JPH0137849Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、コンペセイデイング機能（センタ
ー穴基準のワークをチヤツキングする際、爪を支
持するアクチエータがチヤツク方向に移動し、爪
がチヤツクセンターとは無関係にワーク外周面に
対して自由に副う機能）を有するチヤツク装置に
関する。

〔従来の技術とその問題点〕

この種の従来のチヤツク装置は第９図及び第１
０図に示すように構成されている。すなわち、チ
ヤツクハウジング１内にその中心軸上のアクチエ
ータシヤフト２が進退可能に後面から嵌入され、
このシヤフト２の嵌入端部に、アクチエータ３が
前後方向に一体に、かつシヤフト２の径方向に移
動可能に設けられており、外部機構により、シヤ
フト２がボルト２ａ等を介して矢印方向に進退さ
れると、アクチエータ３が一体に移動する。

一方、ハウジング１前面には、前記中心軸を中
心（チヤツクセンター）として等位置及び等間隔
にチヤツク爪４が設けられ（通常、２固又は３
個）、この各爪４を有する前後方向の爪シヤフト
５がハウジング１内に前面から挿入されて球面滑
り軸受６により支持されており、この軸受６を支
点として爪シヤフト５が揺動し、爪４がチヤツク
センター方向に進退してワークＷをチヤツキング
する。

上記爪シヤフト５の挿入端は、前記アクチエー
タ３に球面滑り軸受７を介して前後方向に摺動可
能に支持されており、その摺動面８は前後方向に
傾むけてある。したがつて、前記アクチエータ３
が第９図から第１０図のごとく前後に進退する
と、軸受７が爪シヤフト５を摺動しながら回動
し、この摺動面が傾いているため、爪シヤフト５
は軸受６を支点として揺動する。すなわち、爪４
がチヤツクセンターに向かつて進退する。

ところで、この種のチヤツク装置において、セ
ンター穴基準のワークＷをチヤツキングする際、
（ワークＷの軸心にセンター穴を形成し、この穴
をセンターピンＣに嵌入してチヤツキングする
際）、ワークＷが黒皮のもので外周面が均一なも
のでない場合、各爪４の進退量が同一であると、
全ての爪４が均一な力でワークＷ外周面を押圧で
きず、確実なチヤツキングができない。

このため、第９図及び第１０図に示すように、
アクチエータシヤフト２とアクチエータ３の間に
間〓ａを設けて、アクチエータ３をシヤフト２の
径方向に移動可能としている。すなわち、この様
にアクチエータ３を移動可能とすると、ワークＷ
の外周面の凹凸に副つてアクチエータ３がシヤフ
ト２の径方向に移動して、爪４がチヤツクセンタ
ーとは無関係にワークＷ外周面に副つたチヤツキ
ングを行なうようにしている。この機能を前述の
ごとく、コンペセイデイング機能という。

しかしながら、第１１図ａに示すように、各爪
シヤフト５はアクチエータ３に支持されているた
め、例えば同図において、矢印のごとくアクチエ
ータ３が移動すると、２個の爪シヤフト５（爪
４）は、鎖線のごとくチヤツクセンターに向かつ
てではなく、その方向に対し斜めに移動すること
となる。この移動は、第９図、第１０図におい
て、爪シヤフト５に軸受６を支点として同図表面
から裏面（又は逆）への分力を付与することとな
るため、第１１図ｂ鎖線のごとく、爪４の圧接面
４ａはチヤツクセンターＣに対しよじれる状態と
なり、ワークＷによじり力を付与する等確実なチ
ヤツキングがなされていない問題がある。

〔考案の目的〕

この考案は、上記コンペセイデイング機能時の
爪のねじれをなくすことを目的としている。

〔目的を達成するための手段〕

上記目的を達成するため、この考案にあつて
は、前述のコンペセイデイング機能を有するチヤ
ツク装置において、チヤツクハウジングの中心軸
に垂直な支軸を、爪シヤフト挿入端側球面滑り軸
受を介し、アクチエータと爪シヤフトの一方に支
持し、他方には、前記支軸が前後方向移動可能に
嵌入する孔を形成し、この孔の軸摺動面を爪シヤ
フトの摺動面とし、かつ、前記支軸の軸方向にお
けるアクチエータと爪シヤフトの間にには間〓を
形成したのである。

〔作用〕

この様に構成されるチヤツク装置は、従来と同
様に、アクチエータシヤフトを進退すると、アク
チエータの孔内摺動面を支軸が摺動して爪シヤフ
トがその摺動面の傾きに沿つて揺動し、爪がチヤ
ツクセンターに向かつて進退してワークをチヤツ
キングする。この時、ワーク外周面に偏位があれ
ば、それに対応してアクチエータが移動し、各爪
がワーク外周面に対してぴつたり副つてチヤツキ
ングする。

