JPH0135920B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は金属例えば鋼板の連続電気メツキ処
理において、通板速度を変更する場合のメツキ被
膜厚みの制御方法に関するものである。

例えば鋼板等の表面と電気メツキ処理（各種の
電解処理を含み以下単に電気メツキ処理という。）
により被覆する場合においては、形成被膜の厚み
を均一にすべく努力がなされ、例えば被膜形成装
置において電解処理浴の温度、組成及び電解電気
量の充分な管理が行なわれている。一般的に云つ
て例えば鋼板コイルによる連続電気メツキ処理時
においてはコイルの接続のため、或はメツキ量の
変更等により被メツキ板の被膜形成装置（電解浴
中）の通過速度を変化させることが多く行なわれ
ており、この際、変更された新たな通板速度に対
応したメツキ電流値を常に電気量が一定になるよ
うに設定替えし、常に均一な被膜厚みを得ること
を意図した制御がなされている。

而して、上記したこの被メツキ板の通板速度の
変更に伴うメツキ電流値の変更開始点は、減速
時、増速時何れの場合においても被メツキ板の通
板速度の変更開始点と軌を一にしている。その結
果として上記の設定変更時において被処理板上に
形成される被膜厚みは、その設定変更時間中過少
或は過大となり部分的に不均一厚み部が生じてい
る。

第１図は従来から実施されている連続電気メツ
キ処理における被メツキ板の通板速度変更時にお
ける通板速度（ラインスピード）、メツキ電流
（主操作量）、電気量（被メツキ板が被膜形成装置
を通過する時間とメツキ電流の積）メツキ被膜厚
み（被膜厚み）の関係を示し、縦軸に夫々の量を
横軸に時量をとつて示したものである。第１図ａ
に例示する如く、被膜形成装置における通板速度
が(イ)であつたものを、(ロ)で示される通板速度に減
少設定替えすべく、時間t₁において設定変更を開
始し、t₂で設定完了する。メツキ電流はこの通板
速度の変更パターンに対応して設定された変更パ
ターンを前記通板速度の変更と軌を同じくして変
更と同時に完了し、第１図ｂの如く減少してい
る。

この場合の被メツキ板に対する電気量は第１図
ｃに示す如く一定になり、形成されるメツキ被膜
厚みも一定になる筈であるが、この通板速度減速
過程で形成される被膜の厚みは第１図ｄに示す如
く著しく減少し、著しい不均一被膜を生じてい
る。一方、通板速度が(ロ)から(ハ)に増速される場合
においても、t₃を開始点として通板速度の変更
と、同時にメツキ電流の増加設定がなされt₄を設
定完了としているが、この通板速度増速過程では
形成される被膜厚みは第１図ｄの如く著しく増大
し、著しい不均一被膜を生じメツキ板の品質低下
の原因となつている。この様な被膜厚みの過大的
変化の理由については明確にはされていないが被
覆処理工程中の電気量の不均衡、電流効率の変
化、処理液流動の変化、スリツプ等の相互的な影
響によるものと思われる。しかし、従来この様な
通板速度設定変更時の被膜厚みの不均一化に対し
てはこれを解消するための制御が殆んどなされて
いないのが現状である。

本発明はこの様な通板速度の設定変更時の被膜
厚みの異常変化を解消し連続した均一被膜を得る
ことのできる電気メツキ被膜厚み制御方法を提供
することを目的としてなされたものである。

本発明は上記した如く、主としてコイル状に巻
かれた長尺の鋼板に対して溶接等の手段により接
続しながら処理ラインを停止させることなく連続
的に電気メツキ処理を行う場合において、接続の
ための通板速度の減少及び接続完了後の通板速度
復帰等の通板速度の変更に際して適用されるもの
である。例えば連続錫メツキにおける定常通板速
度は350ｍ／min前後であるが、鋼板コイルを溶
接によつて接続しながらフインを停止することな
く連続メツキがなされる。コイル接続時において
は溶接装置の性質上溶接個所の板は一時的に停止
させる必要があるため、接続装置と被膜形成装置
の間にはルーパー等の貯留装置が設けられ、帯状
の被メツキ板をこゝに貯蔵し、コイル間の溶接接
続時にはこの貯留装置からの引き出し供給によつ
て被膜形成装置の通板速度を変化させない様にし
ているが、被膜形成装置の通板速度が上記したル
ーパー等の貯留装置の貯留能力を上廻る時は、１
時的に該通板速度を例えば150ｍ／minに減速す
ることにより連続性を維持するようになつてい
る。

