JPH0136279Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、テレビジヨン受像機をはじめ、各種
の陰極線管（CRT）表示装置に使用される偏向
ヨーク用のコアに関するものである。

偏向ヨークには従来様々な構造のものがある
が、現在最も広く使用されているものの一つに２
分割構造のものがある。これは、偏向ヨークコア
へのコイル類の装着を容易化するために案出され
たものである。それに用いるコアは、当初、陰極
線管のネツク部外周を包囲するラツパ状部を有す
るようなリング形状をなしている。そして、この
ようなリング状コアは、その中心軸から対称位置
の内面および外面に、その高さ方向のほぼ全体に
わたつて２分割用のＶ字型分割溝を有し、それら
の分割溝の両側に締着金具取り付け溝を設けた構
造をなす。このような偏向ヨークコアは、機械的
もしくは熱的手段等により前記分割溝を利用して
２個の半リング状コアに分割され、コイル巻線を
施してから元の状態に分割面を合わせ、前記締着
金具を取り付け溝に装着して一体化した状態で使
用される。

ここで問題となるのは、半リング状コアへのコ
イル巻線作業である。通常この巻線工程は、半リ
ング状コアの一端部を捲線機が把持し、該捲線機
により自動的に行われる。この場合、捲線状態
（捲線開始位置、捲線ピツチ、捲線角度等）が予
め定められている通り正確に行わればならない。
そこで、前記リング状コアは、その分割溝の端部
に捲線機位置決め用チヤツキング溝（その側壁が
基準面となる）を設けておくことによつて、成形
時にプレスにより正確な位置が定められ、２分割
操作によつて基準面が変化しないようになつてい
る。そして、分割された半リング状コアを、その
分割面が捲線機に対向する如く多数並べられ、自
動送り装置によつて順次捲線機側に押し出され、
前記捲線機チヤツキング溝のチヤツキング治具当
接面（基準面）がチヤツキング治具に衝合し、そ
れにより捲線機に対する正確な位置決めがなされ
るのである。

従来技術では、このチヤツキング治具当接面は
平面状であるが、位置決めの機能は十分果たされ
ていた。ところが、半リング状コアの分割面を含
む面がチヤツキング治具の前面（ガイド面）に対
して平行でなく、ある角度をもつた状態で自動送
り装置により押し出され、前記チヤツキング治具
のガイド面に当たるような場合には、通常この種
自動送り装置による押し出し力は大きく、かなり
大きな衝撃で当たるため、半リング状コアのチヤ
ツキング治具当接面の角部にコア割れが発生する
ことがしばしば生じた。このようなコア割れが生
じると、もはや正確な位置決めが不可能となり、
そのため巻線精度が低下し、所望の性能を出せな
くなつてしまうし、巻線前にそのようなコア割れ
を発見することは不可能に近く、歩留まりの低
減、巻線工程の効率低下をもたらす。

本考案の目的は、このような従来技術の欠点を
解消し、自動送り装置によつてある程度大きな力
で押し出され、コアがチヤツキング治具に対して
斜めに当たつたとしても、コア割れが発生する虞
れがほとんどなく、巻線時における歩留まりを大
幅に向上させることができるような改良された形
状に偏向ヨークコアを提供することにある。

このような目的を達成しうる本考案は、２分割
型の偏向ヨークコアにおいて、特にその分割面端
部に位置する捲線機位置決め用チヤツキング溝の
形状に工夫を施し、そのチヤツキング治具当接面
を分割面に向かつて凸の柱状湾曲面としたことを
特徴とするものである。

以下、図面に基づき本考案について更に詳しく
説明する。第１図は本考案にかかる偏向ヨークコ
アの一実施例を示す説明図である。偏向ヨークコ
ア１自体は、同図からも明らかなように基本的に
は従来のものとほぼ同一の構造であつてよい。す
なわち、この偏向ヨークコア１は、陰極線管のネ
ツク部外周を包囲するラツパ状部を有するリング
形状をなし、該コア１の中心軸から対称位置の内
面および外面にその高さ方向のほぼ全体にわたつ
て２分割用のＶ字型分割溝２が形成され、またそ
の分割溝２の両側に締着金具取り付け溝３を形成
した構造をなす。このような偏向ヨークコア１
は、所定形状の金型内にバインダを含むフエライ
ト磁性顆粒を充填し、プレス成形した後、焼成す
ることによつて得られる。焼成されたコアは、そ
の後、機械的手段もしくは熱的手段等により前記
分割溝２を利用して２個の半リング状コア４に分
割される。第１図においては、この半リング状コ
ア４の一方を実線で示し、他方を仮想線で示して
いる。このような半リング状コア４にはコイル巻
線が施され、その後元の状態に分割面を合わせ、
前記締着金具取り付け溝３に締着金具（図示せ
ず）を装着して一体化される。