この作用時、前記アクチエータを爪シヤフトの
間〓の存在により、前記ねじり力は、球面滑り軸
受を支点とした支軸のその間〓内での回動によつ
て吸収される。

〔実施例〕

以下、この考案の実施例を添付図面に第１図乃
至第８図に基づいて説明する。

第１図乃至第６図に示す実施例は、前記従来例
と同様に、チヤツクハウジング１１内にその中心
軸上のアクチエータシヤフト１２が進退可能に後
面から嵌入され、このシヤフト１２の嵌入端部に
アクチエータ１３が前後方向に一体に、かつシヤ
フト１２の径方向に移動可能に設けられており、
外部機構により、シヤフト１２がボルト１２ａ等
を介して矢印方向に進退されると、アクチエータ
１３が一体に移動する。

一方、ハウジング１１前面には、前記中心軸を
中心（チヤツクセンター）として等位置及び等間
隔にチヤツク爪１４が３個設けられ、この各爪１
４を有する前後方向の円柱状の爪シヤフト１５が
ハウジング１内に前面から挿入されて球面滑り軸
受１６により支持されており、この軸受１６を支
点として爪シヤフト１５が揺動し、爪１４がチヤ
ツクセンター方向に進退してワークＷをチヤツキ
ングする。

上記各爪シヤフト１５の挿入端部は断面四角状
となつて、径方向の透孔１９が形成され、この透
孔１９にアクチエータ１３の腕部１３ａが前後方
向及び第３図断面内において左右方向に移動可能
に挿入されている。爪シヤフト１５の透孔１９の
両側壁部にも透孔２０が形成され、この透孔２０
に、チヤツクハウジング１１の中心軸に垂直な支
軸２１がリング２２を介して前後方向に移動可能
に嵌入されている。支軸２１はアクチエータ１３
の腕部１３ａを貫通し、この貫通部が球面滑り軸
受１７を介して腕部１３ａに支持されており、こ
の軸受１７により、支軸２１はアクチエータ１３
に対し軸受１７を中心として全方向に回動する。

上記透孔２０は爪１４に向かつて外方に向く長
孔に形成されて、支軸２１の摺動面１８が傾斜面
となつており、前記アクチエータ１３が第１図か
ら第２図のごとく後方に移動すると、支軸２１が
孔２０の後部に至つて爪シヤフト１５の挿入端を
押し上げ、爪１４がチヤツクセンターｃに向かつ
て移動してワークＷをチヤツキングする。また、
アクチエータ１３が逆に移動すると（前方に移動
すると）、逆の作用によつて爪１４がチヤツクセ
ンターｃから退去する。

また、上記アクチエータ１３とシヤフト１２の
間〓ａにはＯリング２２が介設されてアクチエー
タ１３とシヤフト１２が同心となつており、ワー
クＷのチヤツキング時、ワークＷの外周面の偏位
等があれば各爪１４に対するワーク外周面の押圧
力差に対応してアクチエータ１３がＯリング２２
を圧縮しながら移動して各爪１４をワークＷ外周
面に副わせる。

なお、図示のごとく、両球面滑り軸受１６，１
７の中心をチヤツクハウジング１１の中心軸と平
行な同一直線上に設定すれば、アクチエータ１３
の動きによる爪シヤフト１５の回動がスムースで
ある。また、チヤツクハウジング１１内には、爪
シヤフト１５後面に当接する押え２３が設けられ
ており、ばね２４を介し、この押え２３により爪
シヤフト１５を押圧して軸受１６に対し位置決め
している。さらに、爪シヤフト１５の挿入口には
ダストシール２５′が嵌着され、このダストシー
ル２５′によりチヤツクハウジング１１内への切
削屑等の侵入が阻止される。

実施例は以上のように構成されており、つぎに
その作用について説明する。

いま、ワークＷをチヤツクセンターｃにセツト
した状態において、アクチエータ１３を後進させ
ると、アクチエータ１３の孔２０内摺動面１８を
支軸２１が摺動して爪シヤフト１５がその摺動面
の傾きに沿つて揺動し、爪１４がチヤツクセンタ
ーｃに向かつて進行してワークＷをチヤツキング
する。この時、ワークＷ外周面に偏位があれば、
それに対応してアクチエータ１３が移動し、ワー
ク外周面に副つたチヤツキングがなされる。

