JPH0137571B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、Ｖ型エンジン、より詳細にはシリン
ダブロツクの前面の略中央、即ち、両バンクの間
に冷却水ポンプが取付けられているＶ型エンジン
に関する。

（従来の技術） 従来、Ｖ型エンジンにおいて、特開昭57−
135228号公報（特願昭56−21145号）に示される
ように、冷却水ポンプをシリンダブロツクの外側
面に直接取付けることにより、エンジンの小型化
を図つたものは知られている。

（発明が解決しようとする課題） ところが、このようなＶ型エンジンは冷却水ポ
ンプを一側へ偏位させて取付けているので、冷却
水ポンプの冷却水通路（導入通路、流出通路）を
シリンダブロツクの前側に設け、その冷却水通路
に相当する分だけ冷却水ポンプを前方へ突出させ
ねばならず、実質的にはエンジンの全長を小さく
することはできないという不具合がある。

本発明はかかる点に鑑みてなされたもので、左
右のバンクにおけるシリンダのずれにより一方の
バンクにおいて生ずるデツドスペースに着目し、
そのデツドスペースに冷却水ポンプへの冷却水の
導入通路と流出通路を上下にずれて形成すること
により、エンジンの全長を実質的に小さくしたＶ
型エンジンを提供するものである。

（課題を解決するための手段） 本発明は、上記目的を達成するために、一方の
バンクのシリンダが他方のバンクのシリンダの間
に位置するようにクランクシヤフトの軸方向にず
らされて配置されたＶ型エンジンにおいて、上記
両バンクの端面が同一面に形成されてシリンダブ
ロツクの前面が構成され、該シリンダブロツクの
前面の両バンク間の略中央に冷却水ポンプが、そ
のポンプハウジングが両バンクに跨がるように取
付けられ、該冷却水ポンプよりの流出通路が各バ
ンクに対して別々に延びて各バンクの端面に接続
され、前記前面からシリンダがより離隔した側の
バンクのシリンダブロツク内であつて前記前面と
それに最も近いシリンダとの間に、前記冷却水ポ
ンプへの冷却水の導入通路と上記流出通路の一方
とが上下にずれて形成されていることを特徴とす
る。

（作用） シリンダブロツクの前面の両バンクの間の略中
央に冷却水ポンプが、そのポンプハウジングが両
バンクに跨がるように取付けられているので、各
バンクに供給される冷却水の流量がバランスさ
れ、両バンクへの冷却水の分配性がよいと共に、
冷却水ポンプの流出通路が別々に各バンクの端面
に接続されているので、冷却水量の確保も図れ、
冷却性能が良好である。

シリンダブロツクの前面からシリンダがより離
隔した側のバンクにおいて、シリンダブロツクの
前面とそれに最も近いシリンダとの間に生ずるデ
ツドスペースに、冷却水の導入通路及び流出通路
の一方を配置しているから、Ｖ型エンジンにおい
て必然的に生ずるデツドスペースを有効利用して
導入通路及び流出通路を設ていることとなり、エ
ンジンの全長が長くなるということがない。

（実施例） 以下、本発明の実施例を図面に沿つて詳細に説
明する。

第１図ないし第４図において、１はＶ字状に配
置された左右のバンク２，３を有するOHC方式
のＶ型エンジン、４はそのシリンダブロツクで、
下面にオイルパン５が取付けられている。このシ
リンダブロツク４下部に構成されたクランクケー
ス６にクランクシヤフト７が設けられている。

各バンク２，３の、シリンダブロツク４上面に
気密接合されたシリンダヘツド８，９にはカムシ
ヤフト１０，１１がそれぞれ設けられ、該カムシ
ヤフト１０，１１がクランクシヤフト７にそれら
の端部で連係され、それによつて、カムシヤフト
１０，１１とクランクシヤフト７とが同時回転可
能となつている。すなわち、カムシヤフト１０，
１１の端部に固定されているタイミングプーリ１
２，１３と、クランクシヤフト７の端部に固定さ
れているクランクプーリ１４とにタイミングベル
ト１５が巻き掛けられている。１６，１７，１８
はアイドラである。

