JPH0136221B2

JPH0136221B2 -

Info

Publication number: JPH0136221B2
Application number: JP13277181A
Authority: JP
Inventors: Koichi Nakazato
Original assignee: Hitachi Ltd
Current assignee: Hitachi Ltd
Priority date: 1981-08-26
Filing date: 1981-08-26
Publication date: 1989-07-28
Also published as: JPS5835834A

Description

【発明の詳細な説明】本発明は、陰極線管けい光面の形成方法、特
に、メタルバツク膜の下地としての有機フイルム
を形成する方法に関するものである。

従来、例えばカラー受像管のけい光面を形成す
る場合、フエースプレート内面に、電子ビームの
照射を受けてそれぞれ赤、青、緑に発光する３種
のけい光体を、ドツト状もしくはストライプ状に
配設する。次いで、これらけい光体層の表面を有
機フイルムで被覆し、この有機フイルムの表面に
アルミニウム等からなる金属蒸着膜を形成した
後、フエースプレートを加熱し、前記有機フイル
ムを分解除去して前記金属蒸着膜をけい光体層表
面に密着させるようにしている。

ここで、前記有機フイルムは、けい光体の粒子
性に基く表面の凹凸を埋めて平滑にし、これによ
つて反射膜を構成する金属蒸着膜を均一な連続膜
に形成すると共にそのけい光体層側表面を良好な
鏡面状にするために用いるものであり、金属蒸着
膜形成後の加熱により分解されて除去されるもの
であることが必要とされ、通常アクリル樹脂の水
性エマルジヨンを主成分とするフイルミング液を
塗布乾燥して形成される。その際、先ず個々のエ
マルジヨン粒子間に存在する水分の蒸発によつて
当該エマルジヨン粒子が最密充填状態となり、同
時に粒子相互間が熱により融合して均一な連続体
を形成し、この結果、有機フイルムが形成され
る。従つて、良好な有機フイルム形成には均一な
塗布と加熱による急速乾燥とが必要になる。

ところが、このように十分な温度で加熱乾燥し
て良好な有機フイルムを得、良好な鏡面を有する
金属蒸着膜を形成したとしても、次段の加熱工程
で有機フイルムを分解除去する際、発生するガス
の圧力のために金属蒸着膜が押し上げられてしま
う、いわゆる火ぶくれの現象を生じることがあ
る。その結果、金属蒸着膜がけい光体層から遊離
し、電極部に付着して耐電圧を低下させるとか、
剥れた部分のけい光面の発光輝度が低下するとい
う不都合を生じる。従つて、有機フイルムに分解
ガスの抜け道を作る必要がある。このため、従来
例えばPVA化合物を添加してエマルジヨンの最
低製膜温度付近で製膜を行ない、形成される有機
フイルムにクラツクを生じさせてガスの抜け道と
している。

しかしながら、この方法では前述したような鏡
面形成に必要な高温による急速乾燥ができないこ
ととなる。また、フイルミング液の塗布条件を厳
密に制御すると共に±１℃程度の精密な温度管理
を行なうことが必要となる。更に、熱分解性が悪
く、未分解物がけい光面に残留する割合が高いと
共に、有機フイルムの平滑性が損われるために金
属蒸着膜の光反射率が低下し、またけい光体発光
がクラツクから洩れてフエースプレート前方へ行
く光が減少すること等のために、けい光面の輝度
が低下する。

本発明は、以上のような状況に鑑みてなされた
ものであり、その目的は良好な平滑面を有する有
機フイルムを形成すると共に、その熱分解に際
し、その上の金属蒸着膜が粗面化したり火ぶくれ
を起こすことがなく、光反射効率の高いメタルバ
ツク膜を形成することが可能な陰極線管けい光面
の形成方法を提供することにある。

このような目的を達成するために、本発明は、
有機フイルムの形成に使用するフイルミング液と
して、アクリルエマルジヨンを主成分とし、かつ
６員環を有する水溶性の多糖類またはその化合物
を0.01〜0.5wt％添加した組成物を用いたもので
ある。

即ち、主成分のアクリル樹脂と相溶性の悪い上
記多糖類を少量添加することにより、形成した有
機フイルムにおいて、この多糖類がアクリル樹脂
中に海島状に分離して凹部を形成する。このた
め、この凹部において金属蒸着膜に隙間が生じ、
ベーキングにおいてこの隙間が分解ガスを逃がす
ために火ぶくれを防止することができる。

