JPH0136028B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は開放形冷媒圧縮機の軸封装置の耐久性
改善に関するものである。

従来例の構成とその問題点 従来、自動車空調用圧縮機などに用いられてい
る開放形冷媒圧縮機のうち、第１図に示すよう
な、摺動各部への給油を圧縮機本体内の高圧側と
低圧側との差圧を利用して行う、いわゆる、差圧
給油方式のローリングピストン型開放形圧縮機に
おいては、高圧側の油溜１８と低圧側の軸封装置
空間１０とを、油吸込通路１６、スラストベアリ
ング７の隙間、ニードルベアリング６の隙間、ニ
ードルベアリング５の隙間を介して連通し、さら
に、軸封装置空間１０と吸入冷媒ガス通路４とを
バイパス通路１３を介して連通する給油通路を形
成していた。

また、軸封装置１１からの冷凍機油、冷媒ガス
もれ量を少なくするために、油溜１８と軸封装置
空間１０との間に給油通路途中に減圧環１９（例
えばオイルシールのようなもの）を駆動軸８とサ
イドプレート２ａに取付けて軸封装置空間１０を
低圧雰囲気にする工夫がなされていた。

しかし、このような給油通路の構成だけでは、
圧縮機起動初期の数分間は吐出圧力が適値に達し
ないため、油溜１８の給油は減圧環１９までしか
達せず減圧環１９より下流側の軸封装置空間１０
などへの給油がなされない。また、逆に、減圧環
１９の減圧能力を小さくすると、通常運転時は軸
封装置空間１０への給油が過大になり軸封装置空
間１０の圧力が高くなり冷凍機油、冷媒ガスの漏
洩が多くなる問題があつた。また、通常運転時の
軸封装置空間１０への給油が吐出直後の高温給油
であるため軸封装置１１の摺動面摩耗が大きいな
どの問題があつた。

発明の目的 本発明は差圧給油方式の簡易給油機構を生かし
ながら軸封装置のシール性能、耐久性を改善する
ものである。

発明の構成 そのための構成として、本発明は、圧縮機本体
内の冷媒と冷凍機油の気密確保のための軸封装置
と、油溜から軸封装置空間に給油すべき減圧環を
備えた主給油通路と、軸封装置空間から圧縮機本
体の吸入冷媒ガス通路へ連通するバイパス通路を
設け、軸封装置空間と冷凍サイクルの凝縮器の下
流側管路とを連通する補助給油通路を設け、補助
給油通路には減圧機構を設けたものである。

実施例の説明 以下、本発明の実施例を第２図、第３図に沿つ
て説明する。

第２図は自動車空調用などに使用される開放形
横置ローリングピストン型冷媒圧縮機とそれに関
連すぬ冷凍サイクルの系路を示し、シリンダブロ
ツク１の動力駆動側にはサイドプレート２が配置
され、反動力駆動側にはサイドプレート３が配置
されている。吸入冷媒ガス通路４をもつサイドプ
レート２にはニードルベアリング５が装着され、
吐出弁装置（図示なし）をもつサイドプレート３
にはニードルベアリング６とスラストベアリング
７が装着されている。偏心部８ａをもつ駆動軸８
はニードルベアリング５とニードルベアリング
６、スラストベアリング７に支持され、偏心部８
ａの外径面はピストン９の内径面に遊嵌合してい
る。サイドプレート２の動力駆動側の軸封装置空
間１０には軸封装置１１が装着され、軸封装置空
間１０は主吸入接続口１２に隣接する吸入冷媒ガ
ス通路４とはバイパス通路１３を介して連通し、
補助吸入接続口１４とは油孔１５を介して連通し
ている。また、サイドプレート３の端部には油吸
込通路１６を設けたオイルケース１７が取付ら
れ、その下端は油溜１８に浸漬している。また、
ニードルベアリング５の端部にはオイルシール装
置のような減圧環１９が設けられ、軸封装置空間
１０の側と油溜１８の側とを圧力面で仕切つてい
る。また、サイドプレート２に溶接固定されたシ
エル２０はシリンダブロツク１、サイドプレート
３、吐出カバー２１、オイルケース１７を包囲し
て圧縮機本体を構成してその内側は吐出空間２２
を形成している。さらにシエル２０の上端には吐
出接続口２３を設け、吐出接続口２３は冷凍サイ
クルの凝縮器２４、膨張弁２５、蒸発器２６へと
順次配管接続され、蒸発器２６の出口は分岐して
主吸入接続口１２と補助吸入接続口１４にそれぞ
れ接続されて主吸入管路２７、補助吸入管路２８
を構成している。また、油溜１８から軸封装置空
間１０へ通じる主給油通路２９、油吸入通路１
６、スラストベアリング７の隙間、ニードルベア
リング６の隙間、減圧環１９、ニードルベアリン
グ５の隙間を経由して構成され、蒸発器２６の出
口から軸封装置空間１０へ通じる補助給油通路３
０は補助吸入管路２８と補助吸入接続口１４と油
孔１５から構成されている。

