JPH0138893Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案はプランジヤの吸引時と保持時で別々の
コイルを切換えて使用する直流ソレノイドに関す
るものである。

従来例の構成とその問題点 従来、一槽式遠心脱水洗濯機においては、第１
図に示すような構造を採用しており、図におい
て、１は洗濯水を受ける外槽、２は外槽１内部に
設けた洗濯兼脱水槽で、底部にパルセータ３を、
側壁には水抜き用の多数の小穴４を設けている。
５はメカケースで、洗濯時にはパルセータ３のみ
を、脱水時には、洗濯兼脱水槽２をそれぞれ回転
する様にモーター６の駆動を伝達する機構を有し
ている。モーター６は、ベルト７及びプーリー８
によりメカケース５に駆動を伝達している。

９は外槽１底部に連絡した排水弁、１０はブレ
ーキアーム、１１は排水弁９及びブレーキアーム
１０を引つ張るソレノイド、１２は支持板で、外
槽１、モーター６、メカケース５等が配設され、
ロツド１３により外槽１４に釣支されている。１
５は洗濯兼脱水槽２上部に設けられたバランサ
ー、１６は排水ホースである。

さらに第２図を用いて、ソレノイド１１の動作
を説明する。排水弁９は、連結部材１７を介して
排水弁９に接続されている。メカケース５の内部
には、ブレーキホイール１８やブレーキバンド１
９があり、ブレーキバンド１９は、ブレーキホイ
ール１８に対して圧接、離脱自在で、制動作用を
行なう。ブレーキホイール１８の回転は、洗濯兼
脱水槽２の回転に伝達されている。すなわち、ブ
レーキバンド１９が圧接した場合、ブレーキホイ
ール１８は回転せず、洗濯兼脱水槽２も回転しな
い。

洗濯時は、ソレノイド１１には通電しないの
で、排水弁９は、内蔵されたスプリング及びブレ
ーキスプリング２０の力で閉じている。又、ブレ
ーキホイール１８はブレーキバンド１９には圧接
され回転しないので、洗濯兼脱水槽２は回転せ
ず、パルセータ３のみ回転を行ない洗濯ができ
る。

排水及び脱水時には、ソレノイド１１が通電さ
れ、ソレノイドのプランジヤ１１ａが吸着され
る。これに接続されている連結部材１７は矢印の
方向へ動く事になる。従つて、排水弁９が開くと
共に、ブレーキアーム１０が回転し、ブレーキバ
ンド１９がブレーキホイール１８から離脱し、脱
水動作となる。

以上の様に、洗濯兼脱水槽２のブレーキ装置及
び排水弁９の開閉操作に、ソレノイド１１が使用
されている。

ソレノイドには、交流ソレノイドと直流ソレノ
イドがあるが、これらは、第２図、第３図に示す
様に、磁界を発生するコイル１１ａ、吸引され移
動するプランジヤ１１ｂ、固定されている固定鉄
心１１ｃから構成されている。そして、これらの
特徴は次の通りである。

交流ソレノイドは、コイル１１ａのリアクタン
ス分が、抵抗分に比べて極めて大きいので、スト
ロークによつて電流が変化する。この時、ストロ
ークが大きい程、大きい電流が流れる。一方、直
流ソレノイドでは、ストロークに関係なくコイル
１１ａの直流抵抗のみによつて定常電流が決ま
る。又、吸引力は起磁力で決まり、それは電流と
巻線の積によつて与えられる。従つて、交流ソレ
ノイドは、コイル１１ａの銅量に対して直流ソレ
ノイドより大きなストロークで大きな荷重を扱う
事ができる。それゆえ一槽式遠心脱水洗濯機にお
いては、交流ソレノイドが一般的である。しか
し、交流ソレノイドにおいては、ストロークによ
り電流値が変化するので、プランジヤ１１ｂが完
全に吸着しない状態で長時間電圧を印加すると焼
損する恐れがある。又、交流を使用するので、わ
ずかな間〓が生じた場合等でうなりを発生し易
い。これらの事からわかる様に、交流ソレノイド
では、プランジヤ１１ｂと固定鉄心１１ｃを完全
吸着させる必要があるので、プランジヤ１１ｂと
固定鉄心１１ｃとの衝撃音を消す為の緩衝材を使
用する事が不可能である。