また、クランクシヤフト７に固定した大径のク
ランクプーリ１９に対して巻き掛けられた伝動ベ
ルト２０が、シリンダブロツク４の前面４ａの略
中央に、ポンプハウジング２５が両バンク２，３
に跨がるように直接に取付けた冷却水ポンプ２１
のポンププーリ２２およびオルタネータ２３のプ
ーリ２４に巻回され、それによつて冷却水ポンプ
２１およびオルタネータ２３が駆動されるように
なつている。

前記冷却水ポンプ２１は、第２図ないし第４図
に詳細を示すように、シリンダブロツク４の前面
４ａの略中央に、両バンク２，３の間でかつタイ
ミングベルト１５が掛けられている内側で、ポン
プハウジング２５が直接取付けられてシリンダブ
ロツク４の壁面の一部とによつてポンプ室２６が
形成され、該ポンプハウジング２５に冷却水ポン
プ２１の回転軸２７が軸受２８，２９を介して回
転可能に支承されている。この回転軸２７の一端
にはポンプ室２６内を回転するインペラ３０が固
着され、他端には取付部材３１，３２を介してポ
ンププーリ２２とフアン３３とが取付けられてい
る。

上記シリンダブロツク４内において、一方のバ
ンク２のシリンダ３４が他方のバンク３のシリン
ダ３５間に位置するようにクランクシヤフト７の
軸方向にずらされて配置されている。

上記シリンダブロツク４の前面４ａからシリン
ダ３４がより離隔した側である前記一方のバンク
２のシリンダブロツク４内であつて、前記前面４
ａとそれに最も近いシリンダ３４との間に、ラジ
エータ（図示せず）より冷却水ポンプ２１への冷
却水の導入通路３６が形成されている。

一方、冷却水ポンプ２１の吐出口３１ａ，２１
ｂから冷却水が流出する流出通路３７，３８は、
各バンク２，３に対して別々に独立して延び、シ
リンダブロツク４内であつて前記前面４ａと各バ
ンク２，３において前記前面４ａに最も近いシリ
ンダ３４，３５との間に、非対称なテーパ形状に
形成されている。しかして、上記一方のバンク２
側では、冷却水ポンプ２１の一方の流出通路３７
と導入通路３６とが上下にずれて形成されている
ことになる。

第３図に示すように、冷却水ポンプ２１の吐出
口２１ａ，２１ｂが各バンク２，３のシリンダ３
４，３５の軸線に対して内方に偏位した位置に形
成されているので、各流出通路３７，３８におい
て、シリンダ３４，３５に関してウオータジヤケ
ツト３９，４０の内側部分３９ａ，４０ａが外側
部分よりも流量が多くなるのを防止して内側部分
３９ａ，４０ａと外側部分３９ｂ，４０ｂとの流
量をほぼ均一にするため、各流出通路３７，３８
の内側面３７ａ，３８ａをクランクシヤフト７の
軸方向とほぼ一致する方向とし、外側面３７ｂ，
３８ｂをシリンダ３４，３５の外側面に沿うよう
にクランクシヤフト７の軸方向に傾斜させるとと
もに、流出通路３７のクランクシヤフト７の軸方
向長さを流出通路３８よりも長く形成し、それに
よつて流出通路３７の開き角を通路３８よりも大
きくし、両者を非対称なテーパ形状としている。

上記のように、バンク２側の流出通路３７のク
ランクシヤフト７の軸方向長さをバンク３側の通
路３８よりも長く形成しているのは、バンク２の
最前のシリンダ３４がバンク３の最前のシリンダ
３５よりも後方にずれているにもかかわらず、２
つのシリンダ３４，３５前方のウオータジヤケツ
ト３９，４０の容積をほぼ同一にするためであ
る。これによつて、バンク２のシリンダ３４前方
のウオータジヤケツト３９の容積が不必要に増大
するのを防止している。

したがつて、冷却水ポンプ２１をシリンダブロ
ツク４の略中央に取付け、該冷却水ポンプ２１よ
りの流出通路３６，３７を各バンク２，３に対し
て別々に延びるようにしたことにより、左右のバ
ンク２，３にバランスよく冷却水が配分される。
また、上記流出通路３６，３７が各バンク２，３
に対して別々に延びるようになつているので、冷
却水量が確保され、その冷却水は、流出通路３
７，３８によつて、ウオータジヤケツト３９，４
０のシリンダ３４，３５の内側部分３９ａ，４０
ａと外側部分３９ｂ，４０ｂとにバランスよく配
分され、良好な冷却性が達成される。