このような構成において、特に圧縮機冷時運転
開始直後の数分間は高圧側の吐出空間２２と低圧
側の軸封装置空間１０との差圧が少なく、主給油
通路２９の途中に配置された減圧環１９の減圧作
用によつて油溜１８の冷凍機油は油吸込口１６、
スラストベアリング７の隙間、ニードルベアリン
グ６の隙間を通つてピストン９の内側にまでしか
給油されない。この間、バイパス通路１３と吸入
冷媒ガス通路４を介してシリンダ内に連通する軸
封装置空間１０の圧力は低下するので、蒸発器２
６から分流した低温度の冷凍機油を含んだ吸入冷
媒ガスは補助給油通路３０を経て軸封装置空間１
０に流入し、さらにはバイパス通路１３を経てシ
リンダ内に流入する。この吸入冷媒ガスの通過に
よつて、圧縮機起動初期の軸封装置１１、ニード
ルベアリング５への給油が行われる。圧縮機運転
開始数分経過後は、低圧側の軸封装置空間１０と
高圧側の吐出空間２２との差圧が設定値に達して
油溜１８の冷凍機油は減圧環１９によつて適度に
減圧されて軸封装置空間１０へ適量給油され、摺
動各部へ継続的に供給される。したがつて、軸封
装置空間１０には油溜１８から主給油通路１９を
経て差圧給油された冷凍機油と、蒸発器２６の出
口から分流し補助給油通路３０を経て流入した低
温度の吸入冷媒ガス（冷凍機油を含む）とが合流
し軸封装置１１を潤滑し冷却後、バイパス通路１
３と吸入冷媒ガス通路４を経てシリンダ内に流入
すす。

シリンダ内で冷媒ガスと共に混合圧縮された冷
凍機油は吐出空間２２に吐き出され、その大部分
は吐出空間２２で冷媒ガスと分離して油溜１８へ
滴下し、残りの冷凍機油は冷媒ガスと共に冷凍サ
イクルへと搬出されて行く。

また、第３図は他の開放形横置ローリングピス
トン型冷媒圧縮機とその冷凍サイクルを示し、主
吸入接続口１２ａがシエル２０ａとシリンダブロ
ツク１ａに固定接続され、補助吸入接続口１４ａ
が凝縮器２４ａの下流側に分岐接続され、補助吸
入接続口１４ａと軸封装置空間１０ａとを連通す
る油孔１５ａの軸封装置空間１０ａに近い側の一
部が狭細通路１５ｂとなり、膨脹装置と同様な減
圧機構を有した補助給油通路３０ａを構成した例
で、狭細通路を通過した液化冷媒は軸封装置空間
１０ａで低温、低圧冷媒ガスとなり、軸封装置１
１ａおよび油溜１８ａから軸封装置空間１０ａへ
主給油通路２９ａを経て差圧給油された冷凍機油
を冷却後、バイパス通路１３ａと吸入冷媒ガス通
路４ａを経てシリンダ内に流入する。

また、第２図、第３図では駆動軸８の囲りに減
圧環１９を設けたが、例えば油吸入通路１６の途
中などのように主給油通路２９の途中であればど
こに設けてもよい。

発明の効果 以上のように、本発明によれば、圧縮機運転開
始後の数分間は、吐出圧力と吸入圧力との差圧が
低く、減圧環の作用によつて油溜から軸封装置空
間への差圧給油ができない場合でも減圧機構を備
えた補助給油通路を通して低圧、低温度の冷媒ガ
ス（冷凍機油を含む）を冷凍サイクルの凝縮器の
下流側管路から軸封装置空間に導き軸封装置を潤
滑、冷却するので圧縮機起動初期における軸封装
置の耐久性、シール性能が格段に改善できる。

また、補助給油通路を通して常時、軸封装置空
間への給油が可能なため、主給油通路には減圧性
能の高い減圧環の設置が可能になる。したがつ
て、高温度気候下の高負荷運転時のように吐出圧
力が異常に上昇した場合でも減圧環の高減圧環作
用によつて主給油通路を通して油溜から軸封装置
空間に給油された冷媒ガスを含む冷凍機油は冷媒
の蒸発圧力にまで低下できる。このため、軸封装
置空間の圧力は低圧側となり、軸封装置からの冷
媒ガスもれが極めて少なくなつて高凝縮特性の冷
媒ガスを開放形圧縮機に広く応用展開できるなど
の優れた効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の開放形冷媒圧縮機の断面図、第
２図は本発明の実施例における開放形冷媒圧縮機
を示す説明図、第３図は他の実施例を示す説明図
である。 １，１ａ……シリンダブロツク、２，３……サ
イドプレート、８……駆動軸、１０，１０ａ……
軸封装置空間、１１，１１ａ……軸封装置、１
３，１３ａ……バイパス通路、１５，１５ａ……
油孔、１５ｂ……狭細通路、２４，２４ａ……凝
縮器、２５……膨張弁、２９，２９ａ……主給油
通路、３０，３０ａ……補助給油通路。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 圧縮機本体内の冷媒と冷媒機油の気密確保の
   ための軸封装置と、油溜から軸封装置空間に給油
   すべき減圧環を備えた主給油通路と、前記軸封装
   置空間から前記圧縮機本体の吸入冷媒ガス通路へ
   連通するバイパス通路を設け、前記軸封装置空間
   と冷凍サイクルの凝縮器の下流側管路とを連通す
   る補助給油通路を設け、前記補助給油通路には減
   圧機構を設けた開放形冷媒圧縮機。 ２ 減圧機構は冷凍サイクルの膨張弁と兼用した
   特許請求の範囲第１項記載の開放形冷媒圧縮機。 ３ 減圧機構は補助給油通路の一部に狭細通路を
   設けた特許請求の範囲第１項記載の開放形冷媒圧
   縮機。 ４ 狭細通路は軸封装置空間の近傍に設けた特許
   請求の範囲第３項記載の開放形冷媒圧縮機。