さらに、交流ソレノイドの方が、プランジヤ１
１ｂの加速度が大きく衝撃が大となる。従つて、
交流ソレノイドを使用した場合には、必ず大きな
衝撃音が生じ、これがかなり騒音となるものであ
る。直流ソレノイドでは前述の様な事が無く、静
音構造もとれるので、性能的には直流ソレノイド
の方が有利である。

ところが、前述した様に、一槽式遠心脱水洗濯
機においては、ストロークが10mm以上で、しかも
荷重が大きく、さらに、排水、脱水の行程時に
は、数分間以上も連続通電する為、吸引力と温度
上昇を満足する直流ソレノイドを作ると、コイル
１１ａは非常に大きくなる。すなわち、起磁力は
コイル１１ａの銅線の線径によつて決定されるの
で、所定の負荷を吸引する為には、かなり太い線
径を使用しなければならない。又、保持の為に
は、10ワツト程度の電力におさえる必要があるの
で、抵抗値をかなり大きくしなければならない。
従つて、コイル１１ａの銅量が非常に大きくな
り、交流ソレノイドの数倍も価格が高くなる。

そこで、直流ソレノイドを、交流ソレノイド並
みに安価に構成し使用する為に、第４図に示す様
に、線径の太い吸引用コイル２１ａと線径の細い
保持用コイル２１ｂを切換えスイツチ２２で切換
えて使用することが提案された。この場合、第３
図に示す様に、両コイル２１ａ，２１ｂの切換え
時期を明確にする為に、プランジヤ１１ｂに突設
したつば１１ｄが、切換えスイツチ２２の可動接
片２２ａを操作体２２ｂを介して押圧可能とし、
プランジヤ１１ｂの動きによつて、切換えスイツ
チ２２を切換える様にする。

この様な構造により、安価な直流ソレノイドを
供給する事ができる。ところが、この構成の直流
ソレノイドにおいては、プランジヤ１１ｂがボビ
ンに対して真すぐに入つていかない場合、つば１
１ｄが斜めになり、切換えスイツチ２２の切換え
がうまくいかない状態が生じるという問題があ
る。しかも、一槽式遠心脱水洗濯機においては排
水弁９及びブレーキアーム１０を引張るので、荷
重が片寄り易くしばしばこの様な状態が生ずる。

さらに、プランジヤ１１ｂのストロークと起磁
力との関係は、第５図に示す様になる。すなわ
ち、切換えスイツチ２２の動作点Ａで起磁力は極
端に減少するので、切換えが早い場合、うまく最
後まで吸引できない場合が生ずる。従つて、でき
るだけＡ点はストロークの小さい所になるのがよ
い。しかし、Ａ点のストロークを小さくするの
も、前述の様にプランジヤ１１ｂが斜めになる場
合を考えると、ある程度までしかできない。この
様に、切換え点Ａ点については、構造上かなり制
約があり、製造上においても高い精度が要求され
るという問題がある。

考案の目的 本考案はこのような従来の問題を解決し、比較
的精度を必要としない、簡単な構造によつてスイ
ツチ切換え点の範囲を大きくし、性能の向上を図
るものである。

考案の構成 本考案の直流ソレノイドは、特に、プランジヤ
の動作によつて切換えスイツチを操作する磁性材
料製の補助部材を、プランジヤと多少の間〓を有
してプランジヤに挿入したものであり、この補助
部材の存在により、プランジヤの吸引時、切換え
スイツチが確実に動作し、吸引用コイルおよび保
持用コイルの通電を確実に切換えるものである。