ここで本考案が従来技術と顕著に相違する点
は、前記分割面端部に位置する捲線機位置決め用
チヤツキング溝５の形状である。前述の如く、こ
の種の偏向ヨークコアはその中央の分割溝２を利
用して機械的もしくは熱的手段により２分割され
るため、その分割面は通常ある程度の凹凸が生じ
るのは避けられない。このため、この分割面を捲
線機位置決め用として用いることはできない。そ
こで、前述の如く、分割面の端部に予めプレスに
より成形される溝を設け、その溝の側壁を捲線機
位置決め用として用いるのである。この溝が捲線
機位置決め用チヤツキング溝５であり、その側壁
がチヤツキング治具当接面（基準面）５ａとな
る。従来はこのチヤツキング当接面が平面であつ
たのに対し、本考案によれば、このチヤツキング
治具当接面５ａは分割面に向かつて凸の柱状湾曲
面となつている。この点に本考案の特徴がある。
湾曲面の曲率は適宜選定することができ、必ずし
も半円状である必要はない。

このような半リング状コア４は、第２図に示す
ように、例えばその開口端側を下向きにした状態
で自動送り装置等により白抜き矢印で示すように
分割面６が前方に位置する如き向きで送りこま
れ、チヤツキング治具７に衝合する。そして、捲
線機位置決め用チヤツキング溝５のチヤツキング
治具当接面５ａがチヤツキング治具７に当接した
状態で位置決めが達成され捲線機によつてコイル
巻線が施されるのである。

この時、第３図に示すように、半リング状コア
４は常にチヤツキング治具７に正対して前進する
訳ではなく、第３図に示すようにある角度θ（θ
≠０）をもつて送り込まれることがある。しか
し、本考案によれば、このように傾斜した状態で
自動送り装置により送り込まれていつたとして
も、チヤツキング治具当接面５ａが湾曲しており
角部が存在しない形状であるため、チヤツキング
治具７に当たつてもコア割れが発生する虞れはほ
とんどなくなる。

第４図は自動巻線工程における他の例を示すも
のであり、このようにコアのネツク部端縁側が下
向きの状態で送り込まれる場合もある。この場合
にはネツク側の捲線機位置決め用チヤツキング溝
５のチヤツキング治具当接面５ａを分割面に向か
つて凸の柱状湾曲面としておけば、前記実施例と
同様の効果により、傾斜した状態で送り込まれ、
チヤツキング治具７に当たつてもコア割れが発生
する虞れはほとんどない。

上記の説明から明らかなように、本考案におけ
る偏向ヨークコアは、自動送り装置でコアがどち
らの向きに配列されて送り込まれるかによつて、
捲線機位置決め用チヤツキング治具７に当接する
方の面を分割面に向かつて凸の湾曲面状としてお
けばよいのである。しかし実際には、コアの開口
縁側およびネツク部端縁側の双方のチヤツキング
治具当接面の形状を共に分割面に向かつて凸の湾
曲面状としておくのがよい。そうすれば、どちら
のタイプの捲線機であつても全く支障なしに使用
できるし、偏向ヨークコアの成形金型も一種類の
みで済むからである。

本考案は上記のように構成した偏向ヨークコア
であるから、半リング状コアの端部を捲線機で把
持し、それに巻線を施す際、位置決めのために半
リング状コアが捲線機位置決め用チヤツキング治
具にかなりの力で衝合しても、かつその際傾いた
状態で当つても、コア割れが生じる虞れが極めて
少なく、それ故巻線不良等が生じるのを防止で
き、巻線工程における大幅な歩留まりの向上を図
ることができる点で実用的効果は極めて大であ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る偏向ヨークコアの一実施
例を示す説明図、第２図はその捲線機への送り込
み工程の一例を示す説明図、第３図はその平面
図、第４図は偏向ヨークコアの捲線機への送り込
み工程の他の例を示す説明図である。 １……偏向ヨークコア、２……分割溝、４……
半リング状コア、５……捲線機位置決め用チヤツ
キング溝、５ａ……チヤツキング治具当接面、６
……分割面、７……チヤツキング治具。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 中央の分割溝を利用してリング状コアを２分割
   した半リング形状をなし、コイル巻線後、再び合
   体される構造の偏向ヨークコアにおいて、前記リ
   ング状コアの分割面端部に位置する捲線機位置決
   め用チヤツキング溝のチヤツキング治具当接面
   を、分割面に向かつて凸の柱状湾曲面としたこと
   を特徴とする偏向ヨークコア。