JPH0137703Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本考案は、撹拌羽根の回転によつて液体と液体
（又は固体）とを混合もしくは撹拌するのに有用
な撹拌機に関する。

(ロ) 従来技術並びにその問題点 液体と液体（又は固体）とを混合、分散もしく
は溶解する、該両成分で反応もしくは抽出せしめ
るまたは伝熱させるなどの撹拌工程において撹拌
機が不可欠であることは明白である。

従来、撹拌機として多種多様のものが用いられ
ているが、本考案は、プロペラ型もしくは円板型
ブレードなどの撹拌羽根（インペラ）の回転で撹
拌を行なういわゆるタンク撹拌機の改良を目的と
している。

すなわち、従来のタンク撹拌機では、回転して
いるインペラ近傍の撹拌液は流動が良く十分に撹
拌されているが、しかしながら、インペラから遠
ざかるにつれて撹拌液の流動が低下し、特に撹拌
槽の内壁面付近では撹拌液の流動が殆ど認められ
ず、撹拌液の粘度もしくは降伏値が高くなるとこ
の傾向は顕著になり、この部分における撹拌が殆
どもしくは全く行なわれていない。

このような欠陥を解消するために、インペラの
形状、大きさならびに回転速度などについて種々
検討されたが目的を十分に達成することができな
かつた。また、通常の上記インペラ以外に、撹拌
槽内壁付近の撹拌液の流動を向上させるためにこ
の部分に他のインペラを併設したいわゆる二軸ミ
キサーも公知であるが、撹拌機の構造が複雑とな
ると共に設備費が高くなり、使用後の洗浄作業が
困難であつて、実用的に好ましくない。

(ハ) 問題点を解決する手段 本考案は、従来の撹拌機における上記の欠陥、
すなわち撹拌槽内壁付近の撹拌液の流動が著しく
劣るのを、該槽内に簡易な装置を設けることによ
つて解消することができた。

すなわち本考案は、撹拌槽内に、撹拌羽根の回
転で生ずる撹拌液の液流によつて該槽の内壁に沿
つて回転する従動翼を設けてなることを特徴とす
る撹拌機に関する。

(ニ) 作用ならびに実施例 本考案に係る撹拌機の構成ならびに作用を図面
に示した実施例に基いて説明する。

第１図は本考案に係る撹拌機の側断面図、第２
図は平面図そして第３図は本考案が特徴とする従
動翼の斜視図である。

第１図および第２図において、撹拌槽２の内部
には、インペラ４を装着した撹拌軸６と、その内
壁に沿いかつ撹拌槽とほぼ同心円上に回転する従
動翼８を設けてある。従動翼８は、例えば第３図
に示したごとく、２枚の従動板１２，１４を対称
的に配置しその上下両端部分で２つの円環１６，
１８に固定し、かつ両従動板１２，１４の外周端
面は撹拌槽２の内壁面にできるだけ近接して摺動
するようにしておくことが好ましい。

すなわち、このようにセツトした撹拌機の撹拌
槽２内に撹拌液２０を仕込み撹拌軸６によつてイ
ンペラ４を回転させると、インペラ４近傍の撹拌
液はすみやかに流動して撹拌が均一に行なわれ
る。そして、その流動エネルギーが従動板１２，
１４に作用して従動翼８をインペラ４と同一方向
に撹拌槽２のほぼ同心円上に回転するので、その
結果、撹拌槽２の内壁近傍の撹拌液は従動板１
２，１４によつて騒き取られて流動して撹拌が均
一に行なわれる。したがつて、本考案のごとく従
動翼８を撹拌槽２内に置くことによつて、これま
でインペラ４の回転のみでは流動せしめることが
困難であつた撹拌槽２の内壁近傍の撹拌液を極め
て容易にインペラ４付近に流動させることが可能
となつたので、撹拌槽２内全体の撹拌液２０の流
動が向上し撹拌を均一に行なうことが可能とな
り、しかも所要時間ならびに動力を著しく軽減す
ることもできた。

本考案において、撹拌槽２は縦型円筒状が最も
好ましいが、縦型多角筒状でもさしつかえなく、
その内容積は特に制限を受けずインペラーの形
状、大きさによつて適宜選択することができ、そ
れ自体公知のものが使用される。