上記のように構成すれば、一方のバンク２にお
いて、シリンダブロツク４の前面４ａとそれに最
も近いシリンダ３４との間に、冷却水の導入通路
３６及び一方の導出通路３７を配置しているか
ら、Ｖ型エンジン１において必然的に生ずるデツ
ドスペースを有効に利用して導入通路３６及び導
出通路３７を設けていることとなり、エンジン１
の全長が長くなるいうことがない。

また、そのように配置することにより、導入通
路３６を冷却水ポンプ２１に円滑に接続すること
ができ、その結果、冷却水をほとんど抵抗を受け
ないように流すことが可能となり、ポンプ効率を
向上させることができる。

さらに、冷却水ポンプ２１の導入通路３６と、
該導入通路３６を設けている側の流出通路３７と
を上下にずらして形成し、冷却水ポンプ２１より
の流出通路３７，３８を各バンク２，３に対して
別々に延びるようにして各バンク２，３の端面に
接続しているので、両バンク２，３間の空間を冷
却水の供給のために利用する必要がなくなり、冷
却水の供給以外の他の目的（例えばブリーザ室な
ど）に有効利用することができる。

なお、上記実施例では、冷却水ポンプ２１のポ
ンプ室２６を、シリンダブロツク４の前面４ａと
ポンプハウジング２５とにより形成しているが、
前記ポンプ室をポンプハウジング２５とプレート
部材とにより形成し、該プレート部材がシリンダ
４の前面４ａに接触するようにしてもよい。

（発明の効果） 本発明は、上記のように、シリンダブロツクの
前面からシリンダがより離隔した側のバンクのシ
リンダブロツク内であつて前記前面とそれに最も
近いシリンダとの間に生ずるデツドスペースに、
冷却水ポンプへの導入通路を形成しているので、
エンジンの全長を実質的に小さくすることができ
る。

それに加えて、冷却水ポンプの流出通路の一方
と導入通路とを上下にずらせて形成するととも
に、冷却水ポンプの流出通路を別々に各バンクの
端面に接続しているので、バンク間の空間を冷却
水の供給のために使用する必要がなく、他の目的
（例えばブリーザ室など）として有効利用できる。

また、シリンダブロツクの前面の略中央に冷却
水ポンプを取付けているので、各バンクに供給さ
れる冷却水の流量がバランスされ、両バンクへの
冷却水の分配性がよいと共に、冷却水ポンプの流
出通路が別々に各バンクの端面に接続されている
ので、冷却水量の確保も図れ、冷却性能が良好で
ある。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を例示するもので、第１
図はＶ型エンジンの概略正面図、第２図は同一部
断面図、第３図は第１図における―線に沿う
断面図、第４図は第１図における―線に沿う
断面図である。 １……Ｖ型エンジン、２，３……バンク、４…
…シリンダブロツク、４ａ……前面、７……クラ
ンクシヤフト、２１……冷却水ポンプ、３４，３
５……シリンダ、３６……導入通路、３７，３８
……流出通路。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 一方のバンクのシリンダが他方のバンクのシ
   リンダの間に位置するようにクランクシヤフトの
   軸方向にずらされて配置されたＶ型エンジンにお
   いて、上記両バンクの端面が同一面に形成されて
   シリンダブロツクの前面が構成され、該シリンダ
   ブロツクの前面の両バンク間の略中央に冷却水ポ
   ンプが、そのポンプハウジングが両バンクに跨が
   るように取付けられ、該冷却水ポンプよりの流出
   通路が各バンクに対して別々に延びて各バンクの
   端面に接続され、前記前面からシリンダがより離
   隔した側のバンクのシリンダブロツク内であつて
   前記前面とそれに最も近いシリンダとの間に、前
   記冷却水ポンプへの冷却水の導入通路と上記流出
   通路の一方とが上下にずれて形成されていること
   を特徴とするＶ型エンジン。