主成分のアクリルエマルジヨンとしては、アク
リル酸またはアクリル酸エステル、メタアクリル
酸またはメタアクリル酸エステル、スチレン、ア
クリロニトリル等の重合体またはその共重合体の
水性エマルジヨンが用いられる。以下、実施例を
用いて本発明を詳細に説明する。

先ず、第１図に示すように、フエースプレート
１の内面に赤、青、緑３色のけい光体粒子２から
なるけい光体層３を形成する。これには、けい光
体スラリーを用いる方法や粘着膜にけい光体粉末
を直接付着させる方法など、公知の技術を用いる
ことができる。次に、このけい光体層３の上に、
下記の組成を有するフイルミング液を塗布し、乾
燥して有機フイルム４を形成する。なお、このフ
イルミング液のPH値は2.0〜4.0である。その後、
アルミニウム蒸着膜５を形成する。

アクリルエマルジヨン（商品名プライマルＢ−
74） 10〜20wt％アルギン酸プロピレングリコールエステル（商品
名キシロイド） 0.05〜0.3wt％シリコーン（商品名東レシリコーン）１〜3wt％水残部フイルミング液の塗布に際しては、第２図に示
すように、けい光体層３を形成したフエースプレ
ート１を上向きにし、上記組成を有するフイルミ
ング液１１を注入する。次いで、このフエースプ
レート１をゆつくり回転させ、前記フイルミング
液１１を内面全体に拡げた後、第３図に示すよう
にフエースプレート１を傾斜させて過剰なフイル
ミング液１２を排出する。次に、フエースプレー
ト１を高速回転させ、フイルミング液１１の塗膜
を均一にした後、加熱乾燥して有機フイルム４を
形成する。この時、有機フイルム４は、第４図に
示すようにアクリル樹脂６とアルギン酸エステル
７とが分離して海島状組織を呈する。ここで、海
島状に分離したアルギン酸エステル７とアクリル
樹脂６との境界には第５図に示すような断層が生
じる。従つて、次にこの有機フイルム４の上にア
ルミニウムを蒸着してアルミニウム蒸着膜５を形
成した時、このアルミニウム蒸着膜５に隙間５ａ
が生じる。このため、次のベーキングによる有機
フイルム４の加熱分解除去工程において、分解ガ
スはこの隙間５ａから抜け、アルミニウム蒸着膜
５を押し上げることはない。また、この場合アル
ミニウム蒸着膜５の平滑性および光反射率の低下
は小さく、輝度の高いけい光面を得ることができ
る。

なお、上述した実施例において、アルギン酸エ
ステルの添加量が多過ぎると、有機フイルム４の
海島組織が過剰にできて、平滑性が損われる場合
がある。このため添加量は0.5wt％以下とする必
要があり、0.3wt％程度が好適である。これに対
し、添加量が0.01wt％以下になると、この海島状
組織が形成されず、アルミニウムふくれを防止す
る効果が得られない。

上記添加量を、アルミニウムふくれを防止し得
る最低限度の量とした場合には、有機フイルムが
加熱分解する工程において、空気の供給量が少な
いために、十分な分解除去が行なわれない。この
結果、未分解物が残留し、フエースプレート１の
側面１ａが茶色に変色して見苦しくなる。

これを防止するためには、シリコーン等の有機
珪素化合物の水溶性またはエマルジヨンタイプの
ものを添加することが有効である。この場合、こ
の添加量が多過ぎると、珪素の残渣が多くなつて
けい光面の輝度を損う。このため、この有機珪素
化合物の添加量は、10wt％以下であることが望
ましく、２〜3wt％程度が好適である。このよう
に有機フイルムの分解を促進する有機珪素化合物
としては、例えばジメチルポリシロキサンの加水
分解物（水溶性）等のオルガノポリシロキサン、
オルガノシラン、オルガノアルコキシシラン、オ
ルガノシラノール等が用いられる。

また、フイルミング液の塗膜のアクリル樹脂６
とアルギン酸エステル７との相分離による海島組
織は、フイルミング液のPH値が７以上であると形
成されないか、または形成されても両相の境界の
段差が少なく、アルミニウムふくれを防止する効
果がない。このため、フイルミング液は酸性、よ
り望ましくはPH値が4.0以下であることが良い。
一般には、エマルジヨンの防腐を目的とする添加
物のために、あるいは遊離酸の存在のために、ア
クリルエマルジヨンのPH値は酸性側にあり、また
アルギン酸化合物も酸性側で安定であることか
ら、フイルミング液は、特に手を加えなくても
4.0以下のPH値になることが多いが、これが高い
場合には、酢酸、蓚酸等の有機酸、または硝酸、
硫酸、リン酸等の無機酸を用いて4.0以下となる
ように調整することが望ましい。

