防止する意味で、非電解質のものの使用
が好ましい。もちろん、条件によつては電解質の
高分子化合物も使用可能である。

本発明で用いる顔料としては、無機顔料及び有
機顔料のいずれでもよいが、水溶性化合物と均一
に混練し得るものの使用が好ましい。この顔料の
具体例としては、例えば、ダイヤモンドブラツク
（C.I.50440）、フタロシアニンブルー（C.
I.74160）、レーキレツド4R（C.I.12120）、ピグメン
トバイオレツト３（C.I.42535）、ピグメントグリ
ーン７（C.I.74260）、ピグメントオレンジ13（C.
I.21110）、ピグメントイエロー12（C.I.21090）、松
煙黒等が挙げられるが、もちろん、これらのもの
に限定されるものではない。C.I.はカラーインデ
ツクスを示す。

本発明により得られるインク組成物を好ましく
製造するには、前記したように、先ず、顔料を水
溶性高分子化合物の水溶液と混合し、均一なペー
スト状の混練物とする。この場合、水溶性高分子
化合物の水溶液中濃度は、その水溶性高分子化合
物の種類によつても異なるが、一般には、0.5〜
10重量％、好ましくは１〜５重量％の範囲であ
る。水溶性高分子化合物の水溶液と高練させる顔
料の量は、顔料の種類及び高分子の種類によつて
一義的に定めることは困難であるが、一般には、
水溶性高分子化合物とよく混練し得る範囲であれ
ばよく、通常、水溶性高分子化合物の水溶液100
重量部に対し、３〜100重量部、好ましくは８〜
70重量部の範囲である。高分子化合物としては、
水溶性のもの、例えば、デンプン、デキストリ
ン、アラビアゴム、ゼラチン、メチルセルロー
ス、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロ
ース、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキ
シド、ポリビニルピロリドン等を挙げることがで
きる。

次に、前記のようにして得た顔料と水溶性高分
子化合物との均一混練物は、所望のインク組成物
とするため、水性媒体中に希釈分散化させる。水
性媒体としては、水の使用も可能であるが、顔料
の凝集沈澱を防止し、分散性を保持するために、
増粘剤を加えた水性媒体の使用が有利である。こ
の場合、増粘剤としては、水の粘度を上昇させ得
る水溶性の物質であれば任意に使用し得るが、通
常、グリセリン、アルキレングリコール、ポリア
ルキレングリコールの他、水溶性高分子、殊に、
前記したような顔料に対しコロイド保護作用を持
つ各種の水溶性高分子化合物が用いられ、中でも
高分子量のポリエチレンオキシド（分子量15万〜
110万）の使用が好適である。

水性媒体に対する前記混練物の添加量は、混練
物１重量部に対し、水性媒体１〜10重量部、好ま
しくは２〜８重量部程度である。インク組成物中
における顔料濃度は、通常１〜40重量％、好まし
くは３〜30重量％である。水性媒体に増粘剤を加
える場合、増粘剤の添加量は、得られるインク組
成物が筆記に適した粘度を有する範囲であれば任
意であるが、グリセリンや、アルキレングリコー
ル、殊にポリエチレングリコール（分子量200〜
300）等の比較的低分子量の粘性物質に関しては、
全インク組成物中、５〜40重量％、好ましくは10
〜30重量％程度であり、水溶性高分子化合物に関
しては、その種類及び重合度（又は分子量）によ
つて異なるが、一般には、0.001〜３重量％、好
ましくは0.005〜1.5重量％である。

本発明による好ましいインク組成物は、顔料３
〜20重量％、水溶性高分子化合物（混練助剤）
0.05〜５重量％を含有し、さらに適度の増粘剤を
含む水性の顔料分散液である。なお、本発明のイ
ンク組成物は、実質上乳化剤等の界面活性剤を含
まないものであるが、本発明の目的を阻害しない
限り、少量、例えば0.005重量％以下の界面活性
剤の添加を排除するものではない。

本発明により得られるインク組成物は、筆記用
インクとして適用され、例えば、サインペン、ボ
ールペン、万年筆などの筆類に対するインクとし
て好ましく適用される。本発明のインク組成物を
用いて記載した文字や画線は、市販の消しゴム消
去することができ、さらにその消去跡には再び文
字や画線をニジミを生じることなく記載すること
ができる。