撹拌軸６に取り付けるインペラー４はその回転
によつて撹拌液に流動性を与えて撹拌せしめるも
のであつて、本考案ではそれ自体すでに公知のも
のが使用でき、具体的には、単純な櫂型インペラ
ー（該インペラーを撹拌面に対して傾斜させて撹
拌軸方向への流動をさかんにしたものもある）、
プロペラ型インペラー（３枚羽根が好ましいが、
これ以外でもさしつかえない）、タービン型イン
ペラー（例えば平板翼、45゜ピツチ平板翼、プロ
ペラ型の変型、湾曲翼（ピツチ付、二重ピツチ付
なども含む）、傾斜可変型平板翼、案内羽根付湾
曲翼など）、円板型インペラ、円錐型インペラな
どがあげられ、これらを撹拌軸６に１枚以上取り
付ける。

これらのインペラは撹拌液の粘度、塑性、密
度、表面張力ならびに溶解性、粒子の大きさなら
びに形状、材料の混合比ならびに添加順序、撹拌
槽の大きさなどに応じて適宜選択すればよい。

さらに、インペラ４を取り付けた撹拌軸６は、
撹拌槽２の内部で上下方向もしくは横方向に適宜
移動できるようにしておいてもよい。

次に、撹拌槽２の内部に設ける従動翼８は、イ
ンペラ４の回転による撹拌液の流動エネルギーの
およびにくい、特に撹拌槽２内壁近傍の撹拌液２
０の流動性を促進させるためのものであつて、イ
ンペラ４の回転方向に対して垂直もしくは傾め
で、その一方の側面が撹拌槽２の内壁近傍を摺動
するように設けた従動板１２を少なくとも１枚と
その支持体（例えば円環１６，１８）とから構成
されている。

すなわち、従動翼８を撹拌槽２内に設けて撹拌
液２０を撹拌すると、従動板（例えば、第１〜３
図の１２，１４の少なくとも中心軸側部分にイン
ペラ４の回転による撹拌液２０の流動エネルギー
を受けて従動翼８がインペラと同方向に回転し、
それに基いて、従動板の外側部分（撹拌槽内壁
側）も同時に回転して撹拌槽２の内壁付近の未流
動の撹拌液２０を騒き取りながら流動せしめて撹
拌・混合を促進するのである。したがつて、従動
板の形状、大きさはインペラ４の回転による撹拌
液２０の流動エネルギーを受けやすく、かつ撹拌
槽２の内壁付近の撹拌液を容易に騒き取ることが
可能であれば特に制限を受けず、例えば、撹拌槽
２内の底面から撹拌時における液面高さまでの長
さの平板、またはこのような長さでかつ前記機能
を発揮しやすい形状におりまげあるいは湾曲させ
たものがあげられる。また、従動板のインペラ側
端面とインペラ外周面とは、該両面が接触して従
動翼の回転が阻害されない程度にできるだけ近接
していることが好ましい。さらに、従動翼の撹拌
槽底部側に、例えば撹拌槽底部の直径方向に従動
板を設け、該底部における撹拌液の流動性を向上
させることもできる。そして、従動翼における従
動板は少なくとも１枚であつて、撹拌槽内でバラ
ンスよく回転させ、かつ前記機能を効率よく発揮
せしめるためには２〜６枚が好ましい。

また、該従動板を固定する支持体としては前記
の図面で示した円環があり、これに従動板の上下
端部を固着またはボルトで固定せしめるのであ
る。この円環に代えて三角形以上の多角環を用い
てもよい。

従動翼を構成する従動板および支持体の材質
は、撹拌液自体ならびに液流によつて変形、変質
せず、しかも液流によつて容易に回転するような
軽量なものが好ましいが、特に制限を受けない。

さらに、本考案による撹拌機で撹拌・混合でき
る撹拌液は、従来タンク撹拌機に適用されたもの
であり、その流動特性は塑性流体、擬塑性流体、
チクソトロピツク流体、高粘度流体などにその効
果が特に顕著である。

本考案に係る撹拌機は、従来公知のタンク撹拌
機に上記した簡易な構造の従動翼を新たに設ける
ことを特徴としており、その結果、これまで撹拌
が困難とされていた撹拌槽内壁近傍部分にも容易
に流動させることができ、均一に混合、撹拌を行
なえるようになつたと同時に、それに要する時
間、コストなども低減できた。

【図面の簡単な説明】

第１〜３図は本考案に係る撹拌機の実施例であ
り、第１図は側断面図、第２図は平面図、第３図
は従動翼の斜視図である。 ２：撹拌槽、４：インペラ、６：撹拌軸、８：
従動翼、１２，１４：従動板、１６，１８：円
環、２０：撹拌液。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 撹拌槽内に、撹拌羽根の回転で生ずる撹拌液の
   液流によつて該槽の内壁に沿つて回転する従動翼
   を設けてなることを特徴とする撹拌機。