なお、上述した実施例においては、アクリルエ
マルジヨンに添加する多糖類としてアルギン酸エ
ステルを用いたが、この他にも、アルギン酸ナト
リウム、アルギン酸アミン等を用いても良好な結
果が得られた。また、アルギン酸化合物の他に、
セルロースまたはその化合物であるカルボキシメ
チルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等
の天然抽出物またはその化合物である水溶性高分
子を使用しても同様の効果が得られた。

また、エマルジヨンは一般に可塑剤等を添加し
て使用する場合が多いが、本発明においても、フ
イルミング液に可塑剤、増粘剤等を添加してもよ
い。また、タイプの異なるエマルジヨンを混合し
て用いてもよい。

以上説明したように、本発明によれば、海島状
に分離した多糖類により有機フイルムに断層が形
成され、金属蒸着膜を形成した時にこの断層部に
生じる隙間が有機フイルム分解の際にガスの逃げ
道となるため、火ぶくれを生じることなく、光反
射率の良好なメタルバツク膜を形成することがで
きる。また、従来のPVA化合物を添加して有機
フイルムに生じるクラツクを利用して火ぶくれを
防止する場合のように、エマルジヨンの最低製膜
温度付近で製膜させる方法ではないため、製膜温
度の裕度が広く、温度管理幅は従来の±１℃に対
して±５℃となり、製造が容易になる利点を有す
る。更に、PVAのようにアクリルエマルジヨン
より熱分解しにくい水溶性樹脂の添加量が従来に
比べて少ないことにより、有機フイルムが分解さ
れ易く、未分解物の残留割合が少なくなるため
に、陰極線管としてのけい光面の輝度が従来のも
のと比較して約５％高くなる等の種々優れた効果
を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明により形成したけい光面の一部
を示す断面図、第２図および第３図は本発明によ
りけい光面を形成中のフエースパネルを示す断面
図、第４図および第５図は本発明において形成さ
れる有機フイルムの構造を示す平面図および断面
図である。１……フエースプレート、３……けい光体層、
４……有機フイルム、５……アルミニウム蒸着
膜、５ａ……隙間、６……アクリル樹脂、７……
アルギン酸エステル、１１，１２……フイルミン
グ液。

Claims

【特許請求の範囲】１フエースプレートの内面に、けい光体層、有
機フイルム、金属反射膜を順次形成した後、この
フエースプレートを加熱して前記有機フイルムを
分解除去し、前記金属反射膜を前記けい光体層に
密着させる陰極線管けい光面の形成方法におい
て、前記有機フイルムは、アクリルエマルジヨン
を主成分とし、かつ0.01〜0.5wt％の６員環を有
する水溶性の多糖類またはその化合物を含有する
フイルミング液を塗布し乾燥して形成することを
特徴とする陰極線管けい光面の形成方法。２多糖類は、セルロースであることを特徴とす
る特許請求の範囲第１項記載の陰極線管けい光面
の形成方法。３多糖類は、アルギン酸の化合物であることを
特徴とする特許請求の範囲第１項記載の陰極線管
けい光面の形成方法。４フイルミング液は、PH値が4.0以下であるこ
とを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の陰極
線管けい光面の形成方法。５フエースプレートの内面に、けい光体層、有
機フイルム、金属反射膜を順次形成した後、この
フエースプレートを加熱して前記有機フイルムを
分解除去し、前記金属反射膜を前記けい光体層に
密着させる陰極線管けい光面の形成方法におい
て、前記有機フイルムは、アクリルエマルジヨン
を主成分とし、かつ0.01〜0.5wt％の６員環を有
する水溶性の多糖類またはその化合物および0.01
〜10wt％の有機珪素化合物を含有するフイルミ
ング液を塗布し乾燥して形成することを特徴とす
る陰極線管けい光面の形成方法。６多糖類は、セルロースであることを特徴とす
る特許請求の範囲第５項記載の陰極線管けい光面
の形成方法。７多糖類は、アルギン酸の化合物であることを
特徴とする特許請求の範囲第５項記載の陰極線管
けい光面の形成方法。８フイルミング液は、PH値が4.0以下であるこ
とを特徴とする特許請求の範囲第５項記載の陰極
線管けい光面の形成方法。