本発明はこの様な場合において被膜形成装置に
おける被メツキ板の例えば通板速度の変更に対応
して、メツキ電流を変更する必要がある場合に適
用されるものであり、電気メツキ板の連続製造方
法において、被膜形成装置を通過する被メツキ板
の通過速度の変更パターンに対応してメツキ電流
変更パターンを設定し、このメツキ電流の変更開
始点を前記被メツキ板の通板速度の変更開始点よ
り遅延させ、該被メツキ板の通板速度変更過程の
電気量を変化させることを特徴とする連続電気メ
ツキ処理における通板速度変更時のメツキ被膜厚
み制御方法である。

本発明における被膜形成装置の通板速度変更開
始点とメツキ電流変更開始点の遅延時間は通板速
度変化の速度と変化の程度によつて定めるべきで
あるが、電気メツキ処理においては通常５秒〜２
秒の遅延で充分にその目的を達することができ
る。又通板速度の設定変更時間は通常約10秒位で
ある。以下本発明をその実施例と共に示す。

この実施例は鋼板コイルを被メツキ板とする電
気錫メツキに適用した場合のものである。

第２図においてａは通板速度が時刻t₁において
減速設定変更開始され時刻t₂において設定変更が
終了し、その後時刻t₃において増速設定変更が開
始され時刻t₄において設定変更が終了した状況を
示している。ｂ図は上記通板速度の設定変更に伴
つてメツキ電流の設定変更を行つた場合を示した
ものであるが、この設定変更の開始点は通板速度
の変更開始点t₁より４秒遅らせたt′₁点とし、同様
の変化時間となるような変更速度でメツキ電流を
減少させ時刻t′₂で終了させた。その後、通板速
度の増速時においても減速時同様メツキ電流の増
加開始時刻を４秒遅らせt′₃とし、しかも同じ変
更時間で設定変更を行ない時刻t′₄で終了した。
この場合の被処理鋼板に対するメツキ電気量はｃ
図の様に変化したが、鋼板面上に形成された被覆
厚みはｄ図に示す如く殆んど均一であつた。

なお、本発明の被覆厚み制御方法を実施する装
置の一例を示す。

第３図において通板速度に対応した設定メツキ
電流１が比較器２に入力される。この設定メツキ
電流１はメツキ装置３内に設けられた電極４への
実際の給電量（メツキ電流）５と比較されその偏
差信号としてメツキ電流制御装置６に入力され
る。メツキ電流制御装置６よりの出力信号は遅延
回路７に入力される。遅延回路７では受けた信号
を所定時間遅延させて出力し、メツキ電流発生装
置８に入力され所要のメツキ電流を出力し、メツ
キ槽内の電極４に供給する。図中９は被メツキ板
である。

かくして本発明においては鋼板コイル等の長尺
物体の連続電気メツキ処理において通板速度を変
更する場合にこの通板速度変更に対応してメツキ
電流の変更を最適化して被メツキ板表面への均一
なメツキ被膜厚みを形成することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の電気メツキにおける通板速度設
定変更時のメツキ電流の設定変更と電気量、メツ
キ被膜厚み変化量を示す図、第２図は本発明法に
よる電気メツキにおける通板速度設定変更時のメ
ツキ電流の設定変更と電気量、メツキ被膜厚みの
変化量を示す図、第３図は本発明を実施する装置
例における制御回路例を示す図である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 電気メツキ板の連続製造方法において、被膜
   形成装置を通過する被メツキ板の通過速度の変更
   のパターンに対応して、メツキ電流変更パターン
   を設定し、このメツキ電流の変更開始点を前記被
   メツキ板の通板速度の変更開始点より遅延させ、
   該被メツキ板の通板速度変更過程の電気量を変化
   させることを特徴とする連続電気メツキ処理にお
   ける通板速度変更時のメツキ被膜厚み制御方法。