本発明により得られるインク組成物は、サイン
ペン筆の筆記用具内に収容保持させる場合、アク
リル系繊維や、ポリエステル、ポリプロピレン等
の繊維からなる中綿に含浸させるのが有利であ
る。本発明で得られるインク組成物は、前記した
ように、顔料の分散に、従来慣用されていた乳化
剤等の界面活性剤を実質上用いるものでないこと
から、いく分の顔料沈降性を示し、長期間の後で
は、顔料が相分離する傾向を示すが、このような
傾向は、インク組成物を中綿への含浸保持させる
ことにより解消することができる。

次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明す
る。

実施例１メチルセルロース10ｇを水990ｇに溶解させ、
メチルセルロースの１％（重量）水溶液を作成し
た。次にこのメチルセルロース１％（重量）水溶
液１Kgにアニリンブラツク１Kgを加え、ボールミ
ルを用いて充分に混練しペースト状態にした。こ
のペースト状混練物を基材として用い、次の要領
でインク組成物を得た。

(A) この混練物10ｇに水50ｇを加えて充分に撹拌
し、均一な顔料分散液(A)を得た。

(B) この混練物10ｇにグリセリンの20％（重量）
水溶液40ｇを加えて充分に撹拌し、均一な顔料
分散液(B)を得た。

(C) ポリエチレンオキシド（分子量15〜40万）１
ｇに水99ｇを加えてポリエチレンオキシドの１
％（重量）水溶液を作成し、これに上記のペー
スト状の混練物20ｇを加えて充分に撹拌し、均
一な顔料分散液(C)を得た。

前記分散液(A)、(B)、(C)の各々をそれぞれ別個に
サインペンの中綿に含浸させてインクとし、サイ
ンペンのペン芯より浸出させるようにした。この
ペン芯より浸出したインクで紙上に文字や画線を
記載し、次にこの文字や画線を市販の消しゴムで
消去すると、文字は直ちに消えた。この消去した
跡に再び文字や画線を書くと、ニジミを生ずるこ
となく記載することができた。

また、比較のために、前記(A)〜(C)の工程におい
て、乳化剤（エマルゲン60、花王石鹸株式会社
製）を0.1重量％添加してインク（A′）、（B′）、
（C′）を作り、このインクを用いて前記と同様に
して筆記テストを行つたところ、紙中への顔料の
浸透性が強く、記載した文字を完全に消去するこ
とは極めて困難であつた。

さらに、紙に対する顔料の浸透性をテストする
ために、前記で得た本発明のインク(A)、(B)、(c)
と、比較のために得たインク（A′）、（B′）、（C′
）
を、それぞれ一滴ずつ濾紙表面に滴下したとこ
ろ、比較のためのインク（A′）、（B′）、（C′）は
いずれも濾紙の表面にまで浸透し、裏面も表面と
同様の黒色に着色されたが、本発明によるインク
(A)、(B)、(C)の場合には、顔料の濾紙表面への浸透
が抑制され、裏面における顔料着色は実質上見ら
れなかつた。

実施例２カルボキシメチルセルロース100ｇを水4.9Kgに
溶解させ、カルボキシメチルセルロースの２％
（重量）水溶液を作成した。次に、このカルボキ
シメチルセルロース２％（重量）水溶液２Kgにフ
タロシアニンブル−１Kgを加え、ボールミルを用
いて充分に混練しペースト状態にした。

次に、こ混練物を用いた以外は実施例１と同様
に３種のインク(A)、(B)、(C)を作り、同様にして筆
記テストを行つたところ、いずれの場合も、記載
した文字は消しゴムにより消去することができ
た。

実施例３ポリエチレンオキシド（分子量60〜110万）50
ｇを水4.95Kgに溶解させ、ポリエチレンオキシド
の１％水溶液を作成した。次に、このポリエチレ
ンオキシド１％水溶液2.3Kgにレーキレツド4R1
Kgを加え充分に混練しペースト状態にした。

次に、この混練物を用いた以外は実施例１と同
様に３種のインク(A)、(B)、(C)を作り、同様にして
筆記テストを行つたところ、いずれの場合も、記
載した文字は消しゴムにより消去することができ
た。

Claims

【特許請求の範囲】１非電解質の水溶性高分子化合物0.5〜10重量
％含む水溶液と顔料とのペースト状混練物を、実
質的に界面活性剤の不存在下、水性媒体中に分散
希釈させ、顔料３〜20重量％及び高分子化合物
0.05〜５重量％を含むインク組成物を得ることを
特徴とする紙上に記載した文字や図案が消しゴム
で消去可能な紙用インク組成物の製造方法。２水性媒体が増粘剤を含む特許請求の範囲第１
項の方法。