この作用時、アクチエータ１３の移動方向が各
爪１４のチヤツクセンターｃへの求心方向でない
場合、第６図に示すように、アクチエータ１３と
爪シヤフト１５の間〓ｓの存在により、前記ねじ
り力が働こうとすると、軸受１７を支点として支
軸２１がその嵌〓ｓ内で回動してねじり力を吸収
する。したがつて、爪１４はチヤツクセンターｃ
に対しよじれることなく、常に正しい位置で圧接
して確実なチヤツキングがなされる。

この実施例においては、アクチエータ３の後進
によつて爪１４をワークＷに圧接してチヤツキン
グし、ワークＷに後方への引張力を付与するた
め、ワークＷがワークストツプ側に引付けられ、
チヤツキングが強固に行なわれて径方向のずれが
生じない効果がある。

第７図及び第８図に示す実施例は、爪１４をチ
ヤツクハウジング１１から進退可能としたもので
あり、前記と同一符号は同一物を示し、爪シヤフ
ト１５内にばね２５を介設した押え金２６を出没
可能に設け、この押え金２６によりアクチエータ
１３を後方に付勢するとともに、孔２０の傾きを
逆としている。

このものは、第７図に示すように、爪１４が退
去した状態から、第８図に示すように、アクチエ
ータ１３を進めると、ばね２５が圧縮されなが
ら、爪シヤフト１５は、その段部ｂが軸受１６の
端面に当接するまで真直ぐに進み、その後、前記
実施例と同様に、アクチエータ１３の孔２０内摺
動面１８を支軸２１が摺動して爪シヤフト１５が
その摺動面の傾きに沿つて揺動し、爪１４がチヤ
ツクセンターｃに向かつて進行してワークＷをチ
ヤツキングする。この時、ワークＷ外周面に偏位
があれば、それに対応してアクチエータ１３が移
動し、ワーク外周面に副つたチヤツキングがなさ
れる。また、同様に、アクチエータ１３の移動方
向が各爪１４のチヤツクセンターｃへの求心方向
でない場合、軸受１７を支点として支軸２１がそ
の間〓ｓ内で回動してねじれ力を吸収する。

なお、実施例のもので、ワークＷをチヤツキン
グする際、チヤツク（爪）自身が心出しを行なう
もの（センターライジング型のもの）とするに
は、アクチエータ１３をシヤフト１２に対し径方
向に移動不能、すなわち、間〓ａをなくした構成
とすればよい。

〔考案の効果〕

この考案は、以上のように構成して、ワーク外
周面に偏位があつても、爪にねじれが生じること
なく確実にチヤツキングされる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第６図はこの考案に係るチヤツク装
置の一実施例を示し、第１図はチヤツキング状態
の一部省略断面図、第２図はアンチヤツキング状
態の一部省略断面図、第３図は第１図の一部切断
左側面図、第４図は第１図のＸ−Ｘ線断面図、第
５図は第１図の要部切断平面図、第６図は第４図
における一作用時の要部図、第７図及び第８図は
他の実施例のチヤツキング状態図及びアンチヤツ
キング状態図、第９図および第１０図は従来例の
チヤツキング状態図及びアンチヤツキング状態
図、第１１図ａ，ｂはアクチエータ及び爪の作用
説明図である。 １１……チヤツクハウジング、１２……アクチ
エータシヤフト、１３……アクチエータ、１４…
…爪、１５……爪シヤフト、１６，１７……球面
滑り軸受、１８……摺動面、１９……透孔、２０
……透孔、２１……支軸。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. チヤツクハウジング内にその中心軸上のアクチ
   エータシヤフトを外部機構により進退可能に後面
   から嵌入し、このシヤフトの嵌入端部、にアクチ
   エータを前後方向に一体に、かつシヤフト径方向
   に移動可能に設け、一方、チヤツクハウジング前
   面には前記中心軸を中心として等位置及び等間隔
   にチヤツク爪を設け、この各爪を有する前後方向
   の爪シヤフトを前記チヤツクハウジング内に前面
   から挿入して球面滑り軸受により支持し、その各
   爪シヤフト挿入端を前記アクチエータに球面滑り
   軸受を介して前後方向に摺動可能に支持し、その
   摺動面を前後方向に傾むけたチヤツク装置におい
   て、前記中心軸に垂直な支軸を、前記爪シヤフト
   挿入端側球面滑り軸受を介し、前記アクチエータ
   と爪シヤフトの一方に支持し、他方には、前記支
   軸が前後方向移動可能に嵌入する孔を形成し、こ
   の孔の軸摺動面を前記爪シヤフトの摺動面とし、
   かつ、前記支軸の軸方向におけるアクチエータと
   爪シヤフトの間には間隔を形成したことを特徴と
   するチヤツク装置。