実施例の説明 以下、添付図面に基づいて本考案の一実施例に
ついて説明する。第６図において、２３は磁性材
料製の補助部材で、板状をなしその中央部分に
は、プランジヤ１１ｂの外径より、多少大きめの
穴２３ａを有し、この穴２３ａにプランジヤ１１
ｂが挿通しており、穴２３ａの内周端とプランジ
ヤ１１ｂの外周面との間には若干の間〓を有して
いる。

２４はプランジヤ１１ｂに一体に設けたつば１
１ｄと補助部材との間に介在したゴム等よりなる
緩衝部材である。

上記構成において動作を説明すると、直流ソレ
ノイドに電源が投入されると、プランジヤ１１ｂ
と固定鉄心１１ｃによつて磁路が形成され、プラ
ンジヤ１１ｂが、ボビン１１ｅ内へ吸引されてい
く、この場合、補助部材２３は、磁路の一部にな
らないのでプランジヤ１１ｂに従つて動くが、そ
れ自体は余り力を持つていない。そして、補助部
材２３が切換えスイツチ２２に当たり、切換えス
イツチ２２を切換えるのであるが、切換えスイツ
チ２２には、接圧を設けている為に、補助部材２
３に対し、力を与えるので、補助部材２３は完全
に吸着される前に逆におされる。しかし、緩衝部
材２４が設けてあるために、プランジヤ１１ｂの
動きにより、さらに、補助部材２３は、固定鉄心
１１ｃの方へ近づく。補助部材２３と固定鉄心１
１ｃの間〓が、補助部材２３とプランジヤ１１ｂ
との間〓よりも小さくなると、補助部材２３を介
して磁路が形成されるようになるので、補助部材
２３は完全密着状態になる。

この様に、補助部材２３は、プランジヤ１１ｂ
に対して密着状態になるのが若干遅れることとな
り、従つて、切換えスイツチ２２の切換えを遅ら
す事ができ、第５図のＡ点のストロークが小さく
なつたのと同じ効果が得られる。さらに、プラン
ジヤ１１ｂと補助部材２３との間には、間〓を設
けているので、たとえプランジヤ１１ｂが、片荷
重によつて傾いた状態でボビン１１ｅに入つた場
合においても、補助部材２３はプランジヤ１１ｂ
の傾きの影響を受けないで、完全密着状態になる
ので、確実に切換えスイツチ２２を動作させる事
ができる。

考案の効果 上記実施例から明らかなように、本考案の直流
ソレノイドは、プランジヤにプランジヤとの間に
若干の間〓を設けて磁性材料製の補助部材を挿設
し、この補助部材で切換えスイツチを動作させる
ものであり、切換えスイツチの切換えのタイミン
グを遅くすると共に、プランジヤの傾きの影響を
受けにくくしているので、確実に切換えスイツチ
の切換えを行うことができ、ひいては、吸引用お
よび保持用コイルの動作上の信頼性を高め得、総
合的にみて、コイルを安価に供給できる等多大な
効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の一槽式遠心脱水洗濯機の縦断面
図、第２図は従来の主としてソレノイドの配置を
示す一部欠截平面図、第３図は同直流ソレノイド
の外観斜視図、第４図は同直流ソレノイドの電気
的回路図、第５図は同特性図、第６図は本考案の
一実施例における直流ソレノイドを示し同図Ａは
平面図、同図Ｂは縦断面図である。 １１ｂ……プランジヤ、２２……切換えスイツ
チ、２３……補助部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. プランジヤと、このプランジヤを吸引する吸引
   用コイルと、プランジヤの吸引状態を保持する保
   持用コイルと、前記両コイルへの通電を切換える
   切換スイツチとを備え、前記プランジヤにはプラ
   ンジヤ周面との間に若干の間〓を介して磁性材料
   製の補助部材を挿設し、この補助部材を介し前記
   切換えスイツチを切換え動作するように構成した
   直流ソレノイド。